水の都のディスプレイ
今回の展示「Ashes and Snow」(アッシュズ・アンド・スノー)は、アーティストの単独作品展としては、最も規模の大きいもので、約200点のスチール写真と59分の動画映像で構成されています。写真1点の大きさはおおよそ縦1m横2m。日本で特殊な手法によって手作りされた和紙にモノクロームの写真がプリントされています。
グレゴリーと中村宏治が出会ったのは、およそ7年前。友人であるナショナルジオグラフィックのカメラマン、フリップ・ニクリンの紹介によるものでした。その結果、この作品展の水中映像はスチル写真、動画映像共に中村宏治が撮影したものとなりました。
会場はアーセナルという煉瓦作りの古い造船所。木で組まれた梁の天井までの高さがおよそ20m、建物の長さが300mくらいあり、大きな体育館のような建物です。この会場は、ヴェニス・ビエンナーレが所有しているもので、様々なエギジビジョンに使われています。
入り口を入るとまず会場の広さに圧倒されます。内部は自然光の入らない薄暗い空間になっていて、空調設備も一切ないので空気が冷たく感じられます。全体は4つに区切られていて、大きな柱が左右に4本づつ配置。作品は、天井から細いワイヤーで
吊り下げられ、それぞれの作品は夕日のようなオレンジ色の照明に照らされて薄暗い空間から浮き出ているように見えます。この照明が、作品の暗い影を床に落とし、展示を魅力的にしているのです。セピアカラーの作品とアーセナルの古い煉瓦の色調がとても良くマッチングしていて、会場全体が1つのアート作品のようでした。
会場を一番奥まで進んでいくと、音楽が聞こえてきて目の前に縦4m、横5mの大きなスクリーンが現出。今まで見てきたスチール写真の作品がそのスクリーンの中で動いているという感じ。動画作品もモノクロームで高速度撮影されたもの。厳選された音楽と迫力のある映像は幻想的な世界を作り出しています。
この作品展を見終わり、スチールの作品は今にも動きだすかのように、そして動画 映像は一枚の絵画のようにクッキリと私の記憶に残りました。時間に追われる都会の
生活で鈍くなりかけている感性を思いっきり刺激された作品展でした。 |
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