144MHz SSB ハンディトランシーバの製作   PART4

QRH対策(2000/8/27)
試作機は殊のほか周波数の安定度が良く、これで行けると進めた2号機は、どうも実用に耐えない様な安定度(不安定度)となりました。試作機はラグ板上にゆったり組んでいますが2号機は密集状態で、受信していると声が次第に低くなるということは、VXOの周波数が上がってきているのでしょう。原因として考えられるのは温度(発熱)による影響です。配置を見直すとVXOのコイルやコンデンサの近くに5Vを供給する3端子レギュレータがあり、ここで14mW消費しています。デジタル温度計のプローブをその近くに置き温度変化を測定すると、室温は一定ですがケースの蓋をした状態で、VXO周辺は40分で2度の上昇です。VXOに使用している7kコイルのコアは特別に入手した温度係数=0のものでが、2SC1906のベースに接続しているコンデンサ30Pは温度補償(-470ppm/℃ 青色着色)用で、マイナスの温度係数を持つコンデンサは「温度が上昇すると値が小さくなる=発振周波数が上がる」という事になるのではないでしょうか。ほかにもPVCや内蔵トリマの影響も考えられますが、とりあえずこのあたりからトラブルシューティングとまいましょう。原因がこのコンデンサであるなら、これを黒色着色(温度係数=0)の物に替えれば改善されるのではないでしょうか。しかし室温36度では測定する気にもなりませんね〜。

思い切って水晶を交換(2000/9/4)
QRH対策としてとったものは
1.C1、C2を温度係数=0の物に替える。
2.VXOコイルとC1、C2を発熱部分から熱的にシールドする。
これでどうだとワッチすれば動く動く20分程で5kHz近く、これでは実用になりません。次なる対策は当初から疑っていたVXOがVFO領域で動作しているのではないかというものです。水晶を交換してみるとQRHは以前よりも改善されたように思います。試作機のVXOは良く安定しているし、2号機には同じメーカーの水晶を使っているため、まさか水晶が原因とも思えず、交換には中々踏み切れなかったのですが、もうQRH対策もネタ切れとなったためこの手を取る事にしました。水晶をVXOとして使う場合、安定して可変出来る範囲は表示周波数の0.5%と言われます。14.7456MHzでは74kHz程。(14.7456-0.074)*9+12=144.044MHzまでは下側に引っ張ることができ、その範囲であればVXO領域と計算したわけですが個体差があるのでしょうか。しかし9逓倍しているということは原発振で利用するより9倍の安定度が必要な訳でして、0.5%という数字をそのまま引用するのは少し疑問も残ります。実運用に耐えるかどうか、しばらく様子を見る事にします。

VXOコイルを2つに分ける(2000/9/9)
7K型のボビンに0.05のウレタン線を40回巻いたVXOコイルを採用しています。インダクタンスを計った事はないですが、固定インダクタに置き換えてみると15uH位はあると思われます。周波数調整をする時はかなり敏感で、コアを少し押さえただけでも10kHz位は変化します。試作機ではコイルを固定部と可変部に分けてみました。固定部は10uHのマイクロインダクタ(太陽誘電@80)、可変部は7Kのボビンに20回巻いたものとします。バンドスプレッドの要領ですから当然ながら周波数合わせは楽になりました。

QRHの測定(2000/9/17)
試作機と2号機で送信時におけるQRHを測定してみました。数分の測定ですが、試作機のQRH幅は144MHZ台で20Hzであるのに対し、2号機は最大340Hzと話になりません。図のピンク色の線がこれから上側に向うのでしょうが、測定時間を延ばした後の結果が恐ろしくなりますね hi。

根本的に何が違うのか? 回路定数で違うのは試作機では周波数合わせとしてPVC内蔵のトリマだけでは足らず30Pをパラにつないでいます。2号機はその必要なし。試作機がラグ板配線なのに対し、両面基板を使っている影響なのかなとも思っています。 QRHの要因は熱位しか思い浮かばず。コイル、コンデンサ、抵抗、半導体に何らかの影響を与えているのか。その他物理的な差は スペースの違い、発熱源(3端子レギュレータ、ファイナルTR等)からの距離。印加している電圧の差は殆どない。しかし何かどこかに原因があるのでしょう。

改造(2000/9/30)
本来は考えられる要因を1つずつ取り除いては測定して特定すべきでしょうが、QRHの測定は時間がかかるため今回は次の事をしました。
1.発熱対策としてRIT回路を止め、送信・受信用の3端子レギュレータを取り除いた。
2,トランスバータの基板は2mmのビスを使いナット2個(2.5mm)で浮かしているが、半田の盛り分が2mm弱あってシャーシとの距離が接近している。基板を押すとVXO部においてシャーシとの間隔が狭まることによる静電容量変化で周波数変動が発生するため、ワッシャを追加して0.8mm更に浮かしシャーシとの距離を3.3mmとした。
3.VXOコイルを固定Lと可変Lに分割していたが、追加した固定Lは配置の関係で基板裏面に付けているため、これとシャーシとの隙間も無視できなく、固定Lをやめ40tの可変Lにもどした。
4.VXOコイルに使っている7kのボビンはサトー電気の通販で買ったもので、コアの着色は黄緑色です。FCZや東光の7k、10kタイプと温度補償をする上で相性の良いセラミックコンデンサは、青色着色の温度係数が-470ppm/℃の物です。C1、C2(30PF)と、PVCとパラに接続した周波数調整用の10PFは日本橋の共立電子で求めたものを使いました。

