COWBOY BEBOP

 11      life is but a dream…(キリリク10000)
 
「むう…」
 リビングの一人掛けのソファに座ったまま、ジェットはテーブルに置かれたゲーム盤を見つめ、腕組みをしたまま黙り込んでいる。
「早く答えなさいよ」
 向かいに座って足を組むフェイが答えを急かす。
「そうだぜ、ジェット。答えられねえんだったら、あんたはこのゲームから『棄権』ってことだからな」
 その隣でスパイクもニヤニヤしながらジェットの困り果てた表情を見ている。
「まあ、そうなれば勝ちを競う頭数が減ってラッキーってもんだけどね」
「うるせえぞ、お前ら!誰も答えんとは言ってねえだろうが」
 ジェットが二人をにらみつけた。
 
 
 事の起こりは、つい先日、玩具メーカーの社長が賞金を掛けた賞金首を捕まえたことにある。
 800万ウーロンという当座の生活には困らない額の賞金と共に、その社長からのおまけがビバップ号にやってきた。
 それは、太陽系の住民なら誰もが知っている、人生になぞらえたAI搭載のボードゲーム。
 プレイヤーは止まったマスに書かれている指示に従いながらゲームを進めるというものだ。
 その指示にはラッキーなものもあればアンラッキーなものもあり、きちんと指示に従ったかどうかはAIが判断する。
 …なのだが、このゲームは普段見かけるものとケースのデザインが微妙に違っていた。
「これは、大人向きの試作品なんですよ」
 社長は確かそう言っていた。
 
 
 ―――それにしても。
 
『今までに一番興奮したSEXは?』
 
 俺にそんなことを答えろと言うのか?コイツらの前で?
 「大人向き」だから、とエドを遠ざけといたのがせめてもの救いかもしれん…。
「…だが、俺はまだ恥は捨てたくねえんだよ…」
 顎髭を撫でながらつぶやくその姿を見て、
「何言ってんの。そのカッコで今更恥とか言っても始まらないでしょうが」
「確かに」
フェイとスパイクが、既にゲームの指示でバニーガール姿になっているジェットに言った。
 慌ててなぜか開いていた足を閉じるジェット。
「指示に従わねえと賞金がパアになるんだから、仕方ねえだろ!」
「そうそう。最初の約束どおり、勝った人が賞金総取りってことで。棄権すればその場で権利がなくなっちゃうわよ」
「で?ジェットさんは今度の指示には従うのかよ」
「…何で俺ばっかり…」
 その後しばらく無言だったジェットだったが、意を決してボードの判定ボタンを押しながらマイクに向かって言った。
「ハイスクールの時、初めて女とやったときだ!」
 判定マシーンは少し沈黙してから、
『ブー』
 と不正解を告げる。
「…な…何で…」
 焦るジェット。
「それ以上に、興奮したことがあるって事でしょうね」
 フェイがニヤニヤとジェットを見遣る。
「機械もちょっと考え込んだよな。もしかして同じくらい興奮したってことかも」
 スパイクも笑いをこらえきれないようだ。
「むむ…」
 もう一度考え込むジェット。
「ほら、チャンスは後1回しかないぜ。正直に言わなくていいのかよ」
 スパイクは楽しそうに煙草に火を付ける。
 それでもジェットはしばらく考えてから、
「…わかった…」
改めて意を決したようにマイクに向かい、ボタンを押した。
「アリサと…×○☆∞@※♀♂◎…!」
「え?何?なんて言ったの?」
 あまりに小声で早口だったので、フェイにもスパイクにも聞き取れない。
『ピンポーン!』
 が、機械には聞き取れたようで、正解のチャイムが鳴り響いた。
「汚ねえぞジェット!」
「うるせえ!俺はちゃんと指示どおりにしたんだ!ごちゃごちゃ言うな!」
 まだ顔を赤らめながら怒鳴るジェット。
「…それにしても、一体アリサとどんなことしたのかしらねえ」
「初めての時と一、二を争うくらい興奮したってんだから、かなりのこと…だろうな」
 フェイとスパイクはわざとジェットに聞こえる声でひそひそと話し合った。
「ってことは…あんな事とか…まさかこんな事まで…!?うわー、真面目そうな顔してやるわねえ、ダンナも」
「むっつり何とかってヤツかもな」
「変態って顔見ただけじゃわからないって言うしね」
「……お前等、いい加減にしろ!」
 どこまでもエスカレートする二人の会話に、たまらずジェットが割って入った。
 
