| ニホンミツバチの分布と環境 |
■ 生息地域ニホンミツバチは日本列島に生息するトウヨウミツバチの一亜種です。九州から本州の下北半島まで分布が確認されています。沖縄と北海道からは生息が報告されていません。明治以来、セイヨウミツバチが養蜂に広く利用され、日本列島の隅々で飼われるようになると、ニホンミツバチはかろうじて山間地でその飼育が残るだけという状態になり、自然群も山間地にだけ見られるようになってしまいました。
ニホンミツバチの飼育は分蜂した群を簡単な箱に取り込み、放置しておくというほとんど自然に任せたものです。それらの群から分蜂した群が自然に帰り、また野生の群を取り込むということでニホンミツバチはヒトの生活と共生して生きてきたといえます。自然の森に生える草木の花の蜜を得て、その種を保持してきたのでしょう。ニホンミツバチのことを山ミツバチと呼ぶのは的を得たネーミングと言えます。■ 環境の変化
ところが近年、日本列島の森、山間地は大きく変わってしまいました。植林された森はスギ、ヒノキが生えるだけ、過疎化により山間地にはヒトの生活がなくなりました。飼育されていたニホンミツバチも減少しているため、その種の存続さえも懸念されています。
ところが、どうしたことか私が住む守口市(大阪府)のような市街地でニホンミツバチが意外にたくさん生きていたのです。市街地に住むニホンミツバチはヒトの生活と遭遇するため、有害昆虫として駆除対象となり市役所の職員やシロアリ駆除業者の手を借りて駆除されていました。庭のウメやプランターのイチゴが実を付けるのもミツバチのおかげであることを知らないで、今、市街地ではいくつもの群が駆除されています。しかし実態は誰も知りません。
社務所の巣(守口市) ■ 市街地で増えてきた理由
なぜニホンミツバチが市街地に進出してきたのでしょう。市街地が緑豊かで蜜のたくさん出る花が咲き乱れているからでしょうか。私の周りを見渡してもそのような状況はありません。
考えられる一つは日本の養蜂業の衰退です。農業の他の分野と同様に今、日本には外国から安いハチミツが大量に輸入されています。そのためセイヨウミツバチの飼育が減少しています。おかげで競争相手がいなくなったニホンミツバチが分布を広げてきたのでしょう。
二つ目は、ミツバチの天敵であるスズメバチが市街地に少ないことでしょう。もしスズメバチの巣でも見つかるものなら(スズメバチはミツバチと違って見つかりやすい所に巣を作るものもある)即座に撤去されてしまいます。
三つ目は人の生活とのかかわりです。東京ではカラスが多く見られます。一時ゴミ問題と関係付けてその増加の原因が論じられましたが、そんな単純な問題ではなさそうです。都会に住む人が愛鳥精神から鳥に餌を与える一方、カラスが巣を作ったら自分では追い払えない。(生き物が怖い。生き物を殺すのはよくないと思う人が多くなった。)カラスはそんな人の生活を横目に見て増えているのです。ミツバチもそうかもしれません。