I-ni-tial D

 3      がんばれ池谷先輩♪ 3
「池谷さん!」
 待ち合わせの喫茶店。
 きっかり10分前に真子ちゃんは現れた。
 薄いブルーのコットンのワンピースに身を包み、小走りに走ってくる真子ちゃんの束ねていない髪がはらりと顔にかかる。
「お待たせして、すみません」
 その髪をかきあげながら、真子ちゃんが微笑む。
「あ、俺も今来たとこ」
「うそ」
 真子ちゃんは笑いながら灰皿を指差す。
「あ…」
 …その灰皿の上には20本ほどの吸殻が山をなしていた…。
 俺のバカ…。
 休日で忙しいためか、店員も一度も灰皿を替えに来なかったし。
 というより、いつも何故か遅刻してしまう俺が、今日に限っては順調に1時間前に着いてしまったせいなのだが。
 
 ―――初めて真子ちゃんと…Hしたあの日からもう半月が過ぎていた。
 あの日は、童貞とおさらばした喜びよりも落ち込みの方が激しかったが、ようやく俺も立ち直りつつあった。
 東京にいる真子ちゃんとは会えない日が続いたものの、毎日のように電話していたし、その度真子ちゃんは変わらず優しかった。
 そしてやっと今日、真子ちゃんが久しぶりに地元へ戻ってきたのだ。
「あれ?真子ちゃん、今日シルエイティは?」
「置いてきました。池谷さんの13(イチサン)に乗せてもらうつもりで」
「そんな…プロの真子ちゃんを乗せるなんて、緊張するなあ」
「プロなんかじゃありませんよー。ほんのちょっとレースに出てるだけです」
 ……真子ちゃんと、こんな話ができる俺…ああっ…夢みたいだ…。
 
 
 
「今日、どうする?」
 車を出そうというところで、一応助手席の真子ちゃんに聞いてみる。
 実は昨日までいろいろ今日のデートのシミュレーションをしていたのだったが。
 と、シフトレバーを握る俺の手に真子ちゃんはそっと手を重ねてきた。
「あの…二人だけになれる所が…いいです…」
 うつむいて頬を染めている。
「えっ!!」
 ガクンッ…!
 半端な加速のまま、思わずクラッチから足を離してしまい、エンストするおれの13。
 
 カッコ悪ぃー…。
 
「…ダメですか?」
 重ねた手はそのままに、慌ててエンジンをかけ直す俺をじっと見つめる真子ちゃん。
「いやっ…そんなこと、ないけど…」
 毎度のことながら、声の裏返っている俺だった。
 
 
 
 とりあえず、地元のホテルに車を入れる。
 部屋に入ると、真子ちゃんが俺の胸に身を預けてきた。
「…真…真子ちゃん…」
 その背中に腕を回す俺に、本来の声はまだ戻ってこない。
 頬を染めて俺を見上げる真子ちゃんの、桜色の唇に自然に唇が近づく。
 柔らかな真子ちゃんの唇の感覚に、膝が震える。
 …あれ…なんで…今更キスくらいでこんなにドキドキしてるんだ…俺?
 …あ…?
 もしかしてこれ、俺のファーストキスだっ!
 そういえばこの前は、一度もキスなんてしてねえ…。
 ……何か…何か、間違ってる気がする…。
 が、俺がそんなことを考えていられたのもせいぜい0.5秒ぐらいだった。
 というのは、少し開いた真子ちゃんの唇の中へ自然と舌を滑り込ませていた自分に気づいたからだ。
 そのことに誰よりも驚いていたのは実は俺自身だったのだが…。
 が、真子ちゃんも応えるように舌を絡めてくる。
 俺の背中に回った指先の力が強くなっていくのに反して、身体の力は抜けていく真子ちゃん。
 そんな真子ちゃんの重みに引っ張られるように、俺たちはベッドに腰掛けていた。
 
