のどの異物感とブラジャーがきらいな女性

 このページの下の方の項目をご覧下さい。自律神経失調症独特の症状です。

「バイアグラは精力剤だ」という誤解

 バイアグラは性機能に働く薬ということで異常に関心を集め、日本でも異例の早さで厚生省から承認を受け発売されました。マスコミでも面白おかしく報道され、中には「すけべ」を自認する著名な作家の座談会で、バイアグラを服用させ、「効いてくるまでの実況報告」をやるという、馬鹿な雑誌まで登場しました。
これも私が何回も書いている「マスコミの健康報道の見識のなさ」を示すよい例でしょう。

 バイアグラはインポテンス(男性の勃起不全)の薬です。すなわち「性欲があるのにもかかわらず、勃起しない」という「病気」の薬なのです。性欲を高める作用はないのです。勃起のメカニズムとその障害について説明します。

 性的刺激の信号が陰茎に伝えられると、陰茎の血管平滑筋でNO(一酸化窒素)が産生され、これが血管拡張作用を持つサイクリックGMPという物質を産生します。これが陰茎の血管平滑筋を弛緩させ、その結果血液が陰茎の海綿体に流入し勃起が起こります。

 一方ホスホジエステラーゼ5(PDE5)という酵素は、サイクリックGMPを分解してしまいます。インポテンスの男性では、この酵素が異常に働き過ぎ、サイクリックGMPの作用が血管平滑筋に及ばないために、勃起が起こらないのです。バイアグラは酵素PDE5の働きを阻害することにより、サイクリックGMPを介して間接的に「勃起」という薬理作用を発揮させる薬なのです。ですからもともと性欲の欠如している人が(NOもサイクリックGMPも産生していないから)服用しても全く効果は期待出来ないのです。

 バイアグラが作用するPDEは中枢神経、循環器、網膜、消化器、血球系などの組織にも広く分布している酵素で、(その内PDE5は陰茎以外の血管平滑筋、血小板にも分布)、そのために頭痛、顔面紅潮、消化不良、視覚異常などの副作用があり、特に心臓の薬として使われているニトログリセリン等の硝酸剤(窒素Nを含む)との併用で、急激な血圧低下を起こし死亡(多くは腹上死という)する例が米国で多発しています。

 もっとも「性」は精神的な要素が大きく作用するものであるので、バイアグラを精力剤と誤解して服用しても、「精力剤を飲んだ」という暗示で勃起することがあかるかもしれませんが・・・・・。

「痒い乾燥肌にはベビー石鹸が良い」という誤解

 冬になり湿度が減ってくると、皮膚が乾燥し痒くなる方がいます。昔は「老人性皮膚掻痒症」といって、やせ気味の老人によく見かける皮膚病でした。ところが最近では若い方にも見受けられるようになりました。中にはアトピーと併発し象のような皮膚になり(象皮症)、強い痒みのため睡眠中も無意識にかきむしり、シーツが血だらけになってしまうという方もいます。

 乾燥性皮膚疾患は、漢方的には「熱」(「実熱」と「虚熱」があります。別項参照)が原因の病気で、この「熱」の治療(「清熱」と「補陰」、「滋潤」)と「治癒システム」の正常化が根本療法になります。またこの病気の原因は食べ物や生活習慣にもあり、「熱」を与える食べ物の取りすぎと、「石鹸の種類と使い方」に注意が必要です。食べ物については別項に書いたので、ここでは「石鹸の種類と使い方」について書きます。

 最近手軽に使えるためか、液体のボディーソープで体を洗う若い方が増えてきました。液体ボディーソープは洗浄力が強すぎるということと、液体なのでついつい使い過ぎ、潤いを保つために必要な「皮脂」を取りすぎ、皮膚の「免疫システム」のひとつである「皮膚バリア」を低下させてしまう恐れがあります。

 したがって皮膚が乾燥しやすい方は、液体ボディーソープを使わないこと、どうしても使いたい方は、泡立つ「必要最小限」の量をやわらかい綿製のタオルに取り、よく泡立ててから(固形石鹸でも同じですが)使うことが大切です。もうひとつ大切なことは、「垢すり」のようなナイロン製タオルで、ゴシゴシ洗いすぎないことです。

 特に気をつけて欲しいのは「ベビー石鹸」です。よくベビー石鹸は「皮膚に 優しい」からと、皮膚病や乾燥肌の方が使っていますが、大きな「誤解」です。「ベビー石鹸」はたしかに目にしみないように出来ているので、つい「優しい石鹸」と誤解されやすいのですが、「脱脂能」が強いのです。もともと赤ちゃんは皮脂の分泌量が多いので、「脱脂能」の強い石鹸が必要なのです。

 「清潔志向」が強い昨今ですが、皮膚が乾燥しやすい方は、固形石鹸といえども、毎日使うことは考えものです。皮膚の新陳代謝の盛んな顔、首、手足、腋の下、陰部などの粘膜以外は、「湯」で洗うくらいにしておいた方が良いのではないでしょうか。(「垢が貯まっても死ぬことはない」と昔から言いますね)。

