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[たった一つの違いが招いた混乱、サ変騒乱節](2002/03/15)

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世の中には、たった一つの違いが、のちのち大混乱の原因になることが良くあるが、 動詞の活用形でそれがあるとすれば、正にサ変動詞の連用形のことを指すのだろう。 まず、文語サ変動詞「す」と、 それに用法も語源も非常に関係深いと言われている助動詞「す」の活用を並べてみよう。

文語サ変と他の活用種類の比較
不一致数未然 連用 終止連体已然命令
受身使役否定
サ変 - せらせさする すれ せよ
下二段す(助動詞)1 せらせさする すれ せよ

表を見れば分かるように連用形が違うだけである。もし、これが使用頻度No.1を誇る連用形でなければ、 また、同様に使用頻度No.1を誇る動詞「する」でなければ、 こんな大問題にならなかっただろう。それらの不規則部分は規則活用の一部と混用され、 次第に不規則性は解消されてきただろう。しかし、事実とはかくも非情なものである。 サ変動詞「する」の連用形が、今日、日本語の動詞に大変な混乱をもたらしている。 まず、サ変複合動詞の例を挙げる。

(1) は特に問題はない。しかし残りの(2),(3),(4) は、一部、 五段活用や上一段活用と混同される活用形を持つ状態である。 ここで、サ変とそれらの活用形を比較してみる。

口語サ変と他の活用種類の比較
不一致数未然 連用 終止連体 仮定 命令
受身 使役 否定 意思 連用完了 終止連体
サ変 する - しよ する すれ しろ/せよ
五段 愛す 5
上一段信じる 4 じらじさじよ じるじれじろ/じよ
下一段せる(助動詞)7 せらせさせよせるせれせろ/せよ

感覚的に思われていたほど各活用形との一致数は多くない。不一致のほうが多いぐらいだ。 ここで、実際に、「愛する」「信ずる」「達する」 の各活用形が Web上でどのように使われているのか出現頻度を出してみる。 データの抽出には、グーグル( http://www.google.com )を使った。

「愛する」の活用形出現頻度
活用形 活用種類 用例 出現数 割合
受身五段・口語サ変愛される 116,00099.9%
上一段 愛しられる0 -
文語サ変 愛せられる115 0.1%
打消五段 愛さない 8,600 98.5%
上一段・サ変 愛しない 130 1.5%
意思五段 愛そう 56,900 99.8%
上一段・サ変 愛しよう 130 0.2%
活用形 活用種類 用例 出現数 割合
連体五段 愛す人  322 0.8%
上一段 愛しる人 2 0.0%
サ変   愛する人 124,00099.2%
仮定五段 愛せば  1,610 30.6%
上一段 愛しれば 0 -
サ変   愛すれば 3,650 69.4%

「信ずる」の活用形出現頻度
活用形 活用種類 用例 出現数 割合
受身五段・口語サ変信ざれる 0 -
上一段 信じられる40,800 99.6%
文語サ変 信ぜられる147 0.4%
打消五段 信ざない 0 -
上一段・サ変 信じない 87,700 100.0%
意思五段 信ぞう 2 0.0%
上一段・サ変 信じよう 25,800 100.0%
活用形 活用種類 用例 出現数 割合
連体五段 信ず人  16 0.0%
上一段 信じる人 143,00099.4%
サ変   信ずる人 927 0.6%
仮定五段 信ぜば  77 0.5%
上一段 信じれば 13,900 92.9%
サ変   信ずれば 954 6.6%

「達する」の活用形出現頻度
活用形 活用種類 用例 出現数割合
受身五段・口語サ変達される196 7.1%
上一段 達しられる6 0.2%
文語サ変 達せられる2,550 92.7%
打消五段 達さない310 1.2%
上一段・サ変 達しない 24,90098.8%
意思五段 達そう 1,650 16.6%
上一段・サ変 達しよう 8,260 83.4%
活用形 活用種類 用例 出現数 割合
連体五段 達す人  2 0.3%
上一段 達しる人 0 -
サ変   達する人 517 99.7%
仮定五段 達せば  88 2.1%
上一段 達しれば 5 0.1%
サ変   達すれば 4,050 97.8%

