新世紀の幕開け早々に、茨城新聞に「霞ヶ浦導水事業 工期10年延長へ」 という5段の大見出しを掲げた記事が掲載されました(2001年1月8日付)。新生「国土交通省」が、20世紀の負の遺産ともいうべき霞ヶ浦導水事業(以下 「導水事業」 と略)に、10年間の事業延長予算をつけたことは、新時代の要請に応えられない旧来の建設省の古い体質を受けついだものとして、象徴的な初仕事です。

 霞ヶ浦導水とは、霞ヶ浦と那珂川、霞ヶ浦と利根川をそれぞれ地下トンネルで結ぶ水路(「流況調整河川」と呼ばれている)を指しています。

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前建設省は、その事業目的を三つあげています。一つは霞ヶ浦と那珂川において、都市用水(水道用水・工業用水)を新たに開発することです。二つに、那珂川・利根川からの導水により霞ヶ浦などの浄化を図ることです。三つに、霞ヶ浦から那珂川や利根川に導水することにより、渇水時期の水不足をなくすことをあげています。建設省はこのような導水事業の目的を、公費を使って学校に、地域に繰り返し宣伝をしてきました。

 導水事業は、20世紀末に達成することになっていましたが、総事業費1900億円の内1100億円を消費し、その事業進捗率は3割弱といわれています。そこで 「工期10年延長」ということになり、新年度に37億円余の予算がついたことになります。同省の霞ヶ浦導水工事事業所の担当者によると、工期延長しても総事業費の増額は行わない方針ということですが、考えられないことです。 導水事業の当初の総事業費は1600億円でした。すでに300億円を上乗せしているのです。国家プロジェクトの水ぶくれ事業費の典型として 「霞ヶ浦開発」 があります。  1970年度末から25年間の歳月を費やした同事業は、工期や事業費の見直しは何回も行われてきました。当初の事業費は320億円でしたが、最終年度は公式発表で約2864億円と想橡もできない金額に膨れ上がり、関連事業を含めると1兆円を超えたといわれています。今回の導水事業も3千億円の総事業費になるだろうという指摘があります。国家プロジェクトである導水事業はかつての右上がり高度経済成長の"申し子"であり、その推進は時代錯誤といえます。  

 霞ヶ浦導水事業について 同事業の見直しを迫る声は、1990年ごろから、県内の環境団体などにより 「霞ヶ浦開発事業」 への批判と併せて展開されるようになりました。特に、県内で開催された 「第6回世界湖沼会議」を契機に、霞ヶ浦開発事業・霞ヶ浦導水事業に対する見直し提言・意見が繰り返し、「霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議」などを中心に展開されてきました。全国的にも河口堰建設の見直しの運動が一段と強まっています。
 

 現在大きな問題となっている有明湾の養殖ノリの不作要因も20世紀の遺物からくるものです。全国の4割を占めるといわれる有明湾の養殖ノリの危機的な不作の原因が、諫早湾堤防閉鎖によるものとして、その水門解放の声が漁民などから沸き起こっております。諌早湾干拓問題は、20世紀の残滓を一掃する重要な課題で、改めて事業自体の目的が問われるています。霞ヶ浦開発事業も5年目に入り、湖沼の生態系を大きく変えてしまい、アサザなどの水生植物は全滅になりつつあります。そのような中で、建設省は環境団体の粘り強い運動により、冬場の水位維持などの見直しに追い込まれています。

 世の中も、経済成長を支える社会・政治構造や大量消費などの生活様式が、根本的な問い直しが始まりました。そのよう時代的の追い風のなかで、別項で詳細に指摘をしますが、導水事業の目的は、理論的にも、実態としも破綻しています。
 とりわけ、県は過大な水需要の大幅な修正を迫られる一方、県民から水道料値上げに対する批判にさらされています。導水事業の目的基盤が失っているにもかかわらずさらに10年余り継続・推進することは、県民に対する政治的犯罪であり、歴史的な汚点といえます。
導水事業が私たちの生活や税金と密接不可分にかかわっていることを理解していただけるように作成しました。県民一人ひとりが考え、行動するきっかけにしていただければ幸いです。とりわけ県会議員をはじめ、市町村議員が、導水事業の見直しの先頭にたつことを願っております。