| 自律神経失調症は向神経薬で治るという誤解 |
長年自律神経失調症の方の相談を受けていて、非常に気になることがあります。それは「向神経薬を飲み続けていれば治るものだ」と考え、医者の言うがままに向神経薬を続けている方がいかに多いかということです。
ちなみに2004年の医薬品生産金額6兆5000億円の内、薬効大分類別の「中枢神経用薬」は6250億円に達し、循環器用薬(血圧降下剤、血管拡張剤、高脂血症用剤など)1兆3000億円(この医薬品にも大きな問題があるのですが、本項では言及しません。別項「コレステロール値は下げなくてはならないという誤解」参照)に次いで2番目の生産金額であり、全医薬品の約10%を占めています。
薬効大分類別の「中枢神経用薬」には解熱鎮痛消炎剤(1470億円)も含みますので、薬効中分類別で見ると、精神神経用剤1500億円、催眠鎮静剤抗不安剤830億円であり、この二つの合計金額は中分類の「主としてグラム陽性菌グラム陰性菌に作用する抗生物質製剤」2400億円に並びます。(以上厚生労働省薬事工業生産動態統計年報 平成16年版)。このように「向神経薬」が、急性感染症や外科手術に不可欠な抗生物質に匹敵するくらい大量に生産されていることには、驚くと同時に恐怖をおぼえます。
1953年に出来た「麻薬取締法」が、1990年に「麻薬及び向神経薬取締法」に名前を変えました。すなわち向神経薬は麻薬と同じ法律で規制されるほど、「規制されるべき医薬品」なのです。それなのに「自律神経失調症の治療」という名目で、医者が安易に処方する風潮に強く危機感を覚えます。
別項「どんな軽い精神安定剤でも「脳」に作用する薬の常用には注意が必要」に書いたように、向神経薬は脳から自然に分泌される化学物質に似せて作られた合成薬品ですから、「自然な分泌」を乱してしまい、長期間服用を続ければ正常な脳の働きが「回復不可能」な状態になってしまいます。老人病院や老人介護施設でよく見かける、「仮面」をかぶったように表情が失われた方たちは、いっせいに就寝させるために強引に向神経薬を飲まされている、いわば「薬でコントロールされた人間」になってしまっているのです。若い方でもこれらの薬を医者から言われるがままに「几帳面に」服用している方は、日中も「眠気やだるさ」に悩まされています。これは薬の副作用ではなく、「主作用」なのです。
なぜ自律神経失調症の方にこのような薬が使われているのでしょうか。患者が誤解しているように、医者もこの薬で「治る」と考えているのでしょうか。勇気を出して医者に聞いてみることをおすすめします。これが一生を左右する大切な「勇気」なのです。通院のたびに、ろくな問診もせず、定期的な血液検査もせず、ただ機械的に薬を出す医者がなんと多いことか。良心的な医師ならこう言うはずです。「この薬は症状を軽くするためだけのもので、これで治るものではありません。治すのはあなた自身の治癒力ですし、それを高めるためにはストレスを受けない環境に身をおいたり、たとえストレスを受けても、それらをさらりと受け流す知恵と工夫を考え実践することです」と。
自律神経失調症と診断されたら、最初に行うべき行動は「何もしないで様子を見る」ということです。たまたまなんらかのストレスが続いたための変調ですから、ストレスが軽くなれば自然に治ります。(もちろんストレスを軽く受け流す工夫や、開き直りが大切ですが・・・別項「「眠れなくても死ぬことはない」という「開き直り」が必要な場合も」参照)。最悪な選択肢は、上に書いたような「通院のたびに、ろくな問診もせず、定期的な血液検査もせず、ただ機械的に薬を出す医者」に巡り合ってしまうことです。
もう長く向神経薬を続けてしまった場合はどうすればよいのでしょう。短期間の服用であれば、やめただけで「雲が晴れたように」すっきりする場合もあります。眠らされていた脳が目覚めるからです。長期間服用を続けてしまっていた場合は、何が何でも服用をやめることです。一気にやめられるならそれが一番ですが、徐々にやめることでもいいのです。薬の種類、継続期間によりその反動は千差万別ですが、それを乗り越える勇気が、どうしても必要なのです。「向神経薬をやめない限り自律神経失調症は決して治らない」ということを肝に銘じてください。
