自律神経失調症には「非日常」が良い薬になります

 このページの中程をご覧下さい。漢方治療をより効果的にしますので実行をおすすめします。軽い汗をかく運動により、漢方の「発散作用」を助けます。

「牛乳を飲むと下痢するのは異常体質だ」、「牛乳は完全食品だ」という誤解

 牛乳の中に含まれる乳糖は、乳糖分解酵素(ラクターゼ)によりグルコースとガラクトースに分解される。このうちガラクトースはこのまま吸収されると、体に良くないので、(白内障の原因になるらしい)ガラクトキナーゼという酵素により処理されてしまう。牛乳を飲むと下痢する人には、この2つの酵素が分泌されていない。(ヨーグルト、チーズでは、すでに乳糖は分解されている)。

 哺乳動物(もちろん人間を含む)では、生まれてから離乳するまでは、このラクターゼとガラクトキナーゼの2つの酵素が分泌されているが、それ以後には分泌はストップする。すなわち「離乳後には乳は飲まない」というのが、哺乳動物の正常な姿なのである。

 ところが北ヨーロッパ、砂漠地帯のヒトだけが、「離乳後も乳を飲む」例外的哺乳動物なのである。

 ヒトは熱帯のサバンナで生まれ、穀類、いも類、豆類を主食とし、植物性の食べ物をとっていた。人口が増えると、温帯地域に移動するが、食生活に変化はなかった。ところが植物が成育しにくい寒帯地域、砂漠地帯にまで移動すると、自然に狩猟生活を余儀なくされ、動物性の食べ物に依存するようになった。食べ物の確保のために、動物を飼いならすことを覚え、画期的なことには「殺さずに蛋白質を得る手段」として、乳を利用することを覚えた。

 多分最初に動物の乳を飲んだ「成人のヒト」は(酵素を持っていない筈なので)下痢のため苦しんだに違いない。ところが何千年、何万年と世代が引き継がれているうちに、離乳後にも分解酵素を分泌するような方向に突然変異が起こり、それが遺伝子に組み込まれて進化してきたのであろう。

 つまり離乳後にも乳を飲み、飲んでも下痢を起こさない、北ヨーロッパや砂漠地帯に住む人間の方が、哺乳動物として「異常」なのであって、日本人であれば牛乳を飲んで下痢する方が「正常」なのであり、さらに言えば牛乳は日本人にとっては「完全食品」ではないのである。

 たまたま牛乳を材料に、現在の日本の「栄養学」の批判をしてみたのであるが、牛乳以外にも、「高蛋白」「高脂肪」をすすめる「栄養学」にも、大きな問題があることを指摘したい。

 明治以後「欧米に追いつけ追い越せ」の号令で、食べ物まで「欧米化」した100年間の「ツケ」が、現在の「半病人」だらけの日本人を作ってしまったのではないでしょうか。また日本人は温帯地域に住む「ヒト」として、植物性の食べ物に「回帰」すべきではないでしょうか。
 
 本項は宮崎大学教授 島田彰夫著「食とからだのエコロジー」(農山漁村文化協会発行)を参考にしました。
 

前立腺肥大と前立腺がん

 前立腺肥大と前立腺がん(以後この項では「肥大」と「がん」と省略する)とは、食事が欧米化した国々で、急速に増えている男性の泌尿器の病気である。インターネットでも各種検索エンジンで検索すると、非常に専門的な大学の文献から、「闘病記」まで数多くのサイトを見つけることが出来る。詳細はこれらのサイトを見ていただくことにして、ここでは「肥大」と「がん」の違いについて、わかりやすく書いてみたい。

 ただ注意して欲しいのは、これはあくまで「傾向」であり、絶対的「鑑別」は細胞診により確定しなければならない。また「肥大」であっても、将来「がん」になる可能性もあり、定期的な検査は必要である。(ちなみに「肥大」があると、「肥大は前がん段階」との判断からか、「がん保険」に入ることは拒否される)。

 まず丸い球の中心にストローがささっている状態を頭に描き、球が前立腺で、ストローを尿道と考えて下さい。「肥大」は球の中心部分、すなわちストロー(尿道)に接する部分に生じやすく、「がん」は球の表面に発生しやすい。すなわち「肥大」の場合は尿道を圧迫しやすいので、尿の出が悪くなったり、尿線が細くなったりする 「肥大」特有の症状から、病気に気がつきやすい。ところが「がん」の場合には、尿道の圧迫は少ないので、病気の発見が遅れがちである。