 そのまま真子ちゃんを押し倒そうとした俺を制して、真子ちゃんは俺の足元に跪く。
「池谷さんは、じっとしててくださいね…」
「真子…ちゃん…?」
 うわっ…これって…もしかして…?
 俺の予想を裏切ることなく、真子ちゃんは俺のズボンのジッパーを下ろして、トランクス越しに俺のモノをやんわりと握ってきた。
「ひああっ…!」
 既にカチンカチンに膨張していたものが、さらに容積を増す。
 真子ちゃんはなんのためらいもなく俺のズボンとトランクスを脱がせて、ビクビクと脈打つものをぱくりと口に咥えた。
「真、真子ひゃ…ん…!」
 俺の声はもう裏返るどころか、震えてしまって発音すらおぼつかない。
「んぐっ…んっ…気持ち…いいですか…?」
 一度、口から離して聞いてくる。
「あ…ああ…すごく…!」
 俺の言葉は最後まで続かなかった。
 
 ああっ…そんな…!のどの奥まで深く咥えたり…!
 あっ…あっ…根元から舐め上げたり…!
 括れを舌でなぞったり…!
 一番先端を舌で突っついたり…!
 何より…そんなに…美味しそうにしゃぶるの…やめてくれ…!
 すぐにイッちまうから………でも……すげえ…気持ちいいよおっ…!
 
「……っ!ああっ…!」
 やっぱり、あっという間に俺は果てていて…。
 真子ちゃんは、俺の放ったものを残らず飲み干してくれた。
「私、池谷さんに少しでも喜んで欲しくて…」
 口の中に残った最後の一滴までをも、こくん…と嚥下してから、真子ちゃんは言った。
 
 
 
 すぐに二人とも身につけているものを全て脱ぎ捨て、やっぱりなんとなく真子ちゃんにリードされながら、俺たちはベッドの上で抱き合っていた。
「池谷さん…」
 上になった俺が真子ちゃんを見ると、真子ちゃんも俺を見上げている。
 黒く濡れた瞳。透き通る肌。桜色に染まる頬、そして唇…。
 こんなかわいい娘が、今、俺だけのものだなんて…。
「真子ちゃん…!」
 俺は真子ちゃんの背中から手を差し入れて、ギュッと抱きしめた。
「もっと…強く抱いて…」
 真子ちゃんも俺の背中に手を回す。
 これ以上力を入れれば壊れてしまうのではないかと思ったが、真子ちゃんのその言葉に、腕に込める力を強めた。
「嬉しい…この間からずっと…池谷さんのこと…」
 耳元で囁く真子ちゃんの髪からも身体からも甘い香りが立ちのぼって、俺はそれだけで頭の奥が痺れるのを覚えていた。
 
 
 
 目を閉じている真子ちゃんに、もう一度ゆっくりと口づける。
 今度は真子ちゃんから舌を絡めてきた。
 俺も負けじと真子ちゃんの唇の中に攻め込む。
「んっ…」
 真子ちゃんの吐息がくぐもる。
 俺の舌を受け入れて、更に引き込む。
 柔らかくぬめる舌が、俺の舌に絡まり、すべる。
 チュッ…。
 そんな音を立てて、唇と唇が離れた。
 
 
 
「池谷さん…もう一度真子の中で…池谷さんを感じさせて…」
「…真子ちゃん…」
 い…いきなり…いいのか…?
「お願い…」
 真子ちゃんは一層頬を染めながら、それでも意思を秘めた瞳で俺を見つめている。
「でも…」
「さっきからもう…我慢できなくて…」
 それでもまだ躊躇している俺の手を取り、自らの秘部へと導く。
「真子ちゃん…」
「…いやらしいコだ…って…思わないでね…」
 …そこはもう、十分潤っていて…俺の指は亀裂の奥深くへ自然と引き込まれていった。
「…ああ…池谷さんのが…欲しいの…」
 そこまで言われてためらう理由はない。
「じゃ…行くよ…」
 少し身体を起こし、今度は位置を確かめてゆっくりと真子ちゃんの中へ押し入っていった。
 
 
 