いくつかの工夫は、このHPに書いておきましたが、まだまだ工夫すれば自分に合った方法があるはずです。ぜひ向神経薬から逃れるための努力を「あなたの将来のために」実行して下さい。
別項「自律神経失調症とボケ(認知症)」参照
別項「自律神経失調症に向神経薬と漢方薬を併用するという愚」参照
参考:
「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」 1990年(平成2年)8月1日 政令第238号
この政令第3条に「向神経薬」として69種類の薬物が記載されています。
分類すると次のような薬物が含まれます。
1:強力精神安定剤
2:穏和精神安定剤
3:睡眠剤
4:抗うつ剤
5:抗躁剤
6:覚醒剤
7:幻覚発現物質
| 食べ過ぎは肥満やメタボリックだけの問題ではない |
女性のダイエットや、中高年のメタボリック症候群(内臓肥満)への対応策が、医薬品、サプリ、健康雑誌など「健康産業」を賑わせています。若い女性は美容目的、中高年では生活習慣病対策が目的のようですが、あやしい情報に惑わされないで「ほどほど」にして欲しいものです。私のブログ、「国民総病人化」を狙う厚生労働省」の項目を参照下さい。
ただ、このように「食べ過ぎの害が肥満だけの問題」と考えられていることには注意が必要です。別項「経済先進国の国民の免疫システムがこの数十年でメチャクチャになった理由」に書いたように、「食べ過ぎ」は、わずか数十年前から始まった「人類の間違った進化」の結果生まれた現象です。そのために人類が蒙った被害は計り知れません。
「食べ過ぎ」が免疫システムをメチャメチャになってしまったことは、別項「免疫の主戦場以上に大切な免疫の前線基地、腸管(粘膜)免疫システム」に書きましたので、今回は「食べ過ぎ」が治癒システムの機能低下の原因であることに触れたいと思います。
治癒システムについては、別項「治癒システムは免疫システムより上位に位置する」に書きましたが、これは「自然治癒力」そのものであり、その本体はマクロファージ(貪食細胞)です。そしてこの活性度の高低が治癒システムの高低を決定しています。
治癒システム低下の最大要因が「老化」です。老化が進めば、「がん」、生活習慣病、等の高年齢者に多い病気が増えることからも納得できます。ところが老化とともに、治癒システムを低下させるもうひとつの大きな要因があります。それが「食べ過ぎ」です。
マクロファージとは「貪食(どんしょく)細胞」とも言われるように、まさに体内に入った異物をがむしゃらに食べる白血球のひとつです。免疫システム(リンパ球)では、異物を「自己か自己でないか」の判断をしてから「非自己」だけを排除しますが、マクロファージはあらゆる異物を貪欲に食べつくします。ですからその能力には「数の限界」があります。
1945年の終戦から60年以上が経過しましたが、病気は増加の一途をたどっています。またこれらの病気の中でも「がん」、脳溢血、心臓病などの「致死的な病気」が増えています。そしてこれらの病気では、治癒システム低下が原因の場合が多いのです。終戦当時との環境の違いは何でしょうか。大気汚染、食品添加物などの環境汚染や、ストレスなどの社会的環境悪化などがいわれていますが、意外に見落とされているのが、「飢餓から飽食」への激変です。その典型例が「米ニューヨーク市、トランス脂肪の使用を規制」というニュースに代表されます。私が別項「ヒステリックな禁煙運動とアメリカの国民性」の最後の部分に予想した、「禁脂肪法」が早くも実現したことになります。しかし私が指摘したいのは、「脂肪」だけの問題ではなく、「食物そのものの絶対的増加」なのです。
動物の消化器官の能力には限界があります。その限界を越えた食物は、未消化のまま体内に取り込まれます。「非自己」と認識されたものは、免疫システムにより「異物」として認識されますから、リンパ球も浪費されますが、「自己」「非自己」を問わずに何でも食べてしまうマクロファージの場合は、絶対的多量の異物の処理に膨大な数が浪費され、治癒システムが疲弊してしまいます。活性化して初めて治癒システムの要となるマクロファージなのですが、活性化する以前に異物の処理に追われ絶対数が不足し、活性化どころではなくなるのです。
