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○特集:どうなる在特&上特
大貫憲介弁護士インタビュー

みしゅっく99年9月号(予定稿)

1)在留資格認定

みしゅっく--いわゆる入国拒否事由に該当する外国人パートナーのの呼び寄せは、これまでどうなっているのでしょうか。

大貫弁護士--オーバーステイで摘発を受け裁判になるとだいたい1年以上の判決となって、これが入管法の5条にある再入国拒否事由の「一年以上の懲役刑を受けたもの」に該当することになってしまいます。
 (ペナルティ期間の)1年という規定と違って、年限が明確には定まっていない「長期入国拒否」ということになるのですが、その長期というのはいったいどれくらいの期間を指すかについては、現在のところ3つの考え方が有力です。
 第一に、生涯にわたってはだめだという考え方で、入国管理局の職員もこの厳しい発言をすることがあるわけです。それから第2に判決後10年は入国できないというもの。そして、執行猶予期間はダメだとする第3の考え方があります。
 執行猶予期間が過ぎた後に認定証が交付では、97年1月のパキスタン人の例等、わかっているだけでも数件あります。全国でどのくらいあるかはわかりません。
 しかし、中村前法務大臣それまで法務省の入国管理局が行なっていた審査を全部自分で決裁し、なおかつシュワルツネッガーと難民の5件を除いて全て不許可としていました。難民の認定については、国連難民高等弁務官の緒方さんとの会談が控えていたなかで、「形式」を整えるために急遽許可したと伝えられています。この時期に、ビザを統括する立場の本省職員は「生涯入国できません」と明言するまでになっていたのです。
 それでは国外の大使館だけの判断で発給できる短期ビザの方はどうかと考え、外務省に問い合わせてみました。大使館の業務を統括する領事課の回答は、「長期入国拒否者については法務省が作成したリストをみてチェック。基本的に短期ビザを発給できるシステムはない」ということになるのです。
 このように、上陸拒否事由にあたる場合は、入国管理局の在留資格認定証も、在外大使館の短期ビザもダメということになれば、あとは空港や港まできてから上陸特別許可を申請するという強行策しか残っていないことになります。しかし、出国やエアチケットの購入の難しいアジアの国からとなると、この手段に訴えるのすら困難であるのです。
 陣内(じんのうち)法相に交替してからは、在留資格の審査を中村法相以前の状態に戻し、さらに内部基準を再検討するということになりました。中村大臣以前に戻すという意味あいで、今年4月16日に通達が出され、そのなかで、「政治、外交、治安等」に影響を及ぼす恐れがあるもの以外は、各地方入国管理局レベルで事実上の決定ができるとされていることに注目しています。
 これまでは、必ず犯罪行為の、継続性や組織性や営利性が問題視され、これに関するケースはすべて本省で決裁することになっていましたから、本省決裁の範囲が狭まったことになります。
 これが基準緩和にすぐ結びつくとはいえませんが、少なくとも審査日数の短縮になるでしょう。

み-----法改正で決まったペナルティ期間の延長については?

大貫---やはり施行後の帰国者については5年間、ビザが出ないことになるでしょう。入管法のなかで列挙されている上陸拒否事由のひとつですから、このになったわけですからね。


資料1 上陸拒否事由(5条)該当者の在留資格認定証明書の交付数

------------------96年------97年---------98年
-----交付件数------24--------42-----------53
うちペナルティ期間中--7--------15------------6

*日本人や永住者の配偶者以外も含めた数字
*出所:99年度通常国会で法務省が議員に示した資料より


資料2 在留特別許可許可数

------------------96年------97年---------98年
----許可件数-----1,511-----1,431--------2,497
---不許可件数------142-------147----------147
*出所:出入国管理統計年報(96〜99年版)


2)在留特別許可について

みしゅっく---昨年98年の秋頃からずいぶん在特の審査が簡略化されたようなのですが。

大貫弁護士---以前から内部文書ではすべての審査を1年以内にするという目標があったのですが、6月に就任した中村法相は「目標の1年も長すぎる」と考えたようです。
 私が依頼を受けるのはほとんどが東京(十条)の入管での申請となりますが、東京入管では昨年10月頃から書類が簡素化されて、口頭審理が「強化」されました。その結果、申請というか最初の出頭のときの面接と陳述書で「信用できる」ということになれば、もうそれで在留許可を出しちゃう。実質的にはそんなところですから、これから申請なさる人たちにとっていちばん大事なのは、この一番最初の段階でどんな印象を持たれるかということだといえるでしょう。
 提出を求められる書類のリストは、従来の約半数の5〜6点にまで減りました。また、仮放免の後に口頭審理の「強化」というのは、簡素化と人員の増強です。もはや口頭審理はほとんど実質的な審査などしていないといってもいい。陳述書に書いてあることを読み上げて、「他に言うことはありますか?」と聞かれるくらいで、すぐ必要書類へのサインとなり終わり。5分程度で終わってしまうこともよくあります。また、家やアパートへ訪問する「現地調査」は、全件で実施していると現在でもいうのですが、私たちの実感では、半数程度のケースでしか行われていないような気がします。
 申請からビザが取れるまで、順調に進んでいれば7〜8か月の例が増えています。いまだに時間がかかるのは、過去に入管で帰国手続をして強制退去令状が交付されている「再審」の場合と、日本人と婚姻せずに認知した日本人の子どもを育てているお母さんの「定住」ビザを求める在特の場合ですね。再審は順調でも2年くらい。定住の場合なら、短くても2年半くらいはかかるでしょう。

み----在日の人と結婚した場合や「定住」ビザを持つ日系人と結婚した場合はどうでしょうか。

大貫--特別永住の在日の人だけでなく「永住」の外国人なら日本人と同じ扱いになるはずです。各文書でも「日本人と永住者」という表現で指示されています。
 ただし、定住の日系人などの場合は、依頼された件数が少ないので一般的にいうのは難しいのですが、可能性はあって3年以上はかっかると考えたらどうでしょうか。

み---最後に法改正の影響は在特にもあるのでしょうか。

大貫--在特については、このような簡略化のなかで審査が早くなることはあっても悪影響は考えにくいです。むしろ、「在特よりも帰国した方がいい」という初期の帰国指導が、間違いなくしずらくなるので、申請者には楽になるのではないでしょうか。


大貫憲介

弁護士。家族の結合権を定めた国際人権規約第17条にちなんでその名のある「17条弁護団」に参加。第1〜3次国保訴訟では原告側の弁護を務める。主に出入国管理関連の事件に詳しい。著書に「オーバーステイ国際結婚マニュアル」海風書房。秋には共著として「入管実務マニュアル(仮称)」が現代人文社から発売される。
(東京都新宿区、さつき法律事務所)

「入管法改正は、目的と手段に整合性のない改正でした。水際で入国防ぐとする意図があるけれども、本当に悪い人に対しては偽パスポートやボートなどを使うので、なんの効果もありません。むしろ、これからは真面目にやり直そうという人たちの足を引っ張るだけです。」


99年8月19日東京飯田橋のさつき法律事務所内にて
インタビュー&文:渋谷次郎



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