自律神経失調症は漢方薬だけで治るか?

 多くの問い合わせのメールをいただいていますが、大変な量の文章にもかかわらず、きちんと読みこなし理解した後にメールを下さる方もいらっしゃいますが、中にはほとんど読まない内にメールを下さる方もいます。そういう方は、サイトの内容を理解していませんから、「○○の症状だがどんな漢方薬がいいか教えて欲しい」といった問い合わせになります。漢方処方の決定は、こんな問い合わせに答えられる程、簡単ではありません。また自律神経失調症を、「漢方薬をちょっと飲めば簡単に治るもの」と考えているような、問い合わせも時々見受けられます。

 たしかに12年も書き続けているサイトですから、全部を読むことは大変です。ただ自律神経失調症をはじめ、慢性の病気を治そうとするのですから、それなりの努力はしていただきたいと思うのです。そのためにメインの「薬剤師の独り言」の中のぜひ読んで欲しい項目は、タイトルを赤字で示しています。これだけならそれほど時間もかからずに読むことが出来ると思います。

 このサイトを続けていて一番言いたいのは、「漢方薬で症状を軽くすること以上に、システム(免疫システム、治癒システム)を修復することが大切である」ということに尽きます。

 漢方薬は歴史が古いだけに、過大評価され、また「買いかぶられ過ぎ」ているように思います。漢方薬は、現在の医薬品と比べ、「ゆっくり効いて副作用が少ない(きちんと処方されていれば)」ことは事実ですが、「体質改善の働きがある」という誤解がつきまとっています。「脾虚」に使われる処方などは、たしかに長期間のむと消化器を丈夫にして、結果的に「体が丈夫になる」という働きがありますが、これはごく一部の処方に過ぎません。
 
 自律神経失調症に使う漢方薬についても同じことが言えます。漢方薬は、自律神経失調症の原因である「気の滞り」を、「発散」の作用で解消し、症状を軽減させるのですが、軽減された時点でその役目は終わりなのです。(ただ軽減には年単位の時間が必要な場合もあります)。それ以上に長く飲んでも、「自律神経失調症そのものが治る」ということはありません。ただし現代医学の薬よりも「決定的に優れている点」があります。それは「脳に直接作用しない」という点です。

 現代医学の自律神経失調症の薬は、向神経薬と呼ばれている一連の「脳に作用する薬」です。現代医学的治療では、向神経薬以外の選択肢はないので、「仕方なく」使っているのが現状ですが、この薬だけは長期間使いたくない薬の筆頭です。(「自律神経失調症は向神経薬で治るという誤解」参照)。

 では漢方薬で自律神経失調症の症状が軽減され、苦痛が少なくなったらどうしたら良いのでしょうか。それは自律神経失調症の最大の原因である、「脳(視床下部)のキズの修復」です。別項「心の病は脳の傷」という本」参照。

 この目には見えないキズを修復しないかぎり、漢方薬で一時的に軽減された苦痛や症状も、漢方薬を止めてしまえば、いつかは再発してしまいます。それが数年後だとすれば、キズは大きくなっているでしょうし、この本に書かれているように「空洞」になってしまっているかもしれません。再び漢方薬を使っても、回復にはさらに時間が掛かるでしょう。

 これこそがこのサイトが一番言いたい「システムの修復」なのです。「システムの低下と乱れ」は、ひとりひとり違いますから、その修復方法も違います。したがって来店いただき、時間をかけての問診が必要であることは言うまでもありません。

自律神経失調症と小腸

 今回は、小腸という不思議な臓器について考えてみましょう。口から始まり肛門に終わる一本の管を消化管と言います。小腸とは、胃と十二指腸に続く全長5メートルに及ぶ長い管で、その後ろに1.5メートルほどの大腸がつながっています。不思議なことに、小腸には「がん」が発生することはほとんどありませんし、病気にもならない頑丈な器官です。

 学校では、「小腸は食べたものを消化吸収する器官」程度しか教わっていませんが、近年の研究(藤田恒夫 新潟大学名誉教授)により、脳に匹敵する独立性の高い臓器(器官)であることがわかってきました。胃や大腸のように、脳からのコントロールを受けていないのです。胃や大腸は、脳の支配を受けていますから、ストレスにより自律神経が乱れれば、胃痛や下痢を起こしますが、小腸はびくともしないで、消化吸収という働きをもくもくとこなします。

