自律神経失調症とリンパ球比率

 このページの一番下の項目をご覧下さい。自律神経失調症は、がんをはじめとする難病の原因となる可能性を秘めています。すなわち、自律神経失調症の漢方治療が、がんをはじめとする難病の「予防策」なのです。

痛みなどの「炎症」とは、細胞(組織)が受けた損傷部分の「体積計算過程」であり、治癒反応だから、強引に鎮痛消炎剤などで抑えることは、治癒を遅らせます

 肝炎、腎炎、アトピー性皮膚炎、リューマチ性関節炎、肺炎、膀胱炎、中耳炎などなど「炎」のつく病気が、たくさんあります。さらに「炎」がつかなくても、単なる切り傷、風邪などの細菌感染症、骨折、肩こり、筋肉痛などでも、局部には「炎症」が起こっています。自律神経失調症でさえも、間接的ではありますが(神経性胃炎、神経性膀胱炎、偏頭痛など)「炎症」の病気を生んでいます。

 「炎症」とは、「痛み」「発熱」「腫れ」を伴いますが、これらは「体に異常が起こっていますよ」という信号と言われてきましたが、最近の薬物生理学の進歩により、もっと大切な事実が明らかにされてきました。それは「炎症反応は、局所を犠牲にして全身を守る反応」であり、生物が持つ生体防御システム(治癒システム)の精緻なメカニズムの一つなのです。

 ところがこういう事実を知ってか知らずか、アトピー、リューマチ、腰痛、肩こりなどに、極めて安易に「鎮痛消炎剤」「ステロイドホルモン」などが使われ、前項に書いたように「医療が病いをつくる」という現実を生んでいます。少し難しいのですが、このメカニズムを知ることが、矛盾だらけの現在の医療から「身を守る」ために大切ではないでしょうか。

 前半で、治癒システムの第一段階である「炎症反応」、後半で第二段階の「治癒過程」のメカニズムについて書いてみます。

 このメカニズムのキーワードが、「炎症反応」ではホスホリパーゼA2という酵素と、「治癒過程」ではLyso-Pcという物質です。細胞壁は、頭部から数本の足を伸ばしたような構造の「りん脂質」と呼ばれる物質が、頭部をくっつけてたくさん並んだ構造をしています。細胞が損傷を受けるとホスホリパーゼA2が活性化され、その働きでりん脂質のひとつである「ホスファチジルコリン」の2本の足が外れて、1本はアラキドン酸、もう1本がLyso-Pcとなります。これが「炎症」のスタートになります。

 アラキドン酸は、アラキドン酸カスケードといって、各種酵素により連鎖的にプロスタグランジンなどに代謝されます。その代謝産物により血流の増加、白血球、血漿たんぱくの血管透過性亢進を経て、白血球の浸潤、組織の破壊が起きます。この時に痛み、発熱、腫れが起こり「苦痛」を強いるのですが、大切なことは、この時に生体は、「細胞(組織)がどの位損傷(破壊)を受けているのか、その体積を計算」しているのです。これは次に起こる「治癒システムをどの程度作動させるかの計算」でもあるのです。

 老化が進むとホスホリパーゼA2の活性が弱くなり、その結果「炎症」は起きにくくなるのですが、逆にこの「計算」が出来なくなりますから、治癒システムがうまく働かなくなり、「傷が治りにくい」、「風邪が治りにくい」といった老人特有の「病気の遅延化、慢性化」が起こってしまいます。

 しかしもっと大事なことは、この過程の「痛み」を消そうと、「慢性の痛み」にさえも「安易に」「愚かにも」ステロイドを使ってしまう医者が、たくさんいるという現実なのです。

 ステロイドは、ホスホリパーゼA2を阻害することにより「炎症反応」のスタートを抑えるのですが、同時に免疫システムにとって重要なリンパ球を破壊し、胸腺を萎縮させることにより、免疫システムを強く抑制し、さらにマクロファージの移動を抑制することにより治癒システムをも強く抑制してしまい、結果的に「治癒」を遅らせてしまうのです。

