| キンリョウヘンとニホンミツバチ |
冬から春にかけて花屋にはシンビジウムと呼ばれるランがたくさん陳列されています。次々と新しい品種が作られ花の色や形を競っています。
これらのシンビジウムの花にはハチが訪れないのが普通です。もしハチが訪れるとすると花に来るのではなく、花の付け根にある蜜腺(花外蜜腺)にやってきて花の中には入りません。これらのランの蜜腺は花を食べる動物を花に近づけないようにアリを呼び寄せる目的で作られたと考えられています。花の中には蜜腺はないのです。
蜜腺に来るハチ キンリョウヘンの蜜腺 このシンビジウムの仲間に江戸時代から栽培されてきたキンリョウヘン(金陵辺 Cymbidium floribundam)があります。この花にニホンミツバチの働きバチがやってきて、蜜の出ない花の中に体を入れ花粉塊を背中に付けて巣に帰ります。花粉塊を付けたまま次の花にもぐりこむことになるので、ランはニホンミツバチによって花粉媒介(ポリネーション)をしてもらっていることになります。
本来、蜜や花粉を集めない雄バチもやってきて働きバチ同様花に体を入れ、背中に花粉塊を付けます。結果的に雄バチも花粉媒介をしていることになり、ミツバチ科学の常識をかえる現象として注目されています。
キンリョウヘンに来た雄バチ 花粉塊を背中に付けたハチ
キンリョウヘンの開花 働きバチの訪花 花の咲いている時期と分蜂の時期が重なるとなんと分蜂群がすべて集まってしまいます。逃亡群も集まってしまいます。
分蜂群の集合 黄色のキンリョウヘンへの集合 ミツバチは分蜂時、空に飛び立ったハチが一度太い枝などに集結します。これはハチが集合フェロモンを出し集合すると考えられています。キンリョウヘンに分蜂群や逃亡群が集まるのはランがミツバチを誘引する物質を出しているのだろうと考えられています。
他の花と同様キンリョウヘンは働きバチを訪花に誘う物質、オスを誘う物質、群を誘う物質の三つの働きをする物質を出していることになりますが、まだその実態はよくわかっていません。現在、その誘引物質の探査に取り組んでいます(Part3)。
キンリョウヘンには黄色い花をつける品種があります。私は1999年愛媛県の人から譲ってもらいさっそくミツバチが集まるかどうか観察しました。これにも写真のようにみごとに集まりました。奇妙なことにこれらの現象はセイヨウミツバチでは全く起こりません。