 どうしても石鹸を使いたい方は乾性肌用の低刺激性石鹸、例えばアトピコスキンケアソープ、ダーマメディコセブンソープなどを使えば良いでしょう。

春が「不快な季節だ」という人が増えてきた異常

 春は生物にとって最高に良い季節です。花が一斉に開花し、草木が一斉に繁茂し始め、寒さに凍えていた動物達も、一斉に野原をかけづりまわり始めます。人間も動物である限り、春を「快適な季節」と感じている筈です。「春よ来い、早く来い」と昔の童謡では、春は「待ち遠しい」ものだったのです。

 ところが最近「春になると調子が悪い」という、「生物が感じる季節感に反する異常人間?」が増えてきました。

 花粉症が始まる2月中旬を境に、アトピー性皮膚炎、湿疹、にきびなどの皮膚疾患、めまい、息苦しさ、動悸、のぼせ、頭重、微熱感、不眠などの自律神経失調症、生理不順などの婦人科疾患、結膜炎、充血などの眼科疾患、肝臓疾患の増悪などで、医療機関は忙しくなります。

 この原因を漢方医学的に考えると、別項(春になると体調が悪くなる人)のようになりますが、現代医学的には、人間の生命を支える免疫システム、自律神経システム、内分泌システムと、さらにこの3つのシステムを支える治癒システムの面からも、その原因を考えることが出来ます。

 人間の健康、すなわち「快適さ」を支えているものが、免疫システム、自律神経システム、内分泌システム(以後この3つを「生命のトライアングル」と言います。)です。これらシステムはそれぞれ胸腺、視床下部、ホルモン分泌器官によりコントロールされています。これらの臓器、器官は、すべて細胞によって作られていることは言うまでもありません。

 さらにこのトライアングルを支えているものが、別項に書いた治癒システムです。すなわち活性化マクロファージによる、新陳代謝、老化、がん化等により生成した、不要物、異物の「排除システム」です。

 春には細胞の新陳代謝が盛んになります。トライアングルの中枢である胸腺、視床下部、ホルモン分泌器官を構成する各細胞も、新陳代謝が盛んになり、不要になった細胞と新生された細胞が、はげしく入れ代わり始めます。

 治癒システムが正常ならば、この入れ代わりはスムーズに進行し、トライアングルの中枢も活発化し、生命は「快適さ」を享受することが出来ます。

 一方治癒システムが乱れたり低下している場合には、不要になった細胞の「排除」が進まず、ひいては細胞の新生もスムーズに行かなくなり、トライアングルの中枢は「機能異常」を起こしてしまいます。

 これが春になると上述の疾患を増やし、「不快さ」を演出する原因になるのです。すなわち春になり細胞の新陳代謝が盛んになると、「快適さ」の方向に進むのか、「不快」の方向に進むかの「舵取り」は、治癒システムが「正常か否か」にかかっているのです。


人間は大脳が「奇形」なるが故に精神的ストレスを受ける

 この項目は次の項目と関係があるので参照して下さい。

「人間以外の動物も精神的ストレスを受ける」という誤解

 ペットの毛が抜けたりすると、よく「こいつも精神的ストレスを受けているんだな」と言います。あたかもペットの世界にも人間社会と同様に、精神的ストレスが存在するかのようです。これは間違いなのです。

 たしかに動物に苦痛、拘束、飢餓など、生存を脅かす「物理的負荷」を与えると、動物にもストレスが生まれ、毛が抜けたり、胃潰瘍になったりします。しかし人間のように、犬が「犬間関係で悩んで自殺した」などは聞いたことがないでしょう。動物には「精神作用」がないのです。(チンパンジー、ゴリラなどには、多少の精神作用があるらしいが、動物の中では例外中の例外である)。

 哺乳類が進化を遂げ、チンパンジーからヒトになった時に、脳に「大変化」が起こりました。それが大脳の「巨大化」です。これは地球上に存在する何万種の哺乳動物の中で、ただ一種「ヒト」だけが持つ「奇形」なのです。

 整った容姿を持つ、サラブレットやシェパード犬から見たら、ヒトは「バカでかい頭を持った奇形児」なのです。もし将来、地球人が異星人(進化が進んでいると仮定すれば)に会ったら、やはり「異星人は頭でっかちの奇形だ」と思うでしょう?。

 「脳」を機能別に大きく分類すると、食欲、性欲など生存と繁殖に必要な、生命維持を司る「脳幹」(その中でも特に大切な働きを持つ部分が視床下部)と 「大脳」に分けることが出来ます。(小脳は省略)。さらに「大脳」は喜怒哀楽など感情を司る「辺縁系」、精神作用(理性、知性)を司る「大脳新皮質」に分けることが出来ます。(大脳の体積の大部分を占める左右脳半球は、豆腐に例えられるように、白い「髄鞘」と呼ばれる神経のネットワークで、その表面の数ミリを「大脳新皮質」と言い、ここが人間だけが持つ精神活動を行なう部分である)。

