自律神経失調症・・・漢方治療の難易度を決めるもの

 別項に「慢性病治療の難易度を決定するもの」を書きましたが、自律神経失調症の漢方治療には、他の慢性病とは「多少違った難易度を決めるもの」があるように思います。自律神経失調症は、他の慢性病のように内臓や器官が「故障している」のではなく、単に「機能が乱れている」病気ですから、別効に書いた「遺伝的体質」や「年齢」は、治療の難易度にはあまり関係がありません。


 1:向神経薬の使用の有無

 漢方治療がうまく行かない筆頭は、何と言っても「向神経薬を止められない方」です。向神経薬とは、睡眠薬、睡眠導入剤、精神安定剤、抗うつ剤等です。「弱い」「強い」はあまり関係がありませんが、「種類の多い少ない」、「継続期間」は、関係があります。

 別項「どんな軽い精神安定剤でも「脳」に作用する薬の常用には注意が必要」に書いたように、向神経薬は、もともと脳内に存在する天然の化学物質に「似せて」作られた薬物ですから、「人間の証」でもある大切な脳に、直接に「命令」を与えてしまいます。(だから即効性はあります)。

 麻薬や覚せい剤の怖さは知られていますが、向神経薬は、「作用の強さ」、「習慣性の程度」や「離脱の難しさ」が違うだけで、私は「麻薬や覚せい剤と大同小異」と思っています。

 これらを続ければ治ると信じ、医者から「軽くて弱いから安心」と言われるままに、何年も、何種類も飲み続けている方が多いのには、恐ろしさを感じます。向神経薬が医薬品売上の上位にあることを考えると、まさに「亡国薬の氾濫」とさえ思えます。またこのような薬を平然と使い続ける医者には憤りさえ感じます。

 向神経薬を中止(徐々に中止でも可)しない限り、漢方治療は難しいと思います。
逆に「頭にはちまきを巻いてでも」と思いきって一気に中止した方は、想像以上に早く快方に向かうことを数多く経験しています。

 なお良く使われている向神経薬、「デパス」の問題点を、別項「病院(医者)の薬の説明書を「うのみ」にする危険」に詳しく書きました。

 2:「自分の力で治す」という意味を理解しているか

 私の薬局の相談コーナーには、「病気を治すのは医者でもなく薬でもない。治す力はただ一つ、”自然治癒力”だけである。」というポスターが貼ってあります。

 他の病気の場合もそうなのですが、特に自律神経失調症の方には、この意味が理解できずに、あちこちの病院巡りを続けている例が多いように感じます。大きな「勘違い」をしているのです。「病院が、医者が、薬が私の病気を治してくれるのだ」という「勘違い」なのです。ようするに「他力本願」なのです。

 医者の中には、「おれが治してやるんだ」と豪語するような「三流」もいますが、一流の医者ならこう言う筈です。「この薬はあなたの苦痛を少なくするだけで、治す力はありません。薬で苦痛を少なくすることにより、あなたの治癒力を回復させ、その力が病気を治すのです。私や薬が治すのでもありません。私や薬は、あなたの病気が治る方向に舵取りをするだけなのです」と。

 ちょっと脱線します。

 こういう「風潮」になったのは、どうも「国民皆保険」がゆきわたった頃からではないかと思います。いくつかの例を挙げてみましょう。まず一つ目は、簡単に「医者にかかれるようになった」ということ(これはずばらしい一面も持っているのですが)、そして「病気になったら医者にかかるのが一番」と言って、責任逃れをする「無責任マスコミの健康報道」や、医師会の息がかかった「医療行政」、そして最近ではアメリカの医薬品業界からの圧力などがあります。医療の中にまで「マネー資本主義」が浸透し、いつのまにか国民全体が「洗脳」されてしまったような気がします。

 甘えを捨て、「自分の力で治すんだ」という敢然たる意志で、立ち向かうことを期待します。

 3:自律神経失調症が、「とじこもり病」だということの理解しているか

 自律神経失調症のことを漢方では「肝気鬱結」とか「肝気滞」などと言います。漢和辞典によれば、「結」という字も「滞」という字も、共に「こりかたまる」という意味があります。すなわち「動かなければならないものが動かない」ことです。

