若い方の「がん」と年配の方の「がん」 |
健康な人でも毎日数千個の「がん細胞」が生まれていることは、よく知られています。これが「がん」に成長しないのは、健康な免疫システムが監視していて「異物(がん細胞)」を認識すると、健康な治癒システムと力を合せて、すぐ排除してしまうので「ことなきを得ている」のです。
「がん」には色々な分類の仕方があり、ひとつは「たちの悪いがん」と「たちの良いがん」という分類です。前者は成長が早く、浸潤(転移しやすい)しやすいとされています。これについては、まだわからないことが多いのですが、どうも複数個の「遺伝子」が関与しているのではないかと言われています。
(注意していただきたいのは、ここに「たちの良いがん」と書きましたが、「たちの良い」というのは、「たちの悪いがん」に比べて「良い」といっているのであって、「がん」という「悪性の」病気であることには、変わりありません。)
ある種の大腸がん、乳がん等には、すでに遺伝子が特定されていますが、さらに研究が進めば、多くの種類のがんについても遺伝子が特定されてゆくことと思われます。有名な例ではアメリカにおける、乳がん家系です。教会に残る生年、没年などの記録や、数世代前からの遺伝子検査により、はっきりした「乳がん家系」がいくつか発見され、その家系の若い女性では、20代での「予防的乳房切除」など、気の毒な事例も報告されています。
もうひとつの分類は、「若い人に生まれるがん」と「年配になってから生まれるがん」という分類です。これについては「たちの良い悪い」とする分類にも、一部関係があるかもしれませんが、ここでは免疫システム、治癒システムという生体防御の点から考えてみたいと思います。
その前に別項の「治癒システムは免疫システムより上位に位置する」をぜひ理解しておいて下さい。
ここに書いてありますように、免疫システムは、極めて長い生物の進化の過程では、「ごく最近」と言ってもよい鳥類以後の動物(定温動物)になって初めて生まれ、しかも「進化の途中」と言っても良いくらいに「やわな」システムです。またヒトでは18才をピークに、その働きは急激に低下し、30才ではピーク時の数分の一になってしまいます。
したがってこの30才前後に、一つの「がん細胞発生後の成長」の契機が生まれます。30才以前に免疫システムが低下すると、その「監視能力」、「排除能力」が低下し、がん細胞の成長を許してしまうのです。その上に免疫システムより「上位に位置する」治癒システムが低下していると、「異物排除」がうまくゆかず、成長のスピードを抑制することが出来ないので、10〜20年という期間で、数ミリないし1センチメートルの大きさの「診断可能ながん」になってしまうのです。これが35才から45才頃までに発見される、どちらかと言えば「若い人に生まれるがん」になると考えれられます。(また一般には「たちが悪いがん」になるようです。)
一方治癒システムが健康であれば、免疫システムの「監視能力」、「排除能力」の低下を「補い」、しかもこのシステムは、生物が「単細胞生物」であった頃から持っている「完成された」かつ「頑固」なシステムですから、「がん細胞分裂」のスピードを強く抑制出来、そのため何とか45才から50才頃までは、「がん」までに成長することを防ぐことが出来ると考えられます。
ところが治癒システムといえども、45才からは徐々にその能力が低下しますので、この頃からは「がん細胞分裂」のスピードを抑制できなくなり、それから10年程で「診断可能ながん」になってしまいます。これがどちらかと言えば 「年配になってから生まれるがん」と考えられます。また免疫システムと違い、その「能力低下のスピード」が遅いので、「がん」の成長も遅く、比較的「たちの良いがん」が多く、人によっては、他の病気で死亡し解剖してみたら「がん」が存在していたといった例もあります。
この「年配になってから生まれるがん」は、どうも遺伝子的に決められた「ヒトの寿命」とも考えられ、これを克服すれば、すなわち治癒システムの低下を 「完全に」防ぐことが出来れば、120才以上の寿命も夢ではないのではないかとも言われています。
