小児アトピー、小児ぜんそくにさせた母親の3つの誤り

 少しきつい表題になりましたが、何も母親が悪いのではなく、これら誤りを知らせるシステム(保健所の乳児の栄養、健康指導を始めとする厚生行政と、それを鵜呑みにする一部の小児科医、栄養士、育児書、雑誌、新聞)に責任があるのです。

 小児アトピー、小児ぜんそくの増加は、医学、栄養学の進歩?にもかかわらず急増し、社会問題化しつつあるのが現状です。この背景には意外にも「おばあさんの育児の知恵」を無視した、最近の「誤った育児情報過多」があります。

1:離乳食の種類と始める時期の誤り

 1才未満の赤ちゃんの腸の消化吸収能力は未完成なため、未消化な蛋白質も吸収してしまい、さらに免疫システムの学習経験が未熟なため、「異物」として認識、排除が出来ず、結局は体内に取り込んで「抗原」となってしまいます。これがアトピー体質、ぜんそく体質の「原点」になります。卵、牛乳などの動物性蛋白質を与えるのは、腸の消化吸収能力が完成に近づく1才を待たなければならないのです。

 ところが「離乳は早いほうが良い」、「まるまると太った赤ちゃんが健康」という間違った指導がなされ、4−5カ月ころから、しかも卵、牛乳を含む離乳食を始めてしまう母親があとをたちません。おばあさんが同居する家庭では、チェック機能が働き、「まずは重湯から」という「何世代も引き継がれた知恵」が、赤ちゃんを救ってくれています。離乳時期は1才でも決して遅くはないのです。

2:おしゃぶりを早く取り上げてしまう誤り

 これはおばあさんの時代にも、日本では誤って理解されていたようですが、 「みっともないから」とか「歯並びが悪くなるから」とかの理由で、赤ちゃんからおしゃぶりを無理矢理に取り上げていたようです。(おしゃぶりに辛いものをつけてまで取り上げていたようですね。)

 最近の若い女性の多くは、結婚前に海外旅行の経験があるようですが、欧米の町では、4−5才の子供(赤ちゃんではない!)がおしゃぶりをくわえて、ベビーカーに乗せられているのを目撃している筈です。(ブランド品あさりでそれどころではない?。)

 おしゃぶりは、将来起こり得る免疫疾患を防ぐ大切な「防波堤」です。それは「口呼吸」という、「してはいけない呼吸方法」を防いでくれるからなのです。口の奥には「いわゆる扁桃腺」を始め5つの扁桃組織が、リング状に配置され、免疫システムの最前線として、細菌やビールスなどの外敵から身を守っています。ところが「口呼吸」を続けると、「常時」空気中の細菌やビールスが多量に入り込み、大切な免疫システムの最前線である扁桃腺を「疲弊」させてしまい、その結果、これらの体内への侵入を許してしまいます。

 赤ちゃんは2才半くらいまでは、おしゃぶりを吸うのを好みます。早く取り上げないで、4−5才になってもまだ欲しがるようだったら、続けさせても良いのです。

3:ベビーカーの使用を早くやめてしまう誤り

 1−2才の赤ちゃんをお持ちの方は気がついていると思いますが、小児科の窓口は「月曜日」が込み合います。それは日曜日に赤ちゃんが「無理をさせられている」証拠なのです。1才を過ぎ歩きだすと、赤ちゃんは俄然活発になり、しかも動作が可愛くなります。両親は「つい」外に連れ出す機会が増えてしまい、よたよた歩きを「見て楽しんで」しまいます。

 歩くという動作は成人にとっては何でもないことですが、歩き出したばかりの赤ちゃんにとっては、それは大変な動作なのです。またハイハイから2足歩行に変化した時の股関節、膝関節に与える「重力」の影響は、それこそ「衝撃的」なはずです。

 免疫システムの中心であるマクロファージを始めとする免疫細胞(白血球)の多くは、骨髄で作られています。骨の中でも「骨頭」と呼ばれる、長い骨の両端で多く作られています。赤ちゃんの骨(他の細胞もそうですが)は、ものすごい早さで新陳代謝しています。ところが「赤ちゃんの能力以上に歩かせる」ということは、骨頭に大きな衝撃を与え続ける動作になり、結果的に免疫細胞の生成に悪影響を与えてしまいます。

 それでなくても赤ちゃんは、毎日毎日経験したことがない「異物」の洗礼を受け、免疫細胞を消耗しやすくなっています。(免疫システムの学習中。)それなのに無理矢理歩かされたら、免疫細胞の破壊ばかりが先行し、生成が追いつかなくなります。そして月曜日になると、免疫システムがダウンしてしまうのです。

 赤ちゃんにはベビーカーをどんどん使ってあげるべきなのです。

スポーツが健康に良いという誤解

 あらかじめお断りしなければなりませんが、「運動」が悪いと言っているわけではなく、「肉体を酷使するスポーツ」を問題にします。

 健康ブームの昨今、子供から老人までスポーツが広く奨励されており、ジョギングのメッカ、皇居周辺では楽しそうに、中には息絶え絶えに走る老若男女を見ることが出来ます。またプールではダイエットが目的なのでしょうか、中高年のご婦人が、せっせと泳いています。(運動とダイエットについては次回に書く予定です)。