 実際、自律神経失調症の方の発病原因に、「学生時代には運動をしていたのに、就職してからは室内の仕事になった」とか、「室外の仕事から室内の仕事に変わった」などとおっしゃる方も多いようです。逆に運動選手や戸外で肉体労働をする方には、自律神経失調症の方が少ないように思えます。そこで運動を勧めるのですが、「こんなに気分がすぐれないのに運動なんかは出来ません」という方がほとんどです。

 快方に向かう方には、この「勧め」を守り、「少し汗をかく程度の」散歩など軽い運動を始めた場合が多いのです。漢方薬は「気の滞り」を「発散することで動かす」働きがありますから、体を動かすことは漢方薬の効果を高めるからでしょう。(向神経薬は逆に脳や体の働きを抑制します)。

 4:非楽天主義または心配性

 楽天主義の反対語を厭世主義といいますが、この言葉はあまり好きではないので、非楽天主義と言い替えますが、自律神経失調症の方は、何事にも「悪い方向に考える傾向」があります。特に体の不調には、ことのほか神経質で、少しの異常でも病院に飛び込み、「がんではないか」と医者を困らせます。家族の方もこれを見ぬいていますから、「あらまたグズグズが始まった」と相手もしなくなります。

 これは性格的な場合もありますが、良い方向に考えるよう心がけ、「この程度の症状では死ぬことはない」と「開き直る勇気」を持ちたいものです。また「自己愛」が強い傾向がありますから、ボランティア活動など「他人のためになること」に情熱を傾けることもおすすめします。趣味も含め何らかの活動に情熱を傾けている方にも、自律神経失調症の方は少ないようです。
 
 
 いずれにしても現代はストレスが充満しています。ストレスを受けずに過ごすことはたしかに難しいと思います。しかし自律神経失調症にならない方が、たくさんいることも事実です。ならない方は、ストレスを「受け」ても「ためずにさらりと流す」知恵を持っているのです。キーポイントは、今まで書いてきたような「知識」を、上手に「知恵」に代えられるかどうかなのです。

 「知恵」とは、「物事の理を悟り、適切に処理する能力」(広辞苑)。

なお別項「自律神経失調症の漢方薬治療がうまくゆく人」も是非お読み下さい。



細胞の「死にそこない」が、がん細胞になる・・・アポトーシス制御が、「がん」、自己免疫疾患治療の決め手になるか

 最初にアポトーシスとネクローシスについて説明します。

 アポトーシスとは、ネクローシスに対比される細胞の死です。すなわちアポトーシスが、遺伝子のプログラムによる積極的な細胞死(自殺)であるのに対し、ネクローシスは、細胞の外傷、やけど、栄養不足などによる死であり、遺伝子とは無関係な「不慮の死(他殺?)」です。

 アポトーシスでは、細胞内外から発せられる「死のシグナル」により、細胞核、細胞質が凝縮し、核と共にDNAは断片化し細胞全体が縮小します。そして断片化したアポトーシス小体は、マクロファージにより食べられてしまいます
(ここが大切!)。一方ネクローシスでは、細胞内のミトコンドリアなどの器官が膨張し、細胞全体も膨張し融解します。この時炎症が起こるので、別項「痛みなどの炎症とは、細胞(組織)が受けた損傷部分の体積計算過程であり、治癒反応だから、強引に鎮痛消炎剤などで抑えることは、治癒を遅らせます」に書いた機構が働きます。

 アポトーシスの例を挙げてみましょう。おたまじゃくしの尾は、「かえる」になると消えてしまいます。人間の胎児も妊娠初期には、手に「水かき」がありますが、生まれる時にはなくなっています。

 アポトーシス研究のスタートは、1972年スコットランドの病理学者カーらによって始まりました(2002年にイギリスのシドニー・ブレンナーらがノーベル生理学医学賞を受賞)。しばらくは免疫学の発展に隠れていましたが、ここ10年は、がんや自己免疫疾患克服の「切り札」として、世界中の分子生物学者や基礎医学者たちが、研究にしのぎを削っています。
 
 アポトーシスの制御が、どのような病気に応用されるのかを見てみましょう。

 がんは、新陳代謝により生まれ変わるべき細胞が、無限に死なない「不死細胞」となり増殖を続けるために生まれます。自己免疫疾患も、本来死んで欲しい「自己反応性T細胞やB細胞」が死なないために「自己抗体」を作ってしまい、免疫システムがこれを攻撃し、組織を破壊するために起こります。すなわちアポトーシスが完全に作動しないために起こります。