 
 そしてゲームは終盤。
 フェイはボタンを押し、ホログラムのルーレットを回した。
 勢いよく回転してから、ルーレットは速度を下げ、そして止まる。
「やったぁ!10!このままだと、次のターンであたしの勝ちね!」
 ボード上には分岐もなく、コマは自動的に移動していく。
 後続を引き離していく自分のコマを見てフェイはほくそ笑んだ。
「汚ねえぞ!またイカサマじゃねえのか?」
「いつもいつも俺たちをだましやがって」
 スパイクとジェットの怒号を聞き流して、満面の笑みをたたえながらフェイは止まったマスを見る。
 見るなり、その表情が豹変した。
 
「やだ!BADポイントじゃない!」
 額に手を当てて顔をしかめるフェイに対し、
「ざまあみろ!」
「ちゃんと指示に従えよ」
スパイクとジェットは期待に満ちた眼差しでその指示が表示されるのを待つ。
 と。
 
『左隣の人とSEX』
 
 味気ない言葉でありながら、とんでもない文字列が3人の目に飛び込んできた。
「げ…」
 フェイは言葉もなく、左隣の人物を見る。
 その人物…スパイクも恐る恐る顔を上げた。
 そのまま、二人は凍り付いたようにお互いを見つめる。
「どうした?お二人さん」
 バニーガール姿のジェットだけが楽しそうに声を掛けた。
 
 
 
「仕方ないわよね…」
 立ち上がりじりじりと迫るフェイに、スパイクが後ずさる。
「ま…まさかお前、本気で…」
「当たり前でしょ?あたしの勝ちはもう目の前なの。ここでやめるなんてことできるもんですか」
「だからって…」
「ヤらなきゃ負けなんだから仕方ないでしょう?」
「俺には関係ねえ!」
 そんなスパイクに構わず、フェイはくるりとジェットに振り向いた。
「ねえ、指示に従ってるプレイヤーには他のプレイヤーは逆らえないんじゃなかったっけ?」
「その通り」
 ジェットがすかさず同意した。
 このゲームを始めるにあたり、ジェット以外の人間はルールをろくに読みもしていない。
 基本的なルールは一般的なバージョンと変わらなかったし、第一几帳面にルールを読むなどということをジェット以外するわけもなかった。
「そういうことだから、もう諦めることね」
 フェイはもう一度スパイクに向き直る。
「お前、こんな状況でデキるのかよ?」
「800万のためならね。SEXって言ったって、あんたのそのお粗末な物をチョイチョイって入れればいいだけでしょ?」
「お…お粗末だと…?言うに事欠いてよくも言いやがったな。ようし…わかった」
 スパイクも立ち上がって、フェイの腕を掴んで引っ張った。バランスを崩したフェイはスパイクの胸に倒れ込む。
「後悔すんなよ」
「あんたこそ」
 スパイクの胸を両手で押しやりながら、フェイはスパイクを見上げる。
 二人の視線はぶつかって火花を散らした。
 
 
 