 微妙に押し戻すような部分を通り過ぎた後は、ほとんど何の抵抗もなく真子ちゃんは俺を受け入れてくれる。
「ああっ…池谷さんが…奥まで…」
 真子ちゃんが俺にしがみつく。
「真子ちゃんの中…すごく…熱いよ…」
「池谷さんも…」
 真子ちゃんの膣内(なか)全体が、ぎゅっと俺を締め付けてきて、またすぐに限界を超えそうになる。
 …だが今日は…今日こそは汚名返上を…!
 俺は、まとわりついてくるような快感を振り切るように、一番奥まで突き入れた。
「ああんっ…!」
 真子ちゃんの喘ぎ。
「ああっ…」
 そして俺の声。
 真子ちゃんがひときわ俺を締め付けてきたのと、真子ちゃんの感じている様子を見てたらつい…。
 快感を振り切るはずが、余計に逃げ場がなくなっていることにようやく気づいた俺だった。
 だが、ここで音を上げるわけにはいかない。
 大きく引き抜いて、また奥まで突き入れる。
「あああっ…!」
 真子ちゃんが大きく仰け反る。
 ジュプッ…!
 結合部から、湿った音が響く。
 それからはもう、無我夢中で腰を使った。
「ああんっ…池谷さん…すごい…!あっ…あっ…真子…変になっちゃう…」
 苦しげに眉根を寄せて、背中を仰け反らせながら、真子ちゃんの手は俺の背中で爪を立てている。
 真子ちゃんが…こんなに感じてくれてる…。
 中も…何度も強く収縮して…引き抜くとき、押し入るときにえも言われぬ快感を与えてくる。
 今度こそ、耐えられそうになかった。
 
「あっ…池谷さんのが…中に…」
 ドクッ、ドクッと何度にもわけて、俺は真子ちゃんの中へ注ぎ込んでいた…。
「…あ…真子ちゃん…中に…大丈夫…?」
 意味をなしていない俺の言葉を、真子ちゃんはくみ取ってくれた。
「大丈夫です…。自分の…身体の周期は、よくわかってますから…」
 少し息を弾ませながら真子ちゃんは言った。
「それより…池谷さん…あの…」
 真子ちゃんは俺の首に手を回して囁いた。
「…もっと…してほしい……な…」
 
 真…真子ちゃん…!
 が、今日の俺はこないだとは違うぞ!
 もう、何度でも、真子ちゃんがいやっていうほど、ああ、枯れ果てるまでやってやるとも!
 俺はドドーンと背中に荒波を背負っている気分だった。
 
 でも…。
「その前に、シャワーとか浴びない?」
 さすがに、すぐには無理そうなので時間稼ぎをしてみるダメな俺。
「…?」
 瞳だけで俺に問いかける真子ちゃん。
「ほら…汗、かいちゃったし…」
「…ふふっ…そうですね…」
 俺の思惑を知ってか知らずか、真子ちゃんはにっこり笑って同意してくれた。
 
「真子ちゃん、お先にどうぞ」
 ベッドから起き出した俺は、備え付けてあったバスローブを渡し、真子ちゃんを促す。
 が、真子ちゃんはバスローブは手に取ったものの、シーツは巻き付けたままでベッドから出ようとしない。
「…私…少しの間も池谷さんと離れたくないの…」
 え…?
 それって…それって…『一緒にシャワーを』ってことなのか!!?
「ダメですか…?」
 潤む瞳に見つめられて、もとより俺が断れるはずもなかった。
 
 
 
 裸だ…。
 真子ちゃんの…裸だ。
 バスルームの明かりに照らされた真子ちゃんの身体が、眩しく俺の目を射る。
 シャワーを浴びるんだから裸で当たり前なのだが、まじまじと見るのは初めてな気がする…。
 
「…そんなに…見ないでください…」
 真子ちゃんが恥ずかしそうに俯いている。
 俺はほとんど上の空で真子ちゃんを見ていたらしく、その声でハッと我に返った。
「あ…ごめん…」
「……身体、洗いますね」
「……?」
 真子ちゃんの言葉の意味がつかめず立ちつくす俺に構わず、真子ちゃんは洗面器の中に少しお湯を入れてボディシャンプーを泡立てる。
 その泡を手で掬い、俺にこすりつけた……。
 
