第三回総会

2004年10月以降の活動報告

(1)裁判闘争の推進
 @ 2004年10月以降の全国の裁判闘争における画期的意義は、2005年5月30日の金沢地裁での勝利判決でした。それは原告28名の住基ネットからの離脱を認める画期的判決でした(詳細は「ニュース18号」の武藤弁護士の論文を参照のこと)。
 この金沢判決の意義にふまえて、7月12日の福岡訴訟の最終弁論では原告・弁護士の意見陳述をおこない「歴史の審判に耐えうる適切な憲法判断」を求めました。
 しかし残念ながら10月14日の福岡訴訟の一審判決は原告の意見をまったく無視した不当な内容(「進める会ニュース20号」武藤弁護士の論文を参照のこと)でした。むろん原告24名は全員一敦で、10月21日に福岡高裁に控訴しました。
 A ところで2004年10月以降、3回の意見陳述と証人尋問をおこない、黒田充氏(自治体政策情報研究所代表)と須崎和幸氏(元北九州市職員)の二人が証言に立ちました。黒田さんは、被告・国が主張する住基ネットの「利便性」や「安全性」は虚構でしかなく、「コスト増、作業増で自治体に負担をかけるばかり」であることを、実証的に訴えました。
 また須崎さんは、「セキュリティ対策の教育が現場ではほとんどなされていない」実態を明らかにしました。
 このように被告・国の主張が空論であることを明らかにした黒田さんの主張は、金沢判決にも取り入れられました。
 B さらに2月15日には原告本人尋問をおこない石村善治さんを始め5人の原告が証言をおこないました。石村さんは、これまでのご自身の研究をふまえ、住基ネットにおける個人情報保護制度が如何に杜撰であるかについて証言しました(「進める会ニュース17号」岩熊弁護士の論文を参照のこと)。
 以上のように多彩な訴訟活動をおこなって、被告の国、県、地方自治情報センターを追いつめてきた意義は、大変大きかったといえます。
 C ところで当会共同代表の一人である石村善治さんが、住民票コード通知の仕方の違憲性・違法性を問う行政訴訟をおこなってきましたが、2004年12月16日、福岡地裁は却下の判決を下しました。石村さんは2005年8月19日、この問題を終わらせないために、ご夫妻で福岡地裁に「国家賠償」の請求をしました(「進める会ニュース号外」の石村さんのよびかけを参照のこと)。
(2)裁判支援運動の推進
@ 裁判支援運動の要ともいえる裁判傍聴への参加を支援者や市民によびかけてきました。
裁判の傍聴には毎回70名をこえる方々が参加されました。とくに第16回の証人尋問(黒田・須崎氏)には90名をこす傍聴者が集まり、大法廷は一杯になりました。[これまで傍聴に参加された方にこの場を借りてお礼を申し上げます。]
A 今期の支援運動の出発点を築いたのは、一昨年の10月3日の「結成二周年総会」と斉藤貴男氏を招いた市民集会でした。
総会では、結成以来二年間の活動報告と、今後の活動方針を巡って活発な議論がおこなわれました。そして全員一致して闘うことを確認しました。
 また市民集会には、150名の市民の参加を得て成功させてきました。(「進める会ニュース16号」参照)。つづいて一昨年12月から「原告らの住基ネットからの離脱を認める判決を求める署名運動にとりくんできました。福岡地区・北九州地区での個人・諸団体にお願いして署名運動をおこない、5671筆の署名が集まりました。福岡訴訟の原告らの請求をわかり易く表現したこの署名運動によって、市民の間に福岡訴訟勝利にむけた気運をもり上げました。なお署名は、7月12日結審後、裁判所に提出しました。[御協力頂いた、個人、諸団体の皆様にこの場を借りてお礼申しあげます。]
