グルルンの出産記 (99年1月)



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 グルルンは、お正月で4歳になったメスのビーグル犬です。

 12月9日夜中の3時過ぎ、私はハーハーという犬の荒い息で目がさめた。
グルルンは大きなお腹でドコドコと階段を下りうろうろ、また上がってうろうろ、しまいに私のベットに上がってきた。産む所を探しているのだ。
「ここで産んではだめ!」
慌ててすぐ横に用意してあるお産用の箱の中に入れた。すぐに力み出した。いよいよ産まれると言う時、箱から飛びだして結局じゅうたんの上に1ぴき目を産み落とした。薄い袋の中に入っている。グルルンといえばもうパニック状態でうろうろ歩き回って、また私のベッドに上がろうとする。慌てて子犬のところに連れ戻す。でも触ろうとしない。どうしたらいいだろう。
 獣医は「犬は自分で全部するから放っておいたらいいよ」と言っていた。それにウサギだと産まれたばかりの子を人間が触ると食べてしまうべてしまうからやはり放っておいた方がいいのか? 袋の中でミューミューと鳴いた。夫と二人でハラハラしながら見ているしかできない。
 グルルンは2匹めに取りかかった。今度は産んだとたんにペロペロとなめた。すぐに袋は破けて子犬の顔が出た。そのままペロペロとなめるとミューと産声をあげた。続いて3匹目。この犬は頭が出かかるとペロペロとなめてもらって、産まれた時にはすでに息をしていた。
 そうか、そうするのかと私は1匹目の袋をなめてやってと母犬に差し出した。でもなめてくれない。仕方がない。指で袋を摘んで破り、なめる代わりに”息をしてっ”とさすった。でもぐったりしたままだった。私はあきらめて犬を置き、袋を取りに行った。知らなくってとごめんねと抱き上げると、ピクッと動いた。まだ生きようとしている。慌ててさすった。さすってさすった。するとプスッと小さな息をした。やったあと手を止めると息も止まった。慌ててまたさすった。息をした。やめると息を止めてしまうのでさすり続ける。白かった口元がパーとピンク色に変わった。足の裏も赤くなった。赤ちゃんだ。うれしかった。まだやめると息を止めるのでしばらくさすり続けた。
 グルルンは4匹目を産んでいた。ミューミューと元気に動く白い犬だった。そして巣作りをしているらしく敷いてあったベビーふとんをぐちゃぐちゃにかき回していた。5匹目を産んだ時にはすっかり母らしくなっていて、産んだ子を触ろうとするとウウーと怒った。もうまかしていいなと私は安心して朝食を取りに部屋を離れた。

 午前中に6匹産んだ。午後から用事があるので犬に任せて出かけた。3時過ぎに戻ってのぞくと横になって7匹目を産みかけている。「おおー、また産むのか」とそっとして買い物に出かけた。戻るとなんとさっきのままの状態だ。1時間近くたっている。大変だ!獣医さんに電話をする。「連れてきますか、それとも自分で引き出しますか?」と言う。私はとても連れて行けないので「自分でします」と返事する。指示通りに滑らないようにタオルで頭を持ってゆっくりゆっくりねじりながら引き出した。母親によく似た白い鼻筋の通ったきれいな犬だ。ぐったりしている。さすってさすった。でも今度はダメだった。
 それから2時間後また産気づいた。グルルンはもうずっと横たわったままだ。足が見えた。逆子だ。お腹を押しながら引っ張り出した。なめてもらってすぐに息をした。よかった、これが8匹目。それから1時間後。お腹が大きく波打ち出した。今度の陣痛は強い。母犬が疲れているのでまた引っ張り出す。9番目は大きな黒い子だった。

 1週間前にレントゲンで見てもらった時、「8匹はいますよ」と言われたので覚悟はしていたけれど、やはり9匹もいたんだ。10時半をまわっていた。ご苦労さん、これで終わったねと夜はぐっすりと寝た。

 次の日、朝からミューミューと猫の赤ちゃんのような元気な泣き声がする。数えると、もう1匹増えていた。何と10匹も入っていたのだった。今は9匹とも元気に育っている。


母犬と子犬の写真1 生まれた頃の写真。子犬の足の裏がまだ赤い。


母犬と子犬の写真2 何日かたってからの写真

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