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ここでは甲冑コメント文中に記載された各用語を簡単にご説明致します。
文字によっては漢字変換出来ない物もありましたので、その部分はカタカナ表記としてあります。

※用語解説に際しまして、下記書籍から文章を一部引用させて頂きました。

   「図録 日本の甲冑武具事典 第7刷」
   「日本甲冑の基礎知識 第2版第1刷」
   「時代考証 日本合戦図典 5刷」
   「大辞泉」 (小学館:松村明氏 監修)
   「大辞林」 (三省堂:松村明氏 編集)

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あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行


あ行 解説
阿伊佐(あいさ) 踏込佩楯で足を入れる帯状(おびじょう)の部分を言います。
左右を重ねてボタンやで留(と)める形式や、一続(ひとつづ)きの帯(おび)にした物などがあります。
「廻(まわ)し」「相引(あいび)き」とも言います。
合印(あいじるし) 味方同士を識別(しきべつ)するために用いる印(しるし)のことです。
愛染明王(あいぜんみょうおう) サンスクリット語(=古代インドで使われた言葉)で「ラーガ・ラージャ」といいます。
愛情・情欲(じょうよく)などの欲望(よくぼう)を、悟(さと)りを開くための力に変換してくれる仏様で、恋愛成就(れんあいじょうじゅ)・怨敵降伏(おんてきこうぶく)・戦勝などのご利益(りやく)があります。
通常、獅子を頭にかぶり、三目六臂(さんもくろっぴ=目が三つに腕が六本)の赤い体で表されることが多いようです。
鎌倉時代以降広く信仰されました。
青貝(あおがい) @:螺鈿に用いるために加工された貝殻(かいがら)や、その貝殻(かいがら)を使った細工(さいく)のことを言います。
鮑(あわび)・夜光貝(やこうがい)など、殻(から)に真珠色(しんじゅいろ)の光沢を持った貝が使われます。
A:巻貝(まきがい)の一種です。
青貝微塵塗(あおがいみじんぬり) 漆(うるし)を塗った上に細かく砕いた青貝を蒔(ま)いて固定し、さらに漆をかけて研(と)ぎ出す技法を言います。
用(もち)いる素材の違いなどによって様々な種類があるようです。
泥障(あおり) 鞍橋四方手に結び、馬の汗や蹴(け)上げる泥を防ぐための敷物を言います。
下鞍の小さな大和鞍に用い、のちには装飾用として天候に関係なく用いられました。
通常、毛皮や皺韋などで円形に作られますが、武官(ぶかん)用は方形とし、「尺泥障(さくのあおり)」と呼びます。
皮革(ひかく)製の物は「鐙摺(あぶみずり)」とも言います。
朱柄槍(あかえのやり) 「しゅえのやり」「朱槍(しゅやり)」とも言います。
文字通り柄(え)の部分を朱漆で塗った槍(やり)のことで、特に武勇(ぶゆう)に優(すぐ)れた者にのみ与(あた)えられ、使用を許される槍(やり)とされます。
赤備え(あかぞなえ) 身分の上下を問わず、各人の鎧兜・刀槍・馬具・軍装の主要な部分、あるいは全てを朱漆塗りで統一した部隊のことを言います。
赤備えの起源は甲州(こうしゅう=山梨県)武田家と言われ、武田信玄(たけだしんげん)の家臣であった飯富虎昌(おぶとらまさ)や弟の山県昌景(やまがたまさかげ)が率(ひき)いた部隊などが有名で、その勇猛(ゆうもう)さゆえに恐れられていたようです。
武田家が滅亡(めつぼう)した時に、徳川家康(とくがわいえやす)の指示(しじ)によって井伊直政(いいなおまさ)がこの部隊を受け継ぎ、以降、「井伊の赤備え」「井伊の赤鬼(あかおに)」などと呼ばれるようになりました。
足掻胴(あがきどう) 別名を「海老胴(えびどう)」とも言います。
横矧桶側胴で各板を鋲(びょう)で固定せずに鋲穴(びょうあな)を縦に長くし、その中を鋲(びょう)が上下にスライド出来るように工夫(くふう)されたのことです。
通常の立胴と違って屈伸(くっしん)出来ると言う利点(りてん)があります。
総角(あげまき) 「上巻」「揚巻」とも書きます。
蜻蛉(とんぼ)形の十文字に結んだ紐(ひも)のことを言います。
通常はの背に結ばれた物を指し、ここに懸緒水呑緒を結びとめ、腕の動きに合わせてが効果的に動作するための基部として用いられていました。
しかしながら時代が下がると背のみでなく、甲冑の様々な個所に用いられ装飾的な意味合いがより強くなりました。
なお結び目は「人」字型の組み合わせとし、「入」字型の結び目は甲冑では用(もち)いないとされているようです。
阿古陀瓜(あこだうり) 南瓜(かぼちゃ)の一種で、オレンジ色の皮を持ち「金冬瓜(きんとうが)」とも呼ばれます。
室町時代に海外から輸入され珍重(ちんちょう)されていたようで、同時にその独特の形を真似た意匠(いしょう=デザイン)が流行したようです。
阿古陀形(あこだなり) 室町時代頃から行われた兜鉢の形式の一つで、前後頂部にふくらみを帯び、天辺がくぼんだ物を言います。
その形が阿古陀瓜に似ていることからこう呼ばれます。
浅黄色(あさぎいろ) 浅葱色の当(あ)て字として使われていますが、実際の色は薄(うす)い黄色のことです。
浅葱色(あさぎいろ) 浅葱(あさつき)の葉の色に似た、青みがかった紺色(こんいろ)のことを言います。
浅葱(あさつき)とはユリ科の多年草(たねんそう)で、細い葱(ねぎ)のことです。
浅黄色と書く場合もありますが、これは当(あ)て字です。
この色の薄(うす)いものは水浅葱と言います。
足軽(あしがる) 「足軽くよく走る者」の意味で、もともは主人に従って徒歩(とほ)にて戦い、雑役(ざつえき)などもこなす下級兵士のことを言いました。
その後、室町時代末期には集団戦の普及(ふきゅう)とともに一般兵として訓練・組織され、「弓足軽(ゆみあしがる)」「鉄砲足軽(てっぽうあしがる)」「槍足軽(やりあしがる)」などが編成されました。
江戸時代には武士の中で最も下級の身分とされていたようです。
足半(あしなか) 鎌倉時代頃から徒歩(とほ)の身分の者が使用した、足裏の前半分に履(は)く草鞋のことを言います。
南北朝時代以降はしだいに草鞋が一般的となり、廃(すた)れていったようです。
網代(あじろ) @:杉・檜(ひのき)・竹・葦(あし)・などの細い物を、斜めまたは縦横(たてよこ)に交互(こうご)にくぐらせて編(あ)んだものを言います。
A:冬、湖や川に柴(しば)や竹を細かく立て並べ、魚を中へ誘い込んでとる仕掛(しか)けのことです。
網代胴(あじろどう) をこまかな網代にして作られた仏胴のことを言います。
の裏側はネリ革で、その上に天鵞絨を貼(は)り、表面に網代をかけて漆を塗ります。
軽くて強靭(きょうじん)なのが特徴で、草摺網代になっているようです。
を用(もち)いたには他に籐伏胴があります。
汗流しの穴(あせながしのあな) 面頬の顎(あご)下中央部に開けられた穴のことで、面頬を付けた時に顔の汗をこの穴から外へ出すための穴とされるのでこう呼ばれます。
古くは5〜6個の小さな穴でしたが、近世には丸い大穴となったようです。
また穴に管(くだ)を立てて緒便としたものもあります。
愛宕権現(あたごごんげん) 本地仏を「勝軍地蔵」、主祭神(しゅさいじん=お祭りされている複数の神様の内で、中心となる主要な神様)を「迦倶槌命(かぐつちのみこと=火の神)」とする権現のことで、戦勝を祈願(きがん)すれば必ず勝利するといわれ、戦国武将達に信仰されました。
また最上氏(もがみし)の信仰(しんこう)が盛んであった影響で、特に東北地方には神社の数が多いそうです。
現在ではもっぱら火伏(ひぶせ=防火)の神様として知られています。
鐙(あぶみ) 乗馬(じょうば)の際に使用する馬具(ばぐ)の一つで、の両脇につるして乗り手が足を置く部分のことを言います。
壷鐙半舌鐙舌長鐙など、時代によって形状が異なります。
雨走(あまばしり) 出眉庇の表面のことを言います。
「あめばしり」とも言います。
飴色(あめいろ) 水飴(みずあめ)の色のように薄い茶色です。
綾(あや) さまざまな模様を織り出した絹(きぬ)のことです。
綾威(あやおどし) 威毛としてを用いる手法です。
このような布を用(もち)いて、畳(たた)んだ麻布(あさぬの)などを包(くる)んで作った紐(ひも)で威します。
その模様により様々な種類があります。
家地(いえじ) 甲冑類に用いる布(ぬの)・綿(めん)類を言います。
特に籠手臑当佩楯にはほとんど必ず使用されています。
筏金(いかだがね) 籠手佩楯などに使われた座盤の一つで、の1/3か1/4の長さの物を特にこう呼びます。
長方形の物を「篠筏(しのいかだ)」、正方形の物を「角筏(かくいかだ)」、花形の物を「花筏(はないかだ)」、二つ並べた物を「雙筏(もろいかだ)」、菱形の物を「菱筏(ひしいかだ)」などと呼び、と同じように表面の形状によって「平筏(ひらいかだ)」「丸筏(まるいかだ)」「鎬筏(しのぎいかだ)」「麦藁筏(むぎわらいかだ)」などの呼び名があります。
板所の一つとされ、単に「筏(いかだ)」とも呼ばれます。
居木(いぎ) 鞍橋前輪後輪をつなぐために渡した木の部分を言います。
乗り手が実際に座る部分のことです。
居木先(いぎさき) 居木の両端(りょうたん)で、前輪後輪の内側にある切り込みにはめ込む部分のことです。
板合当理(いたがったり) ネリ革や木などを櫛(くし)状にしたものに受筒を差し込む穴を開け、板の両側に付いた紐(ひも)でに取り付けるようにした合当理のことです。
上等なものには鯨(くじら)の鬚(ひげ)、で包(つつ)んだものもあるようです。
板札(いたざね) 一枚の鉄やネリ革を用(もち)いて作られた札板のことを言います。
一枚板なのでを重ね威す手間(てま)がかからず、製作が簡単にできるという利点(りてん)があります。
札頭の形によって、切付札一文字頭などに分けられます。
板袖(いたそで) 江戸時代中期以降に現れたの様式で、一枚の延板(のべいた)で作る場合と、数段の札板を鋲留(びょうどめ)などして作る場合があるようです。
これと同じ頃、額袖瓦袖変わり袖などの様式も現れました。
板所(いたどころ) 小札金具廻りを除いて、甲冑を構成する主な鉄または革製の板部分で、表面は漆塗り、縁(ふち)は捻(ひね)り返すか切放(きりはなし)たままの物が一般的です。
筏金骨牌金亀甲金などが主なもので、座盤などもこう呼ばれます。
板物(いたもの) 板札を用(もち)いて作られた甲冑や部品のことを言います。
伊太羅貝(いたらがい) 本来は「いたや貝」で、これが訛(なま)って「いたら」になったと言われます。
「いたや」とは板屋根の意味で、その殻(から)の形が板で葺(ふ)いた屋根を思わせることに由来しています。
一の谷形兜(いちのたになりかぶと) 屏風(びょうぶ)を立てたように板を付けた兜のことを言います。
「一の谷」は兵庫県にある源平合戦の古戦場で、板状の装飾(そうしょく)がその地形のように険(けわ)しいのでこう呼ばれるそうです。
また、板にが付いた物などもあります。
一枚ジコロ(いちまいじころ) 威毛を用(もち)いない一枚の板札だけで構成されたシコロのことを言います。
射向(いむけ) 左側のことを言います。
弓を射る時、敵に向けるのが体の左側であることから付いた名称です。
また、弓を持つ方の手と言う意味で「弓手(ゆんで)」とも言い、弓を押出(おしだ)すところから「押手(おしで)」とも言います。
反対側は馬手と言います。
射向威(いむけおどし) 越中流具足の特徴(とくちょう)の一つで、射向草摺のみを金または銀で磨(みが)き、紅糸(くれないいと)などで威す技法(ぎほう)を言います。
槍(やり)を構えたり弓を射る時に敵に向ける左側を尊重(そんちょう)し、彩(いろど)りを添(そ)える目的で行われたのではないかと考えられ、別名を「小桜(こざくら)」とも言うそうです。
射向草摺(いむけのくさずり) 射向側の草摺のことを言います。
大鎧では左側の一枚、腹当などで草摺が三枚の場合には左端の一枚、その他の場合では引合せから前方に数えてだいたい四〜五間目の草摺を言います。
「弓手草摺(ゆんでのくさずり)」とも言います。
なお、反対側は馬手草摺と言います。
射向袖(いむけのそで) 射向側ののことを言います。
大鎧大袖などでは、矢戦(やいくさ)の際に盾(たて)の役割を果たしていたようです。
「弓手の袖(ゆんでのそで)」とも言い、反対側は馬手袖と言います。