 一方エイズは、本来死んで欲しくないリンパ球(ヘルパーT細胞)が、アポトーシスを起こしてしまうため、免疫不全を起こし発病しますし、アルツハイマー病やパーキンソン病は、死んで欲しくない脳細胞がアポトーシスにより死んでしまうために起こります。すなわちアポトーシスが過剰に起こってしまっているのです。

 次にアポトーシスがどのように制御されているかを書きます。しかしこれこそが世界中の学者が追い求めているテーマですから、簡単に書くことは不可能ですので、その一端を書いて、その難しさを知って戴きたいと思います。

 アポトーシスを制御する有名な蛋白質にBcl-2ファミリーというものがあります。その中の一つ、Bcl-2は濾胞性リンパ腫という、がんの研究から発見されたもので、このがんの原因物質と考えられていました。ところがこれがアポトーシスを抑制している蛋白質だということがわかり、俄然アポトーシス研究の中心テーマになりました。

 同じBcl-2ファミリーの中にも、アポトーシスを抑制するものと促進するものがあります。抑制するものの代表が、Bcl-2やBcl-xLで、共に抑制に働き、一方Hrk(Harakiri・・・日本人が協同研究者で「自殺」の意味で「切腹」から名づけた)やMtdは、共に促進に働きます。

 これ以外にも多数のアポトーシス制御蛋白質が発見され、さらにアポトーシスの信号を受けてから細胞が死ぬまでの、複雑極まりない様々な経路が研究されています。(専門的になりすぎますのでアポトーシスに関することは、これで打ち止めにします)。

 (私見:免疫を制御するサイトカインの働きが複雑すぎ、免疫の制御が必ずしもがんや自己免疫疾患の治療に結びつかなかったと同じように、アポトーシスの制御も同じ運命をたどることを危惧しますが・・・人体の制御機構は人知を超えているかも)。

 さて、がんや自己免疫疾患がアポトーシスが「抑制」された場合に起こることは、前に書いた通りですが、がんについてもう少し考えてみましょう。「がんは、新陳代謝により生まれ変わるべき細胞が、無限に死なない”不死細胞”となり増殖を続けるために生まれます。」と書きました。人体の60兆個の細胞は、毎日のように生まれ変わっています。問題はその「死に方」です。

 アポトーシスにより「完全に」死ねば問題がありません。アポトーシスが始まり「アポトーシス小体」までにバラバラに断片化した時に、これを食べるのがマクロファージであることは前に書いた通りです。もうおわかりと思いますが、このマクロファージの「食べ尽くす能力」、すなわち「活性度」が、細胞が「不死化するかどうか、すなわちがん化するかどうか」を決定します。

 私見として書いたように、アポトーシス制御が、がんや自己免疫疾患治療の切り札となるのは、まだまだ遠い将来のことですし、免疫システムの制御がそうだったように、アポトーシスの制御は、「諸刃の剣」のようです。

 ここに私が書き続けてきた「治癒システム」の出番なのです。

 マクロファージを強力に活性化する働きが「治癒システム」です(別項「治癒システムは免疫システムより上位に位置する」参照)。「治癒システム」が完璧に働いている状態、すなわちマクロファージが強く活性化されていれば、断片化したアポトーシス小体を完全に食べ尽くし、「死ぬべき細胞は完全に死んでもらう」ことができます。たしかに、Hrk(Harakiri)のようなアポトーシス促進蛋白質の直接作用よりも、もどかしい点はありますが、「促進しすぎの副作用」を考えなくても良い点は、すばらしいと思います。

病院(医者)の薬の説明書を「うのみ」にする危険

 数年前まで病院(医者)は、薬の名前を「知らせない」ために、薬の包装材の「名前の部分」を切り取って患者に渡していました。患者はどんな薬を飲まされているのか、知るすべがありませんでした。医薬分業のおかげか、最近は調剤薬局から、薬の写真入りの「説明書」が提供されるようになりました。これはこれで「進歩」なのですが、この説明書で満足できる患者は、はたしてどのくらいいるのでしょうか?またこの説明書を「うのみ」にしても良いのでしょうか?

