
2007/9/5
山梨県での日本共産党の得票は、比例が目標42,000に対して26,585票(前回比1,541票増)、得票率6.2%(前回比0.1ポイント増)、選挙区32,994票(前回比149票増)、得票率7.5%(前回比0.3ポイント減)でした。
得票増が少なかったことは残念なのですが、新たな層からの得票、とりわけ青年層からの得票はかなりあったと思います。山梨日日新聞の出口調査では、選挙区では40代以上は4−5%程度ですが、30代、20代と年代が下がるにつれて党の得票率が高くなり、20代は17.2%でした。選挙中、街頭で訴えていて若い人からの声援が日に日に多くなり、真剣であったことは感じていました。ガソリンスタンドで30歳前後と思われる男性から突然、「花田さんですよね。テレビをみてファンになりました」と握手を求められたりしました。20代でこれほど多かったことは私自身驚きでした。
劣悪な雇用・労働の実態、高い学費など、青年の実態は深刻です。ともすれば「仕方がない」「どうせ変わらない」とあきらめがちで、下の年代ほど投票にいかないという傾向もあります。ところが今回は、青年の選挙への関心がいつになく高く、職場でも大学でも「選挙に行く?」「どこがいいかな」ということが普通に話されていたといいます。
自公政権の悪政が直撃している青年の間で「もうがまんできない」「どの政党、候補者なら願いをたくせるのか」という模索が始まり、党の政策が青年の心に響きはじめたのではないかと思います。若い世代のなかの思いや願い、青年たちの対話や宣伝の様子などについて紹介します。
青年の働かされ方は、本当に深刻です。山梨青年ユニオンは、毎月行っている甲府駅前での宣伝行動で、労働相談・県内青年の雇用実態の聞き取り調査をしています。これに組合員や知り合いの実態をくわえ「山梨青年雇用問題黒書07」を公表していますが、そのなかからいくつか紹介します。
「福島で高校をでて、岡山―大分―大阪―東京と数ヵ月ごとに製造の派遣で働き、最近山梨にきた。なかなか正社員になれない。派遣の友達で額面は15万だけと寮費や光熱費などで引かれて手取りが7万円という人もいる」(20代男性)
「県内の、ある大手メーカーの工場で請負会社の社員として働いている。請負のはずなのに、メーカーの人と一緒に、メーカーの人の指示で働いている。青年ユニオンの人と話していて、自分の労働実態が、いわゆる偽装請負だとわかった。作業技術は正社員に負けないつもりだし勤務時間も変わらない。でも給与は半分。鉛や有機溶剤を使う作業をしている仕事には義務づけられている『特殊健康診断』も『請負』会社まかせで、自分たちには受けさせてもらえない」(30代男性)
「残業代・賞与がカットとなり、年収が30万ほど減り、月の手取りは13万円。正社員との差は年間100万円ぐらいになる。非常勤職員は時給制だが『これからは仕事が少ないときは早めに帰ってもらうこともある』といわれた。しかもその場合は有給扱いしないとのこと。これ以上収入が減れば、生活できない」(20代男性・非常勤・介護)
「働きはじめて2年目。残業のない日はなく11時までのときもある。ほとんどサービス残業だが、みんなやっているから一人で帰るわけにもいかない。上司からは仕事が遅いから残業するんだといわれる」(20代女性・販売)
こうした実態をさらに深くつかもうと、参院選前に民青同盟と党県委員会が共同で青年雇用アンケートに取り組みました。私も「お帰りなさい宣伝」に参加し、アンケート活動にとりくみました。
「いまの青年の雇用条件は劣悪です。政府が働くルールを悪くして、大企業の横暴勝手を後押ししてきた結果です。深刻な雇用の実態を調査し、政府や議会、企業に働きかけたいと思います。ぜひご協力ください」と私がハンドマイクで訴えると、「これ以上、働くルールを悪くしないでほしい」「教員にも評価制度が導入され職場の雰囲気が悪くなった」「朝8時から夜12時まで働くこともある」などの声が寄せられました。アンケートに答えてくれなかった人も「おれも残業続きで大変なんだよ」「よろしく」と声をかけてくれるなど好意的でした。
このとき返信用封筒をつけてアンケート用紙を配布したのですが、後日よせられた回答には、「最低賃金をもっと上げるべき。政治家は最低賃金生活を体験してみて」と書いてありました。
