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判例と金融実務の食い違い
銀行に預金を持っている人が死亡すると、その預金は誰のものに
なるのでしょうか。遺言がない場合の預金の相続問題がどのように
なるかについての次のような最高裁の判例があります。
「相続財産の中に銀行預金や郵便貯金があるときは、相続人の間で
遺産分割の協議をしなくてもそれぞれの相続人が法定相続分に従い
自己の相続分を金融機関に請求すれば、自己の持分についだけは払
戻を受けることが可能である」
ところが、実際金融機関の窓口ではどのようになっているか、と
いうと判例の立場とは違って、相続人全員の署名と印鑑証明書つき
の実印を押印した預金払戻依頼書または遺産分割協議書を求められ
これらの書類がそろわないと預金が一切おろせない取扱となってい
ます。
となると、相続人間で遺産分割の協議でもめているようなケースで
は預金の払戻ができなくなる恐れがあるということです。
これは、事後的に何らかのトラブルが発生して金融機関が責任を負
わされないようにするためです。
預金者が死亡すると預金が凍結される、という認識が一般にあるの
はそのためです。
実際、相続人が金融機関に対して自己の相続分について預金の払戻
請求の訴訟を提起し勝訴判決をもらい、請求分に加えて年利6%の
遅延損害金を支払わせることも可能ですが、目くじら立ててそこま
でする人は極めて少数派で、せっせと書類を調える人がほとんどで
す。
そこで、相続人が金融機関に対して預金の払戻請求をすると、金
融機関は原則として相続人全員で払戻請求の方法をとるよう求めて
きます。その際、必要な書類は次のとおりです。
遺言のない場合
| 1 |
払戻依頼書または遺産分割協議書 |
| 2 |
相続人全員の印鑑証明書(3カ月以内のもの) |
| 3 |
死亡した人の除籍謄本 |
| 4 |
相続人全員の戸籍謄本 |
| 5 |
預金通帳、届出印 |
遺言のある場合
| 1 |
遺言書(自筆証書遺言であれば家裁の検認調
書も必要) |
| 2 |
死亡した人の除籍謄本 |
| 3 |
財産を受ける人の印鑑証明書
(相続人全員の印鑑証明書を求める金融機関
もある) |
| 4 |
預金通帳、届出印 |
こうした事態を避けるためには、本人が自分の判断能力の衰える前
に代理人(例えば、配偶者である妻)を定めて預金の払戻の委任を
しておいて、本人が危篤状態になったときに預金通帳と届出印を持
って払戻をしておくことでしょうか。ある程度、生前に払戻を済ま
せておくと葬儀費用など急な出費に対応できます。但し、他の相続
人からクレームがつかないよう注意は必要です。ただ、高額の払戻
となると金融機関から次のような書類が求められます。
| 1 |
払戻に際しての委任状 |
| 2 |
預金通帳 |
| 3 |
代理人の身分証明書
(運転免許証など) |
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