B さらに5月30日の金沢判決での住基ネット差し止め訴訟の全面勝利にふまえて、6月22日に福岡訴訟勝利にむけた「緊急集会」を実現しました。ここでは武藤弁護士に「金沢判決の意義と福岡訴訟の勝利に向けて」と題した講演会をおこなっていただき、参加者全員で、福岡訴訟判決にむけた決意を固めました。
 この集会に先立って、6月14日には、福岡県知事に対して「住基ネットの運用中止」の申し入れをおこないました。この行動は、新聞各紙にとりあげられ報道されました。
C10月14日の判決言い渡しにむけては、記者会見をおこない(10月11日)、10月13日には判決前夜集会を80名の市民の参加のもと開催しました。(「進める会ニュース18号」参照)。この集会では黒田充さんに講演をおこなっていただきました。原告・支援者が一致協力して翌日の判決言い渡しにのぞむ決意を固めました。
 翌日の判決言い渡しは二年半にわたる原告の主張や立証活動を無視した不当な判決でした。
裁判終了後ただちに記者会見、報告集会をおこないました。福岡弁護団をはじめ、全国弁護団団長の山本博弁護士、同事務局長渡辺千古弁護士も参加し、原告の意見をまったく無視した福岡判決の不当性を訴えました。この私たちの主張は翌日の新聞各紙にとりあげられ、報道されました。(「進める会ニュース20号」参照)
(3)住基ネット差し止め裁判を進める会ニュース」の発行
 当会結成して以来発行してきた ̄「住基ネット差し止め裁判を進める会ニュース」を、総会以降も「号外」を含めて7号発行してきました(現在21号)。これを原告および支援・協力していただいている個人・団体に送り届けてきました。
「ニュース」では、裁判の現状(口頭弁論、証人尋問)や、当会の取り組みの報告、原告や支援者からの投稿、住基ネットや監視カメラをめぐる事件や問題についての解説などを掲載してきました。
 当会の取り組みを、支援や協力をいただいているすべての方々のものとしていただくために、また住基ネット廃止、監視社会は許さないという世論を市民の間につくりだしていくためにも、この「ニュース」は大きな力を発揮していると思います。
(4)市民監視システム構築に反対する取り組み
@政府は「安全・安心の町づくり」というキャンペーンをくりひろげながら、監視カメラ網を拡充しています。一昨年10月3日の市民集会には斉藤貴男さんを招いて、「安心のファシズム」というテーマで、住基ネットや監視カメラ網の拡充によって、監視・管理国家がつくり出されている現状を話していただきました。こうした講演を実現し、市民に広く現状の危険性を訴えてきました。(「10/3市民集会報告集」を参照して下さい)
A また今年の4月頃に東京メトロ・地下鉄霞ヶ関駅において「顔認証システム」を導入した監視カメラの実証実験が行われようとしています。これに対して東京の「監視社会を拒否する会」より、「顔認証システム」導入実験の中止要請の賛同署名が呼びかけられています。この呼びかけにこたえた署名活動をおこない、市民・学者などへこの実験の危険性を訴えて来ました。(「進める会ニュース21号」を参照)


