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99年通常国会で予定されている入管法「改正」への雑感
討議資料
0.はじめに
99年4月をめざして月に入管法の改正が予定されており、これに対して若干意見を書きます。これまでの経過は、昨年9月に決算行政監視委員会から「出入国管理法違反等に関する課題について」という報告に応えるという形式をとって基本的な方針を固めたことになっているようです。これに対して、支援団体側が取るべき、そして取れる戦略は何かに思いをめぐらしています。
議論を明確にするために、これまでに明らかになっている各論点に分けます。なぜなら、広く了解を得るためには議論はなるべく具体的な方がいいと考えるからです。そして、自分たちだけが了解しているだけではいかなる力も発揮できないという、現状においての力不足も痛感しています。戦いながらなお勢力を増す展開を目指すべきだと思っています。
さらに各論に入る前に、「改正」についての基本的な考え方にも触れておく必要があるでしょう。
<総論>
1、「改正」の基本的な考え方について、
犯罪が増えたから検挙数が増えたのか?
厳しくしたから検挙数が増えたのか?
検挙数の増減は犯罪の増加を必ずしも意味しない。
今回の改正の論拠は、「不法滞在者による犯罪の増加」であろう。同委員会に先立って歌舞伎町の視察が行われるなどのショーアップも行われている。
これに対して有効な反論ができるだろうか。犯罪検挙数の統計は、「検挙する努力」でコントロールすることが可能な上に、入管法にのみ違反したものの検挙数も含まれて、大幅にかさ上げされている。いわば、繁華街に例年以上に検問をはれば酒酔い運転の検挙数がのばせるのと同様で、これによって検挙数が増えたから犯罪自体が増えたとは直接には言えない。とはいえるが、消極的な反論にとどまる。
さらに、「もらい受け」になるような軽微な犯罪でも起訴される傾向やもこの消極的反論に留まる。
また、就職難といった社会的事情を訴える道もあるが裏目にでる可能性有り。
日本の入管法に欠けているのは「人間の視点」
学者にこういう考察を発表してもらうのもの必要なことであるが、それは学者のすべきこと。むしろ人権派支援団体としてすべきなのは、国境を越えた人々の労働や生活が一般的になる新時代にふさわしい視点を提示することであろう。それは「労働」や「生活」や「成長」や「老い」という等身大の人間的な視点から見た入管法の検討こそが求められているということに他ならない。
つまり「危険か」「危険でないか」といういわば出口のない議論だけに没入することは避けたいのだ。これまで、国家の利益を前面に押し出し、それのみで論じられた「国家の視点」による入管法から「等身大の人間の視点」を取り入れた入管法への転換が必須となっている。
それにもかかわらず今回の改正提案が、取締強化の「国家の視点」からしか論ぜられていないことを批判することに精力を割きたい。
<各論>
2、予想される「改正」の各項目について
1)「不法滞在罪」の創設について
2)退去強制後再入国の期間の長期化
3)退去強制費の負担者
4)刑事事件の証人となる不法滞在者への適切な対策
上記の監視委員会の報告にはないが、噂せれているものに
5)再入国許可の緩和
がある。
1)「不法滞在罪」の創設について
現行では外国人登録法で裁いているが、
その量刑は実際どうなっているのか。
起訴されているのかいないのか。
執行猶予付き懲役刑で、釈放後直ちに収容で強制退去手続きに向かうのでは ないのか。
これを改めるということは、実刑を前提とした量刑を期待するものなのか。
あるいは、起訴されていないので、起訴したいということなのか。
と考えると、とくに起訴と実刑を課すことを目的とした改正とは常識的には考えられない。もし非常識にもこれを意図しているのなら、その国や社会が負担する費用はいかなる金額に上るのかを試算すればばかげたことといえるだろう。
ということはやはり、「不法滞在罪」の目的は、「不法滞在助長罪」の創設に こそあるのではないかと思い当たることになる。
しかしこの「不法滞在助長罪」を考えると、たとえば雇用者や生活場所の提供者にパスポートチェックを義務づけるのだろうが、技術的にこれが可能なのか。専門家である入国管理局の職員が見ても判別が容易でないものを、以下に民間に徹底させることが期待できるのか。
技術的に困難な義務を追わせることの弊害は明らかである。もし、合理的に危険を回避しようとすれば、パスポートのチェックが必要な「すべての外国人」を忌避するほかなくなってしまう。これこそ我々の恐れるべきことである。
2)ペナルティ期間の延長が伸ばすのは
日本人の配偶者の再入国だけ。
2)のペナルティ期間の延長を考えると、かりに入管の取締強化の立場に立ったとしても、その実効性がほとんどないことに気がつく。なぜなら、「オーバーステイを繰り返す」には、前回入国時とは違う国のパスポートや異なる人名のパスポートを利用し、空路で入国手続きを経て入国するケースが大半であるだろうからである。このとき利用するパスポートにはいわゆる偽造のものの他、正規に得たものもある。複数のパスポートを取得できる人も世界には少なくないのだ。
このことの裏をかえせば、現行でも過去にオーバーステイ歴がある人はよほどの事情がない限り、同一のパスポートではほぼ永遠に再入国できていない。ということはこの改正が影響を与えるのは、現在再入国ができている「よほどの事情が」ある人達だけである。その多くは日本人や日本に居住する外国人と婚姻関係にある人達であろう。現状では「一年待ってやり直そう」と帰国している人たちを国外に閉め出すか、国内に閉じこめることにしかならない。
3)退去強制費の負担者
4)刑事事件の証人となる不法滞在者への適切な対策
二つにはあまり反対する理由が見つからない。
5)再入国許可の緩和
これについては、詳細も不明で緩和ならいいかとも思うが、なんで許可制なの かとも思う。許可をしない場合に恣意性を持たせる理由はないのではないか。(指紋押捺のときに恣意的に運用されたことは記憶に新しい)より一層の緩和を望む。たとえば、査証の期間中なら出国手続きとともに届け出ることで得られるとか。
3、最後に(今後の動きについて)
おそらく法案がまとまるのは早ければ今月中か。
ならば、反対の意志表明が移住連かそのプロジェクトチームとしてできればいい。 さらに、国会での質問にこちらの論旨に合わせたものをさせるような方向で、修正 を迫ったらどうだろうか。
論旨の説明と、質問の仕方を議員に伝えることはできないだろうか。できれば委員会で。
当方の論旨で質問が毎回出てくることになれば、法務省との事前交渉においても、当方に交渉に応じさせる力がつくことになるのではないだろうか。
最低でも、雇用者に立証責任を負わせる「不法滞在助長罪」への否定あるいは「様々な問題を承知している」ぐらいの回答はえたい。さらに「ペナルティ期間」については、「特段の事情がある人には考慮したい」「移行期間を設ける」ぐらいのことはツメさせたい。
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