 患者に不安を与えないようにという配慮とはいえ、あまりにも「当たり前すぎて」、これでは「子供だまし」だと言う患者さんも多いようです。例えば抗不安薬(精神安定剤)の効能には、「気分を落ちつかせる薬です」、注意事項には、「運転をしないように」といった具合です。これらの文面は、調剤薬局向けの「レセプトコンピュータ」のソフトで提供されているのですが、調剤する側で加工(例えば副作用項目の削除)も出来ます。

 相談の時に病院の薬を持参する方も多く、そのため薬を見る機会が多いのですが、10種類以上も「飲まされている例」も珍しくありません。何の「異常さ」も感じず、言われるがままに服用している方がいる反面、最近では「薬をより理解してから服用したい」という意識を持ち、「自己防衛」のために「薬を調べる」という行動をとる方が増えてきました。

 このためか本屋では「医者からもらった薬がわかる本」といった類の本がたくさん並べられ、よく売れているということです。またネットでも「薬の情報サイト」が増え、パソコンを扱える方には情報が入手しやすくなりました。一応副作用の項目もあり、「調剤薬局の説明書」よりは、詳しい情報が掲載されています。ただこれらも「患者に不安を与えないようにという配慮」のため、「怖そうなこと」は、なるべく載せないようにしています。また「個人」が提供する例が多く、「公認」されているものではないことに注意が必要です。

 それでは、医療用医薬品の「すべてのナマ情報」がどこにあるのでしょう。別項「病院から出される薬をもっともっと知らなくてはなりせん」に紹介した「医薬品医療機器情報提供ホームページ」の左側最上段の「添付文書情報」には、製薬メーカーが厚生労働省に提出した「すべての情報」が掲載されています。(薬剤師、医師が対象ですから、一般の方には難解の部分もありますが、努力すれば相当理解できると思います)。

 なお、今年はじめから「患者向医薬品ガイド」という情報が、同じく「医薬品医療機器情報提供ホームページ」に掲載され始めました。2006年6月現在では、「糖尿病」、「リウマチ」、「ぜんそく」の薬だけですが、今後1年かけてすべての医薬品の情報が掲載される予定だそうです。

 以上の通り、一般の方が入手できる情報は、1:調剤薬局の「説明書」、2:「医者からもらった薬がわかる本」といった類の本、またはネットから入手できる情報、3:「患者向医薬品ガイド」、4:「医薬品医療機器情報提供ホームページ」にある「添付文書情報」との4種類があることがわかります。(3と4が厚生労働省お墨付きになります)。

 ただ1,2,3共に「情報の出所」は、製薬メーカーのサイトに掲載されている、「非専門家向け情報」、例えば「くすりのしおり」等であることがほとんどです。その中でも「一般の方によりわかりやすく書かれていて、内容に”お墨付き”を与えたもの」が「患者向医薬品ガイド」であり、「もう少し詳しく解説し、さらに多少主観を加えたもの」が、2の「本やネット情報」であり、「数行程度に短く簡略化し、副作用情報などを加工(削除)したもの」が調剤薬局の「説明書」ということになります。

 どの情報を読めば良いのかを判断する手助けとして、自律神経失調症の方に頻繁に処方される、「デパス錠 0.5mg」という医薬品の「情報」をいくつか転載してみます。(「患者向医薬品ガイド」には6月末現在まだ掲載されていないので、メーカーの「くすりのしおり」を転載しました)。

1:調剤薬局の「説明書」(一例)

  名前・効能・効果:
 デパス錠 0.5mg 寝つきを良くする薬です。気持ちを落ち着かせる薬
  注意事項:
 アルコールにより作用が強く現れるので、この薬を服用している時は飲酒を避けて下さい。
症状が軽くなったり、自覚症状がなくなっても、勝手に服用を中止しないで下さい。
妊娠または妊娠している可能性のある方は医師または薬剤師にご相談下さい。
また授乳している方は、母乳中へ移行するので、服用中は授乳を止めて下さい。
眠気を催すことがあるので、車の運転や危険な作業には十分注意して下さい


 この説明書の情報だけですと、2:以下の情報を知らないまま、この薬を服用することになります。依存性、多くの副作用などの情報なしで長期に服用する危険を感じませんか。

2:ネットで入手出来る例:「Yahoo!ヘルスケア - お薬検索 」(ピルブック 薬の事典 2005年版)

