高血圧の方は血圧を下げなければいけないという誤解 |
血圧は簡単に測定でき、しかも数字で表わせる値なので(保険の点数が取れる)、単なる健康診断に行っても必ず測定される。そしてほかに何の異常もないのに、血圧だけが高いと、たいていは降圧剤を飲まされるはめになります。降圧剤は「3年飲み続けるとやめられなくなる」といわれています。その理由は血圧を強引に下げるために、中止すると反動で急に上昇して危険なためです。
良心的な医者なら、通常はすぐには降圧剤を使わない筈です。(親が脳溢血で亡くなった方とか、血圧が常時200以上ある方は例外)。
理由は2つあります。
一つは脳の血管は200位の血圧には充分耐えられるように出来ている。
二つ目は高血圧の方の体は、必然的に血圧を高くする必要があって高くなっている。ということなのです。特に二つ目の理由が大切です。
人間にとって脳は生きて行くためには、最も大切な器官です。そのために脳には「最優先」に血液を送り、酸素の供給を確保しなければなりません。(数分でも酸素の供給が止まれば、脳死状態になります)。
ところが何らかの理由で、血管や器官や内臓に「血液の流動性を妨げる原因」が発生すると、通常の血圧では十分に脳に血液を送れなくなってしまいます。そこで脳は「血圧をもっと上げろ」という命令を出し、心臓のポンプの力を上げることになります。
それなのに降圧剤で血圧を下げてしまったらどうなるのでしょうか。脳に十分な血液が送れなくなってしまうことは明白です。この状態が長期間続けば、脳の働きが「完全さ」を失い、早くぼけてしまうとか、物忘れがひどくなるなどの症状がでてくるのは当然です。
問題は「血液の流動性を妨げる原因」です。これには遺伝的要素も含まれ、なかなか検査でもわからないことが多いのですが、何らかの「免疫系や治癒系のシステム異常」、即ち「異物の認識と排除システムの異常」が指摘されています。
食事療法だけで簡単に血圧が下がってしまうのは、この理由でもあります。食事療法とは、まぎれもなく「免疫系、治癒系のシステム異常」を治す最良の方法だからです。食事療法が充分出来ない方は、免疫系を正す健康食品を使用するとか、治癒系を正す医薬品を使用するとかの手段をまずやってみることです。
骨粗鬆症にはカルシュウム摂取が良いという誤解 |
「骨はカルシュウムで出来ている。骨粗鬆症とは骨からカルシュウムが溶け出しスカスカになる病気である。だからカルシュウムをたくさん摂取すれば良い」という単純な三段論法で、骨粗鬆症にカルシュウム摂取をすすめる記事が時々掲載されます。「日本人の国民栄養所要量の中で、唯一達成されていない栄養素がカルシュウムである」というのも、この誤解を生んでいるのかもしれません。 (カルシュウム所要量1日600ミリグラムというのが、そもそもおかしいのであるがここでは述べない。但し胎児に多量のカルシュウムを必要とする妊産婦は例外です。別項参照)。
カルシュウム摂取量の極端に少ない国民(開発途上国や農作物が育ちにくい高緯度の国など)に、はたして骨粗鬆症が多いのでしょうか。カルシュウム摂取量の極端に少ない時代(戦時中など)に、はたして骨粗鬆症が多かったのでしょうか。骨粗鬆症は乳製品を多量に消費する飽食の国の国民に、飽食の時代になってから急速に増えてきたのです。これらは「カルシュウム不足説」を否定するものばかりです。
ほかの細胞も同様ですが、骨細胞の新陳代謝は、新しい骨細胞の「生成」と古くなった骨細胞の「排除」の繰り返しにより行なわれています。「生成」も老化と共に衰えますが、(これは民族、時代を超えて共通)問題は「排除」の方なのです。
細胞の新陳代謝は、「不要な細胞」を「排除」することにより、はじめて細胞の新たな「生成」がスムースに行なわれます。自然治癒力の本体である治癒系と呼ばれるシステムの、もっとも大切な働きがこの細胞の「排除」です。骨の場合、この「排除」は破骨細胞(マクロファージの一種)というものにより行なわれます。
マクロファージは活性化(活性化マクロファージと呼ばれる)されてはじめて治癒系の本体として働きます。老化と共にその働きは衰えますが、食品添加物、農薬、環境汚染物質、ストレスなどにより活性化が阻害され、さらに働きは衰えます。そして「不要になった骨細胞」の「排除」がスムースに行なわれないために、骨の「生成」が妨げられ、骨粗鬆症が進行します。
したがって骨粗鬆症の予防と進行の遅延化には、マクロファージの活性化がもっとも必要なのです。
