144MHz SSB ハンディトランシーバの製作   PART1 

はじめに(99/10)
 1973年1月号のCQ誌の特集に、ハイライト4個の体積で0.5Wのトランシーバを作るという「ミニトランシーバ製作コンテスト」がありました。挑戦したいとは思ったものの実行が伴わず、優勝作品(確か6mAM機?)を見ながらいずれは作ってみたいという思いは以前からありました。

製作を思いつくきっかけは、ひょんなことから始まります。新しい部品が手に入ると「これを使ってみたい」と製作意欲が沸きますが、97年に秋葉原の千石電商で単4型のニッケル水素電池を見つけました。それまでの単4型ニッカドは220mAHでしたがそれが550mAHとなっており、これは単3ニッカドが出始めた頃の450mAHを越えているわけです。QRP機であるなら長時間の使用に耐えるので、これを使って小型リグを作ろうと設計2ヶ月、製作1ヶ月、調整1ヶ月の計4ヶ月かかって2mハンディ1号機が出来上がりました。ミズホ通信のピコ2をお手本に作ったわけですが、小型リグというのは神経を使います。部品の干渉、組み付けが出来るか、配線の引き回し等々。設計にCADを使い細かい部分まで書き上げる事で機械的な検討はできたのですが、高周波的な部分はやってみないと判らない所もあり、最後の調整に思いのほか時間がかかってしまいました。

  1号機の写真

1号機の仕様

  1. 周波数:144.150〜144.240MHz
  2. 出力:50mW (終段2SC2053)
  3. 電圧:7.2V(ニッケル水素 単4*6)
  4. 質量:380g
  5. 外形寸法:68*42*125mm(突起部を除く)
  6. 基板:60*75mm 2枚を銅箔面を背中合わせに取り付け
  7. 費用:約15000円

1号機のトラブルと対策

  1. チューニングはパネルの右上にあり、FM用ポリバリコンを使い20mmのツマミを直結しています。ケースを開け閉めすると見事にQRH。バリコンとフタの隙間が殆ど無かったからです。0.2mmのアルミ板でバリコンを巻き、アースして解決。
  2. 受信部の低周波発振が発生。ケースから基板を出して動作させているときは正常。しかしケースに入れると異常動作。プリント基板の銅泊面を背中合わせに取り付けているのが原因と判断。基板の間に0.2mmのアルミ板を入れてシールドし、その他LM386の入力部分に104のパスコンをいれる事でほぼ解決。ただし今でもボリュームを最大にすると「ヒー」という音が出る。
  3. 送信時50ΩのダミーロードかSWRの低い144のアンテナにつなげば100mW出力。これをロッドアンテナにすると無信号でも送信のメータが振り切れ。あれこれ手を施したけどダメ。最終的に終段のベースにフェライトビーズを入れて動作を押さえる。これで出力は50mWに。

2号機への変更点

  1. ファイナル部の同調は入力、出力とも空心コイル(直角に取り付け)だったが、今回入力はシールドケース付き7K型。出力はトロイダルコアを採用。
  2. 増幅各段毎電源回路に高周波チョークを入れ、デカップリング回路として相互干渉を防ぐ。
  3. 銅泊面を背中合わせにするより、部品取り付け面を背中合わせにした方が良いかも知れないが、コイルの調整ができないので、ここは当初からシールド板を採用しておく。
  4. トランスバータ部のみ両面基板を採用し、片面は全面アースとする。
  5. 1号機は使わなかったが出力にT型のバンドパスフィルタを採用。これもトロイダルコアの方が良いかな?
  6. 送受切り替えに6V2回路2接点のリレーを使っていたが、電子スイッチに変更。
  7. 送信部BMはSN16913をやめ2SK439*2のバランスドミクサとし、その後3段の同調回路を入れる。
  8. 0.01uFのパスコンはチップ部品を採用して小型化をはかる。
  9. ガラエポ基板の穴明けには秋月で売っている1mmの超硬ドリルを使い電気ドリルで明けたが、少し傾くとドリルがよく折れたので、今回ンハヤトかPROXXONのボール盤購入を検討。