 また鎮痛消炎剤(これを含有する貼り薬さえも)も「痛みの本体」であるプロスタグランジンの合成を抑制することにより「痛み」を消そうとするのですが、同時に交感神経緊張状態を作り、全身の血行障害を起こし、やはり「治癒」を遅らせてしまいます。

 損傷(破壊)の体積の計算が終わると、次にその程度から作動させるべき治癒システムが計算され「治癒過程(異物除去をスタートとして、組織の修復、細胞の再生で完結する)」に入りますが、その時反応のスイッチとなる重要な物質が、Lyso-Pcです。これと、普通に血清中に存在する蛋白質 Gc-グロブリンとが、私がこのホームページで時々書いている「治癒システム」の基本となる物質です。そして今まで書いてきた3つの物質であるホスホリパーゼA2、Lyso-Pc、Gc-グロブリンの活性度と量、それとこれから述べる免疫細胞の一つ、B細胞のLyso-Pcに対する感度が、治癒システムの強さ(物質的には、これから述べるマクロファージ活性化因子、MAFの量)すなわち「自然治癒力」を決めているのです。

 なお炎症から始まるマクロファージの活性化因子には、もう一つのルートで生まれるインターフェロンガンマがありますが、ここでは省略しました。また「炎症による細胞の損傷(破壊)」以外の「新陳代謝による細胞の死」でも、細胞壁からLyso-Pcが切り出され、同様に治癒システムが作動します。こちらの方が「老化現象に伴う色々な病気」にとっては重要なのですが、ここまでは炎症を中心に説明しました。

 これ以後は治癒過程に入りますから、別項「治癒システムは免疫システムより上位に位置する」の「続編」になります。

 血清蛋白質Gc-グロブリンは、糖蛋白と言って蛋白に糖の鎖がつながっている構造をしています。Lyso-PcがB細胞に働くと、その表面に酵素が現れ、この酵素がGc-グロブリンの鎖を切断します。さらに同じく免疫細胞の一つであるT細胞に働くと、もう一つの酵素が現れ、別の位置にある鎖も切断します。そしてGc-グロブリンの鎖の二カ所が切断された構造の物質こそ、マクロファージ活性化因子(MAF)そのものなのです。

 そしてMAFにより活性化されたマクロファージが、治癒過程(異物除去、組織の修復、細胞の再生)を強力に推し進め、治癒システムが完結するのです。

 外傷(炎症)を含めて「病気」は、すべて「細胞の死」から始まり、それが組織、器官、内臓の損傷となり発生します。「細胞の死」が、スムースに「細胞の再生」につながること、すなわち「スムースな細胞の新陳代謝」が、病気を治す「鍵」になります。これこそが「自然治癒力」そのものなのです。そしてマクロファージを活性化すること(物質的に言えば十分なMAFが作れること)が、治癒過程の最初の段階である「異物除去」に不可欠であり、低下した「自然治癒力」を修復する決め手になるのです。

 では「自然治癒力が低下する」とは、どういうことなのでしょうか。一言で言えば、「治癒過程に必要なマクロファージ活性化因子、MAFが作れない」ということです。
もう少し具体的に言えば、治癒過程スタートのシグナルとなるLyso-Pcの活性度、これが働くB細胞の感度、マクロファージ活性化因子(MAF)の「原料」となるGc-グロブリンの量の三つが低下しているということです。これら三つの低下の原因には、「老化現象」を筆頭に、ストレス、働きすぎ、休養(睡眠)不足、栄養バランスの悪さ(過食と過度の少食)等があります。

 近年、糖尿病、高血圧など「老化で起こる病気の若年化」が、警告されています。若い年代に自然治癒力の低下現象が顕著になってきています。十分なMAFが作れなくなっているのです。

 治癒システムを研究している研究者達は、「Lyso-Pcに代わる治癒過程に入るスイッチ物質」を探究してきましたが、量や活性度が不十分なLyso-Pcでも、B細胞の感度を上げさえすれば、治癒過程がスムースに進行することがわかりました。そしてB細胞のLyso-Pcに対する感度を上げる物質が、「感光色素」のいくつかから見いだされ、これが低下した治癒システムの修復物質として、注目を集めています。別項「花の色は植物の生体防御システムの一つです」参照 

