減る「銀行貸出残高」
(徳島新聞 2005.1.5)
内閣府が2004年12月の月例経済報告で景気の基調判断を2
カ月連続して下方修正するなど、このところ「減速」を指摘する声
も高まってきたが、日本経済はこれまで長期にわたって景気回復を
続けている。
そうした中で一向に改善せず、現在に至るまでずっと前年同期比
マイナスが続いている経済指標がある。銀行貸出残高だ。
01年度4.2%減、02年度4.8%減、03年度4.9%減。
04年度に入っても毎月一貫して大きなマイナスである。
これほどの景気回復が続いてきたにもかかわらず、銀行貸出残高は
依然として大きく減り続けているのだ。
小泉内閣の不良債権処理の論理は次のようなものだった。「銀行
は不良債権が重荷になって融資活動を十分に行えない。経済活動に
銀行からの資金が回らない。そのため日本経済の不振が続いている
」。だから「不良債権を早く処理すれば、銀行も融資活動に前向き
に取り組むことが可能になる。すると世の中にお金も回るようにな
り景気が回復する」。
しかし、どうだろう。いわゆる不良債権の処理が進んでいるとし
ても、一向に銀行貸し出しは増えていない。減少するばかりだ。こ
れは明らかに二つのことを示している。
第一に、銀行は不良債権問題があるために貸し出しを減少させて
いたのではなかったこと。不良債権が減っても貸し出しは増えてい
ないのである。第二に、銀行貸し出しが増えなければ景気は良くな
らないというわけではなかったこと。銀行貸し出しは減っても、景
気は回復しているのである。つまり、政府の不良債権処理の論拠が
誤りであったことを示している。
不良債権というと、どうしようもない企業への貸し出しという印
象を持つかもしれない。しかし、バブル崩壊後の企業の経営不振に
よる不良資産などはとっくの昔に処理されている。近年、不良債権
に分類される多くの企業は黒字会社で、返済も滞っているわけでも
ない。ただ多少、借金が多い企業ということにすぎない。
経営に大きな問題があるところも少ない。銀行にとっても、何も
困る融資先でもなければ、国民経済的にもさほど問題のない企業が
大部分だ。それを厳格化と称して、負債がやや多い企業にすぎない
ものを当局は不良債権に分類し、誤りの論理で資産処理を急がせて
きたのだ。
机上の空論に基づく誤った不良債権処理政策の論理こそ、逆に日
本経済に余計な混乱を与えてきたといえるだろう。 |
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