以上の対策をとった後、関西VHFコンテストがあったので1時間ほどワッチしました。電源投入後周波数が安定するのに5分程かかりましたが、その後は同一の局を30分ほど連続受信しチューニングをとりなおす必要はありませんでした。基板とシャーシとの距離を若干増やしたことが最も効果的だったようですが、といっても電源投入後、基板が反る程の熱が発生している訳でもなくまだ謎の部分は残りますが、とりあえず実用領域には入りました。

次の製作に続く(2000/9/30)
新しい構想と設計で作るリグは反省点も多々あり、決して満足のいくものにはなりません。試作をしたところで電気的に回路は一緒でも高周波的には違います。物理的な大きさが違えば回路上での干渉や熱による影響にも差が出るでしょう。今回の2号機は改造するにも限界があり、反省点を踏まえて3号機の製作へと繋がりそうです。「運用もしないままにまた作るの?」と思われそうですが、しかし例えば絵を描くことを趣味にしている人は、1枚の絵を描いた後、それをずっと眺めて悦に入っている訳でもなく、次の作品へと構想を練るはずです。書道、陶芸、俳句、小説、彫刻などどれも同じですね。振り返ってみればこの1年間、1万円程の投資で楽しめた訳ですから安いものです。

さて、リグというものは余り小型に作ると後が大変です。ピコを真似て作った1号機は、作る時も改造する時も苦労しました。しかし今回のリグは大きさに少しゆとりを持たせたため、手のひらサイズでありながらも小さすぎるという程でもありません。気に入ったサイズなのでしばしシリーズで製作したいとも思っています。同じサイズでリニアを作る。50のAM機を作り移動して南大阪A3ロールコールに出る。とか、実物に触れ、実績と反省をふまえ、新しい着想を加味して少しレベルを上げ次にチャレンジして行くというのは楽しいものです。

3端子レギュレータ(2000/10/8)
VXO部の電圧安定化のため78L05で5Vのコモン電圧を得ています。3端子レギュレータは入出力電圧差を2.5V以上とれと物の本に書いてあります。JRCの製品で負荷をかけた状態にて実測した結果、入力6.4V以下になると出力電圧が降下することが分かりました。当初の設計はNiMHの最終電圧を1Vとし6本で6Vと考え、安定化電圧を4Vにする予定でしたが、その部分の対策がとれていませんでした。先日秋月に寄った折り、NJU7202L33という3.3V100mAのレギュレータ(@100円 10本800円)があったのでそれを購入しました。入出力電位差が少なくてよいというふれ込みです。GNDとの間にシリコンダイオードを2本直列で順方向に挿入し出力電圧は4.09Vとなりました。負荷電流5mAで入力は4.18V以上必要であり、非常に電位差がすくなくて良いことが分かりました。5V→4Vに変更したため、VXO部トリプラの回路定数を若干いじりました(回路図参照)。

RIT回路の廃止(2000/10/8)
RITというのは受信時における送信周波数との若干のずれを補正するものです。1対1のQSOではさほど必要ないのですが、ラウンドQSOやハイル時で次々によばれた場合に必要になる事があります。しかしこれは送信周波数が極めて安定している事が前提であり、これがふらついていれば相手局に迷惑をかけるだけでRITのある事はかえってマイナス要因になります。今回製作しているリグの主目的は移動運用であり、固定でのラウンドQSOは余り考えなくてよいと(都合良く)判断しました。自分自身のQRHは受信時に相手局に再チューニングする事でカバーすることにし、回路図にあるようにむしろバンドスプレッドとして細めな周波数調整が出来るようにしました。

650mA単4型ニッケル水素(2000/10/9)
144SSBハンディトランシーバ1号機を作り始めた切っ掛けは、97年に秋葉原で単4型ニッケル水素充電池を見つけ、これを活かしたリグを作ってみたいと発想したことに始まります。それまでのニッカドは220mAHでした。それがNiMHで550mAHとなり、30年程前に始めて単3型ニッカドが出た時の450mAHを凌駕します。その後単4で600mAHが出て、そして先日秋月に寄った時には650mAHがありました。GP(Gold Peak Group)というあまり聞いた事のない会社ですが、秋月ではこのパッケージが一番容量が大きいので、単3型と共にここ2年程はよく購入しています。しかし秋月に行く度になんらかの充電池を購入しているため、使い切れない位の量が既にあり、電池の充電管理はなかなか大変になっています。