 小腸を生物の進化から考えてみましょう。一番単純な、多細胞動物の一つにヒドラという動物がいます。主要な器官は、腸と口と触角だけです。触角で触れて食べ物だとわかれば口に入れ、消化吸収後の不要物はまた口から吐き出します。もちろん脳もなければ胃もありません。動物はこれだけの器官で十分生存が可能なのです。

 進化とは、効率よく食べ物(エネルギー)を摂取する方向に進みますから、ヒドラの口の部分にセンサーとなる神経が集まり、先端が膨らみはじめ、脳へと進化して行きます。すなわち小腸は、「脳以前」に生まれた器官で、「小さな脳」と呼ばれています。

 ちなみに、胃が生まれるのは、さらに進化が進んだ魚になってからです。食べ物の「一時保管所」が出来、行動に余裕が生まれました。大腸が生まれるのは、さらに進化が進み、水中から陸に上陸してからです。水中であれば、排泄物を出しながら動いていても、拡散してしまいますが、陸上で排泄物をたれ流せば、すぐ外敵に察知され攻撃されてしまいますから、やはり「一時保管所」が必要だったのでしょう。

 別の視点から「小腸の独立性」を考えてみましょう。

 例えば、深く眠っている時にも小腸は、「自動操縦」で働いていますし、全身麻酔状態でさえも消化吸収の働きは休みません。また不幸にも脳死の状態になってしまった場合でも、チューブを使った人工栄養で生命を維持することが出来ます。脳からのコントロールを受けずに、腸が独立して働いているからこそ可能な「生命維持」なのです。

 さらに小腸は脳から独立しているだけではなく、脳に働きかけることもあります。例えば小腸の入り口に有害物質が入ってくると(胃では有害か無害かの判断が出来ない)、脳の嘔吐中枢に働きかけ、胃から吐き出させることで生体を守っています。

 脳が「人間らしく生きる」ために必要な器官であるとすれば、小腸は「動物として生きる」ために必須な器官と言えるでしょう。

 ストレス社会に右往左往する「人間的生活」から、たまには小腸のように独立し、「脳の指図は受けないぜ」といった「開き直った動物的生活」を送ってみるのも愉快ではありませんか。

名(迷)神経科医 伊良部一郎・・・自律神経失調症の乗り切り方

 「本好き」な方なら、このタイトルを見てすぐ気づくでしょう。そうです、2004年、第131回直木賞を受賞した奥田英郎氏の作品、「空中ブランコ」に登場した神科科医の名前です。それ以前の作品「イン・ザ・プール」(2002年)、その後の作品「町長選挙」(2006年)を含め「伊良部シリーズ三部作」と呼ばれています。いずれもコミック、映画、テレビドラマ、舞台にもなったくらいの「超おもしろ作品」です。「悲劇作品」の受賞が多かった直木賞に、始めてこのような「喜劇作品」が選ばれたことでも、当時話題を集めました。

 ある新聞の書評で、「電車の中では読まないで下さい。爆笑して恥をかきます」とあり、まず「イン・ザ・プール」から読み始めました。三部作は、いずれも一冊に数編の短編を含んでいますが、いずれも「とんでもない神経症状」で悩む患者と、デブで「カバ」とか「トド」みたいな「とんでも医者」、美人で肉感的な「とんでも看護婦」との、どたばた騒動を描いています。

 「とんでもない症状」のいくつかを紹介しましょう。()内は短編のタイトル。

1:会社員の男性。夜中に急に胸が苦しくなる。下痢が始まり粗相してしまう。「内臓の学級崩壊だ」と訴える。(インザプール)

2:コンパニオン。不眠から始まり、外出時にストーカーや視線を感じ被害妄想に陥る。(コンパニオン)

3:ルポライター。火のしまつの確認行為が激しくなり何回も確認のため帰宅する。脅迫神経症。(いてもたっても)