 また「がん」は、大きく「良性(高分化)がん」、「悪性(低分化)がん」、これらの中間のものに分類される。「良性」のものは進行が非常に遅く、これが原因で死亡するより、最後は他の病気で死亡することが多いと言われている。ただし「良性」
が「悪性」に変わることもあり、油断は禁物である。なお50才前後の比較的若い人に、「悪性がん」が見つかる傾向があり、多くは遺伝が関係しているものと思われる。

 数年前PSAという「腫瘍マーカー」が開発され、前立腺の病気の発見が非常に簡単になった。この検査はあらゆる腫瘍マーカーの中でも、非常に「特異性」(前立腺がんと前立腺肥大だけに反応する)があり、もっとも「信頼性」のあるものと評価されている。(逆に「感度」が良過ぎ、本来治療の必要がない、70才以上の高齢者の「良性がん」まで発見するために、「治療」というリスクを、これら高齢者に与えてよいのかという批判もある)。

 ただこの数値は「肥大」でも「がん」でも、高くなるので「鑑別」はできない。ある数値(検査施設により多少違いがあるが、おおよそ10と考えて良い)を「肥大」と「がん」の境界とするが、この境界より低い値でも「がん」であることもあり、またこの逆もあるので、「確定」は細胞診によらなければならない。いずれにせよ50才以上の男性は(父が「がん」の場合には40才になったら)、年に一度はPSAの検査を受けることをおすすめすしたい。

 また「がん」の治療については、リスクと効果について色々な意見があり、(国立がんセンターでも、最近「何の治療もしないで、様子を観察する」という選択肢も取り入れられた)、医師の間でも多くの議論がなされており、最終的には患者本人の 「意志」に委ねる医療機関もあるほどである。

 病院での「肥大」の治療は、リスク(前立腺がある場所には、性機能を司る重要な神経が多数走行するので)を伴う「手術」以外には、前立腺を「一時的に弛緩」させ尿の出を改善する、薬による「対症療法」が主で、これは根本療法とはならない。 (その他、保険が使える生薬製剤、漢方薬も使用されているが、「気休め」程度と考えられる)。

 「肥大」は、「老化」に伴う免疫システムの乱れから、内分泌システムが乱れるのが原因なので、免疫システム、治癒システムの正常化が、根本療法になる。ただし「肥大」が大きくなりすぎている場合は、外科的治療が中心になります。

 なおアメリカで最近「がん」に対する、大豆製品(豆乳が使われる)の「効果」を検証する大々的な実験が始まったようである。また男性ホルモンが前立腺に作用し、「肥大」を発生させる「経路」を遮断するという、植物(のこぎりヤシ)由来の成分が、フランスで開発され、日本でも健康食品として発売され始めた。(ただし健康食品には規制が少なくメーカーが乱立しており、しっかりしたメーカーを選ぶことが大切である)。

1998年を終えるにあたって

 ホームページを立ち上げて約2年たちました。一般の健康情報とは「少々趣を変えた視点からの情報」を心がけたつもりです。この間多くの方から励ましや賞賛や相談のメールを頂き、あらためてインターネットの広がりを感じます。この場を借りてメールを下さった皆様に御礼申し上げます。来年も日々の患者さんとの相談の中から感じたことを、折々に記して行きたいと思います。

 今、インターネットを始め、多くのマスコミの中に、膨大な健康情報があふれています。しかしその「質」を考えると、多くの「疑問」を感じます。特にテレビや健康雑誌にあふれる、特定の商品を売らんがための「仕掛け情報」にはうんざりします。また健康情報に対するチェック能力の不足からか、大新聞でさえも「一方的かつ時代錯誤的な」情報を発信続けています。

 そのために多くの方々が「明らかにその方には合っていない薬」や、「無意味な健康食品」を求めて、右往左往しているのが現状ではないでしょうか。

 健康、病気、薬、健康食品等々、情報は刻々変化しています。数年前の「定説」が、今では「間違い」といったことがたくさんあります。幸い最先端の医学情報を垣間見る立場にありますので、「第三者的視点」から判断し、ホームページに掲載して行こうと思います。「私見」を交えることもありますが、どうぞお許し下さい。

 どうぞ良いお年を!

