■2005年1月29日(土) 東京文化会館
レニングラード国立バレエ『海賊』
[音楽]アドルフ・アダン、チェザーレ・ブーニ、レオ・ドリーブ、リッカルド・ドリゴ、オリデンブルグスキー
[振付・演出]マリウス・プティパ [改訂演出]ニコライ・ボヤルチコワ
[演出]ピョートル・グーゼフ [美術]シモン・ヴィルサラーゼ
スヴェトラーナ・ザハロワの日でチケットを取ったのに、ザハロワ降板で、オリガ・ステパノワに変更。他日への振り替えも可能だったので、悩んだ末に、イリーナ・ペレンの日にする。すまん!>ステパノワ
【プロローグ〜第1幕】

メドーラ      イリーナ・ペレン
コンラッド     マラト・シェミウノフ
アリ        ファルフ・ルジマトフ
ギュリナーラ    タチアナ・ミリツェワ
セイード・パシャ  アレクセイ・マラーホフ
アフメット     ミハイル・シヴァコフ
ビルバンド     アンドレイ・クリギン
アルジェリアの踊り アンナ・ノヴォショーロワ
パレスチナの踊り  エカテリーナ・ガルネツ                他

紗幕の向こう、荒れ狂う嵐に沈む帆船。島に打ち上げられる海賊たち。アリのファルフ・ルジマトフ、赤いハーレム・パンツが見事にボロボロ。ンが、生地は真新しい。もしかして、新調?

メドーラのイリーナ・ペレン、登場した瞬間に舞台がぱーっと華やぐオーラ。プロポーションもいいし、美人だし、踊りも伸びやかでとても美しい。
ギュリナーラのタチアナ・ミリツェワは、軽快で弾むような踊り。何とも言えない愛らしさが漂う。
海賊たちを捜すトルコ軍の追手と奴隷商人アフメット登場。逃げる娘たちを兵隊が次々に追い込んでいく。ありきたりな演出だが、そのしつこさは、結構、笑える。

トルコの港、奴隷市場。アフメットによる競売が始まる。
アフメットのミハイル・シヴァコフがえらく濃くなっているのにビックリ〜。肌の色じゃなくて(確かに、随分と濃い色のドーランを塗っていたが)、演技がよ。それでもやはり奴隷商人には見えない。だって、可愛いンだもの。すんごい張り切っていて、その張り切りぶりが、ホントに可愛いの。買い手に舐められないか心配だわ。
奴隷のパ・ド・ドゥではミリツェワのヴェールがなかなかほどけなくて、ハラハラドキドキ。とりあえず、間に合ってよかったね。

ここでのペレンは顔に険があって、怯えや悲哀はあまり感じられない。ってゆうか、むしろ、運命に立ち向かっていくような意志の強さを感じる。今風でよろしいンじゃないでしょうか。
いやぁ、コンラッドのマラト・シェミウノフには驚きましたわ。一昨年に比べて貫禄が出てきたじゃん! 若いながらも、大勢の海賊たちを率いる首領としての器量が備わった。ただ、踊りはイマイチなのよね。あと、メークが微妙、ってゆうか、チークが濃過ぎ。
ルジマトフは、なんつーか、普通にその役としてその場におりました。いや、当たり前なんだけど。
セイード・パシャのアレクセイ・マラーホフは、トルコ総督らしい立派な存在感で、これなら彼に買われたギュリナーラも幸せってもんです(笑)。
パシャとコンラッドがメドーラを取り合う際、全員が一緒になって左右に揺れるのは如何なものか?

