開放空間(高さ13m)の巣の1年
(磯島高校体育館外壁の巣)
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 発見-夏

 2000年8月、体育館外壁にニホンミツバチの巣が作られ、生徒に見守られて(一時いじめられたこともありましたが)1年が経過しました。この1年間の様子を報告します。
 この巣は、8月8日に発見されました。校門から学校に入ると必ず見えるので、何週間も前から存在していたとは考えられません。私は7月下旬、所用で1週間学校に出ませんでした。巣はこの期間に作られたものと思われます。発見されたときはすでに17枚の巣板を持っており、1週間ほどの短期間でこれだけ大きな巣を作り上げるハチの能力に驚かされました。
 当時、校内で5群のニホンミツバチを飼育していました。それらの群れは、巣の発見前後で変動はなく、少なくとも飼育群が逃亡してこの巣を形成したわけではないのです。2つの可能性が考えられます。一つは、5群のうちのいずれかからの分蜂によって作られたとするものです。これまでの調査で市街地のニホンミツバチは、7月にも分蜂することを明らかにしてきました。この群れは、7月に分蜂した群れの行動を考える実例の一つになるかもしれません。
 二つ目の可能性は、学校外の群れの逃亡、あるいは分蜂によって巣を形成したとするものです。学校近くの民家の屋根裏にニホンミツバチの巣があり、駆除を依頼された事も過去にはありました。この可能性が全くないわけではありませんが、少ないと思われます。いずれにしろ、夏期に巣を離れた群れが、開放空間の巣を作ったことだけは間違いありません。

 秋

 8月下旬になると、校内にオオスズメバチが飛来しました。飼育している5群の巣に毎日現れ、ミツバチは臨戦体勢をとっていました。スズメバチが単独で巣に近づくと、入口に多くのハチが出て威嚇しました。数匹のスズメバチが集団で現われると、ミツバチは巣の中に入り、静かにスズメバチがいなくなるのを待っていました。
 体育館の巣には、スズメバチの飛来は見られませんでした。スズメバチが集団で巣に来たら、開放空間の巣では防ぎようがありません。スズメバチは巣のすぐ下を飛んでいましたが、13mも上に巣があるとは気付かないようでした。
 秋になってセイタカアワダチソウが花をつけると、多くのハチが活動し、冬に備えてミツを貯めました。意外なことに巣の大きさは変わりませんでした。

 冬

 気温が低くなるにつれて蜂は、巣の下部に集まり蜂の数がたいへん少なくなったように見えました。最低気温が0℃を切る朝には、多くのハチが巣の下に落下していました。体温を維持する限界を越えてしまい、寒冷麻酔された状態で落下したものと思われます。このままハチが減少したら、この巣は春まで持ちこたえられないのではと危惧されました。貯蜜がだんだん減少するためか巣の下部が変形し巣が小さくなっていきました。

 春

 やっと春、ハチの数は少なくなっていましたが無事冬を乗り切りました。そして、4月26日、他の多くの巣で分蜂が見られた時期に、この巣でも分蜂が見られました。分蜂群は近くのクスの木に集結し無事に捕獲されました。 春になりハチの活動も活発になり、急速にハチの数が元に戻りました。梅雨の時期、蜂も蒸し暑いのか、巣全体に広がって巣を覆うようになりました。発見された8月の状態に戻ったことになります。

 冬、寒い風が直接あたる条件にもかかわらず春を迎えることができたことは、開放空間の巣の存続にとってこれくらいの冬期の温度条件が巣を維持していく制限要因にはならないことを示したといえます。

体育館の巣体育館の巣拡大写真
体育館の外壁に形成された巣(2000年 8月)
一階の食堂の換気口上端にある
巣の拡大写真(2000年 8月)
65×60cm、17枚の巣板からなる
冬の巣1年後の巣
冬の巣(2001年1月)
多くの蜂が巣の下部に集結する
形成されて一年後の巣(2001年7月)
暑くなり、蜂が巣全体を覆う

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