4:やくざ。空気を吸えない。尖ったものが怖い。尖端恐怖症。(はりねずみ)

5:ナベツネを彷彿させる老人。暗闇、閉所恐怖症(オーナー)

6:ホリエモンを彷彿させる男性。キーボード使いすぎで平仮名が書けなくなる。「平仮名アルツハイマー」。(アンポンマン)

7:女優。体型崩壊、カロリー恐怖症。(カリスマ稼業)

8:野球選手。サードからファーストまで送球が出来なくなる。(ホットコーナー)

 三部作全14の短編から、その半分を選んでみました。

 過去に相談を受けた症状よりも、「よりオモシロ小説的」に書かれていますが、これに似た症状は、毎日のように患者さんから聞きます。これだけの症状を、小説の題材に出来るということから考えると、奥田英郎氏という作家は、ご自身が自律神経失調症の経験者か、身近な人に自律神経失調症の方がいるのではないかと想像してしまいます。

 毎日苦しんでいる自律神経失調症の方に、このように、「症状を茶化した笑い話」を紹介するのは気が引けるのですが、実はここに出てくる患者さんと伊良部医師との、「珍問答」の中にすばらしい「解決法」が潜んでいるのです。さらに患者さんを引き込んで、医者自身も楽しみながら「珍行動」を重ねていく内に、患者さんの症状が「自然に消えてゆく」様子が描かれているのです。また若い患者に言う、「自律神経失調症なんか社会人のハシカ」、中年の患者に言う、「中年のハシカ」といった言葉は、「使えるなあ」と思いました。

 もちろんこんな医者は現実にはいないのですが、これこそが神経科本来の治療法ではないかと思うのです。

政権交代と医療問題

 国民の圧倒的支持により政権交代が実現しました。政権交代では、あらゆる政策が大きく変更されるのですが、ここでは民主党のマニフェストの中でも、最も支持されたという医療の分野に限って書いてみます。医療問題とは、医療制度の中でも医療費の問題に集約されます。そして医療費は、支払う側と受け取る側との妥協点で決められます。この妥協点を決めるものが政治ですから、政権交代があれば、妥協点の決め方も大きく変わってきます。

 自民党政権がどちらかと言えば、受け取る側(医療側)を向いていたのに対して、民社党政権は(今のところ)支払う側(消費者側)を向いているように思えます。したがって妥協点は「消費者優位」の方向に進むものと思います。

 さてマニフェスト(抜粋)には7つの重点項目が掲げられています。

 1:社会保障制度の安定
    ●国の責任で社会保障制度を維持発展等 
 2:予防医療の推進
 3:医療の安心・納得・安全
 4:国民皆保険制度の維持発展
    ●後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化
    ●包括払い制度の推進等
 5:医療提供体制の整備
    ●医師養成数を1.5倍に増加
    ●現役医師の有効活用策で医療従事者不足を軽減等
 6:診療報酬
    ●地域医療を守る医療機関を維持等
 7:各診療科・疾患対策
    ●がん対策
    ●安心して産み育てることのできる医療
    ●新型インフルエンザ対策等

 いずれもマニフェストという選挙目当ての政策ですから、財源の制約から4年間ですべてが実現できるとは思いませんが、より消費者のためになる方向に進んでいってもらいたいと思います。

 私は現在の医療保険制度の中で、一番の問題点が「出来高払い」だということを強調してきました。(「”医療はすでに崩壊している”と考えるべき時か」「医学会が作る”治療ガイドライン”は医者の免罪符か」参照)。この観点から見ると、このマニフェストの中で、一番注目したいのが、「包括払い制度の推進」です。すでに6年前から一部(特定機能病院)実施されていますが、これをすべての診療体系で実施しようというわけです。

 包括払い制度とは、実際に行った医療行為とは関係なく、疾患ごとに定額の報酬が支払われる方式です。したがって検査や投薬をたくさんやっても、診療報酬は一定ですから、過剰な検査、投薬はなくなります。逆に医療側からは、「必要な検査や投薬ができないための誤診や治療の遅れが起こる可能性がある」という反対意見もあります。