上記のデータを見れば分かるように、 使用頻度の低い意志形(「~う」接続)や仮定形(「~ば」接続)に若干 拮抗する場合もあるが、 それでも全活用形において圧倒的にどちらか一方を使っているようだ。 検索データには、明治文学由来のものや、偶然 一致したもの(例、「~信ず。人は」)もあるので、 それらを除けば、ますます純度が高くなり、現在の話し言葉では、 それぞれの動詞の活用形に共通の規範意識さえ感じるほどである。 もちろん、「愛す(五段)」「愛する(サ変)」の二つの動詞が存在して、 それぞれの活用形で使用頻度が違うという教科書的な説明もあるが、 それでは同じ人が活用形によって二つの動詞を使い分けているという奇妙な現象を認めることにもなる。 (これについては、「ありえる(下一段)」をデス・マス体で使い、 「ありうる(下二段)」をデアル体で使い、双方を文体ごとで使い分けることがあっても、 同じデアル体で「ありうるとき」、「ありえれば」と活用形ごとに使い分けることがないのと同様である。) となると、これは、実質上 新規の変格活用の誕生と同じである。

この事実を基に新規変格活用を国語教科書や日本語教科書で紹介しろと言っているわけではないし、 私自身も内心は無視したい気もする。しかし、暫定的であっても、 サ変動詞は現状で三種の活用種類に分裂したという事実は受け止める必要があるのかも知れない。

新規変格活用と正格活用
活用種類 動詞 受身使役否定意思連用完了終止連体仮定命令
サ変-1 勉強する しよする すれしろ
サ変-2 愛する する すれ
サ変-3 達する(*2)せらせさしよする すれしろ
上一段 信ずる(*1)じらじさじよじる じれじろ
下一段 見せる せらせさせよせる せれせよ
五段 話す
カ変 くる こらこさこよくる くれこい

[真の強変化動詞はだれだ?](2002/03/31)

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言語によっては、動詞の活用には強変化、弱変化の対立があると言われている。 例えば、英語では、 『英語の不規則動詞200語』にある母音を変化させる動詞は、 強変化動詞の名残と言われている。 それでは、日本語の真の強変化動詞は何か見極めたくなる。 というのも、記憶に掛ける負担面から強変化動詞は、少数派に転落して劣勢になり、 最終的には、使用頻度の高い動詞だけ不規則動詞として残り、 その他は、弱変化動詞に吸収される運命にあるからである。

さて、一般的な常識では、日本語における強変化動詞は五段活用ではないかと推測されるが、 このコラムでは常識を疑うのも一つのテーマであるので、 実際に表にして、確かめてみたいと思う。

表にするために次の条件を設定した。

異なり語幹数
付く 尽きる   就ける  くる する
活用形 共通接尾辞五段 上一段 下一段 カ変 サ変
終止連体形 -u tuk-u tukir-u tuker-u kur-u sur-u
意志形 -ou tuk-ou tukiy-ou tukey-ou koy-ou siy-ou
受身形 -areru tuk-arerutukir-arerutuker-arerukor-arerus-areru
使役形 -asaru tuk-aserutukis-aserutukes-aserukos-aserus-areru
打消形 -na-i tuka-na-ituki-na-i tuke-na-i ko-na-i si-na-i
連用形 - tuki- tuki- tuke- ki- si-
完了形 -ta tui-ta tuki-ta tuke-ta ki-ta si-ta
仮定形 -eba tuk-eba tukir-eba tuker-eba kur-eba sur-eba
命令形 tuke tukiro tukero koi siro
打消意志形(*1)-mai tuku-mai tuki-mai tuke-mai ko-mai si-mai
可能形(*2) -eru tuk-eru tukirar-erutukerar-erukorar-rer(dekiru)(*3)
異なり語幹 tuk
tuka
tuki
tui
tuke
tuku
tukir
tukiy
tukis
tuki
tukiro
tukirar
tuker
tukey
tukes
tuke
tukero
tukerar
kur
koy
kor
kos
ko
ki
koi
korar
sur
siy
s
si
siro
(dekiru)
異なり語幹数 6 6 6 8 6