「さあ、さっさと済ましちゃいましょ」
「こっちのセリフだ」
 だが、言葉とは裏腹に二人の動きは鈍い。
「どうした?やらねえのか?」
 ジェットが一人掛けのソファに座ったまま、二人を煽る。
「やる!」「やるわよ!」
 同時に答える二人。
「あんたがそこで見てるから、進めづらいんじゃない」
 フェイがジェットをにらみつける。
「そんなこと言われてもなあ。ゲーム中にこの場を離れれば即棄権ってルールなんだから、仕方ねえだろ」
 フェイの八つ当たりだと承知の上で、ジェットはニヤニヤと笑いながら答えた。
「………」
 返す言葉がなく黙り込むフェイに、スパイクが言う。
「ゴチャゴチャ言ってねえで、ほら、ヤってやるからケツ向けろよ」
「何よその言い方!」
「言い方なんてどうでもいいだろうが」
「…あっ…!」
 スパイクは有無を言わさず、今まで座っていた二人掛けのソファの背もたれにフェイの手をつかせ、黄色いエナメルのショートパンツに隠されたその足の付け根に指を忍び込ませた。
 向かいに座っているジェットからはスパイクの身体の陰になり見えなくなる。
 ジェットは少しホッとしている自分に気付き、複雑な気分になった。
 スパイクは片手でショートパンツの股の部分をずらし、ショーツ越しに指で探る。
「やっ…ちょっと、何やってんのよっ」
 不意に身体の一番敏感な場所に侵入者が近づくのを認め、慌ててフェイは身をよじった。
「ちゃんと入るかどうか確かめてんだよ」
 言う間にもスパイクの指はショーツのクロッチ部分をくぐり抜けて、直接その部分に触れる。
「んっ…そんな必要…あるわけ?」
「いきなりねじ込まれたいってか?残念ながら、俺は紳士的なんだよ」
 フェイのやわらかな粘膜をじわじわとスパイクの指が這い回る。
 侵入者から与えられる刺激によって、少しずつその湿度が上がってきた。
「まさか、感じてんじゃねえよな」
 その手を緩めず、スパイクが尋ねる。
「んなわけないでしょ?つまんないこと言ってないで、早く終わらせちゃってよ」
 必死に目に力を込めながら、フェイが振り返る。
「それは『入れてください』って意味か?」
「バカ言わないで。あんたこそ、そんなにいつまでも触ってたいってわけ?」
「…口の減らねえ女だ」
 そう言いつつ、スパイクの指がフェイのサスペンダーを一つカチリとはずした。
 
 
 
 フェイのショートパンツをショーツごと太股の途中まで下げ、スパイクはゆっくりとその場所へ自らのモノをあてがった。
「あら?あんたももうとっくに準備万端なんじゃない」
「何が」
「もうそんなに固くしちゃって」
「お前の方こそ、待ちかねてるって感じじゃねえか」
「これは生理現象なの」
「俺だってそうだ」
「いい?800万のためなんだからね」
「俺だって仕方なくだ!」
 いつまでも続く意地の張り合いに、ジェットが静かに言った。
「で?ずっとそのままでいるのか?」
「やるよ!やりゃいいんだろ?」
 その言葉の勢いとともにスパイクがフェイの入り口をこじ開け、襞をかき分けて中へと進んでいった。
 
「んっ…」
 そのまま、二人は動きを止める。
 動いてしまえば、そのまま歯止めが利かなくなりそうな予感がどちらにもあったからだ。
 だが、それを絶対に相手に知られたくはない。
 とはいえ、もちろんいつまでもこのままではいられない。
 それはゲームの指示だからというより、身体が欲しているからなのだが、二人にとってそれは決して認められることではなかった。
 
 
 