一文字頭(いちもんじがしら) 板札札頭がまっすぐになっているものの事を言います。
鉄製の場合は縁(ふち)を捻(ひね)り返し、強度を持たせるとともに体への当たりをやわらげたり、ネリ革の場合は下に細い鉄などを入れて変形を防(ふせ)ぐようにしたものなどがあります。
「直頭(すぐがしら)」とも言います。
伊予札(いよざね) 一般的なが半分づつ重なって札板を構成(こうせい)するのに対し、端(はじ)をわずかに重ねて札板を構成(こうせい)する形式のを言います。
製作が簡略(かんりゃく)化できるので流行し、古くは鉄製でしたが近世はネリ革製が多くなりました。
伊予(いよ=愛媛県)で作られたのが名前の由来(ゆらい)と言われ、札頭の形も半円状・小札・半円を二つ並べた「碁石頭(ごいしがしら)」・四半円を二つ並べた「矢筈頭(やはずがしら)」小札札頭を二つから四つ並べた「小札頭(こざねがしら)」などがあります。
色々威(いろいろおどし) 通常、三色以上の威糸を使って威した物を指します。
色の組合せには規則性(きそくせい)のある場合とそうでない場合があります。
彩漆(いろうるし) 漆(うるし)に種々の顔料(がんりょう=絵具)を加えて着色した物を言います。
代表的な物には黒漆朱漆黄漆などがあります。
受緒(うけお) 冠板裏側前方に設(もう)けられた緒(お)のことで、肩上前方の茱萸金物四方手結びが後ろにめくれるのを防ぎます。
「袖付の前緒(そでつけのまえお)」とも言います。
浮張(うけばり) 兜鉢の裏側に半球状の、または渦巻(うずまき)状に縫い付けて半球状にした布を浮かして張ったものを言います。
頭が直接兜に触れないようにするとともに、兜鉢との間に出来た空間が衝撃を和らげたり換気の役目をはたします。
室町時代以降は必ず用いられ、取り外しの出来るものや力韋を付けたものなどがあります。
また、兜の作者の銘(めい=サイン)を見られるように切り込みを入れたものもあり、これを「銘見の穴(めいみのあな)」と言います。
「受張」とも書き、「頭受(ずうけ)」「頭入(ずいり)」とも言います。
薄板貝(うすいたがい) 螺鈿に用いる青貝の中で、特に殻(から)を両面から削って薄い板状にした物を指します。
鶉巻(うずまき) 熏韋の一種で、太い竹や木などの筒(つつ)状の物に白いを縄(なわ)で巻き付け、藁(わら)と煙草(たばこ)などをくべて燻(くすぶ)らせて色やうねり模様を付ける技法を言います。
鶉(うずら)の羽のような斑点(はんてん)のある、木目調(もくめちょう)の模様であることからこう呼ばれますが、うねり模様の状態、茶色に黒白の斑点(はんてん)など、場合によって多少の違いがあるようです。
打刀(うちがたな) 刀(かたな)の様式の一つです。
一般的には長さが70cm前後で、腰(こし)の帯(おび)に差し込んで着用する形式のものを言います。
室町時代中期頃から、それまでの太刀に代わって多く用いられるようになりました。
刀(かたな)の先の方が反っており、文字通り抜(ぬ)き打ちに便利な形状となっています。
室町時代後期頃までは太刀と同じように刃を下にして着用していましたが、江戸時代になると刃を上にした状態で着用し、大小の二本を持つことが定着(ていちゃく)しました。
刃を下に向けた差し方を「天神差し(てんじんざし)」と言い、江戸時代でも馬に乗る時やしゃがんで鉄砲を撃つ場合などにが馬や地面にあたらないようにこの差し方としたそうです。
このほか刀(かたな)が地面と水平になるように差す「閂差し(かんぬきざし)」や、それとは逆に刀(かたな)を立てて差す「落し差し(おとしざし)」と呼ばれる差し方もあったようです。
打出し(うちだし) 鉄地の裏側より意匠(いしょう=デザイン)をおおまかに叩(たた)き出し、表側から細部を彫り上げていく技法のことです。
意匠(いしょう=デザイン)としては文字・神仏・好みの模様などがあり、時には象眼を施した物もあります。
内張(うちばり) @:兜鉢の裏側に張るや布などを言い、浮張裏張があります。
A:足掻(あが)きを良くしたり、の引っかかりを防ぎ着用しやすくするための裏側に天鵞絨・布などを張りとめたものを言います。
裏張と言う場合もあります。
B:浮張裏張を張ることを言います。
内眉庇(うちまびさし) 直眉庇卸眉庇などのさらに内側に設けた眉庇のことを言います。
多くの場合、下の縁(ふち)を実際の眉(まゆ)に沿った曲線に切り欠いています。
変わり兜などに用いられる事も多いようです。
打眉(うちまゆ) 眉庇を額(ひたい)に見立て、眉(まゆ)の形を打出したり、眉(まゆ)形の鉄を貼り付けたり、木屎で盛り上げたりした物のことで、見上の表側に有ることからこう呼ばれます。
「見上眉(みあげまゆ)」とも呼ばれ、室町時代末期頃から行われたようです。
このほかに見上皺と呼ばれる物もあります。
打廻籠手(うちまわしごて) 腕(うで)の外側だけでなく内側まで全面を鎖(くさり)で覆(おお)った形式の籠手のことです。
「総鎖(そうぐさり)」とも言います。
また、脇(わき)のところに脇曳状の鎖(くさり)を縫(ぬ)い付けた物もこう呼びます。
このほかに半籠手と呼ばれる形式があります。
空穂(うつぼ) 矢を収納・運搬(うんぱん)するための筒状の容器のことで、普通は右腰につけます。
竹や葛藤を編んだ物やネリ革に漆をかけた物があり、逆頬空穂土俵空穂と呼ばれる物もあります。
雨や湿気(しっけ)などによって矢が傷んだり、矢羽が傷んだりするのを防ぐために用(もち)いられました。
ほど沢山の矢を盛(も)ることが出来ないので、上差の矢がある場合は上に置きます。
「靫」とも書き、「うつお」とも言います。
空穂台を使えば弓とともに運ぶことが出来ます。
矢を入れる容器には他に矢籠などがあります。
空穂台(うつぼだい) 二張(ふたはり=二本)の弓を空穂とともに持ち運びが出来るようにするための器具のことです。
畦目綴(うなめとじ) 「胸目(むなめ)」とも言い、「無名目(むなめ)」「武奈目(むなめ)」とも書きます。
を連結するときに、表・裏・表と交互に横一直線で綴(と)じていく手法のことを言いい、特に
シコロ草摺栴檀板などの菱縫板に装飾(そうしょく)として施(ほどこ)されます。
その場合、耳糸と同じ柄(がら)を用(もち)いるのが原則(げんそく)のようです。
この他に菱綴と呼ばれる手法もあります。
卯花威(うのはなおどし) 卯花(うのはな)とは、アジサイ科の落葉低木である空木(うつぎ)の白い花のことを言います。
白い威毛を用(もち)いて威す、白威(しろおどし)の別名と言われています。
馬標(うまじるし) 大将(たいしょう)の所在(しょざい)を示すために立てる目印のことで、大将(たいしょう)の馬側にあるのでこう呼ばれます。
他の人と紛(まぎ)れないように考案した旗(はた)・幟(のぼり)・その他いろいろな形のものを竿(さお)に付けて用(もち)いました。
大型のものを特に「大馬験(おおうまじるし)」、背中の指物にも用(もち)いられるくらいのものを「小馬験(こうまじるし)」と言います。
「馬験」「馬印」とも書きます。
馬廻り(うままわり) 戦場で大将(たいしょう)の乗った馬の廻(まわ)りを守る騎馬武者(きばむしゃ)のことを言います。
馬鎧(うまよろい) 「馬甲」とも書き、文字通り馬に着せる鎧のことで、から前に付ける「胸甲(むなよろい)」と後に付ける「尻甲(しりよろい)」から構成されます。
金箔を押した2〜3cm角ほどのネリ革または金属製の板や、鎖(くさり)などを家地に縫いつけてつくられています。
馬面とともに用いることが多く、さらに鳥の羽や動物の毛皮をその上にかぶせて装飾する場合もあったようです。
裏張(うらばり) @:兜鉢の裏側にを浮かせず直接貼ったものを言い、浮張より古い時代の手法です。
A:内張のことです。
潤漆(うるみうるし) いろいろな作り方があるようですが、一般的には黒漆朱漆を混(ま)ぜ合(あ)わせて作った漆(うるし)のことを言います。
混(ま)ぜ合(あ)わせの比率(ひりつ)は特に決まっていないため、焦(こ)げ茶色から茶色っぽい朱色(しゅいろ)まで多くの色があり、「茶漆(ちゃうるし)」と呼ばれる物はこの別名(べつめい)ではないかと思われます。
なお潤色(うるみいろ)は皇室(こうしつ=天皇家・皇族)を象徴(しょうちょう)する色として、かつては御料車(ごりょうしゃ=皇室専用の車両)などに用(もち)いられていたそうです。
鱗具足(うろこぐそく) 「天狗具足(てんぐぐそく)」「根来具足(ねごろぐそく)」とも言い、ネリ革や鉄でできた小さな魚鱗札を使った具足のことを言います。
トルコなど中近東(ちゅうきんとう)の鎧に影響を受けて作られたと言われているようです。
似た物に船手具足があります。
上差(うわざし) に矢を盛(も)る時に表側に一・二筋(すじ=本)差しそえた中差と形式の異なる矢を言います。
通常、雁股の付いた鏑矢などが用いられたようです。
「上矢(うわや)」とも言います。
纓(えい) 冠形兜で冠(かんむり)の後ろから張り出した板状の装飾(そうしょく)を言います。
唐冠の場合は左右に張り出し、和冠の場合は冠(かんむり)に対して縦方向に取り付けられることが多いようです。
縦方向に張り出したものは「立纓(りゅうえい)」と言い、その他にも「垂纓(すいえい・たれえい)」「巻纓(かんえい・けんえい)」「細纓(さいえい・ほそえい)」などがあります。
その人の身分によって使い分けていたようです。
絵韋(えがわ) 鹿のに華麗(かれい)な文様などを染めた物のことで、「画韋」とも書きます。
越中籠手(えっちゅうごて) 越中流具足で多く用いられた籠手で、鎖(くさり)とを最小限に用いた実用的な物を言います。
格子(こうし)状に組んだ鎖(くさり)の間にを立てた小さなを入れ込むのが一般的です。
越中ジコロ(えっちゅうじころ) 小型で肩摺板が古式のように直線で、下の縁を覆輪としてあります。
シコロの板は包みの漆(うるし)塗り板札毛引威とする場合が多い様です。
普通、越中頭形兜と組で用いられるようです。
越中頭形兜(えっちゅうずなりかぶと) 越中流具足で多く用いられた兜で、「越中形兜(えっちゅうなりかぶと)」とも言います。
五枚張の頭形兜で、頭上の板が眉庇の上に重なっているのが特徴です。
またシコロは通常、越中ジコロと呼ばれる物が用いられます。
「越中」の名称は細川越中守忠興(ほそかわえっちゅうのかみただおき)とその家中で好んで使われたことに由来しますが、本形式の兜はそれ以前から既に存在していたようです。
越中臑当(えっちゅうすねあて) 越中流具足で多く用いられた臑当で、の間の三・四個所だけを鎖(くさり)で繋(つな)ぎ、立挙家地の付いていない物を言います。
越中佩楯(えっちゅうはいだて) 越中流具足で多く用いられた佩楯で、格子(こうし)状に組んだ鎖(くさり)の間にを立てた小さなを散らした、非常に簡略(かんりゃく)化された実用的な物を言います。
越中頬(えっちゅうぼお) 越中流具足で多く用いられた面頬で、顎(あご)と両頬(りょうほほ)の下部のみを覆(おお)う最小限の物を言います。
「顎当(あごあて)」とも言います。
越中流具足(えっちゅうりゅうぐそく) 細川越中守忠興(ほそかわえっちゅうのかみただおき)が好んで用いた具足とされ、「越中具足(えっちゅうぐそく)」「越中流(えっちゅうりゅう)」とも言われます。
また忠興(ただおき)の歌人(かじん=和歌を作る人)としての名前である「三斎宗立(さんさいそうりゅう)」から、「三斎流具足(さんさいりゅぐそく)」「三斎流(さんさいりゅう)」と呼ぶ場合もあります。
兜は越中頭形兜越中ジコロで、原則として吹返を省略し、黒熊引廻しを用いることが多いようです。
その他は越中頬越中籠手越中佩楯越中臑当によって構成され、軽量(けいりょう)で活動力に重点を置いた最小限の防御構成(ぼうぎょこうせい)のためは使用せず、包み漆(うるし)塗りのを用いた丸胴が普通です。
また、敵側に向ける射向草摺を含む二間の草摺を連結(れんけつ)し、槍(やり)を突き込まれ難くした様式もあります。
細川家中はもちろん他家(たけ)でもこの様式を真似(まね)ることが多く、非常に流行したようです。
烏帽子(えぼし) 烏(からす)のように黒い色をした袋状の帽子(ぼうし)のことで、成人した男子が使用しました。
麻(あさ)や絹(きぬ)製、漆で塗り固めた紙製などがあります。