実験編

 実験機

チューニングの問題(99/11/1)
1号機ではピコと同じようにバリコン直結でツマミを付け、可変範囲は欲張って90kHzとしました。昨日行われたオンエアデイで何局かに連続で呼ばれた時、再チューニングが少ししづらい感じがしました。ハンディ機に6:1のボール減速機は大きすぎるので、4.5:1の小型の減速機が使えないか図面を書いて検討してみましょう。これは秋葉原ラジオデパート3階の国際ラジオで1.5Kします。この減速機は目盛りを取り付けるネジ穴が無いのでこれも工夫が必要になります。

外観デザイン(99/11/1)
1号機は縦長の片手で使えるハンディ機ですが、今回は小型化の追求は程々に、外部アンテナと外部マイクを想定した使いやすいデザインにしてみようかと思います。デザインを決めるに必要なものは、方眼紙と正面パネルに取り付ける各種部品(ツマミ、メータ、スイッチ、プラグ、BNC、電源プラグ等)です。ざっと想定した寸法は112W*44H*90D。今回は横長のデザインで片手での運用は出来ませんが、テーブルに立てて置いた時の安定度が良くイメージはずっと昔のトリオTR1000をググッと小型化したものでしょうか。体積としては1号機の2.4割増し、プリント基板の面積は70*80でこれも2、4割増しです。質量は500gを切るくらいでしょう。

ポップノイズの削減(99/11/21)

  1. 送信から受信、あるいは受信から送信状態に変わる時スピーカーから「ブツッ」と発生する音をポップノイズといいます。受信部がまだ働いている状態で送信に入ってしまったとか、その逆の状態と説明されています。
    対策としては動作が切り替わる状態を若干遅らし、受信部を完全に止めてから送信に移れば良いわけです。SSBの場合はCWのフルブレークイン程短時間で切換える必要はありませんからもう少し楽かも知れません
  2. あるいは送信・受信部とも電解コンデンサの使用を止める。例えば結合コンデンサは104の積層セラミックを使って、回路上に残る電気成分を極力無くす。
  3. 送信・受信部の電源回路にも電解コンデンサは使わず、共通部分のみ使う。
    などの対策を取ります。それでもポップノイズは減少はするものの無くなりませんね。このような対策をとらなかった時のノイズは大きく、スピーカを接続する部分にシリコンダイオードを2本正逆並列接続したものをクリッパとしてつけていた事もあります。昨日行った実験で受信に切り替わる時のノイズはカットできるように成りましたのでそれを紹介しましょう。

時々見かける回路です。改善後の回路は22kと2.2uが追加されています。2.2uに貯えられた電気が受信状態に切り替わった後もLM386
の2ピンに僅かの時間加えられてAF増幅器としての動作を殺します。これによって送信から受信に切り替わる時のポップノイズを無くすことが
できました。次は受信から送信に切り替わる時ですが、これはまだ出来ていません。ただ上の回路のAF−IN部で受信部からの回路を切り
離し、LM386単独で働かしてもポップノイズは発生しますから、むしろ電源系に原因があるのかなあなんて今日の所は思っています。

ポップノイズ(99/11/22)
発生源については、受信部からとLM386の2ピンに加える電圧部(すなわち送信部への電圧)からのようです。オシロをつないでみると、
切り替え時にトゲのような電圧が発生しています。上記回路の対策をしないとカリッという音が出て、対策をするとブツッという少しマイルドな
音になりますから、ある程度の効果は出ているようですが、まだまだ不満足。15年前に買ったピコ2は結構クリック音が出ているのですが、
最近のはどうなんでしょう? 手持ちのFMハンディなんかは見事に出ていませんね。

MIX部の入力回路変更(99/11/28)
MIXの入力部はコイルの2次側より取っていましたが、試しにRF増幅のドレインから3PFを介してMIXのゲートにつないだところ、Sにして1〜2
程度感度が向上しました。HFや50MなどRFやMIXにゲインがある時は、動作が不安定になるためMIXの入力側を低インピーダンスにして
動作を安定させていますが、144になるとゲインが足らなくなるのか、高インピーダンス入力にしても動作が不安定になることはないようです。
その後、コイルを一個追加して複同調にしました。しばらく様子を見てみましょう。

