送受切替
はじめに (05/01/30)
30年以上も前でしょうか、半導体を使ったスタンバイ回路として、トリオの144FMトランシーバTR2200に紹介されたのが、アマチュア無線界のリグでは最初だったように記憶します。リレーのようにはっきりした動作が見えるわけでなく、なんとなく頼りない感じはしましたが、消耗部品が無く使い慣れてしまえば便利な回路です。しかしシンプルな回路から凝った回路までバリエーションは様々で、各所の部品がどんな意味があるのか回路図から読み取るのは難しいものです。ここでは簡単な回路から実験を進め、動作を確認して行きましょう。
回路の役割 (05/01/22)
トランシーバの送信と受信を切り替えるためのもので、スイッチだけのもの、リレーを使うもの、半導体スイッチによるものと様々な方式があります。
半導体スイッチ1 (05/01/22)
下の回路はコンプリメンタリトランジスタの2SC2120と2SA950を使った簡単な回路です。スタンバイスイッチがOFFの場合はRX側に電圧が出ていますが、スタンバイスイッチをONにすることで、TX側に電圧が出て、RX側はOFF状態になります。この回路の消費電流はR1、R2が1KΩの場合、送信状態で12V時に約25mAで、受信状態はほとんどゼロとなり、ほぼリレーを使った回路と同じです。
回路1
メリットとしては無接点化したことで消耗する部品が無いことですが、電流がTRを通過することで電圧降下が発生します。この回路に負荷として100Ωの抵抗をつなぎ、R1,R2を1K〜4.7Kの間で4種類変化させた時のTX部とRX部の電圧を下に示します。
COM=12V
| R1,R2 | TX(V) | RX(V) | 無負荷 I(mA) |
| 1K | 11.96 | 10.9 | 25 |
| 2.2K | 11.93 | 10.43 | 11.5 |
| 3.3K | 11.92 | 10.25 | 7 |
| 4.7K | 11.89 | 9.91 | 5 |
COM=7.2V
| R1,R2 | TX(V) | RX(V) | 無負荷 I(mA) |
| 1K | 7.16 | 6.21 | 14 |
| 2.2K | 7.13 | 5.91 | 6.5 |
| 3.3K | 7.13 | 5.75 | 4 |
| 4.7K | 7.11 | 5.52 | 3 |
送信時の電圧降下はさほどでもありませんが、受信時は1Vほど下がっています。またR1、R2を大きくすると回路の消費電流は減るものの電圧降下も大きくなるため、1K〜2Kが妥協点でしょうか。
クリック防止(05/01/30)
クリック防止のため、スタンバイスイッチと並列に小容量のコンデンサをつないだ回路を見かけます。上記測定回路においてクリック音を聞くためのクリスタルイヤホンを接続し、スイッチと並列に4.7uの電解コンをつなぎスタンバイ動作をすると、ONにおいては鋭いクリック音が発生しますが、OFFでは和らいだ音になりました。
これはいけると、50MHzトランシーバのミューティング回路をはずし
なぜこのようなダブルクリック音が発生するのか今のところ判りませんが、いずれにしても4.7uの効果は無いようなので、ミューティング回路を元に戻しました。 hi
半導体スイッチ2 (05/01/30)
ミズホ通信のピコに使われている回路です。原回路のTRは2SC2320と2SA719ですが、この実験では2SC2120と2SA950に変更しています。回路1に比べるとダイオードD1が追加されています。SW1をON/OFFさせながらTR1のB−E間電圧を測ると、ONで0.6V、OFFで0.7Vとなり、TRの動作点ギリギリのところでスイッチングしています。C1があることでSW1がOFFになる時のクリックを軽減します。
回路2
半導体スイッチ3 (05/01/30)
回路1、2では受信時において1Vほどの電圧降下があります。電源電圧が12Vもあれば、さほど気にすることもありませんが、6Vとか、それ以下になると1Vとは言え貴重なものになります。回路3はTR1、2共PNPタイプを使ったもので、QRPハンドブックP58のJA7CRJ千葉さんの記事の中にあり、TR1のベースに接続している2Vのツェナーダイオードは、手持ちが無かったのでLEDに置き換えました。ただしカソードとアノードは逆接続としています。またTRは2SA950に変更しています。この回路の特徴は負荷抵抗に100Ωを接続し、電流を120mA流した時でも電圧降下が0.1Vほどであることと、回路自体の消費電流が少ないことです。
回路3
| 条件 | STANDBY | 12V | 7.2V |
| 無負荷時電流 | ON | 5.5mA | 3mA |
| 無負荷時電流 | OFF | 2mA | 1mA |
| 100Ω負荷時のTX部電圧 | ON | 11.9V | 7.1V |
| 100Ω負荷時のRX部電圧 | OFF | 11.9V | 7.1V |
リレーを使う(05/01/23)

回路1
リレーをスタンバイスイッチで直接ON/OFFするという一番簡単な回路です。スタンバイスイッチをマイクにつけ、スピーディーな切替が可能です。リレーと並列に接続したダイオード(10D1)はコイルをON/OFFしたときに発生する高電圧(サージ電圧)を抑制するためのものです。
回路2
リレーを1石のTRで制御しています。スイッチが直接リレーをON/OFFしないため、多少接触が悪くても動作してくれるというメリットがあります。
<以下続く>