さて、不規則動詞のカ変「くる」はさすがに除外して考えよう。 となると残りの活用種類だが、スコア的には全部6で並んでいる。 読者はキツネにつままれたような印象を持つと同時に、 次第に五段活用に有利な条件を設定したのではないかといぶかしく思うかも知れない。 しかし、私は本当に現状の国文法で採用されている規範的な条件を公平に抜き出しただけである。 もちろん、「ら抜き動詞」を認めれば、一段活用がスコアを一つ減らせる。しかし、それを認めると、 打消推量の助動詞「まい」が本当に教科書通りの接続形で運用されているのか疑わしいもので、 方言によって「起きるまい」「受けるまい」 「くるまい」「するまい」とすべて終止形で統一されている場合もある。 となると、これは五段活用のスコアを減らすほうに働く。 結局、主観を排して公平を期すには、教科書文法に従うしかない。

当初、私は五段活用が語幹の異なり数が多くても安定しているのは、 その所属動詞数が多いからだと考えたが (『あなどれない下一段活用の優位性』) 意外にも、ローマ字で分析すると、五段活用、一段活用、サ変の異なり語幹数は、 すべて同じで、記憶に掛ける負担も同じだということが判明してしまった。 日本語には真の強変化動詞は存在していない。

[備考]

ローマ字で分析するのは、「けしからん」と思う読者もいると思うので、 仮名表記で同様のスコアを出してみたいと思う。

異なり語幹数
付く 尽きる 就ける くる する
活用形 共通接尾辞五段 上一段 下一段 カ変 サ変
終止連体形 つく つきる つける くる する
意志形 -う つこ-う つきよ-う つけよ-う こよ-う しよ-う
受身形 -れる つか-れるつきら-れるつけら-れるこら-れるさ-れる
使役形 -せる つか-せるつきさ-せるつけさ-せるこさ-せるさ-せる
打消形 -ない つか-ないつき-ない つけ-ない こ-ない し-ない
連用形 - つき- つき- つけ- き-
完了形 -た つい-た つき-た つけ-た き-た し-た
仮定形 -ば つけ-ば つきれ-ば つけれ-ば くれ-ば すれ-ば
命令形 つけ つきろ つけろ こい しろ
打消意志形-まい つく-まいつき-まい つけ-まい こ-まい し-まい
可能形 -る つけ-る つきられ-るつけられ-るこられ-る(できる)
異なり語幹 つく
つこ
つか
つき
つい
つけ
つきる
つきよ
つきら
つきさ
つき
つきれ
つきられ
つける
つけよ
つけら
つけさ
つけ
つけろ
つけられ
くる
こよ
こら
こさ


こい
こられ
する
しよ


すれ
しろ
(できる)
異なり語幹数 6 7 7 8 7

どうやら、仮名のほうが常識を覆す結果が出たようである。 一部の方言で、一段活用の五段化という現象は見られても、 五段活用の一段化という現象が見られないのは、 実は一段活用こそ強変化活用という隠された事実から来るのかも知れない。 これには、私も驚きである。

そう言えば、東京方言で見られる「さつき表現、書かさせる」という規範外の表現もあるが、 これは、五段活用にハンディを課すことで、一段活用から異なり語幹数を一つ減らせる効果があり、 強変化動詞をなくす方向に働いている。学校文法の未然形という発想にこだわると、 同様に「らつき表現、書かられる」も考えられるが、こちらは見るからに不自然である。 となると、やはり現代口語では、使役形、受身形という別個の活用形で考えるほうが自然である。

参考:[真の強変化動詞はだれだ?文語編](2002/04/23)

参考のために、強変化動詞についての分析を文語にも当てはめてみた。結果は、平凡なものであった。 少なくとも二段活用よりは一段活用のほうが異なり語幹数が少ないという事実以外は、 活用種類の変遷について言えることはなさそうである。 下一段、ナ変、ラ変が四段活用に吸収された理由の裏付けも取れそうにない。 そして皮肉にもラ変が、一番 異なり語幹数が少ないという結果が出てしまった。

ただ、一つ言えることは、文語に基づいて活用形が分類されているだけあって、 受身形、使役形を別個に加える以外は、六活用形だけで十分に分析が行なえることである。 助動詞の接続も、ラ変関連と、過去の助動詞「き」以外に例外はない。