BMのSN16913Pの入力ピン接続(99/11/30)
JAーQRPのメーリングリストで昨日流れていた情報ですが、BMとして使っているSN16913Pの入力ピン接続は、AFからの入力は5ピン、
キャリヤからの入力は2ピンが正しいとの事(データシートとは逆)。これが逆ではリニアリティーに問題があるとのコメントがありました。
解説ではバラモジとしての差動回路は動作範囲が狭いため、片方の回路にのみリニアリティを改善する工夫が入っているとのことです。
ピコシリーズとか自作に関する本を見ても、どちらでも良いような接続になっているように思えます。試しに接続を換えてみましたが、耳で聞いた
感じでは差がないようにも思えました。動作レベルにもよると思います。

デカップリング回路(99/12/6)
このトランシーバには電源部の各所に1.2uHと103を2個π型につないだデカップリング回路を入れています。2mSSBのトランシーバは
今迄50mWから5Wまで10台くらい作ってきまして、当初はこのデカップリング回路を全くなしで組んできたのですが、回り込みや動作の
不安定などが多くありました。今回の回路では同じ周波数を増幅する部分には徹底的に入れて動作の安定化をしています。昨日の実験では
電源電圧を12Vまで上げてみた所、受信部でモーターボーディング(ポコポコという発振音がスピーカから聞こえる)が発生しました。IF2段増幅
の電源部にデカップリングをいれたところ納まりました。次にマイクアンプ電源部のデカップリングを外してモニタしてみると変調音がおかしく
なっています。これも戻して正常な変調音になりました。この実験ではラグ板配線方式をとっていますのでアースなどプリント基板方式に比べる
と取り難い部分もあるので、特に必要になったのかも知れません。

自作ラダー型水晶フィルタの試行(99/12/16)
このTRXを含み私が作ってきた144SSBトランシーバは11.2735MHzのフィルタと局発用水晶、そしてVXO用水晶も特注のもので、
この3つで6.25Kもしていました。リグ製作費の40%近い値段です。FUJIYAMAの試作機を経験後、50のAM機で始めて自作のフィルタ
を使い、帯域の測定方法の考案など調整には少し期間がかかりましたが、なんといっても安いのと、この領域まで自作できたという満足感が
あります。さて昨日の実験ではVXOに14.7456MHzそしてフィルタに12MHzを使うことで周波数関係が成り立つとの計算になり、VXO部
の実験でもコイルとPVC内蔵のトリマを調整するだけで14.68〜14.70MHzの可変範囲を確保できました。若干下に引っ張り過ぎの感じも
しますが、これから安定度などを評価していきたいと思います。12MHzの水晶は手元に2個しかないため、これは今日池田電子に注文します。
1個100円ですから4〜6段にして、局発、VXO分を足しても1000円以内です。

RIT回路を追加(99/12/19)
1対1のQSOではRITは必要ないのですが、ラウンドQSOとか移動先で次々に呼ばれる場合、RITが欲しいなあとこの間のQRPオンエアデイ
で思いました。試作機に追加しましたのて、しばらく使い勝手をみたいと思います。回路図も更新しています。

ラダー型フィルタを組む(99/12/22)
無調整発振回路で12個ある水晶の発振周波数を調べたところ、11999.134Hz〜12000.327Hzの範囲でばらつきがありました。ほぼ中心あたり
で300Hz程度の範囲に納まっているものを集めることにします。さてとりあえず現在使っている11、2735MHzのフィルタを取り外し、そこに
5段のラダー型フィルタを組みます。両端には47Pと1KΩをパラに。また中間には100Pを。局発はVXOにして12MHz水晶と10uHと30Pを
直列につなぎました。今日の所はとにかくは支障無く受信できました。帯域測定はこれからです。