メガバンクの「隠れサラ金」ビジネスを許すな!
(週刊現代2006.5.27)
メガバンクと消費者金融
「メガバンクと消費者金融が一心同体になってしまっている現状
は、私個人としては驚きです。銀行の仕事は利益追求だけではない
はずです。社会にしっかり目を向け、おカネをどう振り分けるか。
それが銀行の本来の仕事のはず。社会的意義のあることをやるのが
銀行の使命でしょう。小説の「金色夜叉」ではありませんが、高利
貸は昔から存在します。しかし、私はひっそりやるものだと思って
いた。最近のように消費者金融がテレビコマーシャルを流し続けて
いるのには、違和感がある。消費者金融の高金利については法整備
を進めていきますが、メガバンクが消費者金融と提携していること
は、各行の経営者の人生観が問われる問題です。われわれ(金融庁
)はとやかく言いませんが、メガバンクのやり方は私の趣味には合
っていませんね」
与謝野馨金融担当相は本誌の直撃取材に、こう語った。現職の担
当大臣が、ここまではっきりと銀行批判をするのは異例中の異例で
ある。
大手消費者金融のアイフルは5月8日、無人店舗も含めた全国約
1900店で新規融資などの業務を停止した。認知症の患者に契約
させたうえで返済を迫るなどの違法なやり口に、金融庁が待ったを
かけたのだ。
アイフルは、昨年3月期決算で営業利益1075億円を計上。4
期連続の史上最高益を更新し、貸付金残高は1兆4717億円にも
のぼった。昨年3月末時点での貸付金残高で比較すると、消費者金
融大手4社は1アコム2武富士3アイフル4プロミスの順となる。
4社合計で総額は約6兆円にのぼり、実に業界シェアの60%を占
める。
消費者金融の好業績を支えているのが「グレーゾーン」(灰色金
利)と呼ばれる高金利だ。法律で規定されている上限金利は刑罰規
定がない「利息制限法」の年利15〜20%と、刑罰規定のある「
出資法」の29・2%の二本立てになっている。本来、利息制限法
の範囲で利息を定めなければならないが、借り手が任意に支払う場
合は上限の20%を超えてもよいことになっている。消費者金融は
任意を口実に20〜29・2%のグレーゾーンの高金利で貸し付け
ているのだ。
消費者金融が急伸した要因は、もうひとつある。与謝野金融相も
指摘するメガバンクとの提携だ。
銀行が消費者金融を紹介
三井住友銀行はプロミスと2004年に資本提携した。旧さくら
銀行が設立した銀行系カードローンの「アットローン」はプロミス
子会社。3社はテレビCMで「三井住友銀行グループ」とわざわざ
テロップを打つなど大々的に宣伝している。
三井住友ファイナンシャルグループのカードローン事業では、銀
行と消費者金融が戦略的に役割分担している。契約を希望する顧客
の信用力によって、紹介するカードローンを三井住友銀行カードロ
ーン(金利8〜12%)、アットローン(同15〜18%)、プロ
ミス(同17・8〜25・55%)の3つに分けて対応するのだ。
これは「カスケード方式」と呼ばれるシステムで、三井住友銀行
のカードローンが組めないなら銀行系カードローンのアットローン
それもダメなら消費者金融のプロミスと、紹介する。カスケードと
は、階段状に流れ落ちる滝の意味。
3社の資本提携関係はプロミスと三井住友銀行がアットローンの
株をほぼ半数ずつ握る。プロミスの筆頭株主は20・22%を保有
する三井住友銀行。プロミスは持分法適用関連会社(子会社ではな
いが、連結決算で損益を一部組み入れる関連会社)になる。
三菱東京UFJ銀行とアコムの関係も同様だ。アコム株の12・
99%を三菱UFJファイナンシャルグループが保有し、グループ
から役員も派遣している。
メガバンクはなぜ、消費者金融との提携に熱心なのか。経済ジャ
ーナリストの須田慎一郎氏が解説する。
「メガバンクが個人向け無担保ローンを扱うようになったのは、預
金量より収益力で競うようになったのがきっかけです。手っ取り早
く利益を上げるために、短期で利子収入を得られるカードローン事
業に活路を見いだした。ところが、銀行に担保のない個人に貸付を
行うノウハウも能力もない。だからこそ消費者金融に頼るのです」
「三菱東京UFJの場合、銀行本体のカードローンの保証をグルー
プ傘下のDCキャッシュワンが行っています。つまり、貸付はメガ
バンクが担当し、焦げ付きが発生した時の保証や取立業務は傘下企
業に任せているのです。DCキャッシュワンは、銀行系カードロー
ン会社としては唯一、消費者金融利用者のブラックリストを持つ全
国信用情報センター連合会に加盟している。世界規模のメガバンク
が、いわゆるサラ金のブラックリストを活用しているのです。隠れ
サラ金と指摘されても仕方ない」
消費者金融の今年3月期決算は落ち込んだ。今年1月、最高裁が
グレーゾーン金利を事実上認めない判断を下し、過払い利息の返還
を求める訴訟が相次いだためだ。アコムは営業利益1061億24
00万円で前年同期比24・3%減。武富士は868億1700万
円で同24・3%減。プロミスは662億1000万円で同43%
減となった。しかし、貸付残高は、アコムが1兆5962億円、武
富士が1兆5400億円、プロミスが1兆2953億円で、銀行系
カードローン会社アットローン(1184億円)、モビット(22
45億円)などは遠く及ばない。
銀行、生保から破格の低利融資
消費者金融大手4社の取引銀行(上位10社)と平均調達金利は
次のとおり。調達金利が全社2%前後という安さも驚かされるが、
資金調達先を見るとメガバンクのほか名だたる金融機関がズラリ顔
を揃えているのが分かる。
アコム(昨年9月時点)
三菱UFJ信託銀行、住友信託銀行、新生銀行、中央三井信託
銀行、みずほ信託銀行、あおぞら銀行、三菱東京UFJ銀行、
明治安田生命、第一生命
平均調達金利 1・84%
武富士(昨年11月時点)
みずほ信託銀行、三井住友銀行、中央三井信託銀行、北陸銀行
泉州銀行、熊本ファミリー銀行、住友信託銀行、ユービーエス
・エイ・ジー銀行、オランダ銀行、ドイツ銀行
平均調達金利 2・2%
アイフル(今年4月時点)
住友信託銀行、あおぞら銀行、みずほ信託銀行、三菱UFJ信
託銀行、中央三井信託銀行、第百生命、日本団体生命、朝日生
命、住友生命、富士火災海上保険
平均調達金利 1・70%
プロミス(昨年9月時点)
住友信託銀行、新生銀行、三井住友銀行、三菱UFJ信託銀行
三菱東京UFJ銀行、中央三井信託銀行、あおぞら銀行、日本
生命、住友生命
平均調達金利 1・61%
多重債務者は200万人にも膨れあがっている。メガバンクが消
費者金融とタッグを組み、多重債務者予備軍を増やしていくのを断
じて許してはならない。 |
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