アトピーの漢方的な考え方と免疫療法 |
アトピーの方からのメールが大変多くなってきました。しかも「これこれの症状だがどんな漢方薬が良いでしょうか」といったものです。それだけアトピーに悩まされている方が多いと言えるのですが、「漢方薬を服用すれば簡単に治る」という安易な考えが、ますます病気を深くしまっていることに気づいていないようです。
又本屋さんには「アトピーの何々療法」といった健康雑誌や本があふれています。逆に考えれば現代医学では根本療法が出来ないから、さまざまな療法が生まれては消えてゆくのでしょう。
そこで今日はアトピーの漢方的考え方と免疫療法について書いてみます。
しかし最初にお断りしなければならないことは「漢方薬だけでアトピーを根本的に治すことは非常に難しい」ということです。それは今までにも何回か書いたように、漢方薬は「効かせる薬」であって「治す薬」ではないということです。
アトピーの主な初期症状に「皮膚のかさかさ」と「ひどい痒み」があります。漢方的に考えると、これは「発汗異常(汗腺の異常)」と「熱邪」が原因です。したがって軽いうちは「発汗剤」や「清熱剤」を服用すれば、とりあえずの「苦痛」は軽快できるでしょう。うまくすれば(免疫システムの乱れが少ないから)「治ってしまう」ことも考えられます。しかしこの段階で多くの方は「軟膏」 「かゆみどめ」「抗アレルギー剤」「消炎剤」「ステロイド」などで、症状を 「押さえ込んで」しまいます。これを何年も繰り返すうちに病気は「深く潜行」し、患部がじくじくしたり(「湿邪」)、象の皮膚のようになってしまいます (「血虚」「陰虚」「燥邪」)。こうなってしまったら、もはや「簡易療法」は通用しなくなります。
アトピーはダニを始めとする抗原物質による典型的なアレルギーの病気です。
家の密閉構造化、食べ物の変化、生活環境の汚染、ストレスの増大などが原因とされています。昔の日本建築には考えられなかった「ダニ」の繁殖と、「免疫システムの乱れ」と考えてもよいでしょう。
それでは根本療法は何かについて考えてみましょう。まず漢方薬により「かゆみ」などの苦痛を軽快させること。「清熱剤」「解毒剤」「理血剤」「発汗剤」「潤燥剤」「補養剤」などを症状に合わせ組み合わせます。これだけでは軽快はするけれど治るところまでは行きません。
平行して「免疫療法」を行ないます。免疫システムがどの程度乱れているか、遺伝的側面、食事を含めた生活環境、ストレスの程度などを考え免疫システムを調整する食べ物、運動療法、健康食品などを組み合わせます。
このように書くと簡単そうに見えますが、何年にもわたって慢性化したアトピーの場合、後者の「免疫システムの乱れ」を調整することは、大変な時間と努力を必要とします。しかしこれなくしては「根本療法」は難しいのです。姑息な一時抑えではなく、根本療法に挑戦して長い間の苦痛から解放されるよう祈っています。
なお別項目の「腸管(粘膜)免疫システム」,「アトピーの方は「皮膚が排泄器官である」という認識を持つ必要があります」もお読み下さい。
漢方薬が慢性病を簡単に治せるという誤解 |
漢方薬のイメージの中に「草根木皮」、「副作用がない」、「長く飲まないと効かない」などと共に「病院で治らない慢性病、難病でも簡単に治せる」というものがあります。たしかに病院では手をやいた病気が、漢方薬を飲むことにより軽快する例はたくさんあります。だからといって全ての難病や慢性病が「簡単に」治ってしまうというのは、マスコミが作った「神話」であり「幻想」です。
現代医学と漢方医学とでは治療体系がまったく異なるので、それぞれに得意な病気、不得意な病気があります。慢性病、難病といわれる病気は、ほとんど体質的病気なので漢方療法の方が適してはいますが、決して万能ではなく、すべての病気が簡単に治るということはありません。特に「免疫システム」「治癒システム」の機能低下や乱れによる病気は、漢方療法でも治療の難しい病気なのです。
「免疫システム」とか「治癒システム」という概念が生まれたのは、最近のことです。これらの機能低下や乱れによる病気を、2000年も昔に生まれた漢方薬で治そうとすること自体、無理な注文なのです。とは言っても漢方薬の原料である「草根木皮」の中には、免疫増強物質がたくさんあり、将来「免疫システム」とか「治癒システム」を治す「薬物」が現れる希望も十分あります。現在の漢方処方ではない、「免疫システム」とか「治癒システム」を考慮に入れた、まったく新しい「漢方体系」が出来るのを期待したいと思います。