また、「日本共産党といっしょに日本をかえるネットワーク(かえるネット)」のシール投票では、「給料も安く、残業代もきちんと支払われないから生活が大変。共産党にはがんばってもらいたい」(30代女性)という声が寄せられました。
青年たちと一緒に宣伝している様子が選挙前に、私がアンケートのまとめについてコメントする様子が選挙中に、NHK甲府放送局で報道されました。青年雇用アンケートにとりくんでいることは私のブログにも掲載しました。これらを通じて、青年雇用に真剣にとりくんでいる政党、候補者が鮮明になったと思います。
世界的にみて異常に高い学費が、学生を苦しめています。参院選にむけての学生民青同盟員の討論では「家賃は仕送りだけど、生活費はバイトで稼いでいる。バイトでいっぱいの生活になっている」「奨学金をもらっているけど卒業したら257万円の借金を抱えることになる。とても不安」「年間の学費は120万円。自分のいる学部の人の多くが、お金の問題で4年制大学にいけなかったから短大にきている。学費を自分で払っている人は、毎日バイトをしている。でもそれが、当たり前だと思っています。軍事費に5兆円もかけているのに、青年の可能性の芽を摘んでしまうような高学費はおかしいと思う」などの声がでました。学生、父母に共通する大問題です。
ほとんどの学生は、日本の学費が世界的にみて高いことを知りません。しかし知るとびっくりし、怒りがわいてきます。6月7日の「全国縦断日本共産党青年学生キャンペーンの山梨大学前の宣伝では、宣伝カーから世界の学費のグラフが書かれた横断幕が下りてくると「おおっ」という喚声がわき、「タダの国があるの」「どうして日本はたかいの」と聞いてくる学生もいました。
選挙中、「かえるネット」の都留文科大学前の宣伝では、世界の学費クイズで「16万円」にシールを貼った学生から「ドイツの学費が18,000円なんてびっくり。自分も大学を受けるときに、私立大ならいけないと思ったので国公立しか受けなかった。もし落ちたら働くつもりだった。選挙がんばってください」との声が寄せられました。
「かえるネット」の青年が行った有権者に国政への要望を選んでもらう街頭のシール投票ので、もっとも多かった項目は「憲法9条を守りたい」でした。「戦争反対。安倍さんが9条を変えようとしてるけど、おかしいと思う」(学生)、「戦争をした反省の意味を込めた9条を守ってほしい」(高校生)など、安倍政権の動きを敏感に感じとっていました。
候補者の取材にくる記者は20代、30代がほとんどです。振り返ってみると、この記者たちも、今度の参議院選挙で、報道のあり方、どの政党・候補者に願いを託せるのか模索していたのではと感じます。
前回の参院選挙で、ある20代の記者から、冒頭に「花田さんは、自分の若さ(当時40代前半で若くもないのですが、他の候補が50代、60代でした)をどう打ち出そうとしていますか」と言われ面食らったことがあります。衆院選の小選挙区の候補だったときにも感じたことですが、選挙区の報道は、県民の実態はどうなっているのか、その願いや実態にこたえる政策、実績を各候補者はもっているのかという角度が弱かったと思います。
今回は、選挙中に県内の非正規雇用の実態を山梨日日新聞が報道しました。選挙後に山梨青年ユニオンの人に聞くと記者から取材の依頼があって、「黒書」に出ている青年を紹介したとのことでした。
記事は、2人の雇用実態を紹介し、「非正規雇用の改善に真剣に取り組んでくれる人への投票を考えている」「労働環境の改善を口でいうだけでなく、実行に移せる人に投票したい」という声をとりあげていました。取材した記者は「こういう実態を初めて聞いた」と述べていたそうです。朝日新聞山梨版でも選挙前に青年雇用と選挙に関連した記事が報道されました。
山梨県の青年雇用の実態の取材・報道も、それを候補者選択・政党選択の材料とする報道もはじめてだと思います。ほかにも、党県委員会に記者から生活保護、医療難民、青年雇用の実態を報道したいので誰か紹介してくれという問合せが何件かありました。マスメディアの姿勢の変化を示しています。
候補者討論会でもこのことを感じました。