「お楽しみのところ邪魔するが、お二人さんよ」
 止まったままの二人にジェットが声を掛けた。
「誰が楽しんでなんか…」
 フェイが反論しようとするのを、もう一度ジェットの言葉が遮った。
「ゲームの指示によると、『二人が達するまでは完了とは認めない』…だとさ」
「…何だって?」
 スパイクがフェイと繋がったままジェットに振り向く。
 中で微妙にスパイクの怒張が角度を変え、フェイの官能に甘い刺激を与える。フェイはとっさに唇を噛んだ。
「んふっ…」
 それでも、唇から出ることを遮られた喘ぎは鼻から洩れる。
「だとよ。さっさと済ましちまおうぜ」
 そう言ったスパイクだったが、ジェットの言葉はある意味渡りに船だ。
 高ぶりきっているモノに絡みつく襞の感触に、我慢も限界に来ていた。
 そのまま、一度奥まで送り込む。
「はあっ…ん…」
 耐えきれずフェイの唇は快楽の喘ぎを発した。慌ててもう一度唇を噛む。
 それでも、二度三度とゆっくり送り込まれる快感の波は、喘ぎを押しとどめようとするその意志をあっさりとさらいつつある。
『ダメ…このままじゃ…』
 そう思ったフェイは、スパイクを振り向いて言った。
「ぐずぐずしてないで、早く終わらせてよ」
「そりゃ大胆な発言だな。もっともっと欲しいってか」
 大仰に眉を上げて、スパイクはフェイの腰を掴んだ手に力を入れた。
「違…ああんっ…!」
 フェイは間隔の短い律動に変わったスパイクの動きに声を上げる。
 否定の言葉を発しようとしていた唇は、不意打ちを食らって喘ぎがそのまま声になった。
「悠長によがってないで、早くイけよ…!」
 そう言うスパイクも息が荒くなりつつある。
「何言ってんのよ…!あんたが下手くそなんじゃないの…!」
 ソファを掴む手に力を込めながら、フェイが答えた。
「俺のどこが下手くそなんだよっ…これでも…下手だって言うのかよ…!」
 スパイクはフェイの腰を引きつけ、大きなストロークでフェイの深奥をえぐる。
「あっ…力任せに…やりゃいいってもんじゃ…ないんだから…!」
「何言ってんだ…!お前、不感症じゃねえのかっ?」
 スパイクの激しい動きに、フェイは既にソファのクッションに膝立ちになり、両手で背もたれを引きつけ、しがみついていた。
「バカ言わないでよっ…ちゃんと…感じてるわよ…!あんたこそまだイかないっての…?」
「うるせえっ…俺が先にイってどうすんだよ…!」
「だって…あたし…!あんたのが…カチカチに固くて奥まで届いてて…もう…!」
「くうっ…お前も…そう言いながら…中で締め付けてんじゃねえよ…」
「んんっ…ダメっ…!そんなに動かないでっ…」
「お前が中で誘うから…もうたまんなくなってんじゃねえかよ…!」
 
 本人達はともかく、傍目にはどう見てもイヤイヤやっているようには見えなくなってきたジェットはひとつため息をついた。
 ―――ま、こうなるだろう事は予想していたがな。
「見てられねえな。悪いが、俺は抜けさせてもらうぜ」
 小さく言って、ジェットはゲーム盤のボタンを一つ押した。
 少し意識をジェットに向けた二人だったが、部屋へ帰っていくその後ろ姿を見送ると、再び行為に没頭してしまった。
 
 
 