被(かぶ)る人の職業・階級・年齢などの別によって形と塗りが異なり、「立烏帽子(たてえぼし)」「風折烏帽子(かざおりえぼし)」「侍烏帽子(さむらいえぼし)」「引立烏帽子(ひきたてえぼし)」「揉烏帽子(もみえぼし)」「萎烏帽子(なええぼし)」などの区別が生じました。
箙(えびら) 矢を入れる容器の一つで、平安時代頃から使われました。
を差す「方立(ほうだて)」と呼ばれる箱状の部分と、をよせかける「端手(はたて)」と呼ばれる枠(わく)で構成され、端手(はたて)につけた紐(ひも)で右腰に固定します。
中に盛(も)る矢の数は普通24本とされ、上差中差に分けられます。
逆頬箙のように様々な形式があります。
矢を入れる容器には他に空穂矢籠などがあります。
烏帽子形兜(えぼしなりかぶと) 変わり兜の一種で、侍烏帽子を象った物を言います。
烏帽子の形状が長い物を特に「長烏帽子形兜(ながえぼしなりかぶと)」と言います。
襟廻(えりまわし) 「立襟(たてえり)」「襟裏(えりうら)」などとも呼ばれ、肩上の内側から背の押付板辺りにかけて、首廻りを立襟(たてえり)状にした防具です。
左右後が一続きになっている立襟(たてえり)状の物と、左右後を分割した三ツ割(みつわり)状の二種類があります。
また、肩当小鰭と共に縫(ぬ)い付けた物もあるようです。
負包(おいづど) 麻(あさ)や柿渋(かきしぶ)を塗った紙の紐(ひも)を網目(あみめ)に編(あ)んで作った袋のことで、中に食べ物や小物を入れて背負うのに使われました。
大袖(おおそで) 文字通り広い面先を持ったのことで、通常は大鎧に附属(ふぞく)します。
馬上での矢戦(やいくさ)などでは体を護る盾(たて)として使われていたようです。
大立物(おおたてもの) 立物のなかでも特に巨大(きょだい)な物を言います。
大鎧(おおよろい) 平安時代から室町時代頃まで作成された鎧の形式で、甲冑の様式(ようしき)の中でも最も大型で堂々としているのでこう呼ばれます。
「式正の鎧(しきしょうのよろい)」「式の鎧(しきのよろい)」とも呼ばれます。
騎馬(きば)での矢戦(やいくさ)に適応して作られた鎧で、一般的な形式は草摺前草摺引敷草摺馬手草摺射向草摺の四間、右側は独立した脇楯とし、左側から正面にかけて弦走韋を貼り、栴檀板鳩尾板を備え、大袖、兜は星兜となっています。
大鎧の形式は室町時代以降衰退(すいたい)しましたが、江戸時代になると復古調として再び作成されるようになります。
御貸具足(おかしぐそく) 「御借具足」とも書きます。
身分が低く、自分で甲冑を用意することが難しい者のために主人が貸与(たいよ)した量産品の具足のことです。
量産品だけに、通常は簡単な桶側胴仏胴素懸威草摺を五間ほど備え、佩楯臑当は省略し、籠手手甲の無い物が多く、兜は簡単な頭形兜桃形兜烏帽子形兜畳兜陣笠などで構成されます。
兜やの目立つ所に合印を描き、背に同じ印を描いた指物を装備する場合が多い様です。
置上げ(おきあげ) 絵の具や胡粉を盛(も)って、絵・蒔絵・彫刻(ちょうこく)などの模様(もよう)を地の部分よりも高くすることを言います。
「起揚げ」とも書きます。
置袖(おきそで) 桃山時代末期〜江戸時代初期に実用化されたと考えられる小型のの事です。
通常、上下同じ幅で全体をゆるく湾曲(わんきょく)させ、冠板はほとんど設(もう)けず、代わりに矢留冠が見られます。
肩上への取り付けもそれまでの緒(お)で結びとめる方式ではなく、矢留冠裏左右の端(はし)に輪(わ)を設(もう)け、その輪(わ)を籠手に通して取り付ける方式となっています。
またの下方に「仕付けの(しつけのこはぜ)」を設(もう)け籠手に留(と)め、が跳ね上がるのを防ぐ形式のものなどもあります。
肩上との連結(れんけつ)部分は小鰭によって守られます。
置手拭形兜(おきてぬぐいなりかぶと) 雑賀鉢の一形態とされ、幅の広い上板を兜鉢天辺中央で左右から矧(は)ぎ止めた形が、あたかも手拭(てぬぐい)を畳んで頭の上に置いたような形に見えることからこう呼ばれます。
通常は五枚張りで、矧(は)ぎ止めた上板の後方は兜鉢から張り出します。
臆病金(おくびょうがね) 南北朝時代以降の立挙が付いた臑当で用いられた、臑(すね)の背面である「ふくらはぎ」を護るための鉄板のことです。
別名を「膕金(よぼろがね)」とも言います。
武士にとって後を守る必要があるということは、「敵に背を向ける」ことに通じるので「臆病(おくびょう)」の名称が付いたようです。
臆病板(おくびょうのいた) 室町時代に腹巻を完全武装化するために背中の引合せの隙間(すきま)をふさぐ目的と、を付けた時に背の総角が無いのを補(おぎな)う目的で別に設けられた板のことを言います。
古くは押付板総角の台座のみの板でしたが、次第に草摺まで含んだ長さの板となりました。
「背板(せいた)」とも言います。
武士にとって後を守る必要があるということは、「敵に背を向ける」ことに通じるので「臆病(おくびょう)」の名称が付いたようです。
桶側胴(おけがわどう) 鉄やネリ革を矧(は)ぎ留めして作ったのことで、二枚胴五枚胴の形式があります。
矧ぎ留めの方法には縦矧横矧があり、留める方法によって鋲綴胴菱綴胴胸目綴胴などに分けられます。
さらに、桶側仏胴包仏胴と呼ばれる形式などもあり、当世具足の中ではもっとも数多い作例が残されています。
桶側仏胴(おけがわほとけどう) 「塗上仏胴(ぬりあげほとけどう)」ともいい、桶側胴の表面に漆(うるし)を厚く塗って平らにし、あたかも一枚板の仏胴のように見せたものを言います。
さらに、見た目の単調さを無くすために菱綴畦目綴としたものもあります。
似たものに包仏胴と呼ばれる形式もあります。
押付板(おしつけのいた) の背に当たる金具廻りの部分です。
一般に覆輪した鉄やネリ革の板で作られ、ここに肩上が付けられます。
当世具足では「望光板(ぼうこうのいた)」「押付の金具」「後の金具」肩上の横根(よこね)」肩上の附板(つけいた)」とも言うようです。
小田籠手(おだごて) 瓢籠手の別名とされます。
常陸(ひたち=茨城県)の小田家で作られた、あるいは流行したのが名前の由来だと言われています。
緒便(おだより) 面頬の頬(ほほ)や顎(あご)下にあって、兜の緒(お)を締めて固定する時に使う部分を言いいます。
頬(ほほ)の部分にあって「L」字型に折れた釘(くぎ)状のものを「緒便釘(おだよりのくぎ)」「緒便折釘(おだよりのおれくぎ)」と言い、環(わ)になっているものを「緒便鐶(おだよりのかん)」、細長い一枚の板になっているものは「緒便板(おだよりのいた)」「竪緒便(たておだより)」「緒便金(おだよりがね)」もしくは矢を止めるという意味で「矢留板(やどまりのいた)」「矢止め(やどめ)」「槍止め(やりどめ)」などと呼びます。
顎(あご)の部分にはまっすぐな釘(くぎ)状のものやイボ状の「緒便イボ(おだよりのいぼ)」などがあったほか、汗流しの穴に管(くだ)をつけたものもあったようです。
威(おどし)・威(おど)し 威毛を上下に連結することで、紐(ひも)をの穴に通す「緒通し(おどおし)」が語源(ごげん)と言われます。
連結手法により様々な名称があります。
「縅(おどし)」とも書きます。
威糸(おどしいと) 威すのに用いる糸のことです。
模様により様々な種類があります。
また、威毛に糸を用いる手法のことを「糸威(いとおどし)」と言います。
威毛(おどしげ) 威すのに用いる紐(ひも)のことを言います。
紐(ひも)が規則正しく並んでいる様子が鳥獣(ちょうじゅう)の羽毛(うもう)に似ていることから「毛」の名称が使われているそうです。
紐(ひも)の素材には「糸」「織物(おりもの)」の三種類があり、これらの素材を用いて威す手法をそれぞれ糸威韋威綾威と呼びます。
緒留革(おとめがわ) 小猿革に付けられた筒(つつ)状の革のことで、佩楯の左右の腰紐(こしひも)を後ろに廻(まわ)し前にとってこの筒(つつ)を通して結び、佩楯が弛(ゆる)むのを防ぐために使われていたようです。
「帯通緒(おびどおしのお)」「帯通(おびどおし)」「前締(まえじめ)」とも言います。
引上綰と呼ばれる形式もあるようです。
鬼会(おにだまり) 江戸時代の用語で、当世具足胸板のことです。
「胸のたすけの板」「胸の金具」とも言うようです。
御歯黒(おはぐろ) @:女性が歯を黒く染めることを言います。
鉄漿に飴(あめ)や、付きをよくするために五倍子の粉(こな)を入れ、筆で歯に塗りました。
鉄漿とも書き、鉄漿付(かねつ)け」五倍子水(ふしみず)」とも言います。
A:鉄漿のことを言います。
帯留め(おびどめ) 刀(かたな)を抜いたときが一緒に抜けてきてしまわないよう、帯(おび)に留めておくための鉤状(かぎじょう)の突起(とっき)のことを言います。
の中程(なかほど)に付けられ、角(つの)・木・金属で作られています。
「折り金(おりがね)」「返し金(かえしがね)」とも言うようです。
於女里(おめり) 金具廻りの下方や佩楯など見られる、紙・竹ヒゴ・木屎などを芯(しん)にして作られた土手状(どてじょう)の盛り上がり部分を言います。
金具廻りの段差を埋めて見た目を良くしたり、の頭を保護する、あるいは家地の頭で傷(いた)むのを防ぐ目的で作られたようです。
面懸(おもがい) 三懸の一つで、を馬の頭と首につなぎとめ固定するため紐(ひも)のことです。
「おもづら」とも言います。
卸眉庇(おろしまびさし) 兜鉢を構成する板をそのまま眉庇とした形式のものを言い、雑賀鉢頭形兜に見られます。
中には打眉見上皺打出したり、眉(まゆ)の形に切り出した鉄などを取り付けたり、下の縁(ふち)を実際の眉(まゆ)に沿った曲線に切り欠いた物などもあります。
「撫眉庇(なでまびさし)」「付卸眉庇(つけおろしまびさし)」とも言います。
か行 解説
替紋(かえもん) 文字通り定紋に替えて非公式(ひこうしき)の場で用(もち)いる、略式(りゃくしき)または装飾(そうしょく)家紋(かもん)のことを言います。
「替え紋」とも書き、「裏紋(うらもん)」「副紋(そえもん)」「別紋(べつもん)」「控え紋(ひかえもん)」などとも言います。
額袖(がくそで) 江戸時代中期以降に現れたの様式で、全体を一枚の板で構成し、下段の数段のみを威した様式を言うようです。
これと同じ頃、板袖瓦袖変わり袖などの様式も現れました。
懸緒(かけお) 冠板裏側後方に設(もう)けられた緒(お)のことで、が前にめくれるのを防ぐため総角の左右の輪になった部分に四方手結びにします。
総角の無い腹巻では肩上後方の茱萸金物四方手結びにします。
「袖付の後緒(そでつけのあとお)」とも言います。
ホ具摺(かこずり) 臑当内側下方の鉄片を略し、その部分に張った革のことを言います。
乗馬の際に上部のホ具頭(かこがしら)と臑当が干渉(かんしょう)し、双方が傷(いた)むのを防止するために張られました。
別名を「角摺(かくずり)」「鐙摺(あぶみずり)」「鐙摺韋(あぶみずりのかわ)」とも言います。
笠ジコロ(かさじころ) 南北朝時代以降に見られる、水平に広がったシコロのことを言います。
笠状に広がった状態からこう呼ばれますが、この形式は室町時代末期頃にはすたれ、その後は江戸時代に一部で再び行われたようです。
重鎖(かさねぐさり) 丸輪の鎖(くさり)だけを縦横につないだものを言います。
代表的なものに八重鎖があります。
重ジコロ(かさねじころ) 文字通り、通常のシコロの内側にもう一つ下ジコロを設(もう)け、二重としたもののことを言います。
笠ジコロ饅頭ジコロなど、開きの大きいシコロによく見られます。
飾り鞍(かざりぐら) 儀礼用(ぎれいよう)の装飾を施(ほどこ)したのことで、唐鞍大和鞍があります。
火事装束(かじしょうぞく) 江戸時代、火事の際に消火に当たる人が身に付けた服装で、「火事頭巾(かじずきん)」「火事羽織(かじばおり)」「野袴(のばかま)」胸当「革足袋(かわたび)」などのことを言います。
一般の消防士が作業服として着た物と、武士が警備用(けいびよう)に着る物がありました。
樫鳥(かしどり) 「かけす」の別名です。
カラス科の鳥で全長33cmくらい、体は淡(あわ)い葡萄(ぶどう)色で翼(つばさ)の一部に白・黒・水色の美しい斑(まだら)模様があります。
木の上に杯(さかずき)形の巣をかけるところから「かけす」と呼ばれ、樫の実(かしのみ=ドングリ)を好むところから「かしどり」とも呼ばれるようになったそうです。
「やまがらす」とも言います。
樫鳥威(かしどりおどし) 樫鳥の羽毛(うもう)に似た模様の緒(お)で威す手法を言います。
「かんどりおどし」とも言います。