トランスバータ基板の浮かし量(2000/10/9)
トランスバータの基板をシャーシから何ミリ浮かすかでQRHがどう影響されるかを検証していました。当初ナットを組み合わせ2.5mmにした時は基板を押すと大幅にQRHしていました。次にこれを3.3mmに変更。僅か0.8mmの差ですが安定要因となりました。今回秋葉原の西川ネジで2mmネジ用のサポータで長さ5mmの物があったので買い求め組み込みました。静電容量は距離の2乗に反比例しますから当然ながら安定しますが、5mmは必要ない感じで4mm程で落ち着こうかなんて思っています。製作当初は全体を薄くすることを念頭に置いていましたが、半田の盛りが2mm弱ある事を考えると、その倍の4mmは必要かという訳です。ジェネレータ部は影響される部分が少ない(局発は水晶)ため、これは3mmでも良いと思います。トランスバータ基板とジェネレータ基板は半田面を互いに合わせる向きで組み込んでいますが、1号機は間に何も無かったことと、距離が近かったためか受信部で低周波発振を起こしました。結局間に0.2mmのアルミ板をいれる事で対策したといういきさつがあります。

3端子レギュレータの発振(2000/10/28)
4Vの3端子レギュレータとしてはAN8004と言うのがあります。5Vの78L05では入出力電位差が少し足りないのでVXOの電圧を4Vに下げて使おうと8004を購入しました。接続はフラット面を正面にして左から、OUT、GND、IN。入力は可変電圧、出力にテスターをつなぎ電圧を確認していた時、入力電圧を変化させると出力電圧もそれにつれて変化します。接続を間違えたかと色々変えてみても4Vの安定出力は出てきません。幾つか買った他のものと交換しても同じ。なんじゃこれは不良品にしては多すぎると思いながら8004を止め、秋月の3.3VのAVRを使っていたのでした。で、先日QRPオンエアデイの帰りに阪急電車の中でPAV仁木さんとその話をしていたら、それは発振しているので104程のセラコンを付ければ良いと話されました。そう言えばレギュレータの発振ということをすっかり忘れていたのです。家に帰ってからAN8004の入力と出力端子の0.1uFの積層セラミックコンを付け、グランドに落としたところ見事に発振はとまり4.00Vの電圧がでました。発振の見分けかたとしては出力電圧がピタリでない場合(例えば5Vのレギュレータで4.97Vとか)はその疑いがあるようです。

QRHの測定(01/3/10)
電源投入後の周波数変動を測定しました。測定日:3月5日、時間:20:45〜21:35、室温:12.7℃、リグ内温度:12.6→14.8℃(30分後)、測定周波数:144.149MHz、可変範囲:144.130〜144.280MHz、測定時のみ送信状態に切換える(非測定時は受信状態)、受信時消費電力:252mW、リグ容積:414cc

(AF発信機:AG202A 800Hz)ー(リグ)ー(50Ωダミーロード)ー(カウンタ:YC500J)

試作機に比べるとリグ容積が1/4になり、リグ内部での発熱の影響が多く出ています。10分で150Hz程ですから使えない訳ではありません。いっそ発振部を発泡スチロールなどで覆ってしまうほうが、温度変化に対するQRHのカーブはゆっくりしたものになるでしょう。

不要な信号(01/3/18)
高周波を扱うのはつくづく難しいものと思います。ラグ板で組んだ試作機では上手く行くのに、それをプリント基板にすると再現できない。回路を電気的に再現しても高周波的には別物なのですね。基本周波数に対し上下に49kHzおきに不要な信号が出ています。詰めていくとVXO部が原因の様ですが、試作機と回路定数は変わらないのにナゼなのか??? 

不要信号の原因(01/3/25)
トランシーバから発振された144MHzの電波を受信すると、正規の周波数の上下に49kHzおきに不要な信号が出ていました。異常発振対策としてVXOコイルにパラについている33kの値を少なくしても効果なし。結果的には4Vの3端子レギュレータ(AN8004)の出力側に付けた104を外し22uFのケミコンに交換することで納まりました。ここには103と104が既に付いていたわけですが、104では容量が足りなかったようです。これでやっと完成に近づいたか。。。

今回の異常発振はリグから発信される144MHzの電波を別の144機で受信して判ったわけですが、VXOが悪いのか、あるいは12MHzの局発が悪いのかの判別はつきません。VHFまで受信できるゼネカバ受信機があればよいわけですが、生憎とそんなものは手元になし。何かないかと机の回りを見渡せば430FMハンディ機(スタンダードC460)があります。そしてこれの受信部は300MHz台も受信できるように改造(hi)してある。144ー12=132MHzの3倍波は396MHzなので、この波を受信してみると上下に不要信号が出ており、VXO部が原因である事が判ったわけです。

スペアナを持たない身としてはせめてVHF、望むべくはUHFまで受信できるゼネカバ受信機が欲しいです。ヤエスのVR500がありますね、あれでも買いましょうか。50k位しましたね。。。