■2005年5月1日(日) 新国立劇場 オペラ劇場
新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』
[振付]マリウス・プティパ [作曲]ピョートル・チャイコフスキー
[台本]マリウス・プティパ、イワン・フセヴォロジスキー(シャルル・ぺローの童話に基づく)
[改訂振付]コンスタンチン・セルゲーエフ [演出]オレグ・ヴィノグラードフ
[芸術アドバイザー/ゲストバレエマスター]アレクセイ・ファジェーチェフ
[指揮]デヴィッド・ガルフォース [管弦楽]東京フィルハーモニー交響楽団
開演前に「出演者変更のお知らせ」のアナウンス。「えっ! もしかして、ザハロワ降板とか??? そ、それとも、ウヴァーロフ?」と、一瞬ドキッとするも、「ニーナ・アナニアシヴィリからスヴェトラーナ・ザハロワへ変更のお知らせ」でした。ったく、驚かせるなよ。
【プロローグ 宮殿の大広間】

カラボス     ゲンナーディ・イリイン
リラの精     前田新奈
国王       長瀬信夫
王妃       深沢祥子
優しさの精    大森結城
元気の精     寺島まゆみ
鷹揚の精     西山裕子
呑気の精     高橋有里
勇気の精     遠藤睦子
カタラビュート  小原孝司                  他

幕が開いた瞬間、トホホな気分。忘れていた、ここの『眠り』はヅラだったよ。ンが、しばらくすると、そんなこと忘れてしまうほど舞台に夢中のワタクシ。妖精たちが、皆さん、素晴らしいっ! 改めて、女性陣のレベルの高さに驚く。

大森結城の愛らしさ、寺島まゆみの快活さ、西山裕子のたおやかさ、高橋有里の小気味よさ、遠藤睦子の強靱さ、そして、“善き者”としての凛とした存在感で、終始、舞台に君臨するリラの精の前田新奈。まさしく、充実の見せ場。

あはっ、メインディッシュの前にすでにお腹一杯だ(笑)。

【第1幕 中庭】

オーロラ姫    スヴェトラーナ・ザハロワ
カラボス     ゲンナーディ・イリイン
リラの精     前田新奈
国王       長瀬信夫
王妃       深沢祥子
カタラビュート  小原孝司
花婿候補     市川透、貝川鐵夫、冨川祐樹、中村誠     他

前回観た時、「編み物をする娘たちが命乞いをする場面など、演技が一本調子で全然面白くない」と書いたが、やはり面白くない。編み針のエピソードは必要かも知れないが、どうにも間延びする。
国王が短パン姿だったのはこの幕だった? 一瞬、何も穿いていないのかと思ってしまったよ(笑)。あれはどうかと思うぞ。

ってことで、いよいよオーロラ姫の登場。昨年、スヴェトラーナ・ザハロワのオーロラを見逃したので、ぢつは、と〜っても楽しみにしていたの。
舞台奥から掛け降りてくる姿の華やかさ。うん、可愛い。ンが、16歳の快活なお姫様らしさを出そうとしているのか、かなりやんちゃ、ってゆうか、大雑把なオーロラだわ。おまけに、ローズ・アダージオでは妙に緊張しているし。もしかして、調子悪い?

女官に鶴谷美穂、寺島まゆみ、本島美和、丸尾孝子、踊り子に遠藤睦子、西山裕子、さいとう美帆、大和雅美。何気にすんごいメンツを揃えているな。「すんごい」と言えば、花婿候補(市川透、貝川鐵夫、冨川祐樹、中村誠)のヅラとヒゲ。あれでは誰が誰だか全然わかりません。

今回は噴水の音がまったく気にならず。座る位置にもよるのかしらん?

【第2幕 狩の場〜幻想の森〜目覚めの場】

オーロラ姫    スヴェトラーナ・ザハロワ
デジレ王子    アンドレイ・ウヴァーロフ
カラボス     ゲンナーディ・イリイン
リラの精     前田新奈                  他

デジレ王子のアンドレイ・ウヴァーロフは、そこはかとなくお疲れモードのような。もともとビシバシ踊るタイプではないが、なんつーか、覇気が感じられない。狭い(あくまでも、ウヴァーロフ的に)オペラ劇場に合わせて踊りをセーブしている? それとも、ザハロワのサポートに専念しちゃった?
しっかし、随分と老けたわ〜。ピンクのマントが浮いているよ……。

2幕のザハロワは、幻影らしい儚げでしっとりしたお姫様。1幕より全然いい。1幕は、無理に可愛らしさを演じようとするあまり、ひとりで空回りして、彼女本来の持ち味が失われてしまったのかも。

村の娘に高橋有里、猟師に吉本泰久、そして、狩の貴族には湯川麻美子や厚木三杏といった主役クラスをバンバン投入。いやいや、何とも贅沢な布陣だ。

【第3幕 宮殿の大広間】

オーロラ姫    スヴェトラーナ・ザハロワ
デジレ王子    アンドレイ・ウヴァーロフ
リラの精     前田新奈
国王       長瀬信夫
王妃       深沢祥子
フロリナ王女   宮内真理子
青い鳥      マイレン・トレウバエフ
ダイヤモンドの精 西山裕子
サファイアの精  鶴谷美穂
金の精      大森結城
銀の精      丸尾孝子
白い仔猫     本島美和
長靴をはいた猫  グリゴリー・バリノフ
赤ずきん     さいとう美帆
狼        市川透                   他

フロリナ王女の宮内真理子、登場シーンでは客席から自然と拍手が沸き起こる。皆さん、復帰を待ち望んでいたのねぇ……と、しみじみ。ブランクを感じさせない素晴らしい踊りで、その期待にしっかり応えておりました。いつもは地味なマイレン・トレウバエフも、今日は何だかいい感じ。青い羽根を散らしながら、華麗な跳躍を披露。もともとテクニックはある人だしね。

ダイヤモンドの精の西山裕子はプロローグの方がよかったかな。ダイヤモンドの輝きには、ほんのちょっと足りない。
白い仔猫の本島美和、『カルメン』の主役を経験して、一皮剥けた? 赤ずきんのさいとう美帆は可愛いンだけど、それだけなのよね。

グラン・パ・ド・ドゥでは、ひたすらサポートに専念するウヴァーロフ。やはり、ザハロワは調子悪いのかしらん? 何か物凄く彼女に気を遣っているような。それでも、時折見せるダイナミックかつノーブルな踊りで、場内を大いに沸かす。エライぞ、ウヴァーロフ。
ってことで、本日の結論は、「ザハロワのオーロラは、案外、つまんないな」。あと、「オーケストラがよかったぞ」。 全体に厚みがあり、音もよく鳴っていたわ〜。

ところで、そろそろ海外からゲストを呼ぶのは止めたら? いや、ま、ゲストの日を観ている私が言うのも何だが、新国立劇場バレエ団のダンサーだけで充分でしょう。