「ああんっ…すご…いっ…!…どうして…ああっ…!」
 スパイクの動きにつれて、フェイの唇からは誰はばかることなく喘ぎが溢れる。
 時折頭を仰け反らせ、快楽に屈服しているフェイを見ながら、スパイクも高ぶりを抑えることができない。
 視線を落とすと、豊かな尻の双丘の間からフェイの蜜に濡れ光った自らのモノが襞をまとわりつかせながら見え隠れしている。
 このまま射(だ)してしまいたい…。
 そんな本能がスパイクを急きたてたが、必死にそれをこらえた。
 フェイへの最後の意地とも言えるそれは、実はフェイをもっと楽しもうとするスパイクの相反する本能かもしれなかった。
「やっ…ダメっ…あたし…!」
 最深部で与え続けられる快楽に、フェイの声のトーンが上がり、最後の一線を越えようとしている。
 内部が同時にスパイクに射精を促すかのごとくリズミカルに締め付けた。
「くっ…」
 スパイクは奥歯を噛みしめてそれに耐える。
 耐えながら、動きを止めるどころかいっそう激しくするという矛盾した動きを続けているのだ。
 その動きに、とうとうフェイは屈服した。
「あっ…イく…イくぅ…んんっ…あはあぁっ…!!」
 ガクガクと身を震わせてから仰け反り、静止する。
 中のうねりがひときわ激しくなった。
 が、ようやくのことでスパイクはその至上の誘惑に耐える。
「はあっ…はあっ…」
 ほとんど動いていないはずのフェイが、肩で息をしながら汗だくの身体をぐったりとソファにもたれかけさせた。
「口ほどにもねえな」
 スパイクは掠れ気味の声を無理に絞り出す。
「…何…よ…」
「俺はまだイってねえんだ。このままじゃ指示に従ったことにはならねえだろ」
 スパイクの言葉に、フェイは問い返した。
「だから…?」
 自分の中が余韻でピクンピクンと収縮してしまうのをいたたまれなく思いながらも、フェイにはどうしようもない。
「今度はお前が動けよ」
 引き抜くことにいささかのためらいはあったが、スパイクは自らに我慢を強いてゆっくりとフェイの熱くぬめる場所から怒張を引き抜き、ソファに座った。
 そのままフェイの膝を開かせ、向かい合って座る形へ導く。
 フェイは察して腕をスパイクの首に回し、スパイクを見つめ、そのまま自らの手でスパイクを導き入れた。
「はあっ…」
 スパイクが入ってくるのに押し出されるように、フェイの口から吐息の固まりがこぼれる。
 体内を熱い固まりで満たされるのを感じて、達したばかりの身体に電流が走り抜けた。
「あっ…ふうっ…!」
 スパイクの肩に顔をうずめる。
「動かねえといつまでもこのゲーム、終わらねえぞ」
 その言葉に、フェイは快感に眉根を寄せながら腰を動かした。
 スパイクはおもむろにフェイの上着のボタンをはずし、胸をはだけさせた。
「あっ…」
 そのまま、フェイが押しとどめるより早く、その胸の頂を一瞬唇で捉える。
「ひあっ…!」
 フェイの身体が跳ね上がった。加速がついたようにフェイの動きが激しくなる。
「あっ…あんっ…あんっ…!」
 浅く腰掛けているスパイクに身体を密着させて、フェイが前後に腰をすべらせた。
 すぐ目の前で揺れる豊かな胸のふくらみに両手を伸ばし、スパイクはその指先に力を入れてギュッと掴む。
「痛…っ…!」
 が、一瞬の痛みは快感のスパイスになった。
 眉根を寄せるフェイを見ながら、間髪を入れずにその胸の頂をスパイクが両手の指先で摘んだことで、その効果は倍増する。
「ああんっ…ダメっ…うああっ…ああんっ…!」
 二か所から広がる次元の違う快感に、フェイは背筋をピンと反らして泣き声にも近い声を上げた。
 その時。
 ピーピーピー…。
 突然電子音があたりに響く。
「…何…?」
「ほっとけ」
「…でも…ゲーム…」
 そう言う間に、10秒ほどで音は止んだ。
「何もないじゃねえか。きっとジェットがいないことを認識したんだろ」
「…そう…かな…」
「それより、早く終わらせたくねえのかよ」
 フェイの都合にかこつけて、スパイクは腰を突き上げてフェイを急きたてる。
「あんっ…それ…ダメ…!」
 スパイクが動くとまた違う場所に刺激を感じ、フェイはスパイクにしがみついた。
 中の襞に絞り上げられるような感覚に、スパイクはたまらずそのまま腰を使う。
「あっ…すご…いっ…!ああんっ…くうっ…!」
 フェイもより快感をむさぼろうと、前後に身体を揺すりたてた。
 それによってスパイクの肉の凶器の動きは複雑になる。
 暴れ回るそれは、内壁の襞のあちこちを擦りまわってフェイの快楽中枢を蹂躙していった。
 スパイクの背中に爪を立て、グイグイ腰を振りたてて奥へ奥へと誘い込む。
「いいっ…もっと…突き上げてっ…奥までちょうだい…!」
 すっかり快楽の虜と化しているフェイの痴態に、スパイクの射出感も耐えきれないところまで高まってきている。
 思うまま突き上げたい誘惑に抗えず、スパイクはフェイを抱えて一度立ち上がり、繋がったままその身体をソファに横たえ覆い被さった。
 そのまま奥まで突き入れ、引いてからまたこじ入れる。
「はああんっ…!!すごいっ…気持ちいい…!!」
 動きに合わせて、グチュッグチュッと湿った音が二人の耳にも届く。
 スパイクはフェイの両足を肩に担ぎ上げ、その身体を二つ折りにしてから勢いをつけてうずめた。
「ああっ…奥まで…!奥に…当たってる…」
 フェイは髪を振り乱し、中のうねりはスパイクをこれでもかと言うくらい締め付け引き込んでいく。
 その瞬間、フェイを責め立てる動きはスパイクの意志を離れた。
 パン、パン、パン…!
 太股がぶつかる乾いた音が、粘膜が擦れる湿った音を従えて部屋に響く。
 絡みつく快感を少しでも多く得ようとするスパイクの本能が、灼熱の固まりをフェイの熱く蕩けきった肉襞にずぶずぶと大きく、激しく叩き込む。
「く…はああんっ…!ダメっ…そんなに…!」
 苦痛にも近い快感に、フェイは一瞬空恐ろしさを感じた。
 それなのに、身体はもっと深い快感を得ようとスパイクに密着していく。
 直接脳の快感を感じる部分をしごきたてられるように、身体中が沸騰しそうになっていた。
「あああんっ…やあっ…いっちゃう…いくっ…いくっ…ああああんっ…!!」
「くっ…ああっ…!」
 スパイクも今度こそ、思うまま欲望の奔流をフェイの奥深く放出した。
 際限まで我慢を強いられていたそれは、ビュル、ビュル…と勢いよくフェイの内部を満たし、溢れる。
「はああんっ…」
 その刺激に、襞が最後の一滴までもを搾り取るように何度も収縮した。
 