 ……!?
 手っ!?
 手っ…手で…洗うの??
 硬直する俺の身体を、真子ちゃんは両手につけた泡でゆっくり洗っていく。
 首から胸、腕…。
 真子ちゃんの温かい手が泡とともに滑り、心地いい快感が俺を包む。
 宙を見つめ、ぼーっと幸せに酔いしれていると。
 
「うあっ…!」
 いきなり下腹部が、滑らかな泡に包まれる感触。
 下を向くと、跪いた真子ちゃんが俺のモノを両手で挟み込んでしごくように洗っている。
 もちろん、こんな状況で俺のモノが普通の状態のわけがない。
 また力を漲らせているモノを、真子ちゃんは真剣に洗ってくれているのだが。
 少し心許ない泡の感覚とともに、真子ちゃんのしなやかな指が這いまわるその感覚も、快感以外のなにものでもあるはずもなく、このままではまたすぐ限界を超えるのは間違いなかった。
 
「真…真子ちゃん…!そこは…もういいから…」
「…でも…」
 少し不満げな真子ちゃん。
「いや、こ、今度は俺が…」
 俺が?
 『俺が』、『洗う』ってのか…?
 ホントに?
 ごくりとつばを飲み込む。
 深呼吸して。
「俺が…俺が、洗うよ…今度は…真子ちゃんを…」
 意を決して、まだ俺のモノを手に包んだままの真子ちゃんを制した。
 
 えーと……。
 やっぱり、俺も、手で洗った方が…いいよな?
 そうしても…変に思われない…よな?
 自分にそういい聞かせながら、俺も泡を手にとって浴槽に腰掛けた真子ちゃんの首にそっと乗せた。
「あ…」
 真子ちゃんの身体がぴくんと震える。
「あ…冷たかった…?」
「…ううん…触れられると気持ちよくて…」
 恥ずかしそうに俯いた。
 
 その言葉に調子づいた俺は、真子ちゃんの腕から胸へとそっと手を滑らせた。
「あっ…」
 片手に余りそうな真子ちゃんの胸を右手でそっと包み込むと、真子ちゃんの口から声が漏れた。
 指全体に力を入れて柔らかく揉む。
張りがあるのに、柔らかい。
 俺の手の動きに形を変えながらも、押し戻してくるような感じだ。
「ああっ…池谷さん…気持ち…いい…」
 揉みながら手を滑らせていると、手のひらの下の蕾が固く立ち上がってくるのがわかった。
 意識してそれを手のひらで刺激する。
「ああんっ…そこ…すごい…」
 真子ちゃんがのけぞる。
 自分の動きにストレートに反応してくれる真子ちゃんに、どんどん俺も勢いづいていく。
 左手で、もう片方の乳房も包み込み、同じように刺激する。
「ああんっ…だめえ…気持ちいいっ…」
 両手で俺の肩を掴み、びくびくと身体を震わせる。
 俺の両手のひらの下ではそれぞれ、堅くなった蕾が存在を主張している。
 
 右手を胸から離す。
 胸の頂のピンク色が少し濃くなっている気がした。
 一番先端を指でそっとつまんだ。
「あんっ…!」
 真子ちゃんは俺の首筋に顔を伏せて、肩を掴む手にも力がこもる。
 2本の指でこりこりと転がしてみる。
「ああっ…あんっ…すごく…気持ちいいの…!」
 あーっ、手だけじゃ物足りねえ!
 俺は身体を伸ばしてシャワーヘッドを手に取り、勢いよくお湯を出して、二人に付いた泡を洗い流した。
 
「池谷さん…?」
 不思議そうに見る真子ちゃんのその胸に、俺は唇を近づけた。
「あっ…」
 唇で挟む。
 突起を舌でなぞる。
「あはあん…!」
 真子ちゃんの両手は俺の首に回され、身体はぴくぴくと跳ね上がっている。
 たまらず俺はその蕾に吸いついた。
「ああっ…!ああっ…!すごいっ…!」
 吸いながら舌先で転がすと、その動きに真子ちゃんは即反応してくれる。
「池谷さん…お願い…」
 俺の動きを重ねた手で制し、真子ちゃんはそのままその手を自らの秘部へと導いた。
 