糟毛(かすげ) 馬の毛色(けいろ)の一つで、灰色(はいいろ)に少し白い毛がまじっているものを言います。
肩当(かたあて) 鉄製であることの多い肩上から肩を守る為に、その裏側に取り付ける綿入れの蒲団(ふとん)状の物です。
大抵は押付板裏までをカバーし、襟廻小鰭が付きます。
片籠手(かたごて) 文字通り、籠手を片方(かたほう)の手だけに着用する事を言います。
平安時代〜鎌倉時代末期にかけての騎馬(きば)による矢戦(やいくさ)を中心とする時代に用(もち)いられた大鎧などでは、敵(てき)に向く射向側にだけ籠手を付け、太刀や矢を引く馬手側は動きやすくするために籠手を省略(しょうりゃく)したためこう呼ばれます。
なお、両手に着用する場合は諸籠手と言います。
肩摺板(かたずりのいた) 兜のシコロの最下段を言います。
「肩摺(かたずり)」「受板(うけいた)」裾板と呼ぶ場合もあります。
刀筒(かたなづつ) 刀(かたな)を入れる筒状のケースです。
表面は漆塗りや蒔絵螺鈿などで装飾(そうしょく)されることが多いようです。
また、形は似ていますが鉄砲(てっぽう)を入れる物は鉄砲筒と呼ばれます。
肩脱胴(かたぬぎどう) の斜め半分を助骨胴とし、他を小札 毛引威とした物を言います。
「片肌脱胴(かたはだぬぎどう)」とも言います。
勝虫(かちむし) 「蜻蛉(とんぼ)」の別名で、「勝」の文字から縁起(えんぎ)の良いデザインとして武具や武士の衣装などに好んで用いられています。
「かちむし」と呼ばれる理由は、
 @:獲物を狙う様子(ようす)が猛々(たけだけ)しい。
 A:常に真っ直ぐにしか進まない。
 B:とんぼ返りのように、戦(いくさ)に勝って無事帰る。
などの諸説(しょせつ)があるようです。
また、「古事記(こじき)」や「日本書紀(にほんしょき)」には日本の別名である「秋津島(あきつしま)」の「あきづ」が「蜻蛉(とんぼ)」の別名に由来するとの記述もあり、古くから特別な虫と考えられていたようです。
鹿角(かづの) 文字通り本物の鹿(しか)の角(つの)、もしくは鹿の角を模(も)した物を言います。
立物をはじめ指物馬標などにも使われたようです。
金具廻り(かなぐまわり) 兜鉢以外で、甲冑を構成する主要な鉄やネリ革製の板の部分を言います。
主なものには眉庇胸板脇板押付板鳩尾板冠板障子板壷板などがあります。
通常、板の表は絵韋小縁韋伏縫され、裏は張り、縁(ふち)を覆輪とします。
板の表には漆塗りや蒔絵などの手法が使われる場合もあります。
樺色(かばいろ) 山桜(やまざくら)の樹皮のような茶色、或いは蒲(がま)の穂のような色と言われ、「蒲色」とも書くようです。
兜蓑(かぶとみの) 兜の附物の一つで兜鉢全体を覆(おお)うように付けられた装飾のことを言います。
白熊黒熊赤熊・馬の毛などが使われました。
これと似た物に引廻しがあります。
鏑矢(かぶらや) 雁股を付けた「鏑(かぶら)」と呼ばれる部品を備え、四立羽とした矢のことを言います。
「鏑(かぶら)」は中をくりぬいて穴を開けた球状(きゅうじょう)をしており、射(い)ると穴に空気が流れて笛のような音がするため平安時代以降は合戦(かっせん)を始める時の合図として用いられました。
火薬(かやく) 衝撃(しょうげき)や火などの熱を加える事によって瞬間的(しゅんかんてき)に爆発(ばくはつ)する物質の事です。
爆発(ばくはつ)によって発生するエネルギーがいろいろな用途(ようと)に利用されます。
火薬入(かやくいれ) 文字通り火薬を入れておくための容器(ようき)で、標準は100発分の火薬を入れることが出来たそうです。
また、蓋(ふた)1杯分が1発打つのに必要な量になるという優(すぐ)れた工夫(くふう)がされています。
唐革(からかわ) @:虎(とら)の毛皮のことで、敷物(しきもの)や尻鞘などに用(もち)いられました。
A:江戸時代、オランダからもたらされた 羊または鹿ののことです。
B:平家(へいけ)に先祖代々伝わったとされる、虎の毛皮で威した鎧(よろい)のことです。
「唐皮」とも書きます。
唐鞍(からくら) 飾り鞍の中でも大和鞍に対して唐風(からふう=中国風)の装飾をこらした物を言います。
「銀面(ぎんめん)」「頸総(くびぶさ)」「雲珠(うず)」「杏葉(ぎようよう)」などの飾りからなり、朝廷(ちょうてい)の儀式用馬具として使われました。
「からぐら」とも言います。
繰南蛮鎖(からくりなんばんぐさり) 甲冑に用(もち)いる鎖(くさり)の輪の形式の一つです。
輪が一般の鎖(くさり)より太く、輪の合わせ目を平らにして重ね、鋲(びょう)で止めてあるので輪が広がって外れる心配がありません。
近世になって海外から伝えられ、国内でも製作されるようになりました。
烏天狗(からすてんぐ) 烏(からす)のような嘴(くちばし)があり、黒い羽(はね)に覆(おお)われた体と背中には翼(つばさ)を持った天狗(てんぐ)のことを言います。
一説(いっせつ)にその姿は迦楼羅から影響(えいきょう)を受けたものとも言われます。
自由に空を飛ぶことができる上に、剣術(けんじゅつ)に優(すぐ)れているとされ、幼(おさな)い源義経(みなもとのよしつね)に剣術(けんじゅつ)を教えたと言われます。
また、「小天狗(こてんぐ)」とも呼ばれ、武芸(ぶげい)に秀(ひい)でた若者のことを指(さ)す言葉としても使われます。
「鴉天狗」とも書きます。
唐の頭(からのかしら) ヤクの毛で作られた兜蓑引廻しを付けた兜のことを言います。
中国からの輸入品であったため「唐(から)」の文字が用いられたようです。
白熊黒熊赤熊などの種類があり、高級な輸入品として珍重(ちんちょう)されたようです。
狩衣(かりぎぬ) 襟(えり)をまるく仕立てた盤領(まるえり)で、くくり緒のある袖が、本体と背中側でのみわずかに連結されている衣装(いしょう)のことを言います。
もともと狩りなどの時に着たことからこう呼ばれます。
平安時代には公家(くげ)の平常の略服(りゃくふく)として、鎌倉時代以降は公家(くげ)・武家(ぶけ)の正服(せいふく)・礼服(れいふく)として用(もち)いられました。
現在では神社の神主(かんぬし)の衣装(いしょう)に見られます。
「かりごろも」とも読み、「狩襖(かりあお)」とも言います。
雁股(かりまた) 先端(せんたん)が「V」字型の二股(ふたまた)に開きいた内側に刃をつけたやそれを付けた矢のことで、本来は飛ぶ鳥や走る獣(けもの)の足を射切(いき)る狩猟用(しゅりょうよう)として使われていたようです。
また、上差として用いられる場合が多いようです。
「狩股」とも書きます。
カルカ(かるか) 火縄銃の銃身(じゅうしん)の下に収納(しゅうのう)されている棒(ぼう)の事です。
玉を込めた後、この棒(ぼう)を銃口(じゅうこう)から入れて突き、火薬と玉を押し込むのに使ったり、銃身(じゅうしん)の掃除をする時に使われました。
玉込めの時は必要以上の力で何度も突くと玉が変形して射撃出来なくなるため、突く回数は1回だけ、それも適度な力で突くとされていました。
「サク杖(さくじょう)」「込矢(こめや)」「玉杖(たまづえ)」とも言います。
骨牌金(かるたがね) 7cm×4cm位の長方形をした板で、鉄やネリ革などで出来ています。
形状が「かるた(トランプ)」のカードに似ているのでこう呼ばれます。
板所の一つとされます。
迦楼羅(かるら) 金色で口から火を吐(は)き、翼(つばさ)を広げると336万里(まんり)もあると言う想像上の巨大(きょだい)な鳥です。
龍(りゅう)や毒蛇(どくへび)を食べるとされたことから、風雨(あめかぜ)を治(おさ)め雷(かみなり)を避(さ)けたり、災(わざわ)いや病気を除(のぞ)く力があると信じられました。
「金翅鳥(こんじちょう)」「妙翅鳥(みょうしちょう)」「ガルーダ」などとも言い、「迦留羅」とも書きます。
迦楼羅頬(かるらぼお) 鳶頬の中でも特に皺(しわ)や表情(ひょうじょう)を強く打出したものを、迦楼羅に因(ちな)んでこう呼びます。
「迦楼羅面(かるらめん)」とも言い、総面もあります。
韋威(かわおどし) 威毛として鹿のを用い、威す手法を言います。
模様により様々な種類があります。
革包太刀(かわつつみたち) 文字通り、およびを革で包(つつ)み、黒漆を塗って仕上げた太刀のことを言います。
を湿気(しっけ)から守ることができ、尻鞘に代わって用(もち)いられるようになりました。
も革袋をかけて覆(おお)ったようです。
瓦袖(かわらそで) 江戸時代中期以降に現れたの様式で、全体を一枚板で構成し、屋根瓦(やねがわら)のように大きく撓(たわ)みをつけた様式を言うようですが、その特徴は必ずしも明確(めいかく)ではないようです。
これと同じ頃、板袖額袖変わり袖などの様式も現れました。
変わり兜(かわりかぶと) 兜鉢の上に薄鉄(うすてつ)・ネリ革張懸けなどで様々な形を作り出したり、仕掛けを施した兜のことを言います。
「形兜(なりかぶと)」とも言います。
変わり袖(かわりそで) 江戸時代中期以降に現れたの様式で、丸・羽箒(はねぼうき)・木葉(このは)・亀甲(きっこう)・軍配などの様々な形を表したり、複数枚を重(かさ)ねたような「重ね袖」など、その様式は多様(たよう)です。
これと同じ頃、板袖額袖瓦袖などの様式も現れました。
雁木篠(がんぎしの) 幅2〜3cmの細長い平板(ひらいた)状のを、板の端がわずかに重なるように並べて連結し、薄いで包んで漆を塗る手法を言います。
一枚の板で作るよりも柔軟(じゅうなん)性・機動(きどう)性が高いのが利点(りてん)とされます。
また、これをまねた物に雁木塗があります。
「雁木(がんぎ)」とは本来、城などで内側から土塁(どるい=土を盛り上げて作った壁)の上に登るために設(もう)けた階段のことで、形状が似ていることからこう呼ばれます。
雁木塗(がんぎぬり) 一枚の板でありながら、漆を盛り上げたり表面に切り込みを付けたりして何枚もの平板が重なっているかのようにした物を薄いで包んで漆を塗り、あたかも雁木篠であるかのように見せた手法とされます。
冠形兜(かんむりなりかぶと) 変わり兜の一種で、冠(かんむり)を模した物を言います。
中国の冠(かんむり)を模した物を「唐冠形(とうかんむりなり)兜」、日本の冠(かんむり)を模した物を「和冠形(わかんむりなり)兜」と呼び、いづれの場合も立物にはがつくことが多いようです。
「かむりなり」とも言います。
冠板(かんむりのいた) 金具廻りの一つで、栴檀板の最上段に付けられているのでこう呼ばれます。
では一枚板の形式を「立冠(たてかんむり)」、「L」字型に外へ折り返した形式を「折冠(おりかんむり)」と言います。
栴檀板では頭の部分を「山」字型に切り欠いたものや、中央に据文金物を打ったものなどがあります。
なお近世では籠手の肩側の端(はじ)に付けられた鉄の小さな板を指す場合も有るようです。
黄漆(きうるし) 透漆石黄を混ぜて作られた黄色の漆です。
菊綴(きくとじ) 水干直垂素襖などの衣装(いしょう)で、補強と装飾を兼(か)ねて縫(ぬ)い目にとじつけた組紐(くみひも)のことを言い、紐(ひも)の先をほぐして菊の花の形にしたことからこう呼ばれます。
革紐(かわひも)・布紐(ぬのひも)などを結んだ場合もあり、先をほぐさないものは「結び菊綴(むすびきくとじ)」と言います。
亀甲金(きっこうがね) 六角形をした板で、鉄やネリ革などで出来ています。
亀の甲羅(こうら)の六角形の部分に例えてこう呼ばれます。
板所の一つとされます。
鳩尾板(きゅうびのいた) 「小手輪(こてわ)」「はとおのいた」とも呼ばれ、金具廻り の一つです。
大鎧に附属(ふぞく)し、左手を動かした時に左脇に出来る隙間を防ぐために使われます。
長方形をした一枚の鉄板で作られ、通常は表面に絵韋が貼られています。
栴檀板と一対で用いられます。
杏葉(ぎょうよう) 古くは大型で、胴丸が軽武装(けいぶそう)であった時代に肩の防御(ぼうぎょ)目的に使われていました。
鎌倉時代以降、胴丸が重武装(じゅうぶそう)に用(もち)いられ、が使われるようになってからは肩上の先に付けられ、形も小型化していったようです。
魚鱗札(ぎょりんざね) 鱗具足船手具足などで使われた、魚の鱗(うろこ)状ののことです。
切付札(きりつけざね) 板札の上部に札頭に似(に)せた切り欠(か)きを入れ、あたかもを連結した札板であるかのように見せたものを言います。
さらに通常は木屎を盛上げてのようにしています。
小札に似(に)せたものを「切付小札(きりつけこざね)」伊予札に似(に)せたものを「切付伊予札(きりつけいよざね)」と言います。