 
 
 快楽の代償として泥のように眠り込んだ二人は、次の瞬間に朝を迎えていた。
 目覚めて間もなくのぼんやりした頭のまま、事ここに至ったいきさつを二人は思い出す。
「ね…ゲーム、いやに静かじゃない?」
 普通なら流れているはずのBGMが聞こえてこない。
「確かに。間違いなく指示には従ったはずなんだがな」
「そ…そうよね…」
 スパイクの視線の裏で、指示には十分すぎるほどだった自分の乱れようを指されたようで、フェイは口ごもった。
「何で何も言わねえんだ?こいつ」
 スパイクは立ち上がり、ゲームの様子を確かめに行く。
 そして。
「何だよ、これ…!」
 ゲーム盤には赤い文字で大きく
『INCOMPLETE!!』
と表示されていた。
「何間違ったってんだよ!何が失敗なんだ!」
 言いながら、ゲーム盤を調べていたスパイクは、音をたててテーブルに両手をついた。
「やられた…!」
「何?」
「見てみろよ」
 スパイクの指さした先は、ゲームモードの表示。
 そこには、
『TIME LIMIT MODE』
の文字があった。
「制限時間15分…って、それどういうことよ!」
「…ジェットだ」
「え?」
「ジェットがゆうべ席を立つときに設定したんだよ」
「……あの時!」
 フェイもそれに思い至り、思わず一糸纏わぬまま立ち上がった。
「…何か着ろ」
 横目で見ながらスパイクが顔をしかめた。
 
 
 
「ちょっと、ジェット!」
 ジェットの部屋へ怒鳴り込んだフェイは、主のいないその部屋に思い切り肩すかしを食らった。
「あら…?一体朝からどこへ行ってんのよ」
 通路へ出たところで、リビングで人の話し声が聞こえる。
 フェイはリビングへ戻り、千鳥足のジェットに、スパイクが驚き混じりに嫌みを言っているのを目にした。
「朝帰りとはいいご身分だな」
「気が大きくなったら、つい過ごしちまってな」
 口の端を上げてニヤリと笑うジェットを見て、フェイはイヤな予感を覚える。
「ジェット、それってもしかして…」
「久しぶりの豪遊ってヤツだよ。100万単位の金を使うってのはやっぱり気分がいいもんだなあ」
「ウソ…!まさか、あの賞金、使っちゃったの!?」
「おい、待てよジェット!あれはゲームでって…!」
 スパイクが言いかけるのにも、ジェットは悪びれる風もなくソファにどっかと座った。
「何言ってんだ。二人でさんざん楽しんだんだろ?俺だっていい思いしたってバチは当たらんさ」
「それとこれとは…。大体、そんな大金使うようなところって…」
 フェイが心なしか少し顔を赤らめながら、ジェットに詰め寄る。
「まさか…」
 スパイクには少なからず心当たりがあるようだ。
「さすがにいい女ばかりだったぞ。高い店はやっぱり違うよなあ。男のツボってもんを心得てるもんだから、朝まで極楽というか何というか…」
「…アリサとのアレを再現したってことかよ、このスケベ親父」
「そのあたりは想像に任せるさ」
「信じられない…あんたが、あんたがそんな人間だったなんて」
 フェイの視線を受け止めて、ジェットは飄々という。
「まあ、俺だって生身の男だからな。目の前であんなもん見せられちゃ、じっとしてられんさ」
「見損なったぞ、ジェット!」
 悔し紛れのスパイクの非難もどこ吹く風で、ジェットは立ち上がった。
「さて、一眠りしてくるかな。さすがに朝まで休みなしってのはちょっと堪えるな…」
 背中に二人の視線を痛いほど感じながら部屋へ戻ったジェットは、言葉とは裏腹にすぐに眠る様子もなく、ベッドに腰掛けて一人ニヤニヤしている。
「これくらい、あいつらにはいい薬だ」
 ジェットのマネーカードには、賞金が手つかずのまま残っていた。
「そう考えなしに使っちまうわけにいかねえからな。どうせあいつらがまた何だかんだ壊すに決まってる」
 賞金はその時の足しに残しておくと既に決めている。
「それにしても、おもちゃメーカーには『あの試作品はやめた方がいい』って言ってやった方が親切だろうなあ」
 ジェットはしみじみと言った。
 
