何年も前の話だ。ある家で心霊相談と除霊を頼まれた。詳細は書けないが、大きな
屋敷だった。旧家というのか、庭は広々していて、桃がみごとに咲いていた>
世間話の後、心霊相談に入るでもなく奥さんは庭に誘った。
どこに除霊や心霊相談の必要があるのか、と思えるようにすがすがしさは、桃の花の
せいか、とも思えた。
心霊相談に入らないので、霊能者は花びらをひろって輪を作っていた。
「立派な桃の樹ですねえ」僕は誉めた。桃の樹は霊力があるという言い伝えがある。
桃の節句、と三月三日の女の子の雛祭りを呼びますが、女の子たちが災難にあわない
ように祈念する祭りごとでもあるのですよ。
なんとなく威厳を持ち、それゆえに、なんとも霊風が吹いてきそうな桃の樹だった。
すると、奥さんはすっーと、眼を伏せ、言った。
「一年前、この樹で息子は自殺したのです」
僕と霊能者は目を合わせた。(それで、除霊と心霊相談依頼を、、、)
そうして、奥さんは涙をぽろぽろこぼした。
霊風は桃の樹の持つ霊力のせいだけではなかったのだ。
子どもに自殺された親の無念と悲しさは筆舌に尽くしがたい。霊能者は何度も、
そのような状況に陥った御両親の心霊相談にあずかった、と聞く。除霊はさすがに少ない。
子どもは悪霊ではないのだから、除霊、浄霊はおかしい、、。
だから心霊相談にいらっしゃる相談者から「こうなったのは先祖の報いですか?子どもも悪霊
になりますか?」と聞かれてもうなづくことは少ない。
遠い先祖の悪業で子どもを失うなんて、納得出来ない話だ。信じたくない話だ。
他の場合、就職がなかなか出来ないが先祖のせいか?など聞かれたら、話には
乗るが、今回の心霊相談には先祖を持ち出したくないケースだ。
心霊相談という仰々しいことはせずに、単に、成仏を祈り、またその場の浄化に、浄霊、
除霊させていただくのみ。
合掌