 問題はヒトと動物ではその「比率」が全く違うのです。すなわち動物の脳は 「脳幹」と「辺縁系だけの大脳」だけでできており、この2つの「釣り合い」が「生命維持」に都合がよいように出来ています。そのため動物は「感情」のおもむくまま、何の制約も受けずに、生きて行くことが出来るのです。

 一方ヒトは「奇形」の張本人である「大脳新皮質(を含む左右脳半球)」のために、「脳幹」と「大脳」との「釣り合い」を大きく崩し、「脳幹」をオーバーコントロールしているのです。「辺縁系」(感情)とそれを上位からコントロールする「大脳新皮質」(精神作用)との軋轢が、「脳幹」にまで及び、その中心である視床下部を傷つけ、これが支配する自律神経までも乱してしまうのです。

 大脳の巨大化という「奇形」のおかげで、ヒトは精神作用(理性、知性)を獲得し、文明を築き上げてきたのですが、逆にこれにより動物にはない「精神的ストレス」を受ける運命になったのです。

 ヒトが更に進化を遂げて良いものかどうか、こんなことを考えると、それこそ自律神経失調症になってしまいますね。

ブラジャーをつけることが苦痛な女性は要注意

 一般に女性は入浴、就寝時以外にはブラジャーをつけているのが普通です。ところがブラジャーや帯で胸を圧迫することが苦痛で、帰宅するとなにはさておき、ブラジャーをはずしてしまう女性がいます。胸の大小は関係ないようです。

 男性の場合にはあまり目立ちませんが、きつい下着や腹巻、ベルトなどで胸や脇を圧迫するのが苦痛だと言う方がこれに相当します。これは漢方の処方を決める上の大切な「証」の一つの「胸脇苦満」をあらわしていると言ってよいでしょう。

 現代医学的な肝臓の異常(検査値にあらわれなくても)を意味する場合もありますが、多くは漢方的な「肝」の「亢進」を意味します。すなわち「肝」の「働きすぎ」を示しています。「肝」はとかく「働きすぎる」傾向を持ち、車に例えると「アクセル」の踏みっぱなしの状態と言えるでしょう。

 これを現代医学的に見ると「交感神経緊張症」といって自律神経失調症の一つの症状です。(別項参照)。ストレスに対して敏感に反応し、イライラしたり、怒りっぽくなったり、めまいや動悸、不眠を訴えたりします。さらにこの状態が続き「肝」が疲弊すると、「肝を巡る気」が滞り、「肝気欝結」(「肝欝気滞」とも言う)という状態になり、これらの訴え以外に逆にクヨクヨしたり、不安感や憂鬱感を訴える場合もあります。
                 
 したがって「最近ブラジャーがきつくなったな」と感じ始めたら、「何かストレスを受けているな」と判断し、なんらかのストレス発散の手段を講じたり、 「肝」の疲労を回復すべく、睡眠を十分とるなどの自衛手段を考えなくてはなりません。さらに上記の症状が始まったら、自律神経失調症の「前兆現象」と考えて、然るべき専門家に(ろくに問診もせずに精神安定剤を出す医者は最低)相談した方が良いと思います。(次項参照)

のどの異物感を訴える方

 話している最中にのどを鳴らしたり、咳払いをしたりする方をよく見受けます。「何かのどに物が詰まっている」と訴える場合もあります。程度も軽いものから、あまりのつらさに、のどに「冷えピタ」を張り付けたり、「出来ればのどをもぎとってしまいたい」と訴える方もいます。

 のどの「がん」ではないかと咽喉科を訪れ、医者に「がんではない。そんなことをしても無駄」と言われても納得せずに、手術までして確かめてもらった方も現実に来店したことがあります。他人からは大したことはないように見えても、本人にとっては非常につらいものなのです。

 これも前項の「ブラジャーの嫌いな女性」に書いた場合と同じで、漢方薬の処方を決定する一つの重要な「指標」になります。漢方用語で「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」とか、「梅核気(ばいかくき)」と言い、江戸時代にはもっとくだけて「ヒステリー球」とも呼んだようです。意味は「あぶった肉」や「梅の種」がのどに詰まってしまったような感じを現わしています。

 甲状腺の異常で現れる場合もありますが、甲状腺の検査結果で異常がなければ「自律神経失調症」と片づけられてしまう場合が多いようです。治療の必要を認めない程度の軽い慢性甲状腺炎(機能亢進)と自律神経失調症との境界は、「あいまい」なものです。

 漢方ではこの症状を「肝気欝結」の一つと捉えています。「気剤」と呼ばれる「発散作用」のある薬物や、「利水剤」と呼ばれる「利尿作用」のある薬物が使われることから判断できるように、原因は「ストレス」にあり、物理的には咽喉部に何らかの「むくみ」があるという判断なのです。

 耳鼻咽喉科をあちこち巡っても良くならない症状が、漢方薬を使うと「あっけなく」解消されてしまい、「現代医学より漢方の方がすばらしい」と言わしめる代表的症状です。

 しかし何回も書いているように、漢方薬は「効かせる薬」ですから、良くなったと服用を中断すれば、しばらくして再発してしまいます。やはり根本的には 「治癒システム」、「免疫システム」の低下や乱れを回復させなければなりません。