交感神経緊張(ストレス)、睡眠不足、過食が続く生活の将来を予測する

 現代人は、いつからこんな生活を続けるようになってしまったのでしょうか。
中高年の病気といわれた「成人病」が、若い人にも蔓延しはじめ、最近では小学生にさえも糖尿病が見いだされるなど、「老化現象」の「若年化」が進み、ついに「成人病」の名前が、「生活習慣病」に変更されてしまいました。

 こんな生活を続けている現代人の健康は、これからどうなって行くのか、今はやりの「危機管理」の「健康版」と考えてお読みいただきたいと思います。

 過食については、別項「経済先進国の国民の免疫システムがメチャクチャになった理由」に書きましたので、今回は最初に「睡眠不足」をとりあげ、次いで「交感神経緊張(ストレス)が続く生活」を書きます。

 私が中学生の頃の「保健」の先生に教わったのは、「必要な睡眠時間は、大人で8時間、子供で10時間」だったと記憶しています。それが最近では、「必要な」という文言が「理想的な」になってしまっています。はたして現在、「必要な」睡眠時間を確保している方が、どれほどいるのか? 特にこれから成長する子供の場合はどうか?

 日経新聞2002年5月17日付け夕刊の「異変 子どものからだ」に、「おそろしい」ことが書かれていました。「日本小児保健協会の全国的な調査でも、1才から7才未満の子どもで午後10時以降に寝るのは90年で3人に一人、一昨年は半数に上がり、生活の夜型傾向は強まるばかりだ」と。

 店頭に、3才の子供のアトピーの相談に見えた両親がいました。「夜寝かせるのは何時ですか」の問いに、平然と「夜中の1時なんです。帰宅するまで起きてて欲しいという、子煩悩だけれど残業続きで帰りが夜中になってしまうパパの要求だから」ということでした。「でも朝は10時過ぎまで寝ていますから」ともつけ加えました。単なる 「睡眠時間」の問題ではなく、「昼夜逆転の生活」を理解していないようでした。

 孫が通っている保育園の園長先生が、私にこう言いました。「おばあちゃん、おじいちゃんのいる家の子供は、安心できるけれど、若い両親だけの家の子供には、神経を使います」。危なっかしくて「見ていられない」ということでしょうか。

 私は「健康上理想的な生活」を、よく「野性動物」や「原始人」に例えます。彼らは「暗くなればねぐらに帰り、明るくなれば起きて食糧の調達に出かけます」。これが自然と共に生きる「生物の掟」なのです。何百万年という途方もない年月にわたり、「遺伝子に刷り込まれた掟」でもあるのです。

 目覚まし時計や、親に「起こされて」起床するのではなく、「自然に目覚める」爽快さを、大人も子供も忘れてしまっているようです。睡眠不足は、これから述べるストレスと共に、治癒システムを低下させる「2大要因」なのです。

 特に小学校入学前の子供の場合には、午後8時前、最大限譲歩しても9時前に就寝させることが、子供の「将来の健康」のためにも必要です。

 次に「交感神経緊張(ストレス)が続く生活」の将来について書きます。

 別項「交感神経緊張症は(がん)になりやすいか?・・・この数年間の免疫学の知見」に書いたように、(理解しやすいように、まずこの別項を読んでから、以下を読み進めて下さい)安保徹教授達によって1990年後半に証明された、「交感神経刺激時には顆粒球が増加し、副交感神経刺激時にはリンパ球が増加する」という事実は、今のままの生活を続けている限り、現代人の健康は「お先真っ暗」ということを意味しています。安保教授と共同研究をされた福田稔医師の著書「ガンはここまで治せる」(マキノ出版)の表(60ページ)を、文章の形で引用させていただきました。