  主な作用:
 おだやかな鎮静作用、抗不安作用(不安や意欲低下を改善する)があり、筋肉のこりをほぐす作用もあります。
したがって、精神的な緊張による種々の症状(不安、不眠など)を改善します。また、催眠作用、抗うつ作用などもあります。

  副作用など:
 ねむ気、倦怠感、口やのどの渇き、吐き気、発疹など、ときには重い過敏症状が起こることがあります。重大な副作用として、抗精神病薬と併用したときに横紋筋融解症、間質性肺炎、無動、強度の筋のひきつり、嚥下困難、頻脈、発汗、発熱を伴う悪性症候群、肝障害を来すことがあります。それらの症状がみられたときはすぐ中止して、医師の診察を受けてください。

  用い方と注意:
 大量に長期間服用すると、依存性を生じ、この薬を服用しないと不安になったり、眠れなくなったりすることがあります。また、勝手な判断で急に服用を中止すると副作用が強く出ることがありますので、指示された服用量を守りましょう。また、高齢者では、量が少し多くても、よろめき、歩行障害や、失禁などを来すことがあるので、少なめに処方されます。なお、眠くなったり、注意力がなくなったりしますので、危険な作業や車の運転は避けましょう。酒類と一緒に飲むと、作用が強く出すぎることがあるので避けましょう。

 「大量」でなくとも長期間服用すると依存性を生じます。
  
3:ネットで入手出来る例:「ハイパー薬事典」(非常に詳しい個人のサイト 「副作用」の部分だけ転載します)

  副作用:
 この系統の優れた特徴として「安全性が高い」ということがあげられます。重い副作用はほとんどありません。比較的多いのは、眠気、ふらつき、けん怠感、脱力感などです。これらは、それほど心配いりませんが、車の運転など危険な作業には注意してください。また、とくに高齢の人では、転倒につながったり、昼間からボーッとしてしまうことがあります。このような場合は、服用量を適切にコントロールする必要があります。

 むやみに量を増やしますと、薬に頼りがちになり、やめにくくなってしまいます。決められた範囲内で服用するようにしましょう。また、定期服用中に急にやめると反発的な症状がでることがあります。イライラ、不安感、ふるえ、かえって眠れない・・といった症状です。自分だけの判断で止めないで、医師の指示のもと徐々に減量すれば大丈夫です。

  【重い副作用】:
 めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください

 依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。

 刺激興奮..興奮、もうろう状態、取り乱す、かえって眠れない。(もともと精神障害がある場合などに、まれに出現)

 呼吸抑制..息苦しい、起床時の頭痛・頭重感。(もともと呼吸器系の弱っている人で、まれに出現)

  【その他】:
眠気、ボーッとする、注意力・集中力低下、頭が重い感じ
ふらつき、めまい、けん怠感、脱力、まぶたが下がる
生理不順、乳汁分泌
長期連用で効き目が悪くなる


 
何をもって「安全性が高い」とか「重い副作用はほとんどありません」と言えるのか。(サイト運営者の個人的見解です)。

4:メーカーの「くすりのしおり」

(不思議なことに、一般の方向けの情報なのに、多くの製薬メーカーでは「医療関係者向け情報」のページの中にあり、「あなたは医療関係者(医師、薬剤師など)ですか?」の質問に「はい」と答えないと見ることが出来ない)。

(「この薬を使ったあと気をつけていただくこと(副作用)」の部分だけを転載します)

薬は人によって、目的の効果以外に、望ましくない作用が出る場合もあります。
◆次のような症状に気づいたら、使用をやめて、すぐに主治医または薬剤師に相談してください:
飲み続けていたら以前とは効果が変化した。飲む量が減ったり、飲むのをやめたら、けいれん、手のふるえ、ねむれない、不安、幻覚などがあらわれた
呼吸が速く浅くなる、息切れがする、意識がぼんやりする
筋肉がこわばる、食べ物を飲みこみにくい、脈が速くなる、汗が出る、発熱
筋肉の痛み、脱力感、赤ワイン色の尿が出る
せきが出る、息苦しい、息切れ、胸の痛み
皮ふや白目が黄色くなる、つかれやすい
 
◇次のような症状に気づいたら、なるべく早めに主治医または薬剤師に相談してください:
ねむけ、ふらつき、めまい、歩くときによろけたりころびやすい、頭痛、しゃべりづらい、こうふん、あせり、物が見えにくい、ちょっとしたことを思い出せないことがある
どうき、立ちくらみ
口のかわき、はきけ、食欲がない、胃部不快感、腹部不快感、腹痛、便秘、下痢
発しん、じんましん、かゆみ
むくみ、鼻づまり、乳汁が出る、乳房がはれる、またたきが多い、まぶしい、目がかわく、目をあけていられない
 
他にも何か変だなと感じたら、主治医または薬剤師に相談してください。


「依存性」の情報が一切ないことに注意!!