このように食べ過ぎは、治癒システムを低下させると同時に、治癒システムが支える免疫トライアングル全体(免疫システム、神経システム、内分泌システム)も低下させてしまいます。したがって治癒システムの低下は、「がん」や糖尿病、高血圧、高脂血症等の生活習慣病だけではなく、アトピー性皮膚炎、ジンマシン、ぜんそく、花粉症等のアレルギー疾患、リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎等の自己免疫疾患、C型肝炎等の肝臓病、自律神経失調症などなど、ほとんどの慢性疾患の原因になりますし、すでにこれら疾患にかかっている場合には治療の妨げになります。
犬などペットを飼っている方は気づいているかもしれませんが、餌を与えないペット程長生きします。昔金魚を飼ったことがあります。屋台の金魚すくいで求めた普通の金魚です。玄関の水槽で飼っていたのですが、つい面倒で餌を与えない日が増えてきました。水換えも面倒になり水槽のふちには苔がいっぱいになりました。見ているとその苔を食べているのです。面白くなって「実験」と称して餌やり、水換えを一切しなくなりました。子供が幼稚園時代に飼い始め中学時代まで生きていましたから、何と10年近くも「餌なし」で生きていたのです。(金魚には免疫システムはありませんが、人間ほど精緻なものではありませんが治癒システムはあります)。別項「ヒトも植物の遺伝子を持つ。だったら・・・・」に「食べ物をとらない人間」のことを書きました。参照下さい。
基礎代謝という数値があります。生命を維持するために必要なエネルギーのことで、18歳前後をピークとして、加齢により減少し60歳ではピークから25%減少します。すなわち年をとるほど「省エネ」になるのです。したがって運動をしないで基礎代謝以上のカロリーを取り続けていれば肥満になるし、年をとっても若い時と同じ食事をしていれば肥満になります。すなわち治癒システムの低下が起こります。
私も55歳頃までジョギングが日課で体重は55キロほどでしたが、膝の負担を考え「歩き」に切り替えました。そうしているうちに徐々に体重が増え、66歳には「いつの間にか」68キロになってしまいました。細面ですので他人からは肥満とは見えないのですが、ズボンをどんどん買いかえなければならなくなりました。典型的な「隠れ肥満」でした。そこで1年程前からゆっくりとしたペースの減量を始め(経過はブログ「減量体験」参照)現在59キロになりました。食事量を減らしても疲れなどの不都合はまったく感じませんでした。そして「老化と基礎代謝の減少」を実感しました。10キロ近い減量で、毎朝のウォーキングが大変軽く感じるようになりました。
高年齢の方だけではなく若い方を含め、現在何らかの病気で悩んでいる方、健康を維持したい方、減量に挑戦してみませんか。そして「がん」をはじめとする生活習慣病、いろいろな慢性疾患の予防と治療のために、治癒システムの低下を阻止して下さい。
| ホームページを開設して10年たちました |
早いもので、「月に一度ホームページを更新する」ということが、生活のリズムになってから10年経過しました。
1980年に最初のパソコン(NEC PC-8001、OS:N-Basic)を買って以来、「お遊び」でパソコンをいじっていましたが、Windows95が使えるようになってからは、カルテや経理などの仕事にも使いはじめていました。1997年になってパソコン仲間でもあった取引会社社員が、個人的にホームページを開きました。これが契機で自分にも開けるのではないかと、ホームページのことを調べはじめました。そしてホームページビルダーを使い、地元小田原では唯一のプロバイダーに「実正堂薬局ホームページ」を開設しました。
当時はダイアルアップ接続でしたから、電話が市内料金でかけられる地元でなければなりませんでした。ISDNによる常時接続環境は1997年7月30日から可能になりました。また小田原のプロバイダーが廃業したため、2003年3月に現在のNiftyに引越し、同時に回線もADSLとしました。
