■2005年1月13日(木) 東京文化会館
レニングラード国立バレエ『ドン・キホーテ』
[作曲]レオン・ミンクス [原作]ミゲル・セルバンテス [振付]マリウス・プティパ
[演出]アレクサンドル・ゴルスキー [改訂演出]ニコライ・ボヤルチコフ
[指揮]アンドレイ・アニハーノフ [管弦楽]レニングラード国立歌劇場管弦楽団
チケットを取る時、迷ったのよ。前日の主役は、イリーナ・ペレン&ファルフ・ルジマトフ。普通ならルジマトフを選びそうなものだが、ペレンのキトリがどうもイメージできなくて……。ンで、結局、オクサーナ・クチュルク&ロマン・ミハリョフの方にする。果たして、この選択、吉と出るか? 凶と出るか?
【プロローグ〜第1幕】

キトリ      オクサーナ・クチュルク
バジル      ロマン・ミハリョフ
ドン・キホーテ  マラト・シェミウノフ
サンチョ・パンサ ラシッド・マミン
ロレンツォ    アンドレイ・ブレグバーゼ
ガマーシュ    アレクセイ・マラーホフ
エスパーダ    キリル・ミャスニコフ
大道の踊り子   アリョーナ・ヴィジェニナ
キトリの友達   ラリサ・マカロワ、エカテリーナ・ガルネツ         他

プロローグ。ドン・キホーテのマラト・シェミウノフが若い。妙な存在感はあったので、無理にヨボヨボにしないで、195cmもある長身を生かした異形のドン・キホーテ像を描いてみてはいかが?

港町の雰囲気がちゃんと出ている美術(帆船も碇泊しているし)はいいのに、どこかダンサーがまったりしている。う〜む、ノリが悪い。公演続きでお疲れモード? ま、徐々に調子が出てきたけど。ここは、暗いプロローグから陽光溢れるバルセロナの広場へ、一気にモードチェンジしてくれない困るのよね。
おまけに、キトリのオクサーナ・クチュルクが初っ端からジュテで滑っているし。でも、その後にまったく影響が出ていなかったのはさすが。小気味よさがまさにキトリだが、好みを言えば、もう少し撓る感じが欲しいかも。視線の使い方は巧い。勝気さと色気と品もいい按配。
バジルのロマン・ミハリョフ、一時もじっとしていられない若さ弾けるバジル。しかも、全身プリプリ(針で突いてみたい……)。
恋人同士のラヴラヴな雰囲気がとてもよく出ている。他の異性にちょっかい出しながらも、お互い相手が気になって気になってしょうがない。ま、多少、お子ちゃまの恋って感じもしないでもないが、可愛いので許す。
サポート付きのピルエットではクチュルクが回る回る〜。

大道の踊り子のアリョーナ・ヴィジェニナ、大柄で華やかな美人。こういうキッパリとした美人、好きなのよ。踊りを観ずに、顔ばかり観てしまった(をいをい)。
エスパーダのキリル・ミャスニコフ、かなりおデコがキテる。色男には見えないなぁ。そう言えば、ここの男性陣って、おやぢ体型やおデコがキテるのが多かったのよね。忘れていたわ。
闘牛士の短剣は床に突き刺さず、刃を上にして置くやり方。ダサダサ。
ガマーシュのアレクセイ・マラーホフ、パープルの衣裳もよく似合い、好演。まったく嫌味がないのが素晴らしい。

コール・ドの女性陣、踝あたりにリボンを結ぶ靴は如何なものか? 脚が太く短く見えて最悪。

【第2幕】

キトリ      オクサーナ・クチュルク
バジル      ロマン・ミハリョフ
ドン・キホーテ  マラト・シェミウノフ
サンチョ・パンサ ラシッド・マミン
ロレンツォ    アンドレイ・ブレグバーゼ
ガマーシュ    アレクセイ・マラーホフ
エスパーダ    キリル・ミャスニコフ
メルセデス    アンナ・ノヴォショーロワ
森の女王     タチアナ・ミリツェワ
キューピット   ヴィクトリア・シシコワ
ジプシー     エレーナ・モストヴァヤ、アンドレイ・マスロボエフ     他

《ジプシーの野営地〜夢の場〜酒場》という流れ。
ジプシーはエレーナ・モストヴァヤとアンドレイ・マスロボエフ。かなり顔を濃く作り込んだマスロボエフが健闘。モストヴァヤはあまり印象に残らなかった。人形劇を演じていたのは誰? 姫君役が目を引いた。
をを! ドン・キホーテが風車の羽で空に舞い上がっていくよ(笑)。

森の女王のタチアナ・ミリツェワが可憐で素敵。キューピットのヴィクトリア・シシコワも可愛い。癒される〜。
クチュルクにはもうちょっと儚さや切なさのようなものが欲しいかも。雰囲気は変えているンだけど、時々、キトリの勝気さが覗くような。

人々で賑わっている酒場に、勢いよく走り込んでくるキトリとバジル。あちゃ〜、クチュルクがここでもまた滑っているよ。今度もまたすぐに持ち直したのは立派だが、登場の度にやられると、かなりキツいぞ。
バジルの狂言自殺はちと段取りっぽい気もしたが(もっともっと大仰にやって、ウケを狙ってもいいンじゃない?)、倒れる直前の投げkissが可愛いので許す(そればっか)。

【第3幕】

キトリ      オクサーナ・クチュルク
バジル      ロマン・ミハリョフ
ドン・キホーテ  マラト・シェミウノフ
サンチョ・パンサ ラシッド・マミン
ロレンツォ    アンドレイ・ブレグバーゼ
ガマーシュ    アレクセイ・マラーホフ
エスパーダ    キリル・ミャスニコフ
メルセデス    アンナ・ノヴォショーロワ
ファンダンゴ   ナタリア・オシポワ、ミハイル・ヴァンシコフ
ヴァリエーション オリガ・ステパノワ、イリーナ・コシェレワ         他

1幕と同じ背景にランタンが飾られる。お屋敷ではなく、バルセロナの広場での結婚式。去年観たK-BALLET COMPANY『ドン・キホーテ』も同じく広場での結婚式だったが、あちらは「下町で繰り広げられる若者たちの恋物語を意識して、敢えてそうしている」と思えたのに、こちらは「単なる経費削減」にしか見えないのは何故?(笑)

グラン・パ・ド・ドゥ。片手リフトやフィッシュダイブといった見せ場は、小柄ペアのためか、高さはないし、ダイナミックさもイマイチ。でも、ふたりとも踊りは安定していて、しかも滑らか。これ見よがしでないあたりも好印象(もちろん、似合うダンサーがやれば、それはそれでいいのよ)。
ヴァリエーションのオリガ・ステパノワとイリーナ・コシェレワの並びがツボ。片や、輪郭くっきり明晰な踊り、片や、長い手脚で優雅な踊り。素晴らしかった。

幕切れは割とあっさり。音楽と共に再び幕が開いて、賑やかなフィナーレ(?)。
カーテンコールでは主役ふたりがジュテ! ジュテ! ジュテ! ふたり一緒に出てきたり、順番に出てきたり、最後まで楽しませてくれた。
最初こそノリが悪かったり、大事な登場シーンで主役が滑ったり、「何だかなぁ」って感じだったが、終わってみれば、なかなか楽しい公演だった。