今後の活動方針

(1)全国の裁判と連携し、不当な判決を翻すために控訴審を闘います。
@ 今年は千葉地裁をはじめ、東京地裁50部、同25部、和歌山地裁と次々に判決を迎えようとしています。そして名古屋高裁(第1次、・3次)、名古屋高裁金沢支部の控訴審に続いて、福岡高裁おいても控訴審第一回が始まります(5月22日)。

A 周知の通り、福岡地裁第三民事部(一志裁判長)は、原告らの住基ネットからの離脱を求める訴えをすべて棄却するという不当な判決を下しました。
 判決では、住民票コードを「情報整理のための番号」などといっていますが、これは原告らが危機感をもって訴えてきた住民票コードの問題点についてはほとんど理解していないものです。なぜなら住民票コードは従来の特定行政事務の限定番号とは異なって、異なる行政事務相互の互換性を有する共通番号であるがゆえに、行政機関が別々に保有している個人情報をリンクさせる(=「名寄せする」)ことによって、個人のすべての情報を管理することができる危険性をもっているからです。
B また判決では、住基ネットを「電子改府・電子自治体を実現するための基盤となる不可欠のシステム」と言っていますが(被告・国の主張をオウム返ししたもの)、これは「住基ネットには必要性も利便性もなく、電子政府や電子自治体には不可欠ではない」ことを実証的に証言した黒田充さんの証言(これは金沢判決には反映された)をまったく無視したものです。
C さらに「四情報」(住所、氏名、生年月日、性別)についても「公開されているので、秘匿すべき必要性は高くない」などといっていますが、これは昨年10月20日に総務省自身が住基台帳法の閲覧制度を見直すことを決めた動きにも反するものです。このように原告らの二年半にわたる主張や立証活動を、まったく無視した前代未聞の不当な福岡判決を、控訴審において絶対に覆すために闘います。

(2)法廷での闘いと連携して裁判支援の運動を進めます

@ いよいよ福岡高裁での控訴審が始まります。ひきつづき控訴審の傍聴への参加を広く呼びかけていきます。また、控訴審に勝利するために、法廷での闘いに呼応しながら、裁判支援の世論を喚起することをめざします。宣伝活動や各地域からの集会や学習会、住基ネット情報交換会などをおこないます。そして諸団体や他の地方の支援組織や市民団体などとの連携をはかります。
A ところで「なりすまし」や住基カードの偽造による詐欺事件は2004年2月2日に鳥栖市で発覚して以来すでに7件になります。昨年12月30日には北九州市が、別人になりすまして虚偽申請した男に住基カードを使用して銀行や消費者金融から約70万円の融資を受けていたそうです。
 しかし、こうした事件が発覚するのは氷山の一角にちがいありません。これは住基ネットの「安全神話」を事実をもって覆すものです。
B さらに不動産登記法が改定され、昨年の3月から施行されました。このことによって、不動産の「権利証」や「保証証」が廃止され、「12桁の英数字」の「登記識別情報」に変わりました。それは、政府が進める「電子政府・電子自治体」構想にのっとったオンライン申請の導入のためにおこなわれたものです。
 しかもオンライン申請の前提として、「登記識別情報」だけでなく、電子署名・電子証明書が必要となります。その場合「電子証明書を格納した住基カードが必要となる」と言われています。政府はこのように、公的個人認証を住基カードとセットにして、将来国内パスポートとして普及させることをも狙っているにちがいありません。またオンライン申請システムの安全性も疑問です。おそらくこの「12桁の英数字」の「登記識別情報」を悪用した事件が多発するに違いありません。こうした住基ネットの危険性を広く市民に訴えていく必要があります。

(3)内容の充実をはかり「住基ネット差し止め裁判を進める会ニュース」を発行します。
 これからも「住基ネット差し止め裁判を進める会ニュース」を定期的に(2〜3カ月に1号)発行します。控訴審が始まりますので裁判の現状や、裁判の進行状況についての、弁護団からの解説も掲載します。また当会の取り組みの報告、原告・支援者からの投稿、住基ネットや監視カメラをめぐる事件についての解説なども掲載します。

(4)市民監視システムの構築に反対します。
 @ 国土交通省と運輸政策研究機構は、昨年10月の「顔認証システム」研究会で、東京メトロ・地下鉄霞ヶ関駅において、今年4月頃に「顔認証システム」を導入して監視カメラの実証実験をおこなうことを決めました。
 「顔認証システム」とは、人間の顔のうち生涯変わらないポイント、例えば目と目との間隔、鼻、ロ、耳、の位置や、骨格などをとりだしてデジタルデータ化(数値化)することによって、デジタルカメラで撮影した人物をあらかじめ設定された人物データファイルに照合して誰であるかを特定するというものです。
 A 今回の実験にもとづいて、あらゆる鉄道の改札口に「顔認証システム」が導入されると、誰がいつこの駅から乗ってどの駅で降りたかがリアルタイムでわかってしまう「人間Nシステム」という恐ろしいシステムができあがってしまいます。公共空間を移動する市民の全行動は監視されることになるのです。まさに「テロ対策」の名の下に、人権(プライバシー権)をまったく無視した監視システムを構築することになるのです。
 この監視システムの構築を許さないという世論を市民の間につくりだしていきます。[詳細は「進める会ニュース第21号」を参照して下さい。]