異なり語幹数(文語)
付く 着る 尽く ける 就ける 死ぬ 有り
活用形共通接尾辞 四段 上一段 上二段 下一段 下二段 カ変 サ変 ナ変 ラ変
未然形 tuka ki tuki ke tuke ko se sina ara
受身形-aru tuk-arukir-arutukir-aruker-arutuker-arukor-aruser-arusin-aruar-aru
使役形-asu tuk-asukis-asutukis-asukes-asutukes-asukos-asuses-asusin-asuar-asu
連用形 tuki ki tuki ke tuke ki si sini ari
終止形 tuku kiru tuku keru tuku ku su sinu ari
連体形-u tuk-u kir-u tukur-u ker-u tukur-u kur-u sur-u sinur-uar-u
已然形-e tuk-e kir-e tukur-e ker-e tukur-e kur-e sur-e sinur-ear-e
命令形 tuke kiyo tukiyo keyo tukeyo koyo seyo sine are
異なり語幹 tuka
tuk
tuki
tuku
tuke
ki
kir
kis
kiru
kiyo
tuki
tukir
tukis
tuku
tukur
tukiyo
ke
ker
kes
keru
keyo
tuke
tuker
tukes
tuku
tukur
ukeyo
ko
kor
kos
ki
ku
kur
koyo
se
ser
ses
si
su
sur
seyo
sina
sin
sini
sinu
sinur
sine
ara
ar
ari
are
異なり語幹数5 5 6 5 6 7 7 6 4

[複合動詞を取り上げよう](2002/09/04)

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複合動詞とは、複数の動詞が連結して一つの単語として振る舞う動詞である。 通常は、前出動詞の連用形に後続動詞が連結する。 国文法上は、一つの単語であり、かつ一つの文節を構成する。 複合動詞は、助動詞や補助動詞と違い、その接続が慣用的である。 汎用的に接続する後続動詞もあるが、格や自動詞・他動詞の関係で単純に扱うことが難しい。 ここでは、どのような動詞が複合動詞の後続動詞として現れるか一覧表にする。

複合動詞の後続動詞
四拍一段
動詞出現数
あわせる19
はじめる9
すすめる9
おくれる9
わすれる6
つかえる6
こたえる6
三拍一段
動詞出現数
つける/づける117(79+38)
あげる88
かえる/がえる63(52+11)
かける/がける44(38+6)
たてる/だてる42(33+9)
くれる/ぐれる29(24+5)
かれる/がれる32(14+18)
しめる/じめる30(19+11)
とめる28
いれる25
四拍五段
動詞出現数
あらわす9
つくろう6
そこなう6
たまわる5
よろこぶ4
したがう4
おさまる4
三拍五段
動詞出現数
あがる40
かえす38
あわす32
まわる28
まわす26
おとす25
なおす22
かえる22
かかる21
かわる18
二拍五段
動詞出現数
こむ162
だす124
つく93
あう85
わる70
かす63
かる60
おす47
きる42
とる36

[ハ行かヤ行か、自他動詞の対立を利用する](2002/12/16)

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形態素解析をしていると、たまに歴史的仮名遣いが恋しくなるときがある。 例えば、「扇 (おうぎ) 」、「扇ぐ (あおぐ) 」は、 どちらとも「扇 (あふぎ) 」、「扇ぐ (あふぐ) 」とつづられていた。 これだけでも、「おうぎ」は「あおぐ」の連用形が名詞化したものだとすぐに判明する。 特に、和語の場合、 ハ行音とワ行音が消滅前の状態を保持している歴史的仮名遣いは情報の宝庫である。 動詞に関して言えば、歴史的仮名遣いと現代仮名遣いでは、 幾つかの活用行が仮名遣いにより移動・統合されている。一覧にしてみよう。

移動・統合された活用行
歴史的仮名遣い現代仮名遣い 所属動詞 所属数(概数) (*1)
ハ行四段 ワ行五段 すべてのワ行五段動詞 374
ヤ行上一段 ア行上一段射る、鋳る 2
ワ行上一段 居る、率いる 2
ハ行上二段 強いる 1
ヤ行上二段 老いる、悔いる、報いる 3
ダ行上二段 ザ行上一段恥じる、閉じる、 とじる(綴じる)よじる(攀じる)おじる(怖じる)5
ザ行サ変 漢字音により識別可能 53
ア行下二段 ア行下一段得る、心得る 2
ハ行下二段 多数 201
ヤ行下二段 多数
ワ行下二段 植える、飢える、据える 3

11個の移動・統合行について、9個までは全部の動詞が移動したか、もしくは、 所属動詞数がわずかなので、比較的 復元しやすい。 しかし、ア行下一段については、元の仮名遣いが、ハ行、ヤ行のものが双方とも拮抗しており、 200語余りの動詞を一語ずつ辞書を調べていくしか、正確な識別方法がない。 いずれこの作業をしたいと思うが、ここでは、別の観点から探ってみよう。