 1:交感神経緊張に伴う顆粒球増加によるもの
     活性酸素による組織破壊が原因の病気
        がん、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、十二指腸潰瘍、白内障、糖尿病
        橋本病、甲状腺機能障害

     化膿性疾患
        急性肺炎、急性虫垂炎、肝炎、腎炎、膵炎、化膿性扁桃炎、口内炎
        おでき、にきび

     組織の老化による病気
        しみ、しわ、動脈硬化

 2:アドレナリン(交感神経緊張時に分泌される化学物質)の作用によるもの
     血管が収縮することによる血行障害、虚血状態が原因の病気
        肩こり、手足のしびれ、腰痛、ひざ痛、各部の神経痛、顔面まひ
        関節リューマチ、五十肩、痔、静脈瘤、歯槽膿漏、脱毛、めまい
        高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、不整脈、動悸・息切れ、
        偏頭痛、しもやけ、冷え症、アトピー性皮膚炎

     排泄・分泌能低下による「ためこみ病」
        便秘、胆石、結石、脂肪肝、尿毒症、ウオノメ、ガングリオン
        妊娠中毒症、口渇感、食中毒、冷や汗(汗の分泌異常)

     知覚が鈍る病気
        味覚異常、視力低下、難聴、痛覚の低下

     緊張・興奮の症状
        イライラする、怒りっぽい、不眠、のどの狭窄感、食欲減退
        ヤケ食い

 自律神経失調症(ほとんどが交感神経緊張状態であり、更年期障害もほぼ同じ症状が現われる)という病名は、(本人にとってはつらい)多彩な症状があるにもかかわらず、血液検査などの各種検査で「異常がない」という時につけられる病名で、患者は単に 「気のせい」で片づけられてしまうのが普通です。(ここで「運悪く」「商売熱心な医者」にあたってしまい、精神安定剤を使い始めると、さらに結果が悪くなります)。

 ところが交感神経緊張がもたらす顆粒球増加(リンパ球減少)には、上記のような 「将来起こりうる」、「がん」を筆頭とする「こわい」病気の数々が、「潜んで」いることに注意しなければなりません。そういう意味で「普通の血液検査」では(しない場合が多い)あまり問題視しない、顆粒球、リンパ球比率(白血球百分率という検査項目)を知っておくことは、非常に重要になります。

 さらにこの比率の異常の有無にかかわらず(医者は、よほどの値でないと「異常」とは判断しないことに注意)、(有ればなおさら)治癒システム、免疫システムを正常に保つ手段を日頃から講じておくことが、避けがたい「交感神経緊張(ストレス)、睡眠不足、過食が続く生活」から身を守るために「不可欠」なことなのです。何故なら治癒システム、免疫システムを正常に保てば、自ずと自律神経バランスを調節し、交感神経緊張があればそれをゆるめ、低下しているリンパ球比率を上げることが出来るからです。

 もちろんストレスをためない生活を心がけること、ストレスがあればそれをうまく発散する工夫をすることが前提ではありますが・・・・

「上薬、中薬、下薬」と「上医、中医、下医」

 昨年に続き8月は、軽い読物にします。
 古来中国では、薬と医者の「等級」を「上品、中品、下品」と「上工、中工、下工」とに区分していました。翻訳すると表題のようになります。

 株式会社、燎原の「漢方用語大辞典」(1984年出版・・・ちなみに、私はこの辞典のカード作りに少々参画したため、「あとがき」に小さい活字で名前が載っています)から引用してみます。

まず薬の分類から始めましょう。

 「神農本草経中における薬物の分類のひとつ。ここでは薬物を上薬、中薬、下薬に分け・・・・・。(神農本草経序録)上薬120種君となし、命を養い以て天に応ずるを主り、毒なく多服久服にても人を傷らず、軽身益気、不老延年を望むものは上経に本づく。・・・中薬120種臣となし、性を養い以て天に応ずるを主り、毒なきも、毒あるもその宜しきを斟酌す、病を遏し虚羸を補うものは中経に本づく・・・下薬125種、佐使薬となし、病を治し以て地に応ずるを主り、毒多くして久服するべからず、寒熱邪気を除き、積聚を破り、疾を癒やさんと欲するものは下経に本づく」