金小札(きんこざね)
銀小札(ぎんこざね)
金小札(きんこざね)は「金札(きんざね)」とも言い、金箔を押したり金陀美塗を施した小札のことです。
また、金の代わりに銀を用いた物を「銀小札(ぎんこざね)」と言います。
近習(きんじゅう) 主君の側近くに仕え、身の回りの世話や秘書的な仕事をする家臣のことを言います。
金象眼(きんぞうがん)
銀象眼(ぎんぞうがん)
はめ込みに金を用いた象眼を金象眼(きんぞうがん)、銀の場合を「銀象眼(ぎんぞうがん)」と言います。
金陀美塗(きんだみぬり)
銀陀美塗(ぎんだみぬり)
金陀美塗(きんだみぬり)は「金溜塗」とも書き、あらかじめ細かな金粉(きんぷん)を用いて全体を蒔絵した上に透漆を何度も掛けて磨き上げる手法です。
金陀美(きんだみ)は「金彩」とも書き、金箔金泥を使って全体を装飾する手法全般のことを指す場合もあるようです。
なお銀を用いた場合はそれぞれ「銀陀美塗(ぎんだみぬり)」「銀彩(ぎんだみ)」と言います。
金泥(きんでい)
銀泥(ぎんでい)
金泥(きんでい)は金粉(きんぷん)をで溶(と)いて泥(どろ)のようにした顔料(がんりょう=絵具)のことで「こんでい」とも言います。
銀粉(ぎんぷん)を用いた場合は「銀泥(ぎんでい)」または「白泥(びゃくでい)」と言います。
金箔(きんぱく)
銀箔(ぎんぱく)
金を槌(つち=ハンマー)などでたたいて薄(うす)くのばし、紙のようにした物のことを言います。
銀の場合は「銀箔(ぎんぱく)」と言います。
金白檀塗(きんびゃくだんぬり)
銀白檀塗(ぎんびゃくだんぬり)
下地に金箔金泥を用いた白檀塗のことを金白檀塗(きんびゃくだんぬり)と言います。
銀箔銀泥が下地の場合は「銀白檀塗(ぎんびゃくだんぬり)」と言います。
金覆輪(きんぷくりん)
銀覆輪(ぎんぷくりん)
覆輪する際に、金または金色の金属を用いた物を特に金覆輪(きんぷくりん)、または「黄覆輪(きぶくりん)」と言います。
銀または銀色の金属を用いた場合は「銀覆輪(ぎんぷくりん)」「白覆輪(しろぶくりん)」と言います。
金粉溜塗(きんぷんためぬり)
銀粉溜塗(ぎんぷんためぬり)
金粉溜塗(きんぷんためぬり)は溜塗の上に塗る透漆に金粉(きんぷん)を蒔(ま)く手法のことだと思われます。
銀粉(ぎんぷん)を用いた場合は「銀粉溜塗(ぎんぷんためぬり)」と言います。
鎖帷子(くさりかたびら) 細い鎖(くさり)をつなぎ合わせて帷子(かたびら=ひとえの着物)などにとじつけて作った防具のことを言います。
鎧や衣服の下に着込(きこ)んで使用したので「着込(きご)み」「着籠(きごめ)」とも言い、「鎖襦袢(くさりじゅばん)」とも言います。
鎖籠手(くさりごて) 座盤を用(もち)いず家地に鎖(くさり)だけを縫(ぬ)い付けて作製された籠手のことを言います。
特に、肩から手甲・指の先まで全て鎖(くさり)製とした物を 「総鎖籠手(そうくさりごて)」と言います。
鎖(くさり)は堅固(けんご)な青海波や、江戸時代末期には繰南蛮鎖が使われました。
鎖垂(くさりだれ) 鎖(くさり)を家地に縫(ぬ)い付けて作製されたのことを言います。
鎖踏込(くさりふんごみ) 踏込佩楯阿伊佐が切れるのを防ぐため家地に鎖(くさり)を縫いつけた形式の物を言います。
九字(くじ) 正しくは「九字法(くじほう)」と言います。
九字とは「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)」の九つの文字とされ、「臨(のぞ)める兵、闘(たたか)う者、皆、陣を列(つら)ねて、前に在(あ)り」の意味を表しているそうですが、文字やその配列が異なる場合もあります。
九字を唱(とな)えれば護身(ごしん)・破魔(はま)に効果があるとされ、精神統一(せいしんとういつ)の効果もあると言われています。
天鼠(くすね) 松脂(まつやに)に油を加え、熱して練(ね)ったもののことを言います。
粘着力(ねんちゃくりょく)が強いため弓の弦(つる)などに塗って補強したり、弓手に塗って弓が滑らないようにするのに使われました。
ちなみに弓手に塗ることを「手薬煉を引く(てぐすねをひく)」と言い、弓の用意をして敵を待つところから、いまでは「準備を整(ととの)えて何かを待ち構(かま)える」の意味で使われます。
もとは「くすりねり」という言葉が変化したものと言われ、「薬練」「薬煉」「天鼠矢」とも書きます。
轡(くつわ) 馬に手綱をつけるために、馬の口(歯槽間縁)にくわえさせる金具のことです。
面懸によって固定します。
組討(くみうち) 互(たが)いに組み合って争(あらそ)うことを言います。
特に戦場で敵と組み合って討ち取ることを言い、討ち取る時には鎧通などが使われました。
茱萸金物(ぐみかなもの) の緒(お)を結ぶために肩上に付けられた筒(つつ)状の金物のことを言います。
通常は金銅製で、中央が膨(ふく)らんだ筒(つつ)型が茱萸(ぐみ)の実に似ていることからこう呼ばれます。
肩上の前方の金物には受緒、中央部の金物には執加緒を結びます。
また腹巻に限っては肩上後方に金物を設(もう)け、そこに懸緒を結びます。
鞍(くら) 人が馬や牛の背に座り易くするための道具で、鞍橋によって構成されます。
儀礼用(ぎれいよう)に飾(かざ)りを付けたものは特に飾り鞍と呼ばれます。
鞍橋(くらぼね) の基本となる部分で、前輪後輪居木によって構成されます。
栗形(くりかた) 打刀腰刀で、鯉口近くに付けられた下げ緒を通すための穴の開いた突起(とっき)のことです。
木・角(つの)・金属などで作られた半円(はんえん)状の輪(わ)で、栗(くり)の実を半切りにしたような形をしているのがその語源とも、穴を刳(く)った物の意である「刳り形」が語源とも言われているようです。
下げ緒通し(さげおどおし)」とも言います。
繰半月(くりはんげつ) 「C」字型の開いた部分を上に向けて横にしたような形状、もしくはその状態のまま開いた部分をつなげて円にした形状を言います。
前立をはじめ、指物馬標などにも使われたようです。
「刳半月」とも書くようです。
曲輪(ぐるわ) 喉輪と同様に首から胸上部を守るものですが、こちらは蝶番(ちょうつがい)を備えた立襟(たてえり)状で、首の周りを防御することが出来るようになっています。
面頬を伴(ともな)うものは曲輪垂と言います。
曲輪垂(ぐるわすが) 文字通り面頬曲輪にしたもので、江戸時代以降におこなわれたようです。
黒漆(くろうるし) 漆を精製(せいせい)する際に鉄粉(てっぷん)や水酸化鉄(すいさんかてつ)を混ぜ合わせ、化学反応によって深みのある黒色を出した漆のことです。
作成方法によって何種類かに分けられます。
鍬形(くわがた) 通常、兜の正面に付けられ「V」字型に見える立物のことです。
平安時代中期頃から行われたとされ、古くは一枚で構成されていましたが鎌倉時代頃から左右別々の部品となり、鍬形台に差し込む形式となりました。
形が農機具(のうきぐ)の鍬(くわ)に似ているのでこう呼ばれると言う説のほか、先端(せんたん)の形が慈姑(くわい)の葉に似ているからだとする説も有るようです。
多くの方にとって最も馴染(なじみ)のある立物ではないでしょうか。
鍬形台(くわがただい) 左右の鍬形を差し込んで固定する、半月状(はんげつじょう)の台のことです。
兜の眉庇に固定されています。
軍扇(ぐんせん) 軍陣(ぐんじん)用の扇(おうぎ)のことで、平安時代末期頃にその形態がととのったとされます。
表面に日輪(にちりん=太陽)・裏面に月などの文様(もんよう)をあしらった華(はな)やかな物が多く見られ、室町時代末期頃からは使い方について複雑(ふくざつ)な作法(さほう)が色々と言われるようになりました。
軍配(ぐんばい) 正しくは「軍配団扇(ぐんばいうちわ)」と言いますが、単に「団扇(うちわ)」「軍配(ぐんばい)」と略して呼ばれます。
軍隊への合図・指揮(しき)をとるのに用いた道具で、室町時代末期頃から行われました。
時代が下がるにつれて団扇部分の面積が大きくなって行ったようです。
この他、指揮道具には采幣と呼ばれる物もあります。
毛引威(けびきおどし) 威しの手法の一つで、一枚の小札に対し一行を威し、次々と横に上下を威して行く手法を言います。
また、全体をこの方法で仕上げたものを江戸時代には「総毛引威(そうけびきおどし)」または「総毛引(そうけびき)」と呼んだようです。
元服(げんぷく) @:男子が成人(せいじん)になったことを示(しめ)す儀式(ぎしき)のことを言います。
11〜16歳の間に行われるのが一般的で、名前や服を改め、髪を結(ゆ)い、冠(かんむり)や烏帽子を着(つ)けました。
近世(きんせい)になると前髪(まえがみ)を切り落とすだけの簡単な儀式(ぎしき)になりました。
「げんぶく」とも読み、「加冠(かかん)」「首服(しゅふく)」「初冠(ういこうぶり)」「冠(こうぶり)」などとも言います。
A:江戸時代、女性が結婚して眉(まゆ)を剃(そ)り、御歯黒を付けて髪を丸髷(まるまげ)に結(ゆ)ったことを言います。
鯉口(こいぐち) 刀(かたな)のの口のことを言います。
見た目が鯉(こい)の開いた口に似ているのでこう呼ばれます。
また刀(かたな)をすぐに抜けるように、刃(は)を少し引き出しておく事を「鯉口を切る(こいぐちをきる)」と言います。
笄(こうがい) @:髪型(かみがた)を整(ととの)えたり、髪(かみ)のかゆいところをかいたりするための、箸(はし)に似(に)た細長(ほそなが)い道具のことです。
A:刀(かたな)の差表に付く金属製(きんぞくせい)の箆状(へらじょう)の道具のことです。
本来は@と同じで携帯用(けいたいよう)の整髪(せいはつ)道具でしたが、中世以降は小柄とともに刀(かたな)の装飾(そうしょく)となったようです。
B:江戸時代の女性用髪飾(かみかざ)りの一種です。
笄金物(こうがいかなもの) 水呑鐶の座金(ざがね=土台)となる装飾(そうしょく)を施(ほどこ)した細長(ほそなが)い金物(かなもの)のこを言います。
鎌倉時代後期以降にみられ、形がの柄(え)に似(に)ているのでこう呼ばれます。
一般的に大袖は上から四段目の表側後方、広袖壷袖では上から三段目の表側後方に付けられ、江戸時代になるとそのほかのにも付けられるようになったようです。
甲懸(こうがけ) 足の甲(こう)を守るための防具です。
@:室町時代頃の古い形式は筒臑当臆病金の下辺に、板状の鉄を鎖(くさり)などで連結し、籠手手甲のようにして用(もち)いていたと思われますが遺物は残っていません。
A:近世の当世具足で使われた形式は何枚かの鉄やネリ革の板を鎖(くさり)で連結して足袋(たび=くつした)の形にし、家地に綴(と)じ付けた物を言います。
こちらは臑当とは独立した防具になっており、見かけは足袋(たび=くつした)のようですが、守るのは足の甲(こう)の周囲だけですので底の部分には何も付いていません。
また、板のかわりに鎖(くさり)だけを使った物もあります。
装着する時はまず足袋(たび=くつした)をはいた上に乗せ、その上から草鞋を履(は)いて固定しました。
合子形兜(ごうすなりかぶと) 「ごうしなりかぶと」とも読みます。
「合子(ごうし)」とは椀(わん)などの蓋(ふた)付き小容器の総称(そうしょう)で、これを象(かたど)って作られた変わり兜のことを言います。
蝙蝠付(こうもりづけ) @:大鎧で右側の草摺脇楯壷板へ、左側の草摺へ連結する絵韋のことを言います。
A:喉輪曲輪と本体を連結する絵韋のことを言います。
いずれの場合も形が羽を広げた蝙蝠(こうもり)に似ているのでこう呼ばれます。
黒色火薬(こくしょくかやく) 硝石を約75%、硫黄(いおう)を約10%、木炭(もくたん)を約15%混ぜ合わせて作られた火薬のことです。
爆発力(ばくはつりょく)が弱く、主に物を発射(はっしゃ)するために用(もち)いられました。
現在では花火に使われています。
木屎(こくそ) 木の粉(こな)や繊維屑(せんいくず)などを漆(うるし)に混(ま)ぜた物を言います。
「刻苧」「木糞」とも書きます。
小具足(こぐそく) 兜・など、体の主要な部分を護(まも)る甲冑本体に附属(ふぞく)して顔・喉(のど)・手足などを防御し、隙間を覆(おお)って甲冑の機能を補(おぎな)う面具籠手佩楯臑当満智羅などを言います。
小具足出装(こぐそくいでたち) 陣中(じんちゅう)などで、小具足のみを着用(ちゃくよう)した姿(すがた)のことを言います。