慢性病、難病の治療法として、現在ある手段から選ぶとすれば、緊急を要する症状なら現代医学的治療を中心に、緊急を要しない症状なら漢方療法を中心にして症状を軽減し、病気の根本である「免疫システム」、「治癒システム」の機能低下や乱れは「免疫系、治癒系関連物質」で治療するという方法が最適ではないでしょうか。
ヒトの生物学的ピークは18才である |
「中年」の定義が何歳なのか定かではないが、40才代という人もいるし、もっと若く30才代後半と考える人もいます。ヒトの寿命を決定しているものが何であるかの説も一定のものはないが、最近「免疫システム」を支配する「胸腺」ではないかとの説が支配的になってきました。
胸腺の重量を縦軸に、年齢を横軸にとりグラフを書くと、胸線重量は18才をピークに下降線を描き、何と30才代後半では二分の一、45才では三分の一になってしまいます。「免疫システムの能力」を「生命力」と言い換えても、大きな間違いではないと思いますが、30才代後半の人間には、18才の人間の半分の、45才の人間には何と三分の一の生命力しか残されていないことになります。食生態学研究所長の西丸震哉氏の「41才寿命説」が、途方もない空論でないことが頷けます。
髪の毛が最初に「生命力(細胞)の衰え」を表わすのでしょうか、10代なのに白髪が交じり始めた女性、20才代でもう髪の毛が薄くなり始めた男性をしばしば見かけます。
こういった事実を考えると、「中年」とは一般に考えられている年齢よりずっと若く、例えば「30才前後」と定義しなくてはならないかもしれません。そしてその後の10年間くらいは「予備能力」で「老い」を覆い隠しているのではないかとも考えられます。生物学的ピークにある女子高生が、女子大生を「オバン」あつかいにするのも「そういえばそうだなあ」と考えてしまいます。
ということは遅くとも30才になったら、あきらかに「中年」の仲間入りをし、「肉体的老化」に対処する準備が必要だということになります。ましてや最近の「環境悪化」、とくに「環境ホルモン」による「オスのメス化」などを考えると、免疫システムの低下、治癒システムの低下に対する「予防策」は30才でも遅いくらいだと考えられます。
肝臓、糖尿、高血圧等の病院の薬を「治る」と思って服用している誤解 |
肝臓、糖尿、高血圧等(この三つの病気は同時に併発しやすい)の病院の薬を「治す薬」と信じ、嬉々として、中には自慢げに幾種類もの薬を服用している方が何と多いことか。「効く薬」と「治す薬」との区別(別項参照)が理解出来ていないための「悲劇」です。この「つけ」は必ず後に回ってきます。
何年もこういった薬を服用している方は、試しに医師にこう尋ねてみて下さい。「この薬を飲んでいれば、私のこの病気は治りますか?」と。良心的な医師ならこう答えるでしょう。「この薬はこの病気の、この症状やこの異常な検査値をとりあえず、おさえるため使っています。そしておさえている間に、あなたの体の(自然に治す力)の回復を待ち、その力で病気を治そうとしているのです。薬が病気を治すのではありませんから、回復を早めるために必ず養生を守って下さい。」と。
慢性疾患の薬は、抗生物質や風邪薬などの急性疾患の薬とは目的がまったく異なるのです。医師から言わせれば、「とりあえずおさえるつもりで服用させていても、患者の養生が悪く(自然に治す力)の回復が遅れ、心ならずも長期間服用させざるを得なくなってしまっている」というのが本当の所なのです。
したがって「賢い患者」になるためには、このことを理解し「早く薬をやめられるように、いかに(自然に治す力)の回復のための養生に心がけるか」を実践しなければならないのです。この「自然に治す力」こそが「治癒システム」「免疫システム」などの、人体が生まれながらに備えているシステムなのです。
現在の「誤れる医療」は、患者が「賢い患者」にならないかぎり解消されないでしよう。
キリエンコ、ロシア新首相の「若ハゲ」を見て考えること |
ロシアに35才という若い新首相が誕生しました。年には見えない「幼な顔」に反して、その頭髪はどう見ても60才以上の「薄さ」です。「頭を酷使する人間はこうなるのかな」などと感心しないで、この機会に「細胞の新陳代謝」を考えてみましょう。