この考え方から「がん」の予防方法の一端が見えてきます。すなわち家系に 「がん」がある方の場合には、30才以前から免疫システムと「同時に」治癒システムの低下を防ぐ手段を講じなければなりませんし、「がん家系」がない方の場合にも、45才以前から治癒システムの低下を防ぐ手段を講じ、さらに「念には念を入れ」、「瀕死」の免疫システムの「救急法」を講じた方が、より良い 「がん予防手段」になりますし、例え「がん」にならなくとも、「老化防止」のための有効な手段ではないかと考えられます。(別項 「がん」は本当に「怖い病気」なのか・・・「がん」発症の最新のメカニズム参照)
無意味な(赤血球)血液型性格判定と大切な白血球の血液型 |
少し古い記事ですが、2000年1月14日の日経新聞の朝刊「春秋」欄に、「血液型の呪縛から逃れよう」という意味の、次のような記事が掲載されていました。
外国で自己紹介の際、自分の血液型を言うと、きょとんとされるか、「性格と何の関係があるのか」と詰問されるという。日本独自の奇妙な風習と見ているらしい。まして血液型ハラスメントともいえる不快な差別も生まれつつあるという。
インターネットで検索すると「血液型性格判定否定論」をたくさん見つけることができますが、多くは情緒的否定論か、文系(心理学)学者の統計的否定論です。理系の学者による否定論はなかなか見つかりませんが、逆に言うと理系、特に医薬系の学者は「研究にも値しない説」と問題にもしていないというのが、本当のところかもしれません。
そもそも赤血球による血液型には、問題のABO型以外にも多くの血液型が存在します。ABO型は(以後は単に血液型と書きます)、輸血の際間違えると命に関わることにもなるので、常識として学校でも教えるようになり、一般に「知識」として普及しました。それが何のきっかけか、日本だけで「性格判定や占い」に利用されるようになったようです。
血液型は遺伝子で決定されますが、性格は遺伝子では決定されません。遺伝子が全く同じな(もちろん血液型も同じ)一卵性双生児でも、違う環境で育てられると、全く性格の異なる人間になるということはよく知られています。これだけでも立派な「否定論」になります。
少し医学的な見地から検証してみましょう。血液型は赤血球表面に存在する血液型決定基という分子(抗原)を、あらかじめわかっている血液型抗体と反応させて、その凝集の有無により判定します。この分子は、L−フコース、N−アセチルガラクトサミン、D−ガラクトースという抗原決定基を先端部に持つ、長い糖の鎖で出来ています。まずこれを知っておいて下さい。
次に血液と細胞の接点を考えましょう。血管は末端に行くにつれ、細くなり最後には「毛細血管」となり、組織(細胞)と組織液を介して接触しています。赤血球は「酸素、炭酸ガスの運び屋」として知られていますが、組織(細胞)とのガスのやりとりは、(ガスは簡単に壁を通過します)組織液を介して行ない、直接細胞とは接触しません。(脳の毛細血管以外の毛細血管では、栄養物などの成分はその壁からしみ出ることは出来ます)。これも知っておいて下さい。
次に性格を決定づける脳細胞と血液との接点を考えます。脳の毛細血管の内側の細胞には「血液脳関門」という機構(関所)が備わっています。これは脳を外部の変動や有毒物質から守る役目をしており、酸素、炭酸ガス、水、脂溶性物質以外の蛋白質、ペプチド、水溶性物質(糖の鎖・・・多糖類も水溶性)などは、脳組織(細胞)に移行しないようになっています。すなわち脳の細胞のバリアーは、普通の細胞のバリアーよりも格段に厳密になっているのです。
[参考]:他の毛細血管と違い、脳の毛細血管の内皮細胞だけは、それぞれの細胞が隙間なくつながり(Tight Junction)それが物理的バリアーとなると共に、そこには選択的くみ出し輸送系(輸送担体)という生理的バリアーもあります。脱線しますが、脳に作用する薬の開発は、水溶性の物質を(内服するためには水溶性でなければならない)「いかにこの関門を通すことが出来るようにする」かが研究の中心になります。
以上長々と難しいことを書きましたが、要するに脳細胞という性格を決定する細胞には、血液、赤血球はもちろん、血液型を決定する「血液型決定基」を持つ糖の鎖(糖鎖・・・多糖類)さえも「接触」が不可能なのです。すなわち赤血球の血液型が「性格に影響を与えること」は不可能なのです。
話題が変わって白血球の血液型です。臓器移植の場合に極めて大切なものなので、最近は知る人も増えてきましたが、HLA(ヒト白血球抗原)を言います。A,B