  運動が健康に良いのか悪いのかについては、色々な説が入り乱れていますが、少なくとも「軽度の運動」が健康に良いことは、定説と言って良いと思います。
(一万人以上のサンプル数、10年にわたる追跡調査という点で、1993年に発表されたハーバード大学のバッフェンバーガー博士の研究が有名)。

 ただ時々新聞に出る「まだ50代の元スポーツ選手の死亡記事」などを見ると、「激しいスポーツは、かえって健康を損ねるのではないか」という疑問も沸いてきます。

 古代ギリシャのヒポクラテスが「運動は寿命を縮める」と言って以来、「運動選手は一般人に較べ短命」という考え方が、広く行き渡っています。

 1992年発表の大妻女子大学、大沢清二教授の研究では、国立大学男子卒業生、3000人を文科系、理科系、体育系の三群に分け、寿命を比較したところ体育系は文科系、理科系に較べ、それぞれ6.2才、5.5才短命という結果が出ています。

 また郡山女子大学、森一博士の研究では、1万人以上の日本人集団の寿命を、職業別に比較したところ、運動家の寿命(64.7才)は、小説家、詩人と並んで最下位で、最長寿の宗教家に較べ12才以上短命となっています。

 (ただしこれらを否定するデーターがないわけではありません。例えば1930年代と少々古いデーターですが、アメリカの生命保険会社が、38000人のサンプル数で行なったデーターや、日本で行なわれた柔道6段以上の890人と、一般人との10年の追跡調査によるデーター等では差は認められていません)。

 しかし活性酸素の研究が進んできた昨今では(別項参照)、「激しいスポーツは健康に悪い」という説が、俄然真実味を帯びてきます。

 肉体を酷使する激しいスポーツでは、必然的に呼吸数が増え、それに伴い活性酸素の発生量が急増します。活性酸素が「老化」や「がん」の原因だとすれば (これは多分間違いないと思われます)激しいスポーツが寿命を縮めるだろうことは、容易に推測できます。

 正月三が日には実業団駅伝、箱根大学駅伝が放映されました。「スポーツ選手は、健康そうですばらしいなあ」なんて思われる方も多いと思います。ただここに書いたような「目」で見ると、彼らは「一生懸命走りながら活性酸素を体内に発生させ、寿命を縮めているのだなあ」という皮肉な見方もできるのです。

 また大人ばかりではなく、成長が続いている子供たちに、サッカーや野球の特訓と称して、長時間のジョギングなどを課すことは、考えなくてはいけないのではないでしょうか。前項の「ベビーカーの使用を早くやめてしまう誤り」に書いたように、免疫細胞の生まれる「長い骨の両端の骨髄」に、長時間の過剰な重力刺激を与え、その結果免疫システムが脆弱化する恐れが十分に考えられます。

 すべて「過ぎたるは及ばざるが如し」で、健康のためには、1時間程度の散歩を続けることが、最良の方法なのではないでしょうか。 

スポーツでダイエットが出来るという誤解

 どこの町の水泳教室やジョギング愛好会にも、中高年の進出が著しいようです。水泳やジョギングなど、ある程度の激しさを要求するスポーツにも、あきらかに「ダイエット目的」の「豆タンク」のような女性(もちろん男性も)が入会してきます。
 ところがよく聞いてみると、そのような方は長続きせず、結局は数回顔を見せるだけで、すぐ退会してしまうそうです。1時間程度の水泳やジョギングを1月続けたくらいでは(長く続けたとしても同じ)、体重の減少はまったく見られないので、あきらめてしまうようです。

 「肥満イコール食べすぎ」という事実は知っていても、おくびにも出さず、より「カッコ悪さが少ない」、「肥満イコール運動不足」の「定説」を盲信してしまっているようです。

 はたして運動不足は肥満の原因なのでしょうか。通勤、通学と仕事、家事以外、まったく運動をしないという人は、ごまんといる筈です。その人たちが皆肥満だとはとうてい思えません。

 簡単な算数の問題です。「散歩」と「泳いたり遊んだりする水泳教室」での1時間の消費カロリーは、それぞれ約150、320 kcalです。例えば水泳教室の後「一汗かいたし、腹も少し減ったから」と、ちょっとビール大びん一杯(235Kcal)とショートケーキ1個(160Kcal)と、つい手が出てしまったとします。あっという間に約400Kcalが入ってきて、差し引きプラスになってしまい、1時間運動に励んだ努力はパーとなってしまいます。

 別の計算をしましょう。ラーメン1杯(460Kcal)、かつ丼1杯(700 Kcal)を食べすぎたからと、それぞれの過剰摂取カロリーを「散歩」と「水泳教室」で消費しようとしましょう。ラーメンでは、それぞれ3時間、1時間半も運動しなければなりませんし、かつ丼では、それぞれ4時間半、2時間も運動しなければならないのです。かように食べたもののカロリーを、運動だけで消費しようということは、大変なことなのです。

 肥満傾向がある方の食事を計算すると、1000Kcal以上オーバーしている場合が珍しくありません。これを運動だけで消費しようとしたら、「プロのスポーツ選手並みの運動量をこなさなければならない」ということなのです。
別項別項参照)