開設日は1997年3月28日で、初めて自分のホームページをネット上で見た時の感動を忘れられません。早速Yahooなどの検索サイトに登録し、「登録確認」をしたのが4月14日でした。ちなみに、今でこそメジャーになったYahooも、この年は開設1年目でした。(昨年からYahooは10周年記念のイベントを実施していましたね)。今ではYahooに登録してもらうには、よほどすばらしいサイトか、有料登録しか方法がありませんが、当時は1週間も待たずに簡単に登録していただけました。
最初は「お遊びないし悪戯半分」で始めたのですが、検索で表示される薬局そのものが少なかったせいか、すぐメールが届くようになり、本気になってきました。現在は月に一度「薬剤師の独り言」を書き足していますが、最初の頃は書きたいことがたくさんあり、月に数項目を書いていました。現在ではタイトルも150項目を越えていますが、トップページやスタイルは変更していません。10年間も同じスタイルのサイトも珍しいですね。
開設したのが「遊びないし悪戯半分」でしたので、このサイトを経営に結びつけようとの発想がありませんでした。薬局のサイトの多くが、商品の写真を並べたり、「買い物カゴ」を設置したりして、「売り上げ」を目的にしていますが、あえて「独自の情報発信」だけの内容を続けてきました。ほとんどがテキストだけの地味なサイトにもかかわらず、多くの方から励ましやお礼のメールをいただいたり、ご自分のホームページへリンクをはっていただいたり、感謝の気持ちでいっぱいです。
時々まわりの方から、「よく続けられますね」と言われますが、もともと文章を書くことが好きな性分のためか、タイトルさえ決まればあまり苦労せずに書いてこられました。たまにはタイトルが決まらずにあせる時もありましたが、何とか10年間続けることが出来ました。2001年1月頃に、「認識革命 るいNETWORK」という先鋭的なサイトに紹介され、「実正堂薬局ホームページ」の内容を話題として議論がたたかわれているのを、主催者より知らされ感無量でした。特に2004年8月に、このサイトを編集して出版できたことは一生の思い出になりました。出版が一段落した2004年9月にはブログ「免疫と治癒」を開設、さらに2005年12月には第二ホームページ「自律神経失調症・・・漢方薬剤師の情報発信」も開設しました。
アメリカにWayback Machineというサイトがあります。インターネットアーカイブとも言われている「ネット版の図書館」です。1996年に創立された非営利的団体であり、設立目的としては、「永久のアクセスを研究者、歴史家と学者に対して提供する」としています。
このサイトには数百億とも言われる世界中のサイトの中から、目的にあったサイトを「過去の分も含めて」保存しています。容量の関係からでしょうか、画像は省かれていますが、年に数月分のトップページがすべて保存されており、「さすがネット先進国アメリカ」と感激します。(アーカイブされたページは、最近850億を越えたそうです。ちなみにグーグルは80億ページ)。日本でもやっと2002年度から、国立国会図書館でこの種のものを作ろうと準備をすすめているようです。インターネット資源選択的蓄積実験事業(WARP)です(現在はインターネット情報選択的蓄積事業)。
一般にサイトは更新した時点で「過去の分」は消滅してしまいますが、過去のページをも保存するという趣旨に感動さえ覚えます。旧アドレスで検索すると、10年前の「実正堂薬局ホームページ」も保存されています。これを発見した時も、アメリカの底力に驚くとともに、過去のサイトが見られたことに感動しました。記念のために数年分をプリントして保存しています。
現在インターネットは、「Wb 2.0」と言われるまでに「異常な」広がりを見せていますし、これからの進歩(退歩も含めて)は想像もつきません。ただ巨大な検索サイトの支配力が「世界を動かす」時代に入り、その中に「マネー資本主義」を垣間見るたびに、「ネットを利用するだけではなく、ネットに利用されない社会」を考えなければならない「憂鬱」も感じます。
これからも読者からの勇気をいただきながら、少しでもお役に立つ内容のホームページをこつこつと続けて行きたいと思います。