 これを私流に解釈すると、「予防する薬」、「治す薬」、「効かせる薬」になります。ところで現在医療に使われている薬は、どこに分類されるでしょうか?
ほとんどの医療用医薬品は、間違いなく「下薬」でしょう。「毒多くして久服するべからず」と書いてあるように、「副作用には目をつぶって、急性症状を除く」という薬であり、本来が年に1回、経験するかしないかという程度の「緊急用」の薬の筈です。
 ところが、「久服するべからず」とあるにもかかわらず、「慢性疾患」に応用し「長期間にわたり継続服用」させるという暴挙が、「医療指針」という名目で、多くの医者によって(知ってか知らずか)盲目的に行なわれ、多数の「副作用」を生んでいます。

 現在の医療制度では、「予防は医療ではない」ということで、医療用医薬品に「上薬」を求めることは不可能です。せめて「中薬」(エビオスなどの昔から使われている薬や多くの漢方薬はこれに属します)を使い、病気を抑え、栄養を補って(病を遏し虚羸を補う)欲しいものです。しかし漢方薬を使いこなせる医者は、全国に「数百人いるかいないか」という現状では、それも極めて難しいことです。(別項に書いたように「東洋医学会会員医師」という「看板」は、数時間の漢方薬メーカーの講習に参加するだけでもらえるのが現状です。)

 次は医者の分類に入ります。同じく漢方用語大辞典から引用します。

 「上工」・・・「古代の技術のすぐれた医生に対する呼び名。上工には、疾病が未だ発病しない時期に、あるいはすでに発病したとしても進行する前に、いち早く診断して予防治療し、且つ治癒率が90%に達することが要求された。」

 「中工」・・・「・・・その技術は上工ほどすぐれてはいないが、下工の医療技術よりはすぐれている。疾病治療の治癒率は70%が要求される。」

 「下工」・・・「古代の医療技術のすぐれていない医生に対する呼び名。医療知識の水準が低いので、未発の疾病の予治の技術を掌握しておらず、ともすれば疾病がすでに十分に発現してから診断治療することになる。治癒率は60%。」

 さてさて「下工」でさえ、治癒率60%とは、「すごい」と思いませんか?

 そもそも薬の場合と同様に、現在の健康保険による医療制度では、「予防」は「医療」ではないので「点数」になりません。点数にならない行為を誰がするでしょうか。ということは現在の医者の中には、「上工」は「いない」ことになります。しかし「嬉しいことに」、「何とか健康保険が使えるように(名目)を工夫したり、薬をなるべく使わずに、生活指導、食事指導を中心とした(予防を含めた医療行為)をしている医者」が、ゼロではないことが救いになります。まさに「赤ひげ先生」ですが、こういう心から先生と呼べる医師は、どちらかと言えば、医療界の「本流」ではなく、「傍流」の方が多いようです。そういう先生に限って、ベンツを乗り回すのではなく、いざ子供の救急の時には、5ナンバー車で「往診」もして下さると聞いています。

 では普通の医者は、「中工」でしょうか、「下工」でしょうか? 

 新聞記事になるような医者は、間違いなく「下工」でしょうが(60%の治癒率は、とうてい望めませんから「下下工」か?)、治癒率70%を誇る「中工」が、はたしてどれくらいいるか聞いてみたいものです。ちなみに亡くなった漢方界の長老、大塚敬節医師が、治癒率70%を「目標」に、亡くなる直前まで「勉強」していたという逸話があります。少なくとも日本中の医者が、「中工」であるなら、「何年間も」、「3時間待ちの3分診療」の「果てしない通院」を続ける、おじいさん、おばあさんは、いなくなると思うのですが・・・・・

自律神経失調症とリンパ球比率

 自律神経は、昼間の神経(餌とり行動)と言われる交感神経と、夜の神経(休息)と言われる副交感神経の二つからなり、ほとんどの内臓や器官の働きを拮抗的にコントロールするという、生体にとって極めて重要な働きをしています。