 そこは再び、俺を待ちかねていて。
指を滑らせると、泉から湧き出た蜜が俺の手のひらにまで溢れてきた。
「はああんっ…!」
 少し手前に指を引くと充血した突起に触れ、真子ちゃんが痙攣する。
「ああっ…そこ…すごいの…」
 そっと触れるだけで、真子ちゃんはガクガクと身を震わせる。
「池谷さん…もう…ダメ…!」
 ほとんど俺にしがみつきながら、真子ちゃんは俺の耳元で囁いた。
「池谷さん…私…せつないの…」
「…真子ちゃん…」
「お願い…せつないのを…埋めて欲しい…」
 真子ちゃん…!!
 再び頭と下腹部に血が二分されたおれはもう、収まりがつかなくなっていた…!
 
 
 
 俺はすぐにバスタオルで二人の体に残った水滴をぬぐい、そのまま真子ちゃんを抱き上げてベッドへ運ぶ…つもりだったのだが、最後の最後で力尽きて真子ちゃんをベッドへ投げ出してしまった…。
「きゃっ…」
 うつ伏せにベッドに跳ねる真子ちゃん。その足はベッドの横の床についたままだ。
 跳ねた瞬間、滑らかな質感のヒップが弾み、少し開いた足の隙間から俺を待ちかねているような茂みが光って見えた…。
 
 俺は思わず、その真子ちゃんの腰を持ち上げると、立ったまま後ろから突き入れていた。
「あああんっ…!」
 少し濡れた黒い髪がベッドの上で乱れる。
「ああっ…!いいっ…!そこ…凄いのぉ…!」
 俺の動きと共に真子ちゃんは声を上げ、快感から逃れるように少しずつ身体がベッドの真ん中へと移動していく。
 いつのまにか真子ちゃんも、俺もベッドの上に上がっていた。
 真子ちゃんの太腿をひきつけるように腰を打ち込む。
「やっ…凄い…いいっ…!あああんっ!!」
 真子ちゃんは両腕を伸ばして体を支えている。
 が、深奥まで何度もねじり込むと、腕に力が入らなくなったのか、ガクリと崩れおれた。
 両手でシーツを掴み、髪を振り乱して喘ぐ。
「ああっ…!いいっ…!もう…ダメ…イッちゃう…!」
 真子ちゃんの膣内(なか)が、何層かの輪になって、俺のモノを締め付けてくる。
 その快感に耐え、抜き差しするときの抵抗にも耐えながら、俺は真子ちゃんに最後の堰を越えさせようと必死に打ち込んだ。
「ああっ…ダメ…!イク…イッちゃう…!あああああっ…!!!」
 真子ちゃんはガクガクと痙攣してから、力尽きたようにベッドに倒れ込む。
 俺は最後の真子ちゃんの痴態にも、放出を促す淫蕩な締め付けにも耐えられたことに、内心ホッとしていた。
 
 
 
「…なんだか、池谷さんに負けちゃったみたい」
 少し落ち着いた真子ちゃんが、横目で俺を見上げていたずらっぽく笑った。
「…そ…そんなことないよ…」
 なぜか少し焦る俺。
 …真子ちゃんにはいつもやられっぱなしだからなあ…。
「次は、私の番ですね」
 真子ちゃんの、何の後ろ暗さもない微笑が、かえって怖かった。
 
 
 