アルジェリアの踊りのアンナ・ノヴォショーロワとパレスチナの踊りのエカテリーナ・ガルネツがコクのあるキャラクター・ダンスを披露。堪能。

【第2幕】

メドーラ      イリーナ・ペレン
コンラッド     マラト・シェミウノフ
アリ        ファルフ・ルジマトフ
アフメット     ミハイル・シヴァコフ
ビルバンド     アンドレイ・クリギン
フォルバン     ナタリア・オシポワ                  他

洞窟。海賊たちのアジト。2幕は、フォルバン、海賊たちの踊り、パ・ド・トロワと、迫力ある踊りが次から次へと登場。うん、楽しい。

ビルバンドのアンドレイ・クリギン、何だか無駄にエスカレートしているような(笑)。一目で敵役とわかる役作り。この手の荒唐無稽なお話ならそれも全然OKだが、いくら何でもやり過ぎでは? でも、客席はかなり受けていたからなぁ……う〜む。

パ・ド・トロワは、まず、ペレン−シェミウノフ−ルジマトフの並びが美しい〜。とにかく、長身揃いで舞台映えがする。踊りもアダージオからヴァリアシオンまでは、本当に素晴らしかった。ンが、コーダの途中でルジマトフにアクシデントがあったような。それまでと比べてガクンと精彩がなくなり、マネージュも弱々しく、ピルエットも気合で何とか回り切った感じ。

ふたりきりになったメドーラとコンラッド、ラヴラヴ・モード全開で微笑ましい。恋する娘の艶。思いの外、ペレンがいい。しっかし、囚われの身である筈のアフメットが花束を差し出して、それを何の疑いも持たず受け取るメドーラって、一体……?

2幕の最後(コンラッドに呼ばれて海賊たちが駆けつける)とカーテンコールにはルジマトフ登場せず。ペレンのエスコートはシェミウノフとシヴァコフ。やはり何かあったのね。

【第3幕】

メドーラ      イリーナ・ペレン
コンラッド     マラト・シェミウノフ
アリ        ファルフ・ルジマトフ
ギュリナーラ    タチアナ・ミリツェワ
セイード・パシャ  アレクセイ・マラーホフ
アフメット     ミハイル・シヴァコフ
ビルバンド     アンドレイ・クリギン
クラシック・トリオ エレーナ・エフセーエワ、アリョーナ・ヴィジェニナ
          マリア・リヒテル
ピチカット     ユリア・アヴェロチキナ
          ヴィクトリア・シシコワ
二人の踊り     ユリア・カミロワ
          オリガ・ポリョフコ                  他

セイード・パシャの船のデッキ。完全にパシャを籠絡したギュリナーラがいる(笑)。適応能力の高い娘だわ〜。そこに、メドーラを連れて来るアフメット。シヴァコフの小芝居が可笑しい。パシャにメドーラを買わせないため、ギュリナーラがいろいろ画策している後ろで、置いてあった手鏡で髪の毛を直したり、飽きるとそれをポイと投げ捨てたり。挙げ句の果てにはギュリナーラに陥れられ、お金も貰えず追い出される始末。こういうお粗末な結果を考えると、シヴァコフのようなおマヌケ、もとい、可愛い奴隷商人もありかも。

托鉢僧登場。ンで、いきなりの饗宴。クラシック・トリオはエレーナ・エフセーエワ、アリョーナ・ヴィジェニナ、マリア・リヒテル。ヴィジェニナがやはりキレイだ〜。エフセーエワは意外と地味。
続く花園。この唐突な流れがいつも落ち着かないのだが、とりあえず、ピチカットのヴィクトリア・シシコワが可愛いので許す。
ペレンはテクニックも安定している方だが、フェッテはあちこち動きまくり。とは言え、長い手脚を生かした伸びやかな踊りはやはり美しく、華やかな気品も感じられて、全体的にはよかったと思う。

ルジマトフは最後の戦闘シーンには出ていたが、本来の動きではなかったような。でも、カーテンコールまでしっかり務めていた。
特にルジマトフのファンというわけではないので、何かおかしいと思いながらも、本当にアクシデントがあったのかどうかは、正直、最後まで判断できなかった。たぶん、まったく気がつかなかった観客もいたのではないだろうか? ひとたび舞台に立てば、どんな状態であれ、最後まで役を演じ切るプロの精神力。感服しました。