会場に着いて、まずキャスト表を確認。
エスメラルダ アンナ・アントニーチェワ
カジモド ドミトリー・ベロゴロフツェフ
フロロ 菊地研
フェビュス 逸見智彦 他
うん、当初の予定で変更なし。とりあえず、ホッ。まだ2003年のキャスト変更(牧阿佐美バレヱ団『ローラン・プティの世界 −ノートルダム・ド・パリ−』)が尾を引いている?>ぢぶん
ゴシック建築のシンボル、ノートルダム大聖堂を舞台に、美しいジプシー娘エスメラルダと醜い鐘撞き男カジモドの悲恋を描いた物語。原作はフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの同名小説。これまで何度も映画化されている。一番新しいのは、ディズニーがアニメーション化した『ノートルダムの鐘』(1996年)かな。
ノートルダムの司教代理フロロに拾われ、聖堂の鐘撞きとして暮らすカジモド。彼はその醜い容貌ゆえ、世間から疎まれ、孤立していた。そこへ現れたのが、美しいジプシー娘エスメラルダ。彼女に心を奪われたフロロは、カジモドを利用してエスメラルダを自分のものにしようとする。しかし、偶然通り掛かった美男の青年将校フェビュスが彼女を助け、ふたりは恋に落ちる。嫉妬に狂ったフロロは、フェビュスを刺して逃走。その場に残されたエスメラルダは殺人の罪に問われ、絞首刑を言い渡される……。
重厚な舞台美術、色鮮やかな衣装、緊迫感溢れる音楽(でも、変拍子は難しかったような)。迫力あるコール・ドも加わった壮大なスペクタクル作品……になる筈なんだろうね、ホントは。う〜む、今回は主要4人のバランスが悪かったかも。
エスメラルダのアンナ・アントニーチェワ、可憐な容姿と太すぎず細すぎず何とも健康的な脚が印象に残るも、ジプシーらしさは微塵もない。それに、振付家の意図とダンサーの意図がずれているというか、お互いの視点に違いがあるというか。結果として、ローラン・プティの振付を観たという印象が薄い。
カジモドのドミトリー・ベロゴロフツェフ、少しサル入ってる顔立ち(失礼!)が醜さゆえに虐げられてきたカジモドにぴったり。でも、首から下が裏切るのよ。あんなに威厳があってはダメでしょう。エスメラルダの亡骸を抱えて歩み去るラストにしても、振り回し方が美し過ぎる。あれはカジモドが不具だから巧く運べないンであって、あんなに華麗に振り回しては、哀れさも何もあったものではない。
フロロの菊地研、踊りはダイナミックで、全幕通しての安定感もグッと増してきた。初役だし、20歳という年齢を思えば、かなり健闘していたと言える。ンが、本音を言えば、この役はまだ早い。登場シーンの立ち姿など、その後を予感させるような不吉さが全然足りないし(ただ、動き出すと禍々しさが漂うような……これはたぶん、本人の演技力というより、プティの振付によるものだと思うが……)、エスメラルダを象徴する細かい手の動き(タンバリンを鳴らすみたいな)にも、もっともっと優美さが欲しい。この役は、肘から先と膝から下の表現力が特に大事だからね。
フェビュスの逸見智彦、脚も綺麗だし、あの妙な衣裳も意味不明な金髪も似合っていたが、ポーズのひとつひとつがノーブルで、青年将校のキャラじゃない。ま、それがこの人の持ち味なわけで(笑)。
コール・ドは前回の公演より格段に迫力が出た。2幕、大聖堂襲撃シーンの空気がねじれるようなうねり。圧巻。