【資料9:出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案】 <English>

0.解説
 今、通常国会では、参院から審議が始まる。審議日程はまだ確定していないが、通過は都知事選挙後になると見られる。
 取締の強化を目的にしているとされるが、現実の運用を考えるとさして実行力を持たないのではないだろうか。(1)捜査面では、正規の入国をせず、3年〜20年又はそれ以上の滞在をしている人への対策が取りやすくなる。ぐらいか。
 弊害として、(2)在得か帰国かの選択をしていた日本人の配偶者が、事実上在得以外の方法をとれなくなること。さらに事情(本国での離婚解消が必要な場合、本国で公的な市民登録をしていない場合、両親の危篤など)があって帰国しか選べないケースは、日本で合法的に結婚生活を営む可能性を、事実上失う。(3)正規の手続きを踏まないまま入国した難民が、曖昧な立場のまま滞在できる余地を失う。ことを挙げておきたい。
 (2)については、「特別上陸許可で対処する」と法務省はコメントしているが、特別上陸許可は、日本の空港までやってきて、そこに足止めする形で審査する形式。実行が困難な上に、件数が少ないため、認められるかどうかという評価がしにくい。また途上国には、有効なビザ等がないと航空券の購入そのものができない場合が多く、空港まで来ることそのものが不可能であることを念頭に置くべきである。
 なお99年10月に施行が予想されるが、移行措置については、これ以前に出国した場合は従前どおりペナルティ期間は1年となる。他方で、不法滞在罪については、「情状により、その刑を免除することができる」とされている。
 この改正が成立すれば、超過滞在と不法滞在の場合のいずれも時効への道が完全に封じられたことを意味する。だとすれば対局ともいえる施策、日本での生活を合法化させるシステムがないのは片手落ちといえないだろうか。長年の日本生活が継続されている場合には、住むにつけ、働くにつけ、配偶者や子ども関連など多くの「事情」が発生する。「取締」や「国家」という視点ではなく、「個人」や「家族」という人間の視点から入管法を考えるとき、この生活を合法化し、法的な地位や権利関係を実態に合わせて確定し安定化させる必要性に思いを馳せないわけにはいかない。
 今回の改正が前者の視点からしか唱えられていないことは、私にはひどく時代錯誤なことに思える。時代はもはや、入管法でさえ複眼で論じられるべき地点にきている。
(上記の考察は、99年3月18日に支援団体の連絡組織である「移住連」が企画した法案検討会での討論を踏まえてまとめた渋谷個人の見解です。1998.03.19)

<このページの更新記録>
この資料の後、具体的な法案が続くが、未だ入力作業中である。(99.3.16)
要綱に、解説と法案本体を追加した。当該箇所の比較表は現在入力作業中(99.3.19)

平成11年3月
法務省

1999年3月8日閣議決定


出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の概要

1、改正の趣旨

 平成9年に集団密航者を不法入国させる行為等の処罰を内容として出入国管理及び難 民認定法(以下「入管法」という。)の一部を改正したところであるが、その後も不法 入国事件は減少に転じたとは言えない状況にあり、不法入国又は不法上陸後の不法残留 外国人、あるいは27万人余と高止まりの状況を呈している不法残留者による犯罪の惹 起等が相次いでいる。
 そこで、これらの不法滞在者に対し、適正かつ厳格に対処するため、不法入国又は不 法上陸後本邦に残留する行為に対する罰則を設け、併せて、事務処理の合理化等を図る ため、入管法の一部改正を行うものである。

2 改正の骨子

(1)不法入国又は不法上陸後本邦に在留する行為に対する処罰を設けること

   不法入国又は不法上陸後に本邦に在留する行為は我が国の治安などに与える悪影 響が大きいことから、不法入国又は不法上陸後に本邦に在留する行為に対する罰則を設 けることとする。

