決定版 ムジナモ栽培法

越川幸雄

南総食虫植物園に見に来られた方で、以前から食虫植物に興味をお持ちの方が、一様に最も興味を示されるのが、ムジナモの栽培でした。皆さん一応ムジナモも栽培には挑戦されたことはあっても、あまり成功とは言えず、結局駄目になってしまうというケースが多いようです。そこで私もいろんなケースを考えて対応策を考えたり、最初から栽培鉢をセットするには何が必要なのか?などの事を新K年に考え実行してみました。一夏経過した結果、一応の結論が出ましたのでここに発表したいと思います。
5点ほどポイントがありますが、その全てを満足すれば絶対に成功しますので、ぜひ挑戦してみてください。
入れ物は、水面直径30cm、深さ30cm以上のものを用意してください。プラスチックのものより、陶器のものが良いのですが、これは水温が陶器のほうが変化しにくいから良いので、プラスチックケースは土に埋めれば最高ですが、むき出しのプラケースでも大丈夫です。大きさもこのくらいの量がないと水質、水温が安定しないので、出来ましたらこれ以上のものが望ましいのです。
次に土を上辺から20cmのところまで入れます。土質は肥料分の無い赤土が良いようで、砂でもかまいません。関東地方ならローム層の赤土、関西ならいわゆる"まさ土"と呼ばれるものが良いようです。砂はあまりにも肥料分が無さすぎで、語述するいっしょに植えた植物がうまく育たないようです。
土の表面はよくたたいて硬くして、そこへ共生させる植物を植えます。この植物は生育盛りで土中だけでなく、水中にも根を出してくる植物で、夏の間に枯葉が出ないものが良いのです。最適なのはマコモの様に思います。30cmの鉢に3芽位植えればよいようです。上辺からの水深が20cm以上あると水深がありすぎて植物がうまく育ちません。浅いと水温が変化しやすく、その上水底のドロの表面にアオミドロが発生し易くなります。
水を鉢の淵まで入れたらムジナモを入れます。30cmの鉢に3芽で充分です。これで2ヶ月後には丁度水面に広がるようになり、4〜5ヶ月経つと少し間引かないといけなくなります。水は水道の水でもかまいません。カルキは日光に当てればすぐに抜けますし、それ以上の問題は起こりません。
置き場所は午前中日光があたるところが最適で、まったく日陰では駄目です。一日中日光が当たっても水温が上がる過ぎるくらいの問題があるだけです。水温が上がっても良いのですが、あまり水温が上がりすぎるとアオミドロの発生が凄くなります。水は蒸発して減ったらホースで足してやります。なるべくホースを水中に差し込んで水が交換されるように、そしてごみを浮かして回りからオーバーフローで流すようにします。ドロで水が濁ることは、別に害はないようです。
次はアオミドロ対策です。アオミドロはどうしても発生します。古い土や鉢はこの点で失格です。新しい鉢と土で新しく栽培を始めてください。もっとも古い鉢も良く洗えば大丈夫ですが、最初にムジナモを入れたら毎日アオミドロの掃除をしてください。方法はムジナモの回りを割り箸でぐるっとかき回す様にするとアオミドロであれば引っかかります。これを最初は毎日やる必要があります。アオミドロは一日で数センチは伸びてきますので、数日でムジナモは取り巻かれてしまいます。細い一本は目には見えませんので、割り箸で引っ掛けて取ります。20日もすれば、ムジナモも伸びてきてアオミドロを追い越すようになるでしょう。その頃は植えたマコモも水中に根を伸ばしてきて、水質を浄化してくれるようになります。鉢をあらかじめ用意しておいて、あとからムジナモを入れるのは、うっかりすると最初からアオミドロがはびこっていて、ムジナモを入れたとたんにやられてしまうことがあります。
水質が酸性なら良いとよく言われています。しかし、これは酸性が良いのではありません。水が汚れていなければ必然的に酸性になります。汚れていればどうしてもアンモニア性の物質が出来てアルカリ性になるので、取り違えないようにしましょう。 マコモが水中に根を伸ばして肥料分を吸収してくれれば水が自然に酸性になります。冬にマコモが枯れたらムジナモの冬芽を全部拾い出してマコモを土際から刈り取って土の表面を綺麗にして、また水を入れてムジナモの冬芽を入れてやります。
枯れたマコモの茎はミジンコの発生には良いのですが、多すぎると水質を悪化させるもとにもなります。特に冬は掃除人のマコモがお休みなので注意が必要です。