自律神経失調症には「非日常」が良い薬になります

 自律神経失調症は別項で書いたように、漢方では「肝気欝結」と言って「肝」の経絡を巡る「気」が滞った病気です。したがって治療法は「発散」して、「気」がよく巡るようにすれば良いのです。

 ところが自律神経失調症の方は、この「発散」の仕方が下手なようです。運動選手、肉体労働など常に汗をかき、動き回る仕事の人、生き生きと趣味に生きる人、恋愛中の人、こういう人達に自律神経失調症の方はあまり見受けられません。肉体的にも精神的にも日頃から無意識のうちに「発散」をしているからなのでしょう。

 私は自律神経失調症か否かの判定のひとつに、「旅行中(運動中)」や「一番楽しいことをしている時」にその症状が「消えるか軽減されるか」を聞きます。そうならばほぼ間違いなく自律神経失調症と判断出来ます。例えば「動悸」という心臓の症状の場合、本当の心臓の病気ならば、運動すれば逆に動悸はひどくなりますが、自律神経失調症の場合には消えるか軽くなります。

 また自律神経失調症になりやすい方は、「日常の生活」からかけ離れたことを嫌います。毎日を自分の決めたリズム、パターンで過ごし、はめを外しません。仕事を終えるとまっすぐに帰宅し、外出も好みません。自宅に閉じ込もることを好みます。

 ということは自律神経失調症の方には、日常の生活の中に「非日常」を取り入れることが大切なのです。休日を利用して旅行、軽い山登り、ジョギング(外気に触れることが大切)などを生活の一部に取り入れることを是非実行してみて下さい。たまにははめを外すことも必要なのです。若い女性によくすすめるのですが、海外旅行という最も「非日常」の場合には、症状は消えてしまいます。またこれをきっかけに完全に治ってしまう場合さえあります。

 また精神的に「発散」することも大切です。日常の仕事、生活とはまったく関係ない「打ち込めること」(例えば趣味)、自分のためだけではなく、他人のためにもなること(例えばボランティア活動)を取り入れることも良いことです。

 ボランティア活動は特におすすめです。自律神経失調症の方は、常に自分の体や症状のことばかりを考えてしまい、悪く言えば「自分勝手」な部分もあるので、「他人のためになること」のすばらしさを知って、「精神的発散」をすることは自分自身のためにもすごく良いことなのです。

別項「自律神経失調症と ”超”非日常」参照


親兄弟に「がん」がある方は若い時からの予防が大切です

 「正常細胞」では細胞分裂のシグナルは、細胞分裂を「制御」するメッセージ(遺伝子が作る蛋白質)として、細胞表面から核へという経路(促進性と抑制性の2つの経路がある)で伝達されます。ここで細胞時計として知られる分子装置がメッセージを集積し、細胞が「分裂すべきかどうか」を決定します。

 「がん細胞」では「遺伝子変異」により促進性の経路が、過剰な「進め」シグナルを発信するか、あるいは抑制性の経路が、「止まれ」のシグナルを伝えられなくなるために、過剰に分裂する細胞となります。このがん細胞が無限に分裂を続け、免疫システムの監視の目をくぐり抜け成長し、何十年の歳月を経て始めて、検査で判定出来る大きさの「がん」になります。

 このように「がん」の発生には遺伝子の変異(異常)が深く関与し、次々と 「ガン関連遺伝子」(「ガン遺伝子」、「ガン修復遺伝子」、「ガン抑制遺伝子」)が特定され、さらに「家族性ガン遺伝子」と言えるものも、いくつか報告されるようになってきました。(メラノーマのMTS1,遺伝性乳がんのRCA2、遺伝性卵巣がんのBRCA1等)。

 「乳がん」の母親を持つ女性に「乳がん」が、「前立腺がん」の父親を持つ男性に「前立腺がん」が、「肺がん」の親を持つ方に「肺がん」が出やすいこと等も、近いうちに遺伝子の面からも証明されるようになると思います。

 したがって食べ物、環境因子、ストレス、喫煙などの「がんリスク」の中でも「遺伝子」リスクを最も考慮にいれなくてはならないのですが、「遺伝子」を変えることは不可能です。アメリカでは遺伝子検査で「家族性乳ガン遺伝子」を持つ女性が、若いうちに乳房をあらかじめ切除することなども行なわれているようですが、問題も多く現実的ではないようです。

 一方普通の人間でも毎日数千個の「がん細胞」が生まれており、これを免疫システム、治癒システムなどが「認識」「処理」し、「がん」になることを阻止していることもわかってきました。

 決定的な「がん治療法」がない現状では、「がんで死なない」確実かつ最良の方法は「予防」しかないのです。

 これらを考えると、親兄弟に「がん」をもつ方には、「若いうちから」免疫システム、治癒システムの疲弊(乱れと低下)を防ぐことが、最も現実的な「がん予防法」であると結論してもよいのではないでしょうか。「若いうち」とは免疫システムの低下が始まる30才前後、遅くとも治癒システムの低下が始まる40才前後と考えて下さい。特に親が50才以前に「がん死」した方では、40才では「遅すぎる」と考えたほうが良いと思います。(別項 「がん」は本当に「怖い病気」なのか・・・「がん」発症の最新のメカニズム参照)