144MHzSSBハンディトランシーバの製作

(01/6/24)1999年の10月から製作の始まったこのトランシーバの製作は、もう2年近くの歳月がたちました。その間PART1〜5まで製作記を長々と書いていますが、途中で作り直したりなど当初の構想から変わった部分も多いため、ここらで全体をまとめてみましょう。


 

トランシーバの仕様
周波数:144.130〜144.300MHz。 送信出力:0.3W。 終段:2SC2053。 電源電圧:7.2V。 受信部:高1中2シングルスーパ。 中間周波数:12MHz。 水晶フィルタ:ラダー型5素子。 消費電流:受信無信号時35mA、送信無信号時80mA、送信最大出力時180mA。 質量:450g


回路の説明
受信高周波増幅部、MIX部
2SK439を使った高周波増幅ではゲートにAGC(Auto Gain Control)をかけています。ソースに電圧計を当てると信号の強弱によって電圧が上下する事が分かります。またMIX部も同じく2SK439を採用しソースにVXOからの信号を注入します。

ラダー型水晶フィルタ
12MHzの水晶を5個使ったラダー(はしご)型のフィルタで、特性は下図の様になっています。

  

中間周波増幅以降
2SK241でIF増幅を2段し、1N60*4でプロダクト検波後、AF増幅を1段してLM386によりスピーカを鳴らします。386の2ピンには送信時に電圧をかけ動作を止めスピーカから音声が出ないようにします。AF増幅の後には更に1段増幅を行いマイナスのAGC電圧を作り、これでSメータも振らせます。

送信マイクアンプ&BM部
コンデンサマイクからの信号を1石のアンプで増幅し、局発との信号をSN16913PのBMで混合しDBMの信号を作り、クリスタルフィルタによりUSBの信号のみ通します。

バラモジ部
2SK439を2本使ったバランスドミクサ。バランス調整はソースに入れた5kΩ半固定VRで行います。またBM後3段のBPFを通し不要な電波をカットします。

◆増幅部
2SK439にて増幅後2段の同調回路を通します。ここが1段ではTVIが発生しました。

◆ドライブ部
2SC1906のバイアス回路にシリコンダイオードを順方向で使うのは、熱暴走対策という考えが多いですが、ここでは一種のツエナダイオード的な考えで、電源電圧の変動に対応します。抵抗で分圧する方法に比べ電圧の変化に影響されにくい方式です。固定機で安定化電源が使える場合は、抵抗による分圧方式で良いと思いますが、電池では電圧が下がると出力が極端に落ちてしまいます。

ファイナル部
2SC2053によるファイナル増幅で出力は0.3Wです。L1は不要な結合を防ぐためトロイダルコア(T25ー12)を使いました。コレクタ側は常に電圧がかかっていますが、送信時にベース電圧を加えて動作させます。これは送受切換回路への負担を軽減するためです。

デカップリング回路
電源回路の各所に1、2uHを使ったデカップリング回路を入れています。ωL=2πfL=2*3.14*144*1.2=1085Ωとなります。

BPF
 T型フィルタを採用。空心コイルは互いの影響を避けるため直角になるよう取り付けます。

アンテナ切替&スタンバイ回路
三菱のMI301(@100)を使ったダイオードスイッチで、消費電流は送信時6mA受信時2mAになりました。スタンバイ回路はTRスイッチで送信時の消費電流は約15mA。受信時の電圧降下は0.4Vほどになります。2SC2120と2SA950はコンプリ用のペアトランジスタで最大電流は800mAとなっています。

電圧降下検出回路
移動運用の局と交信していると変調のピークで音の揺れに気づく事があり、大抵は電池電圧が降下してきた場合です。このトランシーバでは電源にニッケル水素を6本使いますが、個体のバラツキがどうしてもあり、かなり使い切ってしまうと0Vに近くなった電池に対し、まだ容量の残っている電池からの電流が流れて逆充電がおこり、電池の寿命を縮めてしまいます。それを防ぐため電池を完全に放電しないうちに次の充電をしてやる必要があり、説明書には1セルの電圧が0.9〜1Vになった時がそのタイミングのようで、6本の場合安全を見込んで6Vになった時何らかの表示をする事にしました。回路図にTR2石で電圧降下検出回路を追加しました。半固定VRは6V以下になった時LEDが点灯するようセットします。ピコではツエナーダイオードとLEDを組み合わせた回路になっています。TRを使ったほうが回路は複雑になりますが、検出精度はかなり良くなります。この辺は好みの問題かもしれません。

VXO部
可変範囲は144.130〜144.300MHzまでの170kHz。VXO用として注文したわけではないですが、9逓倍しているため170kHzは充分カバー出来ます。水晶のケースはアースしておいて下さい。K241とC1906で3逓倍を2度行い132MHzを得ます。またVXO部全体
を3端子レギュレータで安定化した4Vの電圧をかけています。発振段C1906のベースエミッタ間とエミッタアース間についている30Pはディップマイカを採用(温度係数はゼロ)。バリコンはサトー電気の通販にて20PF*2のポリバリコンを購入。

