キトリ スヴェトラーナ・ザハロワ
バジル アンドレイ・ウヴァーロフ
ドン・キホーテ 長瀬信夫
サンチョ・パンサ 奥田慎也
ガマーシュ ゲンナーディ・イリイン
街の踊り子 真忠久美子
エスパーダ イルギス・ガリムーリン
キトリの友達(ジュアニッタ) 遠藤睦子
キトリの友達(ピッキリア) 西山裕子 他
ドン・キホーテという人物は、騎士道物語に心酔し、理想の騎士たらんとするあまり現実との間に軋轢が生じてしまうだけで、別にボケ(最近は認知症と言うのか?)老人ってわけではない。長瀬信夫扮するドン・キホーテには、そうした高い理想に向かって突き進んでいく高潔さが感じられて、なかなかGood。
陰鬱なプロローグから一転、陽光溢れるバルセロナの港町。をを! 衣裳の色合いがすんごくキレイで、一気に舞台が華やぐ。先月の『眠れる森の美女』では、意外とつまらなかったスヴェトラーナ・ザハロワと、そこはかとなくお疲れモードだったアンドレイ・ウヴァーロフ。今回はふたりとも好調なり。
キトリのザハロワがとにかく可愛いっ! 小気味よさはイマイチだが、撓り具合がツボだ。確かに、勝気さや色気より“品”の方が勝っているが、お淑やかな新国立劇場バレエ団の中に入れば、むしろ調度いいぐらい。ホント、こんなにハマるとは思わなかったわ。あとは、視線の使い方かな。ひとつひとつにもう少し意味を持たせられたら、さらによくなると思われ。
ザハロワの調子がいいと、ウヴァーロフもサポートに専念しなくて済むから、かなりハジけていたような(舞台袖に向かって投げたタンバリンは、一体、どこまで飛んでいったの?)。演技もお手本のような的確さだし、何より、キトリに対してちゃんと“俺の女”感が出ていたのが素敵。多少、粗雑に扱っても、根底には愛が感じられるのよ。
見せ場の片手リフトは、ふたりとも余裕の笑顔。にこやかにタンバリン振り鳴らしているザハロワ。さすがだ。
先月の牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』に続いて、イルギス・ガリムーリンのエスパーダ再び。ムレタの扱いは巧かったが、あれでは引退したマタドールだってば(とは言っても、他に踊れるダンサーがいないからなぁ)。トレアドールは短剣をきちんと床に突き立てていたので、とりあえず、よしとしよう。
街の踊り子の真忠久美子、押し出しもケレン味も全然足りない。
キトリの友達の西山裕子がザハロワに負けない美しさで印象に残る。
ガマーシュのゲンナーディ・イリインもいい味出しておりました(一瞬、日本人扮する付け鼻の怪しい外国人かと思ってしまったが……)。