住基ネット差し止め裁判を進める会・九州  会計報告
決算報告
(会計年度:2004年10月1日〜2005年9月30日)
収入
前 年 度 繰 越 金 1,280,837円 現金:203,167円、郵便口座:1,077,670円
今年度収入 個人カンパ 720,000円 現金:89,000円、郵便口座:631,000円
団体カンパ 11,000円 現金:10,000円、郵便口座:1,000円
集会・街頭カンパ 75,522円 10・3集会参加者のカンパ
書籍・パンフ売上等 160,830円 現金:154,830円、郵便口座:6,000円
会場費(資料代) 79,000円 10・3集会、6・22集会
控訴費用(原告1名分) 20,000円 郵便口座:20,000円
合計 1,066,352円
総   計 2,347,189円


支出

今 年 度 予 算 支出 決算 備考
郵送費 300,000円 348,150円 ▲48,150円 ニュース、集会案内等の会員宛て送付、ほか
会場費 80,000円 83,790円 ▲3,790円 集会会場、事務局会議等会議室使用料
文房具代 20,000円 14,756円 △5,244円 封筒、事務用品
用紙代 80,000円 136,263円 ▲56,263円 ニュース、チラシ等の発行、「10・3報告集」作成ほか
講師関係費 80,000円 89,975円 ▲9,975円 10・3集会、斎藤貴男氏
書籍購入費 0円 127,030円 ▲127,030円
事務局活動費 240,000円 240,000円 0円 20,000/月×12
証人尋問費用 400,000円 388,500円 △11,500円 12・17証人尋問、黒田充氏、ほか
弁護団費用 300,000円 300,000円 0円 支払い 4月27日
その他 0円 12,247円 ▲12,247円 印刷代など
合計 1,500,000円 1,740,711円 ▲240,711円

次年度繰越金  606,478円 (現金:271,908円、郵便口座:334,570円)

住基ネット差し止め裁判を進める会・九州  会計報告
予算(案)
(会計年度:2005年10月1日〜2006年9月30日)
収入

前 年 度 繰 越 金 606,478円 現金:271,908円、郵便口座:334,570円
収入 05年10月以降 個人カンパ 135500円 現金:7,500円、郵便口座:128,000円
団体カンパ 3,000円 郵便口座
書籍・資料等売上 14,900円 現金
会場費(含資料代) 28,500円 10・13判決前夜集会
控訴費用(事務局立替分) 20,000円 郵便口座
合   計 201,900円
総      計 808,378円 06年1月31日現在
支出
予算費目 前年度実績 今年度予算(案) 備考
郵送費 348,150円 280,000円 会ニュースの送付(44,000円×6=264,000円)、通信連絡用切手代
会場費 83,790円 80,000円 会議室・集会会場使用料
文房具類 14,756円 20,000円 封筒、事務用品など
用紙代 136,263円 100,000円 会ニュース発行、資料・チラシ等の作成
講師関係費 89,975円 160,000円 10・13集会 3・5講演会
書籍購入費 127,030円 100,000円
事務局活動費 240,000円 0円 *1
証人尋問費 388,500円 0円 *2
弁護団費用 300,000円 0円 *3
その他 12,247円 10,000円 コピー等印刷代、雑費
控訴費用 160,000円 控訴費用立替等
予備費 38,378円 カンパ等今後の収入を繰り入れ、それを*1、*2、*3に優先的に充てる
合計 1,740,711円 948,378円 ▲140,000円(1月31日現在)




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