兜・を着(つ)ければ完全武装(かんぜんぶそう)となる出装(いでたち)のことです。
「小具足姿(こぐそくすがた)」とも言います。
黒熊(こぐま) ヤクの毛を黒く染(そ)めた物のことを言います。
小猿革(こさるがわ) 佩楯を腰に結ぶ腰紐(こしひも)の中央に付けられた熏韋製などの小さな座(ざ)の部分で、ここに引上綰緒留革が付きます。
腰当(こしあて) 革または布製の帯(おび)で、太刀を固定して腰に巻くために用います。
これを使うと太刀をいつでも確実に固定でき、摩擦(まさつ)による揺絲への損傷(そんしょう)を防(ふせ)ぐ事もできます。
その反面、が固定されていることで刀(かたな)が抜き難くなったり、太刀が物に引っかかったりしたときなどは大変動き難いと言う欠点(けってん)がありました。
このような理由から加賀(かが=石川県)の前田家では使用を禁じていたとも言われますが、実戦経験の無い江戸時代の武士達は好んで使用したようです。
腰刀(こしがたな) 鞘巻など、腰(こし)に差すのない短い刀(かたな)のことを言います。
「腰挿し(こしざし)」「腰の物(こしのもの)」とも言うようです。
腰韋附(こしかわつき) 「腰革付(こしかわづけ)」とも言い、との取り外しが可能な草摺の形式を言います。
揺絲の上部に「腰韋(こしかわ)」と呼ばれる細い三つ折のを取り付け、この「腰韋(こしかわ)」部分を紐(ひも)や釦(ぼたん)などでに取り付けます。
腰巻板(こしまきのいた) 兜鉢が半球状を維持する為に、鉢(はち)周りを固定する板のことです。
この板にシコロ眉庇が付きます。
拵え(こしらえ) 刀(かたな)のに施(ほどこ)す細工(さいく)や塗りなどの装飾(そうしょく)、またはその様式(ようしき)のことを言います。
小柄(こづか) 刀(かたな)の差裏にさし添(そ)え、雑用(ざつよう)などに用(もち)いた小刀(こがたな)のことです。
小手(こて) 腕(うで)の肘(ひじ)と手首との間の部分を言います。
鞐(こはぜ) 「笠鞐(かさこはぜ)」「責鞐(せめこはぜ)」の組によって構成(こうせい)され、肩上胸板または前立挙を連結する高紐肩上籠手を連結する部分の紐(ひも)などに付けられた仕掛(しか)けのことを言います。
「笠鞐(かさこはぜ)」は菱型(ひしがた)が一般的で、一方の紐(ひも)の先端に付いていて、この部分を相手の紐(ひも)に通すと菱型(ひしがた)の両端が丁度(ちょうど)「T」字型に相手の紐(ひも)に引っかかり、抜けないようになっています。
「責鞐(せめこはぜ)」「笠鞐(かさこはぜ)」の相手側の紐(ひも)に取り付けられ、「S」字型もしくは「8」字型の穴の部分に紐(ひも)を通して前後にスライドできるようになっています。
「笠鞐(かさこはぜ)」を紐(ひも)に掛けた後、「責鞐(せめこはぜ)」を前にスライドさせて紐(ひも)の幅を絞(しぼ)ることによって、「笠鞐(かさこはぜ)」がさらに紐(ひも)から抜け難くなります。
どちらも材質は金銅赤銅・水牛の角・象牙(ぞうげ)などが使われました。
小鰭(こびれ) 肩上の外端に付き、肩を守る鰭(ひれ)状の防具で、
一枚鉄製・三段札板製・鎖(くさり)製などがあります。
また、肩当襟廻と共に縫(ぬ)い付けた物や、蝶番(ちょうつがい)で付けた物などもあるようです。
胡粉(ごふん) 室町時代以降に用(もち)いられた、「白色顔料(はくしょくがんりょう)」と言われる白い絵具のことです。
カキの殻(から)を焼いて砕(くだ)き、水簸・乾燥(かんそう)させた粉末(ふんまつ)のことを言います。
主な成分(せいぶん)は炭酸カルシウムで、漆塗りの下地としても使われました。
御幣(ごへい) 神道(しんとう)で用(もち)いられる供(そな)え物の一種で、段々(だんだん)折りに連(つら)なった紙垂(しで)と呼ばれる2つの紙を、竹または木の幣串(へいぐし)と呼ばれる棒(ぼう)の先に挟(はさ)んだものの事です。
多くの場合、紙垂(しで)は白い紙で作られ、実った稲穂(いなほ)が垂(た)れる様子を表しているとも言われますが、五色の紙や金箔銀箔を押したものを使う場合もあります。
古くは神様に布(ぬの)を捧(ささ)げる時、棒(ぼう)に挟(はさ)んで供(そな)えていたものが変化したようです。
「幣束(へいそく)」「幣(ぬさ)」とも言います。
小縁韋(こべりがわ) 金具廻り絵韋などの縁(ふち)に伏縫で連結したで、単に「小縁(こべり)」とも言います。
五枚胴(ごまいどう) 蝶番(ちょうつがい)を体の四隅(よすみ)にあたる部分に配し、広げると全体が連(つら)なった五片で構成(こうせい)された形式のをこう呼んでいます。
蝶番(ちょうつがい)を「・」で表すと、右脇前板・前板・左脇板・背板・右脇後板、の四ヶ所蝶番(ちょうつがい)五枚分割となります。
をほぼ平面になるまで展開出来るのが特徴で、その典型的な物が「仙台胴(せんだいどう)」です。
仙台胴は別名「雪の下胴(ゆきのしたどう)」解胴(ほどきどう)」「奥州胴(おうしゅうどう)」「関東具足(かんとうぐそく)」とも呼ばれています。
高麗犬(こまいぬ) 犬に似た想像上の動物です。
魔よけの力があるといわれ、獅子と対(つい)にして神社の入口などの右側に置かれました。
古くは頭に角(つの)がない方を獅子としていたようですが、後には混同(こんどう)されるようになったそうです。
「狛犬」とも書き、たんに「こま」とも呼ばれるようです。
権現(ごんげん) 「権(か)りの姿で現われる」という意味で、仏教の仏様が日本の神道の神様に姿を変えたものとされます。
紺青(こんじょう) 青色を出すための素材の一つで、フェロシアン化カリウム水溶液(すいようえき)に硫化第一鉄(りゅうかだいいちてつ)を混ぜ合わせ、さらに塩素酸(えんそさん)ナトリウムを加えて作られるそうです。
金銅(こんどう)
銀銅(ぎんどう)
銅または銅を主とする金属に、金を鍍金したものを言います。
銀を鍍金したものは「銀銅(ぎんどう)」と言います。
さ行 解説
雑賀兜(さいかかぶと) 雑賀鉢を用いた兜のことです。
「さいがかぶと」とも言います。
雑賀鉢(さいかばち) 室町時代末期頃に紀州(きしゅう=和歌山県)雑賀(さいか)の甲冑師によって作られた兜鉢の事です。
鍛(きた)えの良い鉄を切り出して模様をつけたり、矧(は)ぎ止めに鋲(びょう)を使うところに特徴のある異国的(いこくてき)な雰囲気(ふんいき)の兜鉢です。
通常、表面は鉄錆地で、八枚張りの場合が多いようですが七枚張りや置手拭形兜などの形式もあります。
「さいがばち」とも言います。
采幣(さいはい) 軍隊への合図・指揮(しき)をとるのに用いた道具のことで、室町時代末期頃から行われました。
細かく裂(さ)いた紙を束(たば)ねた物を紐(ひも)で棒の先に結び付けた形式が一般的ですが、紙の代わりにヤクの毛などを用いた物などもあります。
江戸時代には身分に応じて紙の色に規定(きてい)があったようです。
「采配」「再拝」とも書きます。
この他、指揮道具には軍配と呼ばれる物もあります。
采幣付鐶(さいはいづけのかん) 両乳鐶の一つで、江戸時代になって当世具足への装飾として前立挙右側に付けられた鐶(かん=輪)のことを言います。
采幣の紐(ひも)を結ぶための鐶(かん=輪)とされます。
逆頬空穂(さかつらうつぼ) 空穂の中でも特に表面を熊(くま)や猪(いのしし)の毛皮で包んだ物のことを言います。
「逆頬(さかつら)」とはその毛並(けなみ)が逆さまに上へ向かっている様を表した言葉です。
矢を入れる容器には他に矢籠などがあります。
逆頬箙(さかつらえびら) の中でも特に表面を熊(くま)や猪(いのしし)の毛皮で包んだ物のことを言います。
「逆頬(さかつら)」とはその毛並(けなみ)が逆さまに上へ向かっている様を表した言葉です。
矢を入れる容器には他に空穂矢籠などがあります。
柘榴形兜(ざくろなりかぶと) 柘榴(ざくろ)を模した兜のことです。
柘榴(ざくろ)は赤い花をつける落葉樹で、実は球状で熟(じゅく)すと裂(さ)けて赤い肉のある種子が現れます。
「石榴」とも書きます。
下げ緒(さげお) 刀(かたな)を帯(おび)に結び付けるために栗形に通す紐(ひも)のことです。
「下げ(さげ)」とも言います。
栄螺形兜(さざえなりかぶと) 張懸け打出しで作られた、栄螺(さざえ)を模した兜のことです。
栄螺(さざえ)は巻貝(まきがい)の一種で、多くは棘(とげ)のあるごつごつした殻(から)をしています。
棘(とげ)の威嚇的(いかくてき)な感じ、守りの堅(かた)い殻(から)の感じ、あるいは名前に「栄(さかえる)」と言う縁起(えんぎ)の良い文字が含まれているなどの理由から、武具の意匠(いしょう=デザイン)として用いられたと言われています。
差裏(さしうら) の裏側(うらがわ)のことです。
打刀を腰(こし)に差した時、の体に接(せっ)する側(がわ)のことで、小柄が付く場合もあります。
反対側は差表と言います。
差表(さしおもて) の表側(おもてがわ)のことです。
打刀を腰(こし)に差した時、の体に接(せっ)しない側(がわ)のことで、が付く場合もあります。
反対側は差裏と言います。
札(さね) 「小札(こざね)」とも言い、甲冑の各部分を構成する縦長の部品です。
鉄やネリ革などで作られます。
札板(さねいた) を重ね威して構成された板のことです。
札頭(さねがしら) 札板の上部のことです。
座盤(ざばん) 籠手などの小手部分や二の腕部分を保護するために家地に縫(ぬ)い付けてある鉄板のことを言い、広義には板所とされます。
鞘(さや) 刀剣(とうけん)の刃(は)の部分を入れるための筒(つつ)のことです。
「刀室(とうしつ)」とも言います。
鞘巻(さやまき) 腰刀の一種で、葛藤の蔓(つる)を巻きつけたもののことを言います。
中世以降は漆塗りで蔓(つる)を巻きつけた様子(ようす)を装飾(そうしょく)したものとなったようです。
三懸(さんがい) 面懸胸懸尻懸の三つの馬具(ばぐ)の総称です。
「押掛(おしかけ)」とも言います。
残欠(ざんけつ) 歴史的遺物などで、元の形を欠いて一部だけ残った物のことを言います。
但し、陶磁器などのかけらについてはこう呼ばないようです。
三宝荒神(さんぽうこうじん) 仏教で三つの宝(たから)とされる「仏(ぶつ=おしゃかさま)」・「法(ほう=きょうてん)」・「僧(そう=おしえを実行する人)」を守護(しゅご)するとされる神様のことで、通常「荒神さま」と略して呼ばれることが多いようです。
文字通り荒(あら)ぶる神様で、怒ると全てを破壊(はかい)しつくす力を持っているとされます。
三宝荒神形兜(さんぽうこうじんなりかぶと) 三宝荒神を象(かたど)った兜のことです。
仕返しの甲冑(しかえしのかっちゅう) 戦場に棄(す)てられていたり、戦死者から剥(は)ぎ取られた甲冑が甲冑師の元に持ち込まれ、そこで部品を再利用して作り直された甲冑のことです。
地金(じがね) 文字通り、下地や土台となる金属のことです。
獅噛(しかみ) 獅子の面を意匠(いしょう=デザイン)とした兜の前立のことです。
元々は獅子でしたが、次第に角(つの)を付けた鬼面(きめん)に近い意匠(いしょう=デザイン)へと変わり、名称も「魅」の文字を用いて「しかみ」と呼ぶようになりました。
矢籠(しこ) 矢を盛(も)って腰に差すための簡単な容器のことで、武士だけでなく猟師(りょうし)なども使っていたそうです。
「矢壺(しこ)」「尻籠(しこ)」とも書きます。
弓台を使えば弓とともに運ぶことが出来ます。
矢を入れる容器には他に空穂などがあります。
獅子(しし) ライオンをもとに作られたとされる想像上の動物です。
高麗犬と対(つい)にして神社の入口などの左側に置かれました。
古くは頭に角(つの)があるのが高麗犬とされていたようですが、後には混同(こんどう)されるようになったそうです。
「唐獅子(からじし)」とも言います。
歯槽間縁(しそうかんえん) 馬の口の中で前歯(まえば)と奥歯(おくば)の間にある、歯の生えてこない隙間(すきま)のことを言います。
この隙間(すきま)があるおかげでを用(もち)いて馬を操(あやつ)る事が出来ます。
下鞍(したぐら) 「鞍下(くらした)」とも言い、鞍橋の下に敷いて馬の両脇に当てる馬具(ばぐ)のことです。
通常は二枚重ねにして用い、上側を「切付(きつつけ)」、下側を「肌付(はだつけ)」と言います。
下ジコロ(したじころ) 重ジコロの内側のシコロのことを言います。
兜鉢の下縁(したべり)に付けられ、鎖(くさり)・板物伊予札などを家地に仕付(しつ)けた簡単な割ジコロが一般的です。
