トラブルを防ぐ遺言と相続

「遺言」「法定相続」「遺産分割」との関係




 故人が残した遺言の内容が、民法で定めた法定相続分と異なって

いた場合、どのように扱われるでしょうか。

ずばり、遺言が、法定相続分に優先します。法定相続分とは遺言が

ないときの補助的な基準であって、あくまでも故人の意思が尊重さ

れなければならないからです。

ただ、一つの例外が遺留分です。これは、自分の相続分を侵害され

た相続人が、最低限の相続分として請求するものです。例えば、故

人が「全財産を妻に相続させる。」旨の遺言をしていれば、子供の

持分は0になってしまうからです。但し、その遺言の内容に子供が

納得すれば遺言の内容どおりの相続となります。


法定相続の順位と相続分

 法定相続人の順位は、法律で次のように定まっています。

第1順位 死亡した人の子供。

但し、子供が先に死亡していればその子供の子供(すなわち孫)。

第2順位 死亡した人に子供がいない場合は、その父母。

但し、既に父母が死亡していても祖父母がいれば祖父母。

第3順位 死亡した人に第1順位と第2順位の相続人がいない場合

はその兄弟姉妹。

但し、その兄弟姉妹が先に死亡していれば、その子供。(すなわち

甥姪)

配偶者の相続権

以上の第1〜3順位の相続人がいなければ当然全部相続することに

なり、たとえ第1〜3順位の相続人がいても次の割合で相続するこ

とになります。

 つまり、高齢化社会に突入し、子供が父親の財産を相続する頃に

は、40〜50歳の年齢に達しており、これに対して妻は一層の援

助を必要とされる状態に置かれていることが少なくなく、母親の扶

養、経済的援助を容易にするためにも妻の地位を安定させる必要が

あったため、1981年民法が改正され、妻の相続分が増加されま

した。

     法定相続分
@配偶者と子供 配偶者1/2  子供1/2
A配偶者と故人の親 配偶者2/3  親1/3
B配偶者と故人の兄弟姉妹 配偶者3/4  兄弟姉妹1/4



 遺言があれば、その指定に従い、なければ法定相続分に従った割

合で遺産分割をするのが原則です。


 しかし、相続人全員の合意があれば、遺言や法定相続分に従う必

要はなく自由に遺産の分割ができます。これが「遺産分割協議」

言われるものです。しかし、相続人全員の意思の合意がなければ無

効となるので要注意です。

但し、どうしても協議が調わなければ、家庭裁判所へ調停の申立を

せざるをえなくなります。

遺産分割協議がまとまれば、不動産はできるだけ早く実際の名義人

と合致するよう相続登記を済ませておくことをおすすめします。

相続登記に期間の定めはなく、またしなくても違法ではありません

が、更に相続が発生し新たな相続人が登場することもあり、事情が

変化することもあるからです。


遺産分割の仕方

@現物分割  遺産を現物のまま、各相続人に分ける方法です。

土地は、建物は、現金は、預金は、といったように具体的に分割す

る方法です。

A換価分割  遺産の全部または一部を売却し、その代金を各相続

人で分配する方法です。

B代償分割  相続人のうちの1人が、遺産の全部または大部分を

取得する代わりにその相続分の超過分については、他の相続人に対

して金銭などを与える方法です。与える物が、不動産であれば、譲

渡所得税がかかることがあるので要注意です。


遺産分割協議書のサンプル

             遺産分割協議書

 平成 年 月 日死亡した徳島市徳島町1番地、遺産矢郎の遺産

ににつき、相続人全員で次のとおり遺産分割の協議をした。

 1,相続人 妻 遺産花子の取得する財産

   ア、徳島市徳島町1番   宅地  200u

   イ、同所1番地   家屋番号 1番

     居宅  木造瓦葺平家建  150u

 2,相続人 長男 遺産一郎の取得する財産

   ア、徳島銀行徳島支店 定期預金口座番号1234 

     金500万円

   イ、現金 金500万円

 以上、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本書2通

を作成し、各自署名捺印のうえ各1通を保有する。

   平成 年 月 日

               徳島市徳島町1番地
                 遺産 花子   (実印)

               徳島市徳島町1番地
                 遺産 一郎   (実印)



「特別受益証明書」は禁物

 よく遺産分割協議書に代えて、死亡した人から生前に特別の贈与

を受けたものとして「特別受益証明書」や「相続分なきことの証明

書」を実際に特別の贈与を受けてもいないのに、受けたこととして

他の相続人から提出させ、相続人単独で相続登記を行うことが少な

くありません。

しかし、この方法は後日紛争を招くことが少なくありませんので避

けるのが賢明です。