2回の公開討論会、テレビ討論会と3回行われた候補者討論会を通じて、自民党と民主党との間に政策的な大きな違いはなく、自民党との対決軸をもっているのは日本共産党だということ、県民の実態をつかんで話しているのは日本共産党の候補者であることが鮮明になったのではと思います。
私は、格差・貧困を拡大する政権与党の責任の追及とともに、庶民には増税、大企業には減税の逆立ち税制をただすこと、国保料の1人1万円の引き下げなどを国の責任で行う緊急福祉1兆円プランなど、格差と貧困の拡大を是正する具体策を提示しました。ところが自民党候補は、格差が生まれた原因・責任についての返答はまったくなく、「再チャレンジできる社会をつくる」というだけで具体策を示すことができませんでした。
民主党候補は、記者時代ヨーロッパにいたこともあって、「ドイツは大学まで授業料はタダ。医療費も窓口無料です」と日本の学費の高さ、社会保障の貧しさを指摘しますが、生みだした原因、責任の所在については触れません。社会保障の財源について消費税増税の必要性をにおわせながら、最終的には「政権をとらせてもらわないと解決できない」というばかりです。さらに、「医療介護の充実を政策にかかげているが民主党は介護保険法の改悪に賛成したではないか、言っていることとこれまでやってきたこととあまりに違うではないか」という私の問いには、まともに答えられませんでした。
討論を通じて自民党候補が熱心な改憲論者であることが明らかになりました。また、これから参議院選に立候補するというのに「本格的な二大政党制になれば参議院はいらないというのが本当の思い」という民主党候補の失言もありました。
この民主党候補は、テレビ討論会後、ブログに、「総括すると、誰が自民党の候補で誰が民主党の候補か見た人にはわからなかったのではないかと思われます。その意味では、共産党の候補者は極めて明確に立場を明らかにされていました」と書いています。
記者たちは、公開討論をみて、「(自民・民主の候補について)あれでいいのかと思った」「実は自分も民主に期待をもっていたのだけど、それでいいのだろうかと考えるようになった」と述べていましたが、若い世代の思いとみていいと思います。
ホームページは前回参院選の前から、ブログは2005年12月末からはじめています。選挙前に何人かの学生党員にみてもらったのですが、「おもしろいですよ」といってもらいました。
候補者討論会後、ホームページやブログのアクセス解析(何人の人が、どのくらいのページをみているかなどがわかります)をみると1人でたくさんのページを見ている人がいます。「誰がみてくれたのだろう」とだと思っていたら、「花田さんのブログをみました。面白いですね。無党派層獲得を意識しているのですか」と何人かの青年記者から感想が寄せられたり、取材されたりしました。選挙前は、記者が一番熱心にみていたかもしれません。
7月は、ホームページとブログとの合計で訪問者数は約1,600、アクセス数では約3,000、ほとんどが初回の訪問でした。有権者全体からみると大きな数ではありませんが、これまでつながりのない人々、とりわけ青年層への情報提供ということでは意義があったと思いますし、今後、より重要になってくると思います。「まめな更新が肝心」と学生党員からも言われましたので、選挙後も心がけたいと思います。
「携帯電話の120人のアドレスにメールで共産党の政策を知らせた」「県外の小学校時代の友人に消費税増税に反対しているのは日本共産党だけと訴えたら、妻にも妹にも支持を広げることを約束してくれた」「今回が初めての選挙。学費を下げるためにがんばっている日本共産党がいいよと友達に訴えた」など、今回の参議院選挙では、青年が、青年に働きかけるということで、いつも選挙より奮闘したと思います。
私は、8年前から青年学生部を担当しています。大学生の頃からあるいは中学3年の頃から知っている青年党員、民青同盟員も多く、「あんなに引っ込み思案だったのに」「よく思い切って電話できたな」など一人一人の成長ぶりに感慨深いものがあります。4中総で提起された「若者とともにたたかい、参議院選挙を若い力が輝く選挙にしよう」ということの第一歩が踏み出せたと思います。
次の選挙にむけ、さらなる一歩を青年とともに踏み出していきたいと思います。
〈『前衛』2007年10月号 [参院選リポート]底流ではどんな激動がおきているか 掲載〉