局発部
12MHzをコルピッツ無調整回路で発振させ、送信BM部と受信検波部に注入します。なお周波数を下げる為水晶と直列に6.8uHのマイクロインダクタを入れVXOにしました。

リニヤアンプ制御
送信電圧を18kΩを通してアンテナ部に出力し、リニヤアンプを制御します


部品について

ボール減速機とバリコン

  

20PF*2のポリバリコン(サトー電気で@300→440に値上がり)。ボール減速機は国際電気で購入した4.5:1のもの(@1500)を使用しています。しかし残念ながら現在では入手できません。バリコンは長方形の板に固定し、それをL型の板に取り付けケースに固定、取り付けのねじ部分は少し大きめに穴を明け、X、Y、Z方向に調整出来るようにします。これはバリコンと減速機の芯出をして滑らかに回転させることが目的です。

ダイヤル目盛り

 

1mm厚の白色塩化ビニール板を直径34mmにカット。また中心に9.5mmの穴を明け、そして円板の固定は水道用のパッキンを利用しました。外径φ12、内径φ8、厚み2mmのゴム製でこれを2個使い円板を挟みます。減速機についている油(グリース)はふき取っておきましょう。周波数を示す三角の指針は2mmのアルミ板で作り、左水平の位置に2mmのビスで裏から取り付けます。

コイル

コイルはすべて手巻きです。通販のサトー電気で7mm角(コアの着色は黄緑色。5個@390)を購入。これは200MHzまで使用可能です。オヤイデ電気で買った0.1mmのウレタン線を巻き、VXO用のみ0.05mmを使用。送信部BM前後は中点タップのため巻く時に注意してください。一番下側の溝に1次と2次のコイルを巻いています。

水晶
12MHzクリスタルフィルタと局発用は藤商で購入(HC49/US @60)。VXO用(@1700)は川崎電波で特注。

FET
RFとIF増幅はデュアルゲートの4本足FETの方がAGCをかけやすいというメリットはありますが、ここでは2SK439と2SK241を使っています。この3本足FETは周辺部品が少なくて済むため採用しました。足の向きはK241が印字面に向い左からDSG、K439はGSDなので注意が必要です。

◆終段の石
2mのQRP機としてはミズホ通信のMX2があり、ここに使われている終段の石として2SC2053(@85)があり、非常に使いやすいので採用しています。足の向きが印字面に向いBCEとなり、普通とは逆なので注意してください。

マイク
これも自作です。一個100円位のコンデンサマイクをタカチのプラスチックケースに接着剤で止め、スタンバイはミヤマのシーソースイッチ。スパイラルのシールド線の先にφ3のステレオジャックをつけています。

トリマ
直径5mmの小型セラミックトリマです。@50

◆コンデンサ
ミニセラミック103(0.01u 50V)はサトー電気で100本620円。積層セラミックは秋月で@5。103チップコンデンサ@5

抵抗
直径2mm長さ4mmの小型抵抗。秋月で100本100円

チョークコイル
直径2mm長さ3.5mmのマイクロインダクタ @40

同軸
同軸0.8QEV(50Ω)を高周波及び中間周波の信号が流れる部分に使用。低周波部分は細いシールド線は直径1.5mm。

Sメータ
  

秋葉原ラジオセンターの東洋計測器で買ったSメータ(@250)。パネルへの取り付けは0.6mmのアルミ板を10mm幅に切り、メータを巻くようにして2mmのビスで取り付けています。

電池とホルダ
 

単4型のニッケル水素充電池を6本使用。容量は650mAHですが、最近は700mAHまで容量が増加しています。電池ホルダは3本型を2個(鈴商で@50*2)使用し、端を2.5mm程カットして底面パネルに2mmの皿ビスで固定し、全長97mmの6本用ホルダとして使いました。カットした理由はリグの小型化のためです。

プリント基板
 

1.6mm厚ガラエポ基板で100*60mm、角に12*26の切り欠きがあります。トランスバータ部とジェネレータ部に分けます。四隅を2mmのビスでシャーシに固定。

アンテナ端子
 ネジ止め式のBNCコネクタを採用。外部アンテナや全長50cmのロッドアンテナ(秋月で@500)を取り付けます。

スピーカー
  

このリグに使うスピーカは直径36mm、厚さ4.4mm、1個100円程度で出回っているもので、またスピーカの取り付けはアルミ板の切れ端で自作しました。なおスピーカーのコードが脱着出来ると便利なので写真の様な2.54mmピッチの部品(名前は分かりませんが千石で@50)のピン2個分をニッパーで切り出しオス・メス用として2個作ります。そこにスピーカのコードを半田付けし、熱収縮チューブで絶縁します。