 ただ現在の医療保険制度の崩壊は、あきらかに「出来高払い」制度にあります。包括払い制度も、運用の工夫によって、「誤診リスク」等を回避することが可能なはずです。この包括払い制度はぜひ推進して欲しいものです。これが実現すれば、「最大の医療改革」になるはずです。

 最近の報道によると、もう一つ「消費者側有利」な方向が打ち出されようとしています。それが「中央社会保険医療協議会(中医協)のあり方の見直し」です。医療の方向を決めるこの協議会のメンバー構成を、「より消費者寄り」にしようとする試みであり、大いに期待しています。「包括払い制度の推進」と共に、この「中央社会保険医療協議会(中医協)のあり方の見直し」も、政権交代の賜物です。

 なお私のブログ「免疫と治癒」(2009.10.29)に、「特定保健用食品(通称トクホ)制度の見直し」について書きました。これも政権交代がなければあり得ない「消費者寄りの政策」です。

自律神経失調症と ”超”非日常

 自律神経失調症の漢方治療をより効果的にするために、補助療法として「自分で出来ること」を、何回か書いてきました。その中に「非日常に身をおく」ことをおすすめしてきました。まず過去の項目をおさらいのためにリンクしておきます。

自律神経失調症には「非日常」が良い薬になります

自律神経失調症と「スポーツ」、「旅行」

自律神経失調症と「熱中」番組

自律神経失調症の方は「打ち込めるもの」を持って欲しい

  特に最後の項目は、具体的に書いてありますので、自分に出来そうなものから実行してみて下さい。しかし中には、「こんなことなんて・・・・」と最初から馬鹿にして、薬だけに頼ろうとする人もいらっしゃいますが、こういう方の回復が明らかに遅れることは、何回も経験しています。

 ただここに並べてある「非日常」の中にも、「散歩」など簡単に実行できるものから、「海外旅行」とか「ボランティア」といった、ある程度の「覚悟が必要な」ものもあります。これが「非日常」の「非の程度の差」なのですが、この「非の程度が大きい」ほど「気滞を動かす発散効果が大きい」ことは言うまでもありません。

 ただ漢方薬の服用と同時に、このような「非日常」を実行してみても、まだ効果があまり見られないとおっしゃる方もいます。(実際には実行が不十分だと思われる場合が多いのですが・・・・)。そういう方には、もう一段「非の程度」をアップした「非日常」をおすすめします。すなわち、より効果をあげるためには、今までの日常から「より大きくかけ離れたこと」に挑戦した方が良いのです。さらに言えば「今までの惰性の日常」を捨て、「新しい日常を作り上げる」ことも究極の「非日常」ではないでしょうか。いわば”超”非日常ですね。

 日々の相談の時には、ストレスの原因についての「立ち入った質問」はしていないのですが、相談者の中には、逆に「聞いてもらいたい」と、お話して下さる場合もあります。その中には、想像以上の強いストレスの原因を、しかも長期間にわたり抱え込んでいる方もいらっしゃいます。このような場合、普通の「非日常」ではなく、「”超”非日常」を考えた方が良い結果を生むのではないかと思うこともあります。そして、以下に示したようなことを、それとなくお話することはあります。

 ただこれらは、「結婚」を除いて「慶事」ではありませんし、家族を巻き込んだ生活の大転換を必要とし、よほどのことがないかぎり、実行できるものではありません。また実行してしまえば「後戻り」ができにくいことばかりです。したがって「それとなくお話すること」はあっても、おすすめしたことはありません。ずっと後になってからの「よくなりましたという報告」の中で、これらの事実を何例か知りました。したがってあくまで緊急避難的なものと考えます。

 未婚の若い方には、「結婚」が最高の「新しい日常」でしょう。運良く、快活な異性に巡り合い、結婚が出来たならば、自律神経失調症などは霧散してしまいますね。逆に結婚生活がうまく行かずに、これがストレスになっている場合、「最後の手段」だとは思いますが、離婚も選択肢に入ります。私の年代には考えられないことですが、これから何十年も辛い結婚生活を送ることよりも、離婚を考えるという、最近の若い方の選択も、「アリかなあ」とも思います。もう少し穏やかな手段として、「一時別居」も考えられます。