5:添付文書情報(膨大な情報がありますが、「使用上の注意」、「副作用」の項目だけを転載します)。

「使用上の注意」

慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)


1. 心障害のある患者〔血圧低下があらわれるおそれがあり,心障害のある患者では症状の悪化につながるおそれがある.〕

2. 肝障害,腎障害のある患者〔作用が強くあらわれるおそれがある.〕

3. 脳に器質的障害のある患者〔作用が強くあらわれるおそれがある.〕

4. 小児(「小児等への投与」の項参照)

5. 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

6. 衰弱患者〔作用が強くあらわれるおそれがある.〕

7. 中等度呼吸障害又は重篤な呼吸障害(呼吸不全)のある患者〔呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合,炭酸ガスナルコーシスを起こすことがある.〕



重要な基本的注意


眠気,注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること.


相互作用


相互作用の概略

本剤は,肝代謝酵素CYP2C9及びCYP3A4で代謝される.

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等
中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体,バルビツール酸誘導体等)

臨床症状・措置方法
眠気,血圧低下,運動失調,意識障害などを起こすおそれがある.

機序・危険因子
中枢神経抑制剤との併用で相加的な増強作用が考えられる.

2. 薬剤名等
MAO阻害剤

臨床症状・措置方法
過鎮静,昏睡,痙攣発作,興奮などを起こすおそれがある.

機序・危険因子
MAO阻害剤が本剤の肝での代謝を抑制し,半減期を延長し,血中濃度を上昇させるため作用が増強されることが考えられる.

3. 薬剤名等
マレイン酸フルボキサミン

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度を上昇させることがあるので,本剤の用量を減量するなど,注意して投与する.

機序・危険因子
マレイン酸フルボキサミンが本剤の肝での代謝を阻害し,血中濃度を上昇させるため本剤の作用が増強されることがある.

4. 薬剤名等
アルコール(飲酒)

臨床症状・措置方法
精神機能,知覚・運動機能の低下を起こすおそれがある.

機序・危険因子
エタノールと本剤は相加的な中枢抑制作用を示すことが考えられる.



「副作用」


副作用等発現状況の概要

総症例数12,328例中866例(7.02%)1,133件の副作用が報告されている.主な副作用は眠気444件(3.60%),ふらつき241件(1.95%),けん怠感77件(0.62%),脱力感46件(0.37%)等であった.(再審査終了時)


重大な副作用


1. 依存性(頻度不明)
薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること.また,投与量の急激な減少ないし投与の中止により,痙攣発作,せん妄,振戦,不眠,不安,幻覚,妄想等の離脱症状があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,徐々に減量するなど慎重に行うこと.

2. 呼吸抑制,炭酸ガスナルコーシス(いずれも頻度不明)
呼吸抑制があらわれることがある.また,呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合,炭酸ガスナルコーシスを起こすことがあるので,このような場合には気道を確保し,換気をはかるなど適切な処置を行うこと.

3. 悪性症候群(頻度不明)
本剤の投与,又は抗精神病薬等との併用,あるいは本剤の急激な減量・中止により悪性症候群があらわれることがある.発熱,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗,白血球の増加,血清CK(CPK)の上昇等があらわれた場合には,体冷却,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと.また,本症候群発症時にはミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある.

4. 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛,脱力感,血清CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.

5. 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので,発熱,咳嗽,呼吸困難,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し,速やかに胸部X線等の検査を実施し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.

6. 肝機能障害,黄疸(いずれも頻度不明)
肝機能障害(AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,Al-P,ビリルビン上昇等),黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.


