デジレ王子 イヴァン・ウルバン
オーロラ姫、少女 バルボラ・コフットゥコヴァ
善の精 ラウラ・カッツァニガ
悪の精 ピーター・ディングル
国王フロレスタン24世 ヨロスラフ・イヴァネンコ
王妃 ゲイレン・ジョンストン
カタラビュット アルセン・メグラビアン
ディベルティメント:《アモルの祝福》
富 ディアゴ・ボーディン
陽気 アンナ・ハウレット
勇気 カトリーヌ・デュモン
《青い鳥》
青い鳥 アルセン・メグラビアン
フロリナ王女 シルヴィア・アッツォーニ 他
森の中に佇むデジレ。彼はすでに自らの意志で、この不思議な出来事に立ち向かうことを決めている。目の前に現れるいくつものオーロラの幻影。プティパの振付とノイマイヤーの振付が混然一体となって、本当に幻を目にしているよう。善の精とデジレとの印象的なパ・ド・ドゥがあったのは、確かここだったと思うが(覚えてろよ!>ぢぶん)……ノイマイヤーらしい流麗さで、思わず見愡れる。
この後の、デジレが善の精の導きで宮廷に向かう描写も秀逸。普通なら小舟やゴンドラに乗って移動するところを、ノイマイヤーは紗幕を使う。舞台手前に下手から上手へ向かって流れていく森。その奥で踊るデジレと善の精。シンプルで洗練されている。
悪の精と茨の妖精たちとの戦いも迫力があってよかった。本当に戦っている感じがしたもの。碌に戦わないバージョンが多いから新鮮だわ〜。
続く目覚めのシーンも凝っている。朽ち果てた宮廷の2階に眠るオーロラ。そこまで何とか辿り着いたデジレは、すぐに目覚めのキスをするのではなく、ただ彼女を眺めている。身じろぎをするオーロラ。彼女の手がデジレの唇に触れる。そして、オーロラが今にも目を覚まそうという瞬間に、彼はカーテンの影に身を隠す。デジレ、可愛過ぎる……。しかも、金髪のウルバンには、そんな戸惑いやはにかみが似合い過ぎるほど似合う。やがて、目が覚めたオーロラが恐怖に泣き出すと、ようやく姿を現わし、彼女にそっとキスをする。あぁ、なんてロマンティックなの!
宮廷全体が目覚め、結婚式の準備が始まる。またまたカタラビュットが大活躍。デジレを着替えさせたり、婚姻の舞の段取りを決めたり、そりゃもう大忙し。着替え途中のデジレが出てきて軽く笑いを取っているうちに準備は整い、100年前の宮廷の衣装に身を包んだ来賓たちが入場してくる。ここでも女性陣は裾の長いドレス。鮮やかな深紅が素敵。
童話の主人公の踊りは大部分カットして、《アモルの祝福》と《青い鳥》のシンプルなディベルティメント。
フロリナ王女のシルヴィア・アッツォーニ、独特の存在感が確立されていて素晴らしい。1幕から出ずっぱりのメグラビアンも、最後まで完璧な踊りを披露。
グラン・パ・ド・ドゥはお馴染みのプティパ振付。ったく、金髪なびかせて踊るのは反則だよな。しかも、ウルバンの髪質ってフワッとしていて、なんつーか、天使みたい。もう腰砕け(笑)。それもあって、コフットゥコヴァはちょっと老けて見えてしまうのだが、さすがに踊りは巧い。堪能させていただきました。
フィナーレは全員で踊る。いつの間に着替えたのか、デジレは最初のジーンズ姿に戻っている。高らかに鳴り響く音楽。式が最高潮に盛り上がった瞬間、デジレは、突然、目眩に襲われ倒れ込む。
そして、ふと目が覚めると、そこは現代の森。雨は上がり、目の前のベンチにはオーロラそっくりの少女が眠っている……って、ありえねー。やられたよ。「あのノイマイヤーなら、“100年の眠り”にもきっと巧緻な解釈を盛り込む筈」と、信じていたのに。こんなナンセンスな終わり方するとは思わンかったわ。ま、そもそも“100年の眠り”自体ナンセンスなわけで、それを思えば、現代の公園で少年少女が呑気に居眠りしているのもありかもね〜。あ、もしかして、ドラッグですか?
って、こういうこと書いているから不満かと言うと、そんなこと全然ありません。古典作品を鮮やかに再生するノイマイヤーの手腕は本当に素晴らしいと思うし、舞台芸術としても、エンターテインメントとしても、完成度はメチャメチャ高い。ただ、こちらの興味が“解釈”に偏っていたのがマズかったな……と。できればもう一度、今度は変に構えたりせずに観たいかも。NHKホール、行っちゃおうかなぁ(をいをい)。
最後に、ユルゲン・ローゼの舞台美術と衣裳にブラボー!