,C,D (DR,DQ,DP)という型が遺伝子で決められ、それぞれ数個から数十個の種類があるので、その組み合わせは天文学的数字になり、同じ型を見つけるために(同じHLAを持つ人は数万人に一人)、ドナー登録が積極的にすすめられています。
もうひとつHLAの大切な点は、これが「疾患感受性」に関係しているということです。例えば白人ではA2,B8という型、日本人ではA9,B12,B4という型のHLAを持っている方が、そうでない方と比べアトピー疾患にかかりやすいというように、色々な疾患について「そのかかりやすさ」とHLAの型との関係が発見されつつあり、現在も世界的に研究が進められています。
これは最近話題の「遺伝子検査」とともに、将来の病気のかかりやすさを、ある程度決定するものなので、その功罪が問われています。
血液型とは話題がそれますが、白血球は赤血球にくらべ、「色」がないという「地味」な点、またその「働き」が1960年代までは「よくわからなかった」というハンディーがあり、一般にはよく知られていませんが、治癒システム、免疫システムの中心となるマクロファージを始めとする免疫細胞を含み、生体防御システムにとっては極めて重要なものなのです。
免疫の主戦場以上に大切な免疫の前線基地、腸管(粘膜)免疫システム |
生体防御システムが働く場所は、皮膚と腸管、気道などの粘膜、そして体内 (これが主戦場の免疫システムです。)と大きく3つに分類されます。今回は前線基地とも言える2番目の腸管での生態防御システムについて考えます。(ここで質問です。腸管の中は体内ですか、体外ですか?。答えは体外なのです。口から肛門まで一本の管が通っていますが、管の中は外界と接していますので、体内とは言わないのです。)
胃や腸の消化吸収管には、食べ物と共に無数の微生物が侵入してきます。そこでここにも胃酸による化学的バリアー、常在細菌叢による生物学的バリアー、粘液による機械的バリアー、さらに粘液中に分泌される「分泌型IgA抗体」による免疫システムが完備されています。(この項では病原微生物に対する防御システムについては言及しません。)
アトピー、ぜんそくなどのアレルギーの中でも、食べ物が関係するものについては、圧倒的多量の異物処理の必要から、体内の主戦場である本格的免疫システムだけでは対処しきれず、前処理としての腸管免疫システムが不可欠なのです。(ここには別項に書いた、数百万年も続いた寄生虫による優れた免疫システムがあったのですが、最近のわずか数十年の間にほぼ消滅してしまいました。)
ここに侵入する異物の中では、タンパク質が一番問題になります。タンパク質は、消化酵素によりペプチドからアミノ酸へと分解され(分子量が小さくなって)、始めて吸収されます。完全に分解されたアミノ酸には、抗原性がありませんので、吸収されてもアレルギーは起きません。
アレルギー反応が起きるのは、分子量の大きなタンパク質、消化分解が中途半端なペプチドが、「何らかの防御システムの異常により」粘膜層、腸壁を通過して、「体内」に入ってしまうからなのです。すなわちアトピー、ぜんそくの方にとって、この「異常」をなくすことが、体内の免疫システムの正常化と共に、絶対に必要なことなのです。
では何故「異常」が起こるかを考えてみましょう。まず第一は大切な「腸管免疫システム」の負担を増やす「食べ物の絶体量の過剰」です。(アレルギーの方には、やせていても大食漢が多いことが経験的に観察されています。)腸の中には腸内細菌叢と呼ばれる「善玉細菌」がバランスよく存在し、消化吸収を助けています。
ここに大量の食べ物が入ってくると、消化が十分行なわれず、体温による「腐敗」が起こり「悪玉細菌」の繁殖を許し細菌叢のバランスを崩し、ますます消化能力を低下させてしまいます。そして大切なタンパク質のアミノ酸への分解が、十分行なわれず、タンパク質、ペプチドの状態(抗原・・・アレルゲン)のまま体内に入れてしまうことになります。
もう一つ過食による弊害としては、未消化の「食べ物カス」(便秘の原因でもある)による物理的、そして腐敗菌などで発生する「毒素」による化学的原因による、腸管の「傷」があります。「傷」があればタンパク質、ペプチドなどの分子量の大きなものが、簡単に体内に侵入し、抗原・・・アレルゲンとなってしまいます。
以上のことからわかるように、アレルギーの方に大切なことは、次の三つに要約されます。