その他の副作用

1. 精神神経系
0.1〜5%未満
眠気,ふらつき,めまい,歩行失調,頭痛・頭重,言語障害

2. 精神神経系
0.1%未満
不眠,酩酊感,興奮,焦躁,振戦,眼症状(霧視,調節障害)

3. 精神神経系
頻度不明
健忘,刺激興奮注1),錯乱注1)

4. 呼吸器
0.1%未満
呼吸困難感

5. 循環器
0.1%未満
動悸,立ちくらみ

6. 消化器
0.1〜5%未満
口渇,悪心・嘔気

7. 消化器
0.1%未満
食欲不振,胃・腹部不快感,嘔吐,腹痛,便秘,下痢

8. 過敏症注2)
0.1〜5%未満
発疹

9. 過敏症注2)
0.1%未満
蕁麻疹,そう痒感

10. 過敏症注2)
頻度不明
**紅斑

11. 骨格筋
0.1〜5%未満
けん怠感,脱力感

12. 骨格筋
0.1%未満
易疲労感,筋弛緩等の筋緊張低下症状

13. その他
0.1%未満
発汗,排尿障害,浮腫,鼻閉

14. その他
頻度不明
乳汁分泌,女性化乳房,高プロラクチン血症,眼瞼痙攣注3)

その他の副作用の注意
注1)統合失調症等の精神障害者に投与すると逆に刺激興奮,錯乱等があらわれることがある.

注2)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること.

注3)本剤の投与中は観察を十分に行い,瞬目過多,羞明感,眼乾燥感等の眼症状が認められた場合には適切な処置を行うこと.



高齢者への投与


高齢者では,運動失調等の副作用が発現しやすいので,少量から投与を開始するなど慎重に投与すること.


妊婦、産婦、授乳婦等への投与


1. 妊婦(3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔動物実験により催奇形作用が報告されており,また,妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある.〕

2. 妊娠後期の婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔妊娠後期に本剤を連用していた患者から出生した新生児に活動低下,哺乳困難,嗜眠,頻脈,無呼吸,チアノーゼ,血清CK(CPK)上昇,嘔吐があらわれることがある.また,他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム,ニトラゼパム)を連用していた患者から出生した新生児に筋緊張低下,黄疸の増強等の症状が発現したとの報告がある.〕

3. 分娩前に連用した場合,出産後,新生児に無呼吸,チアノーゼ,哺乳力低下,活動性の低下などの症状や離脱症状(神経過敏,振戦,過緊張等)があらわれることがある.

4. 授乳婦への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.〔ヒト母乳中へ移行し,新生児に体重増加不良があらわれることがある.また,他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で嗜眠,体重減少等を起こすことが報告されており,また黄疸を増強する可能性がある.〕


小児等への投与


小児に対する安全性は確立していない.(使用経験が少ない.)


過量投与


1. 過量投与により運動失調,低血圧,呼吸抑制,意識障害などがあらわれることがある.

2. 本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には,使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌,慎重投与,相互作用等)を必ず読むこと.なお,投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニルを投与された患者で,新たに本剤を投与する場合,本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化,遅延するおそれがある

 ネット掲示板などで、「デパスを長期間飲んでいるけど、血液検査でなんでもなかった。副作用はないんだ」などと書いている方も多いようです。そもそも「服用を止められないことが重大な副作用である」という認識がないのです。「添付文書情報」の「重大な副作用」のトップが「依存性」であることに気づいて欲しいと思います。

 向神経薬は脳に作用する薬です。脳では電気的信号と数十種類に及ぶ化学物質(神経伝達物質)により、情報がやりとりされています。向神経薬は、この神経伝達物質に「似せて作られた合成薬品」ですから、長期間服用を続けたら、脳で「自然に生まれる神経伝達物質」を「撹乱」するであろうことは容易に想像されます。

 参考:

 以前からの「麻薬取締法」は、1990年から「麻薬及び向精神薬取締法」と改正され、睡眠薬、精神安定剤等を「向精神薬」と定義し、向精神薬が医療及び学術研究以外に使用されないよう規制されるようになりました。向精神薬は医療上有用でありますが、乱用された場合、国民の心身に及ぼす影響及び社会的弊害が少なくありません。また向精神薬(精神安定剤等)の乱用が世界的に社会的問題となっていることから、その乱用と不正取り引きを防止し、向精神薬が医療及び学術上の目的に使用されるよう国際協力を行なうため、「向精神薬条約」も作成されました。