 「転職」や「転校」、「転居」も、ある程度覚悟が必要な選択ですが、前向きな方向であるならば、効果的な場合が多いと思います。最近では、病気で悩む人を助けようという、前向きな意志から、現在の職場を捨てて、看護師や鍼灸師を目指す若い方の例がありました。問題になっている「イジメ」など、学校生活でのストレスが非常に大きい場合、転校は有力な選択肢です。騒音、近所づきあいなどの生活環境の変化が大きなストレスになってきた場合、転居も考えられます。

 最近NHKで、俳優の関口智弘さんが、世界中で活躍している若い方を訪ねる番組を見ました。このように多くの若い日本人が世界中で活躍していることを見聞きします。最初から目的を持って飛び出して行った方もいる反面、日本での生活から逃れたいといった、「後ろ向き」な動機から、日本脱出を試みた方も多いと思います。”超”非日常を求める一つの選択肢でしょう。成功すればすばらしいことなのですが、失敗するリスクも当然考えなくてはなりませんが、ひとつの挑戦であり、「若さの特権」でもあります。

自律神経失調症と2009年末の暖冬

 12月(2009年)に入った頃、少しおかしなことに気づきました。去年までは気づかなかったことなのです。症状が落ち着いていた自律神経失調症の方の何人かに、「最近、症状がぶり返してきた様です」と言われたのです。夏を過ぎ涼しくなってくる頃なら、理解できるのですが、この時期では考えられません。一人二人なら問題とは思わなかったのですが、続けて数人に言われたので、おかしいなあと思ったのです。

 そんな時、「雪不足でスキー場の営業が出来ない」とか、「桜が各地で狂い咲きしている」というニュースが流れました。そういえば小田原でも、「今日は寒い!」と言う日がないことにも気づきました。そうだこの「暖冬」が原因なのだ。

 症状の中でも、「頭がボーとする感じ」、「ふらふらする動揺感」など、2月終わりか3月頃の「春特有の症状」なのです。体が春と勘違いしているのだ。自律神経失調症が、春という季節に始まったり、悪化しやすいことは、すでに何回か書いています。「春になると体調が悪くなる人」「春が”不快な季節だ”という人が増えてきた異常」参照。

 そこでこの話をしますと、「そういえば、春みたいな陽気が続いていた頃始まりました」とおっしゃいます。ようするに自律神経失調症の方は、「季節の変化に敏感すぎる体質なのだ」とも言えるのです。「寒さが戻ってきたら落ち着きますよ」と話しておきましたが、「数日で収まった」との連絡をいただきました。

 ここで大変重要なことなのですが、「季節の変化に敏感すぎ体質なのだ」ということを考えてみましょう。草花もそうですが、生き物はすべて季節の変化に影響を受けて生活しています。ですから普通の人でも「暖冬」だとは気づいていますが、それが体調まで変化を及ぼしていないのです。ようするに「鈍感」なのです。

 長い間自律神経失調症の方の相談を受けてきましたが、この「敏感すぎる体質」が自律神経失調症の「本質」だと思うのです。ですから自律神経失調症の方は、小さい頃から「何事にも神経質」と自覚していたように思います。そして神経質ゆえに何事にも「気がつきやすい」、さらに「イヤなことが続く場合には精神的に傷ついてしまう」という悪循環になってしまうのでしょう。

 鈍感というと何かマイナスな印象を受ける言葉ですが、現代のようなストレス社会においては、逆に大切な「暮らしの知恵」ではないでしょうか。しかし敏感とか鈍感とかというものは、そうなれと言われて変えられるものではありません。私がおすすめしている「開き直り」が一番の対処法だと思います。(「”眠れなくても死ぬことはない”という”開き直り”が必要な場合も」「KY(空気が読めない)」と”鈍感力”と自律神経」参照)。
 
 暖冬という現象から、自律神経失調症の「本質」を垣間見ました。やっと本格的な寒さがやってきました。しばらくの間、症状はあまり気にならない日々が続くと思います。そして症状が首をもたげる春に備えて、積極的に外に飛び出す機会を増やし、ストレスを発散することに心掛けて下さい。