 そしてこの働きを「自律神経システム」と言い、免疫システム、内分泌システムと共に、3つの生体防御システムの一つになっています。(これらを合わせて「免疫トライアングル」と言います。)そしてその中枢は、脳の中心にある「視床下部」というところにあります。

 したがって自律神経失調の症状は、別項にあるように各科にわたる多彩な症状をあらわします。しかし内臓や器官に「器質的(機械的)」な異常があるわけではなく、単に「機能的」に異常をきたしているだけなので、内臓や器官の検査では異常が認められないのです。

 しかし中枢が「視床下部」にあることから、ここに何らかの異常があることが類推されます。あまりにも強いストレスにより、長期間にわたる精神的障害を受けることを、トラウマと言い、「精神的外傷」と訳されていますが、自律神経失調症も、視床下部に何らかの「キズ」(神経情報伝達のための電気的刺激の過多・・・「過放電」か・・・どんな精密な検査でもわからない)があると考えられます。そしてキズの回復を早めるには、マクロファージの活性化、すなわち治癒システムの正常化が不可欠なのです。

 さて本題の自律神経失調症とリンパ球との関係に話をすすめましょう。別項の「新しい免疫学の知見」の中で特に重要な知見が、従来は内臓や器官だけと考えられていた、自律神経の支配が、血液、特に白血球のリンパ球、顆粒球比率にまで及んでいるという事実です。

 すなわち「交感神経緊張はリンパ球を減少させ(免疫システム機能低下)、顆粒球を増加させ、逆に副交感神経緊張はリンパ球を増加させ、顆粒球を減少させる」という知見です。(この比率は相対的に変化しますから、ややこしくしないために、「交感神経緊張は顆粒球を増やし、リンパ球を減らす」と覚えておきましょう。)

 顆粒球(主に好中球)は、主に細菌処理を受け持ち(キズが化膿した時のウミは、その死骸)、リンパ球は免疫反応によって、ウイルスや新陳代謝により生まれる「異物」(「がん」もその一つ)の処理を行なっています。

 正常値を別項から再録します。
 白血球の成分をまず知っておいてください。マクロファージ 5%、顆粒球 60%、リンパ球 35%です。そして体調によりリンパ球は、30〜45%の間で変動します。そしてリンパ球が、30%以下になると、体に何らかの異常が生まれ、20%以下になると、組織障害の病気や「進行がん」が生まれ、10%を切ると「末期がん」状態となり、底をついた時が死ということになります。

 過労やストレスにより交感神経緊張が続くと、顆粒球が正常範囲を超えます。(相対的にリンパ球は減少することになります。)顆粒球は、正常の範囲なら細菌の感染を防いだり、上皮の再生を促したりする大切な働きがあるのですが、増えすぎると全身の血流障害を引き起こす(自律神経失調症の方には、手足の冷えを訴える方が多い)と共に組織障害を起こし、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、関節炎などの自己免疫疾患や、顆粒球が死ぬ時に出す活性酸素で「がん」を引き起こすことにもなります。

 ということは先に書いた「自律神経失調症は、内臓や器官の検査では異常が認められない」のではなく、この比率(白血球百分率という検査でわかる)を調べれば、ある程度異常が出ている場合が多いのです。この知見が出てから、私も相談に見える自律神経失調症の方に、この比率を調べるようにお話しているのですが、やはり正常値の下限の30%を下回っている方が多いようです。

 そして過労と睡眠不足をしないような生活を心がけることや、ストレスを貯めずに発散することを継続すれば、リンパ球が増え、顆粒球が減るという良い循環が生まれますし、さらに免疫システムを正常化すれば、リンパ球を増やすことになります。

 以上のことから理解できることなのですが、自律神経失調症の方は、安易な精神安定剤を使う前に、「リンパ球を増やす生活」を心がけると共に、漢方薬によるストレスの発散と、治癒システム正常化(視床下部のキズの修復)、免疫システム正常化(リンパ球を増やす)を試みることをおすすめします。