最新情報ヘッドライン Vol. 31

「介護ビジネス」の知られざる暗闘
〜徳島〜

(週刊ダイヤモンド 2002.6.8)




拡大路線を突き進む 徳島「健祥会グループ」の謎

 東京都で5月14日、特別養護老人ホームの建設補助金の不正交

付が発覚し、都の前福祉局長や社会福祉法人理事長ら5人が逮捕さ

れた。

特別養護老人ホーム建設の補助金は、原則として国が2分の1、都

道府県が4分の1を負担する。残りの建設費と土地は事業者が自己

資金で用意し、補助金申請の際に必要となる。

東京都で発生した今回の事件は、ニセの預貯金の残高証明書を提出

して法人認可を受けたうえ、自己資金があるかのように装い、約1

2億4千万円の補助金を受け取った疑いだ。

 東京都が補助金不正支出事件で大揺れとなる直前、国会である社

会福祉法人をめぐる問題が取り上げられていた。

舞台となったのは、4月16日に開かれた参議院厚生労働委員会。

遡上にあげられたのは徳島県の社会福祉法人・健祥会グルーブだ。

「特定の社会福祉法人がこれほどまでに急成長するのは不自然でま

た問題も多い」こう指摘するのは、参議院で健祥会問題を追求して

いる斉藤議員(民主党)

健祥会は徳島県川島町に本部を置く社会福祉法人。中村博彦氏が1

980年に設立したもので、グループ法人として青嵐会、緑風会、

育英福祉会がある。98年前後から急成長し、現在徳島県内に11

もの特別養護老人ホームを持つ。職員数はグループ全体で約100

0人に上り、業界の最大手といえる。

健祥会グループを率いる中村理事長は全国老人福祉施設協議会の会

長でもあり、また、2000年には全国介護政治連盟を組織して会

長に就任し、業界内に強い影響力を持つ。   


介護保健施設の定員ランキング
(2000.10.1)
 順位 都道府県   定員 65歳以上10万
人当たりの定員
  1 沖縄県  7785人  4264.4人
  2 徳島県  6583人  3644.3人
  3 福井県  5724人  3377.2人
  4 秋田県  9079人  3254.2人
  5 青森県  9018人  3141.1人
 43 愛知県 20295人  1989.7人
 44 埼玉県 17359人  1952.1人
 45 東京都 35831人  1875.5人
 46 静岡県 12287人  1846.1人
 47 神奈川県 19751人  1688.8人




 斉藤議員が健祥会疑惑として指摘したのは4点。

1つは、何故徳島県内で健祥会だけがこれほどまでに急成長してい

るかという点だ。

徳島県による健祥会グループへの補助金は、収賄事件で逮捕された

圓藤前知事が就任後(93年10月)に急増している。県の施設整

備補助金の約54%が健祥会グループに交付されており、両者が特

別な関係にあったのではないかと指摘された。

2つめは、鈴木宗男衆議院議員との関係だ。中村理事長はかつて中

川一郎氏(故人)の秘書を務めており、鈴木氏とは昵懇の間柄。

日頃、そうした関係を公言していたから、鈴木議員が健祥会グルー

プのためにさまざまな働きかけをしていたのではないかという疑念

が広がった。

3つめは、健祥会本部がある川島町の町長選挙(99年4月)に関

するものだ。中村理事長は27歳のグループ職員を候補に担ぎ、町

を二分する激しい戦いを勝ち抜いた。

4つめは、健祥会グループ内での不当労働行為、残業代未払い問題

だ。国会の場で健祥会の疑惑を追及する質問が重ねられたが、決定

打不足は否めなかった




 全国で特別養護老人ホームや老人保健施設の不足が指摘されてい

るが、徳島県では様相がやや異なる。県内の特別養護老人ホームの

数は現在53。老人保健施設も50に上る。整備状況は沖縄県に次

いで全国第2位。市町村の中には計画定員数をクリアしてしまい、

新たな施設建設が認められないところも少なくない。

徳島県は99年12月、中村理事長を「県特別養護老人ホーム・老

人保健施設整備検討委員会」の委員に選んだ。つまり、施設整備を

申請する当事者が、施設整備計画を審議する立場に立つものだ。健

祥会グループはこうした環境下で拡大路線を続けてきた。