舌長鐙(したながあぶみ) の形式の一つで、半舌鐙の「舌(した)」と呼ばれる部分がさらに長くなり、足裏全体を載(の)せるようになった物を言います。
鎌倉時代以降の形式とされます。
執加緒(しっかのお) 冠板裏側中央に設(もう)けられた緒(お)のことで、肩上中央の茱萸金物四方手結びにします。
を固定する最も重要な緒(お)で、「中緒(なかのお)」とも言います。
仕付籠手(しつけごて) 仕付袖が付いた籠手の事です。
「毘沙門籠手(びしゃもんごて)」「仁王籠手(におうごて)」とも言います。
仕付袖(しつけそで) 籠手に綴(と)じ付け、取り外しが出来ない形式のの事です。
小型の折冠を設(もう)け、の下段前方を斜めに切り欠いたものが一般的で、腕(うで)になじませるため蝶番(ちょうつがい)で縦(たて)に分割したり、湾曲(わんきょく)を持たせたものなどがあります。
このようなの付いた籠手仕付籠手と言います。
後輪(しづわ) 鞍橋の後部で、山形に高くなっている板状の部分を言います。
居木によって前輪とつながれています。
「尻輪(しりわ)」とも書き、「あとわ」とも言います。
神人(じにん) 中世、神社に仕える代わりにその保護(ほご)を受け、国などの税(ぜい)を免除(めんじょ)されるなど、宗教的(しゅうきょうてき)・身分的(みぶんてき)な特権(とっけん)を与えられた人のことです。
芸能者(げいのうしゃ)・商工業者(しょうこうぎょうしゃ)・武士(ぶし)・百姓(ひゃくしょう)などからそうなる者もいたようです。
「じんにん」とも言い、「神民(じんみん・しんみん)」とも言います。
篠(しの) 籠手臑当佩楯などに使われた長細く四角い板棒状の部品を言い、大きさによって「大篠(おおしの)」「小篠(こしの)」に分けられます。
表面の平らな物を「平篠(ひらしの)」を立てた物を「角篠(かくしの)」、ふくらみのある物を「丸篠(まるしの)」あるいは「馬刀殻(まてがらしの)」と言い、江戸時代にはさらに表面に細い打出し「麦藁篠(むぎわらしの)」、胡麻(ごま)の殻(から)に似た「胡麻殻(ごまがらしの)」なども現れました。
板所の一つとされます。
鎬(しのぎ) 板を「∧」字型に折り曲げて作られた、山状(やまじょう)の筋(すじ)のことを言います。
南蛮胴などでは正面中央部分に高く打出され、当った矢弾槍刃を貫通(かんつう)させず左右に逸(そ)らせる働きがあります。
この手法はだけではなく、兜などでも見られます。
四半(しはん) 指物の一つで、幅と長さが2:3の旗(はた)のことを言います。
通常、「Г」字型をした竿(さお)などで2辺を固定し、受筒に差して用(もち)います。
さまざまな色や図案(ずあん)の物があり、合印として用(もち)いたり、特に武勇(ぶゆう)に優(すぐ)れた者は個人の図案(ずあん)を使うことを許されたため種類が沢山あります。
また、竿(さお)で固定していない辺(へん)にフリル状の飾りをつけた「綺羅(きら)」、三角形の切り込みを連続して入れた「幡連(ばれん)」、上の片隅(かたすみ)を切り落とした「角切(すみきり)」、下から斜め上に切り落としたような「丁杖(つえつき)」などと呼ばれる形もあります。
「幟半」とも書き、大きな物は特に「大四半(おおしはん)」とも言うようです。
これと似た物に四方があります。
四分一(しぶいち) 銅3に対して銀1を加えた金属で、「四分一銀(しぶいちぎん)」「朧銀(おぼろぎん)」とも言います。
四方(しほう) 指物の一つで、幅と長さが1:1の正方形をした旗(はた)のことを言います。
さまざまな色や図案(ずあん)の物があり、合印として用(もち)いたり、特に武勇(ぶゆう)に優(すぐ)れた者は個人の図案(ずあん)を使うことを許されたため、種類が沢山あります。
これと似た物に四半があります。
皺韋(しぼかわ) 「しわがわ」とも読み、馬韋・牛韋などに漆(うるし)をかけて表面に皺(しわ)を立てた物のことです。
蟇蛙(ひきがえる)の肌に似ているので、「蟇肌(ひきはだ)」「引肌(ひきはだ)」とも言います。
四方手(しほで) 前輪後輪の左右2箇所、合計四箇所についている金物(かなもの)の輪を付けた革紐(かわひも)部分のことです。
胸懸尻懸を結びつける部分で、「しおで」とも言い、「四緒手」とも書きます。
四方手結び(しほでむすび) 受緒執加緒懸緒水呑緒を結ぶのに多く用(もち)いられた結び方で、緒(お)を「α」字型に交差する結び方を言います。
「しおでむすび」とも言います。
赤銅(しゃくどう) 銅に金を数%、銀を1%加(くわ)えた金属で、黒みがかった光沢(こうたく)が美しいので装飾(そうしょく)に使われました。
「烏金(うきん)」とも言います。
赤熊(しゃぐま) ヤクの毛を赤く染(そ)めた物のことを言います。
鯱(しゃち) 想像上の動物で、魚に似た海獣(かいじゅう)のことです。
頭は虎に似て背に鋭(するど)いとげがあり、尾をそらした姿で現(あらわ)されます。
勇猛(ゆうもう)な動物とされ、その意匠(いしょう=デザイン)が武家に好まれて使われたようです。
また水に係(かか)わる動物であることから防火(ぼうか)の力があるとされ、城の屋根の両側に飾りとして用(もち)いられています。
「しゃちほこ」とも言います。
鯱兜(しゃちかぶと) を象(かたど)った変わり兜のことを言います。
「鯱形兜(しゃちなりかぶと)」とも言います。
十王(じゅうおう) あの世で死者を裁(さば)く、秦広(しんこう)・初江(しょこう)・宋帝(そうてい)・伍官(ごかん)・閻魔(えんま)・変成(へんせい)・泰山(たいざん)・平等(びょうどう)・都市(とし)・五道転輪(ごどうてんりん)の10人の王のことです。
死者は初七日(しょなのか=死後7日)から七七日(なななぬか=死後7×7=49日)まで7日ごとの7回と、百箇日(ひゃっかにち=死後100日)・一周忌(いっしゅうき=死後1年)・三回忌(さんかいき=死後2年)の3回、合計10回それぞれの王のもとを順番に訪(おとず)れ、生まれ変わるべき世界が決められるとされています。
この考えは中国で唐(とう)時代末期に成立し、日本へは平安時代中期以降もたらされたようです。
十王頭(じゅうおうがしら) 臑当で、亀甲金を包(つつ)んで作られた立挙の部分が3分割された形式のことで、十王が被(かぶ)っている冠(かんむり)に似ていることからこう呼ばれます。
十王頭兜(じゅうおうがしらかぶと) 十王が被(かぶ)っている冠(かんむり)を真似(まね)て作られた変わり兜のことを言います。
「冥冠(みょうかん)」とも言います。
朱漆(しゅうるし) 漆(うるし)に朱(赤色硫化水銀:せきしょくりゅうかすいぎん)を混ぜた赤色漆(あかいろうるし)のことです。
赤色漆には「弁柄」と呼ばれる物もあります。
床机(しょうぎ) 陣中(じんちゅう)で使われた椅子(いす)のことです。
古くは小型の机(つくえ)状をしており、身分に応じて高さに差がありました。
使用時は上に虎・豹(ひょう)・熊などの毛皮を敷きましたが、この毛皮も身分に応じて使い分けていたようです。
近世(きんせい)になると「U」字型を二つ組み合わせて折り畳みでがきるようになった、「畳床几(たたみしょうぎ)」と呼ばれるものが使われるようになりました。
勝軍地蔵(しょうぐんじぞう) 愛宕権現本地仏とされ、信仰する者は戦で勝利を得るといわれました。
一説に「普賢菩薩(ふげんぼさつ)」の生まれ変わりともされているようです。
上下結(じょうげゆい) それまでの千鳥掛にかわって鎌倉時代中期頃から行われ、それ以降は広く一般的に使われた、臑当を固定する方法を言います。
文字通り臑当の上と下に取り付けられた2本の紐(ひも)を結んで固定する方法を言います。
江戸時代には上側の紐(ひも)を「芝突の緒(しばつきのお)」、下側の紐(ひも)を「沓縹の緒(くつじるしのお)」と呼んでいたようです。
障子板(しょうじのいた) 金具廻りの一つで、肩上の中央に立てられた三日月型の板のことを言います。
飛んでくる矢や刀などから首の側面を守る目的で付けられ、時代によって板の形も異なります。
基本的には大鎧に付けられたものですが、南北朝時代〜室町時代前期頃の胴丸や江戸時代の当世具足に付けられた例や、きわめて稀(まれ)な例として腹巻に付けられたものもあるようです。
「月型板(つきがたのいた)」矢止冠とも言うようです。
猩猩(しょうじょう) @:人間によく似た姿をし、人間の言葉を理解(りかい)し、赤い顔と赤い毛と持ち、お酒が好物(こうぶつ)とされる想像上の動物です。
またその血はとても赤い緋色とされ、この色を特に猩猩緋と呼びます。
A:オランウータンのことです。
「猩々」とも書きます。
猩猩緋(しょうじょうひ) 猩猩の血のように濃(こ)く鮮(あざ)やかな緋色のことを言います。
この血で布を染(そ)めるとどんなに時間が経(た)っても色の変わらない緋色になるとされていました。
特に緋色羅紗で出来た陣羽織を指してこう呼びます。
「猩々緋」とも書きます。
硝石(しょうせき) 黒色火薬・マッチ・釉(うわぐすり)・肥料・医薬・食肉の保存料などに利用される物質で、天然の物はチリの砂漠地帯やアメリカ西部などの乾燥地帯(かんそうちたい)から産出されます。
炭酸(たんさん)カリウムを硝酸(しょうさん)に溶かして得ることも出来ます。
「煙硝(えんしょう)」「硝酸(しょうさん)カリウム」とも言います。
定紋(じょうもん) その家で決まっている正式(せいしき)な家紋(かもん)のことで、公式(こうしき)の場で用(もち)いられます。
「表紋(おもて)」「本紋(ほんもん)」「正紋(せいもん)」などとも言います。
なお、非公式(ひこうしき)な場で用(もち)いられる家紋(かもん)は替紋と言います。
尻繋(しりがい) @:三懸の一つで、馬の尾の下から後輪四方手にかけて取り回す紐(ひも)のことです。
A:三懸のことです。
B:牛車(ぎっしゃ=牛が牽(ひ)く車)などで、車の轅(ながえ=前方に突き出た2本の棒)を固定するための紐(ひも)のことです。
尻鞘(しりざや) 太刀にかぶせ、紐(ひも)で結びつけて用(もち)いた毛皮の袋のことです。
その人の官位(かんい)・身分によって豹皮(ひょうがわ)・虎皮(とらがわ)・海豹皮(あざらしがわ)などの規定があったようです。
「しりけさや」とも読み、「箒鞘(ほうきさや)」とも言います。
白漆(しろうるし) 透漆に二酸化チタニウムなどの顔料(がんりょう=絵具)を混ぜて作られた白色の漆です。
陣笠(じんがさ) 室町時代以後、陣中で主として足軽・雑兵(ぞうひよう)など下級の兵士が兜(かぶと)の代わりに頭にかぶっていた笠のことで、薄い鉄・漆塗りの革・和紙などで作られていました。
江戸時代になると上級武士が使用する物も現れ、縁(ふち)を反(そ)らせた塗り笠が一般的となり、主に武士の外出用として使われました。
真鍮(しんちゅう) 銅(どう)と亜鉛(あえん)の合金で、加工性が良く広い用途があります。
色が黄色いので別名を「黄銅(おうどう)」とも言い、桃山時代には金と同じ価値(かち)で扱われるほどの貴重品でした。
陣羽織(じんばおり) 古くは「胴服(どうふく)」と呼ばれ、始めは防寒などの目的で甲冑の上から羽織った服でしたが、次第に自己表示の目的が強くなり、様々な素材・意匠(いしょう=デザイン)の物が作られました。
袖ありと袖無しの両方があり、幕末期のものは肩に肩章(かたしょう=エポレット)と呼ばれる帯(おび)が付いています。
緋色羅紗で出来たものは特に猩猩緋とも言います。
水干(すいかん) @:糊(のり)を使わないで、水張りにして干(ほ)した布のことです。
A:狩衣の一種で、襟(えり)を懸(か)け合わせの組紐(くみひも)で結び留めるのが特徴(とくちょう)です。
胸と袖付けに二つずつの菊綴が付き、もともとは下級官吏(かきゅうかんり)・地方武士・庶民(しょみん)の平服(へいふく)でしたが、のちに武家(ぶけ)の礼服(れいふく)となり、公家(くげ)や元服前の少年も着用しました。
なお、襟(えり)を内側に折り込んで着ることを「垂領(たりくび)」と言います。
もともとは「@」の布で作られたのでこう呼ばれますが、のちには絹(きぬ)・でも作られるようになりました。
水簸(すいひ) 粒(つぶ)の大きさによって水中で沈(しず)む速度が異なることを利用して、粒(つぶ)を大きさ別に分ける方法を言います。
据文金物(すえもんかなもの) 「据紋」「居文」とも書きます。
眉庇吹返栴檀板鳩尾板菱縫板金具廻りなどに付けた金具のことで、通常は菊座(きくざ=菊の花模様の金具)や家紋(かもん)などの文様が彫られています。