まず、自動詞・他動詞派生形一覧表(1200動詞)を参照してほしい。 各動詞の語幹から、自動詞・他動詞の対応関係を抜き出した表である。 ここで、参考になるのは次の4ケースである。

いずれも片方が下一段活用になっており、 特に、元がハ行の場合、全ケースで参考データが得られる。 また、元がヤ行の場合は、ヤ行五段活用が存在しない都合で、 E'-R, E-S 派生のみで参考データが得られる。

ハ行音の復元
派生形
I-E 2 振るへる(振るふ),笑へる(笑ふ)
I-E' 6 従へる(従ふ),添へる(添ふ),揃へる(揃ふ),取揃へる(取揃ふ),整へる(整ふ)
E'-R 19終へる(終はる),代へる(代はる),加へる(加はる),
交へる(交はる),備へる(備はる),携へる(携はる)
E-S 3 震へる(震はす),遣へる(遣はす),笑へる(笑はす)
総計 30

ヤ行音の復元
派生形
E'-R 0
E-S 10癒える(癒す),生える(生やす),冷える(冷やす),増える(増やす),肥える(肥やす),燃える(燃やす)
総計 10

同じ動詞が違う派生形に登場する場合もあるが、あくまでも概数なので、特に補正はしない。 この表によれば、自他動詞の組を使った分類では、 ア行下一段の200動詞のうち40動詞に対して、 「ハ行」「ヤ行」の識別が可能である。しかし、この数字は全体の2割でしかない。 数字を扱うものにとって、まだまだ目標へは遠い数字である。


[サ変かザ変か、漢語サ変動詞](2003/01/31)

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たびだび、このコラムでも話題にするサ変動詞だが、その数の豊富さ、 五段動詞化、一段動詞化と話題に尽きない。 さて、今回は、連濁した場合にスポットを当ててみよう。 語幹が和語の時や漢字熟語のときには、連濁は起きない。 例外的に形容詞の語幹に接尾辞の「み」が付いたときに起きる。

一方、一文字漢字 + 「する」のときには、連濁が頻繁に発生する。 「信ずる」「感ずる」「生ずる」などがそうである。 今回はこのルールを明確にしてみよう。

語尾する ずる
一拍ア段 呵架科課賀坐座謝堕派摩和120
イ段 医委慰期擬議死資侍持辞比秘魅利150
ウ段 具付賦附輸50
エ段 10
オ段 御鼓伍処書署叙序恕除賭保補摸140
二拍ア段 + イ愛介解害慨体対帯題廃拝排配130
ウ段 + イ推類20
エ段 + イ啓慶敬制征製呈挺聘瞑令11映詠命銘4
ウ段 + ウ休窮給遇修冲沖注註誅諷幽有13嵩通封3
オ段 + ウ供狂饗抗号称証誦請賞頌奏相草蔵寵弔徴朝表
評要了諒領労弄聾
28応興行薨講貢高招生乗長投動同報奉崩
 
17
エ段 + キ役益檄敵適僻60
ア段 + ク劃画策寂托託諾博縛駁扼約訳略140
ウ段 + ク祝熟復服略50
オ段 + ク臆刻哭嘱蝕食則即属賊得督毒目黙浴録170
ア段 + ッ圧渇察達脱発罰拉80
イ段 + ッ逸喫資律40
ウ段 + ッ鬱屈20
エ段 + ッ決接摂節絶徹撤滅列90
オ段 + ッ卒欲20
ア段 + ン冠緘観関参算竄讒僭反10按案感観参散嘆歎弾断談難判慢14
イ段 + ン印淫瀕貧4禁吟信進陳5
ウ段 + ン1薫訓准殉準5
エ段 + ン怨検験僭宣撰偏貶便面10演献減現点転念変便弁免11
オ段 + ン存損鈍3混損存論4

上記の表を見れば分かるように、濁音化する漢字音は限られている。 しかし、その漢字音でも濁音化しない場合も多く見られる。 また、この分布から見て、字音仮名遣いもあまり関係がなさそうである。 となると、アクセント、使用頻度などがカギを握るが、決定的なものはない。 結局、「サ変」「ザ変」の区別は慣用的な要素が大きいようである。

[2005/6/22]

を「オ段+ウ」から「ウ段+ウ」に変更


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