ダメだ。私にはこの作品が全然面白いと思えない。
さすがに回数こなしてきただけあって、ダンサーたちはプティの振付がしっかり身体に入っていた。休憩なしの構成も、初演に比べてスッキリとまとまっていた。
ンが、CG映像やレーザー光線を使った演出センスは古臭いし(これで本当に「最新の照明と映像技術を駆使」しているの?)、曲繋ぎがほとんど暗転というのも単調でつまらないし、何より肝心のピンク・フロイドが単なるBGMにしか聴こえてこない……。
これはあくまでも勝手な想像だが、今のプティにはドラマもメッセージも必要なくて、客席に座っている2時間弱をそれなりに楽しく消化してもらえれば、それで満足のような。
もちろん、ピンク・フロイドをより深く理解していれば、そこに何らかのドラマを見出すことができるのかも知れない。自己模倣のようなプティの振付や傲慢とも思える音楽の使い方(途中でカットしたり、間に別の曲を挿入したり)からも、何らかのメッセージを読み取ることができるのかも知れない。
でも、そんなこと、何かもうどうでもいい。なんつーか、すんごく投げ遺りな気分。張り切って踊っていたダンサーにはたいへん申し訳ないっす。すみません。
ル・フィガロ紙で「トラボルタばりに腰を振る彼の官能的で卓越した踊りは日本人離れしていて驚かされた」と評された菊地研は、初演よりさらに出番が増えて大活躍。
冒頭のRun Like Hellもいいが、Echoesの途中で見せた短いソロもいい。一瞬にして舞台の空気を変えてしまう踊りに改めて感じ入る。
ルシア・ラカッラの存在感はやはり圧倒的。ただ、シリル・ピエールもレモンド・レベックもサポートがイマイチだったのが残念。
そうそう、Echoesに関して言えば、初演の上野水香の無垢な存在感が不思議と思い出された。う〜む、あれはあれでよかったのねぇ。
初演で一番印象的だったマリ=アニエス・ジロによるRun Like Hellは、黒人ダンサーのスライドによるHIP
HOPに変更。ジロとは方向性は違うものの、同じ効果(強烈な違和感によるアクセント)を発揮していた。
あとは、12月の『くるみ割り人形』で初主役が決まっている京當侑一籠は期待できそう、とか、若手の中島哲也がずいぶん頼もしくなっていた、とか。
しっかし、何故、5000人も入る東京国際フォーラムを借りたのかしらん? 私が行った日は客席ガラガラで、ダンサーが気の毒だったわ。そのあたり、主催者(朝日新聞社、テレビ朝日、財団法人橘秋子記念財団)は甘いというか、考えなしというか。いや、ま、初演からしてそんな感じだったからね。