オデット ディアナ・ヴィシニョ−ワ
王子ジークフリード イーゴリ・コルプ
ロートバルト 市川透
王妃 堀岡美香
道化 グリゴリー・バリノフ
家庭教師 ゲンナーディ・イリイン
王子の友人(バ・ド・トロワ) 厚木三杏、寺島ひろみ、冨川祐樹
小さな4羽の白鳥 遠藤睦子、西山裕子、本島美和、大和雅美
大きな4羽の白鳥 厚木三杏、大森結城、川村真樹、寺島ひろみ 他
とりあえず、新国立劇場バレエ団は見場がいい。容姿端麗な人が多いからかしらん?
何度か続けて観れば、それなりに愛着も沸いてくるし。以前は「どうも優等生的で、ここはつまらん」と、思っていたが、いつの間にかお気に入りのダンサーも出てきて、初台に足を運ぶ機会もずいぶん増えたような。それに、オペラ劇場の雰囲気が、結構、いいのよ。“ハレ”の場を意識させてくれるというか、何かお洒落して行きたくなるというか。うっかりデニムで行ってしまった時など、ホワイエをうろちょろしては悪いような、真直ぐエレベーターで上階に行かなきゃいけないような、そんな気持ちにさせられるのだ。
最近はドレスコードなんて気にならない劇場が多いので、この感覚は貴重。
それはともかく、ジークフリード王子のイーゴリ・コルプに惚れたー!
いや、ま、あのモンチッチのような髪型には文句がおありの方も多いと思うが、ワタクシ的には、かなりツボ。ぢつは、カマっぽくてコルプはずっと苦手だったが、今日はそんなこと全然なかった。体育会系の髪型だからってだけじゃなくて、身体も非常に逞しくなっていてたし、それより何より、“今を生きる若者”がそこにいたのだ。古典作品が有するお伽話のような物語世界をポーンと飛び越えた、生身の男としての存在感。とにかく、妙に生々しいジークフリードで、目が離せない。
もちろん、踊りは優雅。特に、アラベスクが美しい。一呼吸おいて次の動きへ移る、その余裕。ただ、ピルエットのサポートはイマイチで、やけにバタバタしていた。
オデットのディアナ・ヴィシニョーワは、すんごく考えて役作りしていたような。彼女の資質からすれば、「オデット<オディール」になりそうなものなのに、これがまったく逆。本当に素晴らしいオデットだった!
よくしなる長い腕を生かした気品溢れる白鳥の王女。伏し目がちで儚げな風情、それでいて芯に強さを宿す。たぶん、今までやれなかったぶん、「ああしよう、こうしよう」というアイデアが、彼女の中にたくさんあったンじゃないかしらん?
ヴィシニョーワにしか踊れない、ヴィシニョーワだけのオデット。彼女の身体そのものが語るオデットのドラマに、私の心は激しく揺さぶられた。
パ・ド・トロワの厚木三杏と寺島ひろみが好演。一緒に踊った冨川祐樹は、必死感が漂っちゃっていけません。おまけに、後ろ脚がえらく汚かったし。
道化のグリゴリー・バリノフは言うことなし! 小気味よさばかりが強調され柔らかさに欠ける道化が多いが、バリノフはメチャメチャ柔らかくて、それでいて小気味よくて、どんな場面でも余裕綽々。あぁ、もう、今すぐお持ち帰りしたいっ!!!
ロートバルトの市川透、存在感なさ過ぎ。これならいない方がマシ。
大きな白鳥を踊った川村真樹が、その美しいラインで印象に残るも(オデットを踊るのを観てみたい……と、ちょっと思った)、白鳥たちは全般に物足りなかったかな。あまり揃っているようにも見えなかったし。ま、主役ふたりの存在が突出していたからね。