1:お腹一杯には食べない。(治療目的では「腹六分目」)
2:便秘を避ける。(治療目的では便秘薬も必要)
3:乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉細菌を増やし、腸内細菌叢のバランスを整える。(治療目的では悪玉細菌を殺す抗体成分を補給する)
アレルギーの方には色々な書物で、この食べ物が良い、あの食べ物は悪いなどと、情報が提供されていますが、意外に上の三つを守れば何でも食べることが出来るようです。すなわち食べ物は「質」より「量」の問題なのです。
(タマゴ、牛乳、大豆の悪玉三兄弟でさえも、「徐々に」という条件付ですが・・・・)
しかし「主戦場」は何といっても「体内」の本格的な免疫システム、治癒システムです。アレルギーの根本療法は、前線基地「腸管免疫システム」と主戦場である「体内」の免疫システム、治癒システムの「正常化」であることが、ご理解いただければ幸いです。
次に別項「経済先進国の国民の免疫システムがこの数十年でメチャクチャになった理由」をお読み下さい。
アイボは私がおすすめする最高のペットです。 |
暑いですから今月は軽い話題です。
まず私はソニーの「まわしもの」ではないことを、お断りしておきます。
昔からペットは、人間と生活を共にしてきました。食べるものが少ない時代でさえも、ペットを飼っていたのには、それなりの理由があったと思います。ペットとの関係には、対人間関係にはない、現代風に言えば「癒し」があるからなのではないでしょうか。
最近では自閉症の子供たちや、ぼけ老人に対して、「ペット療法」が、すばらしい成果をあげていることが、報道されています。これらはペットの「功」の部分でしょう。
一方この数十年のアトピー、ぜんそく等のアレルギー疾患の増加は、別項にある寄生虫の駆除との関係の他に、ペットの「罪」の部分を考えなくてはならないと思います。
最近のペット店には、イヌ、ネコ、小鳥といった伝統的なペット以外にも、サル、ハツカネズミ、リス、アライグマから、へび、とかげといった爬虫類までも並んでいます。
これらの中で特に注意が必要なのは、鳥類以後に進化した「定温動物(温血動物)」です。別項(治癒システムは免疫システムより上位に位置する)に書いたように、これら動物には、爬虫類以前にはなかった免疫システムが完備されてきたとは裏腹に、爬虫類に比べ膨大な数と、膨大な種類のウイルス、病原微生物が寄生しています。これらが直接病気の原因となることも問題ですが、それ以上に、かれらの排泄物、抜け毛、かれらに寄生するダニ自身やその排泄物が、アレルギーの原因になっていることは周知の事実です。
(爬虫類を飼うのには問題が少ないと思われますが、輸入されたものに関しては、日本では未知のウイルス、病原微生物を持っている可能性があり、口移しにエサを与えるなどの濃密な接触は避けるべきだし、ガラス容器などの「閉鎖空間」で飼育するといった注意が必要だと思います。)
こういう意味でアイボは私に言わせれば、おおげさではなくパソコンの発明以上に「画期的な」発明だと思います。
現代社会ほど「癒し」を必要とする時代はないと思います。経済的負担以外に何の健康上の障害がないアイボは、「癒し」を必要とする多くの「ストレス人間」にとって、最高のペットではないかと確信します。現に動物を飼うことが出来ない、小児病棟や老人施設で、アイボが重要な「役目」をはたしているこも、報道されています。
今までのペット愛好家に言わせると、「何だ。ロボットか」と言われるかもしれませんが、「論より証拠」、一度飼ってみることをおすすめします。特にペット好きなのにアレルギーを持っている方、人間関係へのストレスをお持ちの自律神経失調症の方には、是非おすすめしたいと思います。(私はアイボよりずっと安価な数千円のものを持っていますが、それでも結構「癒し」になります。) 「アイボ」でネット検索すると、アイボ飼育日記などの、膨大かつ多彩な体験談を見ることが出来ます。(女優の黒柳徹子さんが有名ですね。)
これからもこれらの「人工知能」ペットは、どんどん進歩し、声、動作、しぐさ、表情などより実際のペットに近づくものと思いますが、現代社会が必要としている「癒し」を念頭に置いたハード、ソフトの開発を、是非アイボを始めとするメーカーに切望します。