「ああっ…真子ちゃん…すごいよ…」
 俺の上になって腰を使う真子ちゃんに、俺はもう、そう言うのが精一杯だった。
 上下の動きだけではなく前後にも腰をくねらせ、真子ちゃんは俺を締め付け、誘い込む。
 真子ちゃんの豊かな胸が、動きと共に揺れている。
「あっ…私も…気持ちいい…」
 背中をそらせ、髪を振り乱して喘いだと同時に、ひときわ中が強く収縮する。
 ぐっ…気持ちいい…!
 でも…まだ…ダメだ…!
 耐えるんだ…俺…!!
「池谷さん…我慢しないで…イって…」
 両手で俺の二の腕あたりを掴んで身体を固定してから、激しく腰を動かしてくる真子ちゃん。
「い…や……ま…だ…」
 俺の声は既に掠れてしまって、今はもうほとんど吐息のようだ。
「ああっ…ああんっ…池谷…さ…ん…」
 同じリズムで腰を動かしながらも、真子ちゃんが俺の胸に手をつき、身体を起こした。
「真子…ちゃん…?」
 真子ちゃんは、少し身体を後ろにねじって…あ あっ…真子ちゃん…そこは…!
「うおっ…!」
 真子ちゃんの指が、滑るように俺のフクロの部分を弄ぶ…!
 快感がぞわぞわと絡み合って脳天へ突き抜ける。
 それは…それは…反則だよー…!!!
「ひああっ…も…ダメだ…」
 あえなく、俺の頑張りは砕け散った。
 ドクンッ…!
 
 そして、俺の意識は、みるみるうちに遠くなっていった…。
 
 
 
「池谷さん…?」
 目を開けると、真子ちゃんの顔が目の前にあった。
「真…真子ちゃん…」
「良かった。気が付いたんですね」
 俺の横にうつ伏せている真子ちゃんが、肘をついて俺を見つめている。
 俺は慌てて体を起こした。
「あ…真子ちゃんが…あんまり…すごくて…俺…」
「やだ…すごいだなんて…」
「いや…ほんとに…真子ちゃん、いつの間に…あんな…?」
 さっきの行為を思い出して、赤くなりながら問い掛ける。
「あの…少しでも池谷さんに喜んで欲しくて…いろいろ、勉強したんです…」
 
 いろいろ…勉強した…?
 その言葉に、何故かいやな予感を覚える俺。
「この間、池谷さんと…ああなってから…『ああ、こんな世界もあったんだ』って…」
 えーと…そのフレーズ、前にも聞いたことが…。
 確か、走り屋の世界を初めて知ったときに…『こんな世界もあったんだ』って一生懸命いろんなこと覚えて、練習して…って言ってたよな…。
 ……!?
 えっ?
 「練習」!?
 
 真子ちゃんの話は続いている。
「でも、仕事で忙しい池谷さんには会えないし…。で、沙雪が前に言ってた、ドライビングセンスとHのセンスは比例するってことを思い出して…」
 ………!?
 真子ちゃん、それって、も、も、もしかして…!
 俺の背中を、イヤな汗が流れた。
「真、真子ちゃん…もしかして、誰かと、練習したの?」
 何気なく聞こうとしたのだが、自然と声がこわばってしまう。
「ええ、あの…『FCの人』…と…」
 高橋…涼介…!?
 それでこんなに上達を…?
 やっぱり、比例するのか…。
 …なら…練習相手としては…これ以上はないかもしれないよな…。
 赤くなってうつむく真子ちゃんを見つめながら、あまりのショックのために、俺は妙に冷静にそんなことを考えていた。
 
「…そんなことより…。…ね?」
 真子ちゃんの瞳が淫蕩な色を帯びる。
「池谷さん、凄かったんですもん…思い出したら、真子…また…」
 真子ちゃんはうつむいて頬を染めた。
 
 その言葉に、少し救われはしたものの。
 
 本当に俺、枯れ果てるかもしれない…。
 
 
 
−おわり−
 
 
 
あとがきー。
 
「虚ろな瞳」さまにオンライン投稿させていただいたイケマコ、アップしてみました。
実はこの話は、あちらの掲示板で管理人の虚空はるかさんとのやりとりがきっかけでできたもので。
最初は、原作で別れ別れになっちゃった池谷先輩と真子ちゃん(し○の先生、ひどいよ!あれは!!(涙))をせめて妄想の上だけででも幸せにしてあげよう!!って趣旨だったはずなのですが…いつの間にか池谷先輩がかわいそうなことに(笑)。←笑うな
いや、私自身はね、何度も真子ちゃんとラブラブ〜にしてあげようと思ったのに、先輩ったらどんどんヘタレてくれるから…。
そのうち書いてる自分もヘタレてる先輩が愛しくなってきて…気がついたらこんなんなってました。ゴメンね、池谷先輩♪(笑)
 
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