(2)不法滞在者等被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長

   不法滞在者等の再度の入国に対し、厳格な対応を行うため、本邦からの退去を強 制された者に係る上陸拒否期間を「1年」から「5年」に伸長する。

(3)再入国許可の有効期間の伸長

   事務処理の合理化等のため、再入国許可の有効期間を「1年を越えない範囲内」 から「3年を越えない範囲内」に伸長する。

(参考資料)
○不法入国事件の推移
       ,平成6年,平成7年,平成8年,平成9年,平成10年,
     総数,  5598,  4663,  4827,  7117,  7472,
うち航空機利用,  4492,  3861,  3757,  4382,  4916,
うち船舶 利用,  1106,  802,  1070,  2735,  2556,
(注)平成10年については、暫定数である。

○不法上陸事件の推移
       ,平成6年,平成7年,平成8年,平成9年,平成10年,
     総数,  695,  757,  807,  759,  716,
(注)平成10年については、暫定数である。



出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案要綱

第一 上陸拒否事由に関する規定の整備

  本邦からの退去を強制された者について本邦に上陸することができない期間を一年 から五年に伸長するものとすること。(第五条第一項第九号関係)

第二 再入国の許可に関する規定の整備

  再入国の許可の有効期間を一年を越えない範囲内から三年を越えない範囲内に伸長 するものとすること。(第二十六条第3項関係)

第三 罰則の整備

  不法入国者又は不法上陸者が、本邦に上陸した後引き続き不法に残留するときは、 三年以下の懲役若しくは禁固若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しく は禁固及び罰金を併科するものとすること。(第七十条第二項関係)

第四 付則

 一、この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行するものとするこ と。
 二、この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとするとともに、日本国との 平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法について所要 の改正を行うものとする。


出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律

出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の一部を次のように改正する。

第五条第一項第九号中「退去した日から一年」を「退去した日から五年」に改める。

第二十四条第二号中「第九条第五項の規定に違反して」を「入国審査官から上陸の許可等を受けないで」に改め、同条第三号を次のように改める。

三 削除

第二十六条第一項中「第十三条」を「仮上陸の許可を受けている者及び第十四条」に改め、同条第二項後段を次のように改める。
 この場合において、その許可は、当核証印又は再入国許可書に記載された日からその効力を生ずる。第二十六条第三項中「許可の日から一年」を「許可が効力を生ずるものとされた日から三年」に改め、同条第四項中「許可の日から二年」を「許可が効力を生じた日から四年」に改める。

第四十六条中「、第二号又は第三号」を「又は第二号」に改める。

第七十条第二号中「第九条第五項の規定に違反して」を「入国審査官から上陸の許可等を受けないで」に改め、同条第三号を次のように改める。

三 削除

第七十条に次の一項を加える。
2 前項第一号又は第二号に揚げる者が、本邦に上陸した後引き続き不法に在留するときも、同項と同様とする。

第七十条の二中「前条第一号、第二号、第三号、第五号又は第七号」を「前条第一項第一号、第二号、第五号若しくは第七号又は同条第二項」に改める。

第七十三条中「第七十条第四号」を「第七十条第一項第四号」に改める。

第七十三条の二第二項中「第七十条第一号から第三号まで」を「第七十条第一項第一号、第二号」に改める。

第七十四条の六中「第七十条第一号、第二号又は第三号」を「第七十条第一項第一号又は第二号」に改める。

第七十四条の八第一項中「から第三号までのいずれか」を「又は第二号」に改める。

第七十八条中「第七十条第一号」を「第七十条第一項第一号」に改める。


附則

(施工期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施工する。

(経過措置)

2 この法律の施行前に改正前の出入国管理及び難民認定法第二十四条各号(第四号オからヨまでを除く。)の一に該当して本邦からの退去を強制された者に対する改正後の出入国管理及び難民認定法(次項において「新法」という。)第五条第一項に規定する上陸の拒否については、なお従前の例による。

3 新法第七十条第二項の罪を犯した者がこの法律の施行前から引き続き本邦に在留していたときは、情状により、その刑を免除することができる。

(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部改正)

4 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。 第十条第一項中「一年」を「三年」に、「二年」を「四年」に改める。

資料インデックスへ
HOME