前項にも書いたように、この数年日本でも「若ハゲ」が目だってきました。 「植毛産業」、「増毛産業」や「養毛剤」のCMがTVで盛んに流されるようになりました。たしかに昔から「若ハゲ」はありましたが、これらはほとんど「遺伝的」なものだったようです。しかし最近のものはどう考えても「異常」としか言いようがありません。やれ「ストレス社会」、「環境汚染」などがとりださされていますが、「細胞の新陳代謝異常」から考えると納得がいきます。
頭髪は表皮(角質層)、真皮(毛包)、皮下組織(毛母細胞)の3層を貫いて生えています。それぞれの細胞は毎日新陳代謝を繰り返していますが、これらの層を構成する細胞に「新陳代謝異常」があると、「ふけ」、「抜け毛」、「脱毛」が起こります。
「新陳代謝」とは「古くなった細胞を排除」し、「新しい細胞を生成」することです。「新陳代謝異常」を論ずる場合には、「生成」より「排除」の方に問題があります。それは古い細胞が排除されない限り、新しい細胞は生成できないからなのです。不要になった細胞を排除するのが、マクロファージという一種の白血球で、「治癒システム」の中心として働きます。
ここでは問題にしませんが、「免疫システム異常」による脱毛が、突然起こる「円形脱毛症」です。これはストレスから、「免疫システム」に異常が起こり、「自己」と「非自己」の認識がうまく働かず、新しく生えてきた「自分の毛」を「自分の毛ではない」と誤認して「拒絶排除」してしまう現象です。
いずれにせよ、これらの「毛髪の異常」は、なんらかの原因による「治癒システム」、「免疫システム」と異常と考えることができます。
もう少し深刻に考えれば、目に見える「毛髪」ではなく、目に見えない内臓の細胞にも同様なことが起こっている可能性があるということです。「若いから大丈夫」とは言っていられない時代になってきたわけです。言い換えれば、正常な「治癒システム」、「免疫システム」の維持に、若いうちから取り組まなくてはならない時代になってきたわけです。
厚生省研究班の「がん検診有効性疑問論」を考える |
数年前、慶応大学医学部近藤誠氏による、「ほとんど全てのがんに対する検診無効論」がマスコミを賑わしたが、今回は「厚生省の研究班」が発表したのだから、その反響は格段に大きい。要旨は「乳がん、肺がん、子宮体がんの検診は、有効性が証明されない。受診を勧められるのは、大腸がん、胃がん、子宮勁がんにすぎない。」というものです。その理由として「検診での見落とし」、「検診の有無による死亡者数に差が認められない」、「発見してもすでに転移していて助からない」などの問題が指摘されています。(毎日新聞 1998年4月28日号に特集あり)。特に「発見してもすでに転移していて助からない」というのが問題であり、「早期」発見の限界とも言え、がんの難しさを示しています。
「遺伝子DNAのコピーミスで、がん細胞は毎日数千個生まれるが、免疫システムが完璧な場合には100パーセント排除出来る。ところが免疫システムが低下したり乱れてくると排除ミスが生じ、一個でも排除しきれないがん細胞が残ると、それが数年後にはがん組織にまで成長する。」と言われています。
別項に記したように、免疫システムの機能低下は、年齢と共に急速に進むので早い方では40才を過ぎた時点で、すでに「排除ミス」が発生していると考えられます。50才前後で、がんで死亡する方が多くなってきたのが、その証拠と言えると思います。
一般のがん検診に有効性が認められず、早期発見が難しいとすると、何をすれば良いのでしょうか。一度でも「がん」にかかった経験のある方(免疫システムは、すでに機能不完全)、親族に「がん」患者を持つ方は(多くの「がん」に遺伝性が指摘され始めている)、一般のがん検診では行なわれることが少ない、腫瘍マーカー(まだまだ開発途上の検査ではあるが、特異性のあるものが開発されつつある)を含めた、もっともっと「精密かつ頻繁」な検査を行なうべきでしょう。これは一般のがん検診よりも「更なる早期」発見を目指すもので、「発見してもすでに転移していて助からない」確率を少なくする効果は、ある程度期待出来ると思います。
しかし何と言っても最良の対策は、「がん」にならないように免疫システムを正常に保つことでしょう。特に検診の有効性が否定された「がん」の場合には、徹底的に免疫システムの低下防止策をとり、がん細胞を「がん」にまで成長させないことを考える以外に方法は見当たりません。特に親族にこれらの「がん」患者がある方は、たとえ40才以下であろうとも、早めの対策を心がけなければなりません。