 
 
「あたしの…あたしの800万が…」
 フェイはソファに倒れ込んだまま、うわごとのように繰り返す。
「お前のだって決まってたわけじゃねえだろ」
 隣に立つスパイクのその声も耳に届かないように、フェイの嘆きは続く。
「不本意にも涙をのんでこんなヤツに身を投げ出したっていうのに…」
「その言いぐさは何だよ。こっちは何の得もないのに協力してやったんだぞ」
「いいように身体を弄ばれて…ああ、あたしってなんて不幸なの?」
「ちょっと待て!俺の上で下であんなによがり狂ってたのはどこの誰だよ!」
 フェイはその言葉に、顔だけ上げてジロリとスパイクをにらむ。
「あれは、あんたを早くいかせるための演技ってヤツでしょ」
「ウソつけ!」
「あんたこそ、ホント言うとあたしの身体が忘れられなくなってんじゃないの?」
「んなわけあるかよ」
 フェイは立ち上がり、スパイクの首に両腕を回して、耳元で囁いた。
「別に、いいわよ?あんたがやりたいなら、また…やっても」
「え?おい…」
「800万払ってくれればね!」
 さっと身を翻らせてスパイクの胸をトンと押し、フェイはリビングを出ていく。
 その後ろ姿にスパイクは大声を投げつけた。
「バカヤロー!そんな金があったら、外に…」
 最後は、フェイには聞こえない。
「行かねえ…だろうな…」
 少なくともこれからしばらくの間は、金を払って女を抱く気にはなれそうもなかった。
 
 
−おわり−
 
 
 
 
 
 
あとがき。
10000のキリバンに、パインさんからいただきました。
リクの内容については、とても詳しくいただいたので少し割愛してご紹介します。
「偶然手に入れた、戦利品、コンピュータAI搭載の判定マシーン付き、すごろく(笑)
大仕事の分け前を賭け、トップの総取りすごろくスタート。
ゲームも終盤、フェイが最も大きな数字を出す。
怒号が飛び交う中、フェイのコマがゴールを目指す。
しかし、あと一歩と言うところで、手前のBADポイントに止まる。
周りは歓喜、フェイ沈む。
次に自分の番が回ってくれば勝ちほぼ確実の状況。
判定マシーンからの指令はもちろん、セックス!
それも左隣のプレーヤーと。そこには多分スパ(笑)
意地を張り、お互い服を着たまま、ちょちょっと……。
会話しながら、照れながら、反発しながら、感じていく。
二人が達しないかぎり、終わらない。
終わったら、オチ。
(努力が報われないオチがいいですね)
後日談もあったら嬉しいです。」
このネタ、大好物でした(笑)。
そして、読んでいただければおわかりの通り、ほぼそのまんま書いてます(汗)。肉付けしただけとも言う(笑)。
(いただいたプロットでは仮装はジェットだけとは限らなかったり、エドがその場にいても良かったのですが、変更もOKと言っていただいたのでその辺りは少し変更させていただきました)
後日談については…後日談というより、単に次の朝の3人の様子って感じで…すみません(汗)。
 
 
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