最新情報ヘッドライン Vol.10

知らないと損する「相続術」
(週刊現代 2003.2.22)




 相続税と聞いて、「自分にはあまり関係ない」と高をくくってい

る方も多いのではないか。相続税は、カネ持ちと呼ばれる富裕層の

人々に発生するもので庶民には無縁だ、という認識が一般的だ。事

実、相続税を支払っている人口は、毎年平均で対象者の5〜6%

すぎない。何故かというと、相続税では「5000万円+法定相続

人1人につき1000万円」の基礎控除が認められているからだ。

 一般に土地の評価額は、公示価格の約8割程度の路線価にもとづ

いて算出される。さらに居住用地は、別居者が相続する場合、20

0uまでは評価額が50%減額(同居の場合は80%)される。

 そんな折も折、現在国会で税制改正案が審議されている。このな

かでは、贈与税、相続税の大改訂も盛り込まれている。改正案にそ

って知って得する相続術について考えてみよう。

 税制改正の主なポイントは、次の3点だ。

 @65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与は2500

  万円まで非課税。非課税枠を越える部分への税率は一律20

  %に軽減する。

 A2005年末まで住宅取得資金の贈与の非課税枠は3500

  万円とする。

 B一般の贈与税、相続税の最高税率を70%から50%に引き

  下げる。



 簡単に言えば、遺産の生前贈与にかかる課税枠が大幅に縮小され

親世代から子世代への資産移動がしやすくなるように改正される。

現在の制度では、住宅取得資金のための贈与なら550万円までし

か非課税にならない。一方、税制改正によって新設される相続時精

算課税制度では、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与に限

って、親1人について2500万円の非課税枠が設けられる。この

枠の範囲なら何回に分けて贈与を受けても非課税で、非課税枠を越

えた分は一律20%の課税となる。また、住宅取得資金としてなら

2005年までの3年間は非課税枠を1000万円上乗せして35

00万円となる。

 今国会で改正案が通過すれば、今年1月に遡って施行される。

改正案では、新法と現行法は併存し利用者が選択することになる。


損するケース 得するケース

 こう見ると、新法を選んだ方ががぜん得するように見える。

しかし、見落としてならないのは、現行法では、相続時点では生前

贈与分を差し引いて相続税として課税されているのに対して、新法

では生前贈与分も含めて相続時点で課税されることだ。つまり、新

法では非課税と思っていた生前贈与についても後になって課税され

てしまう。贈与税は一件緩和されたように見えるが、相続税として

は逆に課税枠が広がってしまうのだ。

 例えば、1億円の財産を所有する親から子へ3500万円の生前

贈与がなされた場合(相続人は妻と子供1人とする)。

 現行法では、贈与税が946万円。相続税は残りの6500万円

に対して課税され50万円合計996万円の負担となる。

 新法では、贈与税は0円。ただ、相続税は1億円に対して課税さ

れるため600万円合計600万円の負担となる。


 損得の代表的なケ−スをまとめたのが下の表である。

左が新法で得するケ−ス、右が新法で損するケ−ス。

 新法 現行法    項 目  新法 現行法
6000万円 6000万円  所有財産 7000万円 7000万円
3500万円 3500万円  生前贈与額 1000万円 1000万円
   0円 946万円  贈与税額    0円    0円
2500万円 2500万円  相続財産 600万円 600万円
6000万円 2500万円  相続税課税対象額  1000万円 300万円
   0円    0円  相続税額 100万円  30万円
   0円 946万円  合計負担額 100万円  30万円