司法書士に訴訟代理権付与
(徳島新聞 2003.9.28)
簡易裁判所の法廷で、訴状を陳述する司法書士。今年から徳島簡
裁の民事法廷の様子が変わった。これまで弁護士にしか認められて
いなかった訴訟や調停の代理権が、司法書士法の改正に伴い簡裁で
の請求90万円以下の訴訟などに限って司法書士にも与えられたた
めだ。費用対効果の面から弁護士に依頼することができなかった少
額の訴訟で、当事者救済に大きな道を開くものとして期待されてい
る。
少額の訴訟スム−ズに、審理面で当事者に安心感
簡裁での民事訴訟は近年増加の一途をたどっている。徳島簡裁が
昨年1年間に受けた新規事件数は1283件。10年前の3倍強に
膨らんだ。調停の新受に至っては、10年前の6倍近い3082件
に達している。
簡裁訴訟の大半は複雑な法律論争を必要とするものではない。
それだけに司法書士の訴訟代理は何度も検討されたが、見送られて
きた。実現した背景には、事件数が増えている現状に対応し、司法
制度改革がうたう「市民に身近な司法」につなげる狙いがある。
改正司法書士法は昨年4月に成立、今年4月に施行された。6月
には訴訟代理に必要な特別研修が全国で開始。7月末、考査に通っ
た2989人を法務相が初認定し、徳島県では県司法書士会登録者
(167人)の4分の1に当たる40人が認定された。
同会の吉田文夫会長は9月、借家の明け渡しをめぐる調停で貸主
側代理人を引き受けた。初めて足を踏み入れた調停室。審理は円滑
に進み、約2時間半で即日結審した。
吉田会長は以前にも調停にかかわったことがあるが、あくまで書類
作成や依頼主への助言まで。審理は複数回に及ぶことが少なくなか
った。「調停委員の言動を直接聞いて審理を進められるのが利点。
代理権がなければ今回も長引いたかもしれない」と言う。
司法書士は弁護士より人数が多いのが強みだ。県内の司法書士は
弁護士の3.5倍。事務所のほとんどが徳島市に集中している弁護
士と違い、大半の市町村で開業し、簡裁代理の認定を受けた40人
も県内7簡裁の管内に散らばっている。
今後制度が周知されるにつれ、司法書士への簡裁代理の依頼が増
えることが予想される。となれば、40人で十分対応できるかとの
心配も出てくる。同会の岡敬治副会長は「10月に第2回研修が始
まり、県内から11人が参加する予定。ニ−ズに応えるためにもで
きるだけ大勢が認定されればいいのだが」と話す。
簡裁の民事訴訟は、原告、被告とも弁護士を立てず当人同士で争
う本人訴訟が多い。徳島簡裁では、昨年処理した1325件のうち
91%が本人訴訟だった。訴訟額が低ければ報酬も限られ弁護士に
魅力が薄く、依頼側は「高額な弁護士費用を負担すると割が合わな
い」と敬遠する。そんな構図が本人訴訟の数字に表れている。司法
書士の報酬は通常、弁護士より低いといわれる。簡裁代理で高額な
報酬を要求するようなことがあれば、せっかくの制度を骨抜きにし
かねない。「報酬面で弁護士より頼みやすくなるというのも今回の
大きなポイントだ。期待に反しないよう心掛けたい」(吉田会長)
同会は認定を受けた会員で勉強会を開催し、適正な報酬について考
えるという。
裁判を経験する人はまだ少数派だが、いつ当事者になるか分から
ない。そんなとき、代理人がいるといないでは心理面で大きな差が
ある。依頼者により安心感を与えるためには、司法書士の器量が問
われることになる。
徳島市内の司法書士 原田敦仁さんは最近、土地所有権確認をめ
ぐる訴訟で代理人を務めた。初めて裁判を経験した依頼人からは「
一緒にいてくれたので気持ちが楽でした」と感謝されたという。
「実績を積み、訴訟運営の力をつたい」。原田さんは今まで以上に
大きな使命感を抱いている。 |
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