素襖(すおう) 裏地(うらじ)を付けない布製で、菊綴や胸紐(むねひも)に革(かわ)を用(もち)いた直垂の一種です。
もともと庶民(しょみん)の平服(へいふく)でしたが、のちには武家(ぶけ)の常服(じょうふく)、下級武士の礼服(れいふく)となりました。
「素袍」とも書きます。
素懸威(すがけおどし) 威しの手法の一つで、二本の糸を用い、間をあけて所々を下段へ縦取りに威して行く手法を言います。
透漆(すきうるし) 透明度のある漆のことで、溜色もしくは飴色をしています。
また、色付きの漆はこの透漆(すきうるし)に各種の色を練(ね)り込んで作成されます。
直眉庇(すぐまびさし) 付眉庇の中で、兜鉢から水平(すいへい)に前方へ突き出した眉庇のことを言います。
「天草眉庇(あまくさまびさし)」とも言い、中には板に「うねり」を持たせた装飾的(そうしょく)な物もあります。
多くの場合内眉庇をともないます。
筋兜(すじかぶと) 兜鉢天辺から腰巻板までを分割する縦板同士を留めるのに用いた星鋲が小型化した物を、さらに叩き潰して平滑(へいかつ)化した手法で捻返し(ひねりかえし)た矧目(はぎめ=筋)のみが見えるのでこう呼ばれています。
矧目(はぎめ=筋)と矧目(はぎめ=筋)の間を文字通り「間(けん)」と言い、この数によって「三十二間(さんじゅうにけん)」「六十二間(ろくじゅうにけん)」「二百間(にひゃくけん)」などの名称(めいしょう)が付けられます。
裾板(すそいた) 兜のシコロ草摺の最下段のことを言います。
当世具足シコロについては、別に肩摺板の名称もあります。
裾濃威(すそごおどし) シコロ草摺の一番上の段を白とし、下に行くにつれて色を濃(こ)くして一番下の段(=裾(すそ))が最も濃(こ)い色になるように威す形式を言います。
「紫裾濃(むらさきすそご)」「紅裾濃(くれないすそご)」「紺裾濃(こんすそご)」「萌黄裾濃(もえぎすそご)」などがあります。
匂威の一種だとする説もあるようです。
「下濃威」とも書きます。
頭形兜(ずなりかぶと) 文字通り頭の形をした兜を指します。
ですから広い意味では筋兜なども含まれますが、江戸時代以降からは特に室町時代末期より行われた、三枚張(さんまいばり)や五枚張(ごまいばり)の新しい形式の兜鉢を指すようになりました。
現在では特に「日根野頭形兜」と「越中頭形兜」の二系列をもって定義することが多い様です。
角頭巾形兜(すみずきんなりかぶと) 紙袋を立てたような形の頭巾(ずきん)を模(も)した兜のことです。
頭巾(ずきん)を被(かぶ)ったとき両耳の上に角ができることからこう呼ばれます。
青海波(せいがいは) 本来は重なり合う波を描いた文様(もんよう)のことを指しますが、八重鎖の見た目がこの文様(もんよう)に似ていることからその別名として使われています。
「青海波(せいがいは)」と言う名前の雅楽(ががく=日本固有の音楽)で着用される衣装(いしょう)にこの文様(もんよう)が使われていたのが名前の由来とされます。
青漆(せいしつ) 黄漆黒漆、或いは黄漆紺青を混ぜ合わせて作られた漆のことです。
「青」の字を用いますが、実際の色味は「緑」です。
石黄(せきおう) 硫化砒素(りゅうかひそ)と呼ばれる物質で、古くから黄色を出すための材料として使われてきました。
背撓(せため) 体の背骨(せぼね)の部分が凹(へこ)んでいるのに合わせての背中につけられた凹(へこ)みのことを言います。
南北朝時代頃の胴丸から見られ始め、それ以降のでは一般的となったようですが、一部の大鎧にも見られます。
「背溝(せみぞ)」とも言います。
栴壇板(せんだんのいた) 大鎧に附属(ふぞく)し、右手を動かした時に右脇に出来る隙間を防ぐために使われます。
長方形をした小型の状の物で、鳩尾板と一対で用いられます。
鳩尾板のように一枚の鉄板で作られていないのは、弓を引いた時に弦(つる)がかかりにくくするためです。
戦袍(せんぽう) 戦闘の際に、鎧の上から着る衣服のことを言います。
「袍(ほう)」とは上着(うわぎ)のことで、身分によって色や布地に決まりのある「位袍(いほう)」とそれ以外の「雑袍(ざっぽう)」に分けられ、さらに文官(ぶんかん)用の「縫腋(ほうえき=両わきの下を 縫い合わせた服)」と、武官(ぶかん)・幼年者(ようねんしゃ)用の「闕腋(けってき=両わきの下を縫わずに開けはなした服)」に分けられます。
象眼(ぞうがん) 地金に模様を刻み、そこに別の素材をはめ込んで模様を描き出す技法です。
金象眼銀象眼などがあります。
総髪(そうごう) 毛を植えた兜の一つで、後ろに撫で付けた髪型の物です。
征矢(そや) 戦(いくさ)で一般的に使われた先の尖(とが)った矢の総称です。
中差の矢として用(もち)いられ、三立羽が一般的です。
た行 解説
高紐(たかひも) 肩上前立挙または胸板を連結(れんけつ)するための紐(ひも)のことです。
この紐(ひも)の先に取り付けられたを懸(か)け外(はず)しすることによって、を着脱(ちゃくだつ)します。
「相引緒(あいびきのお)」とも呼ばれます。
叩塗(たたきぬり) 木屎などを混ぜて流動性(りゅうどうせい)を無くした漆(うるし)を、絹(きぬ)でつつんだ「たんぽ」を使って叩き、表面に皺(しわ)模様を作って行く塗り方を言います。
畳兜(たたみかぶと) @:兜鉢が数段の輪切(わぎ)り状態の板を威したもので構成(こうせい)されている兜のことで、シコロ一段分の高さまで全体を畳(たた)むことができるものを言います。
中でもバケツの取っ手のような可動式(かどうしき)の外枠(そとわく)を付け、天辺の金具(かなぐ)で留(と)める形式のものは様子(ようす)が提灯に似ているため、「提灯兜(ちょうちんかぶと)」とも呼ばれます。
A:骨牌金亀甲金などを鎖(くさり)でつなぎ、家地に縫いつけてつくられた兜のことです。
どちらも折り畳(たた)めるのでこう呼ばれます。
畳胴(たたみどう) @:当世具足立胴に対して、置くと兜のシコロのように一段分の高さまで全体を畳(たた)むことのできるを言います。
A:骨牌金亀甲金などを鎖(くさり)でつないだものや鎖(くさり)のみを家地に縫いつけてつくられたのことです。
折り畳(たた)むことができるのでこう呼ばれ、「畳具足(たたみぐそく)」「鎖具足(くさりぐそく)」とも言われます。
太刀(たち) 刀(かたな)の様式の一つです。
一般的には長さが大体60cm以上の長い物で、腰(こし)に佩(は)いた(=着けた)時に刃が下に向くよう、紐(ひも)で腰(こし)から吊(つ)るす形式のものをこう呼んでいます。
もともと馬上(ばじょう)での戦いを想定(そうてい)して作られたとされ、徒歩(とほ)による戦いが主流(しゅりゅう)になり始めた室町時代中期頃からは、これに代わって打刀と呼ばれる様式が多くなりました。
立胴(たちどう) 「たてどう」とも言います。
などを貼って各段の伸縮(しんしゅく)を止めてしまった物を言います。
仏胴桶側胴がこの様式です。
橘(たちばな) @:ミカン科の常緑小高木で日本原産唯一(にほんげんさんゆいいつ)の柑橘類(かんきつるい=ミカン類)とされますが実は小さく、熟(じゅく)しても酸味(さんみ)が強いので食用(しょくよう)には向きません。
A:古くより食用(しょくよう)とされた柑橘類(かんきつるい=ミカン類)の総称(そうしょう)で、「非時香菓(ときじくのかくのこのみ=香りの消えない木の実)」とも言います。
龍頭(たつがしら) 文字通り龍の頭、或いは龍全体を模した立物です。
手綱(たづな) @:の左右に結び付け、馬を操(あやつ)る綱のことを言います。
A:烏帽子の上に締めた鉢巻(はちまき)のことです。
立挙(たてあげ) @:脇板の線より上で、胸板押付板より下の前後の部分です。
前側を「前立挙(まえたてあげ)」、後側を「後立挙(うしろたてあげ)」と言います。
A:臑当の上部で膝頭(ひざがしら)を守るように付けられた部分で、様式によって「大立挙(おおたてあげ)」「中立挙(ちゅうたてあげ)」「立挙」と分けられます。
縦矧(たてはぎ) 板札を縦に矧(は)ぎ合わせることを言います。
玉入(たまいれ) 火縄銃の玉を入れておくための容器(ようき)です。
玉の取り出し口が嘴(くちばし)のようになっている物を特に「烏口(からすくち)」と言います。
玉型(たまがた) 火縄銃の玉を作るための道具で、ペンチ状になった左右の内側に半球(はんきゅう)状の溝(みぞ)があります。
左右を閉じた状態でこの溝(みぞ)に鉛柄杓で溶かした鉛(なまり)を流し込み、鉛(なまり)が冷えてから開くと球状(きゅうじょう)に固(かた)まった鉛(なまり)の玉ができます。
溜色(ためいろ) 黒味がかった暗い赤色のことで、別名を「栗色(くりいろ)」または「小豆色(あずきいろ)」とも言います。
溜塗(ためぬり) 朱漆黄漆などの彩漆を塗った上に溜色透漆をかける技法です。
下地の彩漆によって色見が変わります。
試し撃ち(ためしうち) 兜やの強度を試すのに実際に鉄砲で射撃することを言います。
甲冑の強度を証明するのはもちろんですが、未貫通(みかんつう)の弾痕(だんこん)がある甲冑を着用することで敵には恐れを、味方には安心感を抱かせる効果や、縁起(えんぎ)的な意味もあったのではないかと言われます。
鉄砲以外に刀槍による試験もあったようですが、このようにして試験された甲冑はいずれも「様具足(ためしぐそく)」「仕寄具足(しよりぐそく)」などと呼ばれます。
様兜(ためしかぶと) 試し撃ちをして強度を測った兜のことです。
別名を「仕寄兜(しよりかぶと)」とも言い、攻城戦(こうじょうせん)などに縁起の良い物とされたようです。
段替胴(だんがえどう) を統一した様式ではなく、異なった様式で作った物です。
の上部を毛引威とした場合を「胸取(むなとり)」、下部が毛引威の場合を「腰取(こしとり)」、上下が毛引威で中間を別の手法で行った物を「胸腰取(むなこしとり)」と言います。
力韋(ちからがわ) @:鞭差穴の縁(へり)も含くみ佩楯家地に縦(たて)に縫(ぬ)い付けられた絵韋のことを言います。
家地が伸びるのを防いだり、布を補強(ほきょう)する目的で付けられました。
A:兜の浮張の裏に十文字(じゅうもんじ)にあてた細長いのことを言います。
浮張が伸びるのを防ぐ目的で江戸時代から行われ、「十文字韋(じゅうもんじがわ)」とも言います。
B:当世具足の裏に上段から下段にかけて貼られた細長いのことを言います。
古くは「矢摺韋(やずりのかわ)」「袖摺韋(そでずりがわ)」と呼んでいたそうです。
千切り踏込(ちぎりふんごみ) 踏込佩楯阿伊佐を左右に分割せず、一続(ひとつづ)きの帯状(おびじょう)にした形式の物を言います。
千鳥掛(ちどりがけ) 平安時代から鎌倉時代頃まで行われた臑当を固定する古式(こしき)の方法です。
現代のスニーカーや編み上げブーツの結び方のように、ふくらはぎの所で紐(ひも)を下から左右互いに交差させ、上の所で結ぶ方法を言います。
左右に交差するところを千鳥(ちどり)の歩き方にたとえてこう呼びます。
手間のかかる結び方なので、鎌倉時代中期頃からは次第に上下結が使われるようになりました。
提灯(ちょうちん) 昔の照明器具の一つで、古くは木の枠(わく)や籠(かご)に紙を張り中に蝋燭(ろうそく)を立てていましたが、後には細い竹ひごの輪を重ねて骨としたものに紙を張り、折り畳(たた)みができるようになりました。
形・用途(ようと)によって「小田原提灯兜(おだわらぢょうちん)」「箱提灯(はこぢょうちん)」「高張り提灯兜(たかはりぢょうちん)」などがあります。
数える時は「一張(ひとはり)」と数えます。
柄(つか) 刀剣(とうけん)の手で握(にぎ)る部分のことを言います。
使番(つかいばん) 戦闘時に各隊へ命令(めいれい)を伝えたり、巡察(じゅんさつ)などを行う役目の兵士のことです。
単なる伝令(でんれい)役ではなく、必要に応じてその場にとどまり各部隊の指揮をとったりすることもあったようで、それなりの器量(きりょう)を持った人物が任命されました。
特別に決められた指物母衣の使用を許(ゆる)される場合が多かったようで、憧(あこが)れの役職の一つだったようです。
月形(つきがた) 喉輪に使われる三日月型の板のことで、漆塗りの鉄やネリ革で作られています。
この板に蝙蝠付を用いてを付け、両端から出した紐を首の後で縛って使います。
「喉巻(のどまき)」「領取廻し金(えりとりまわしがね)」とも言います。
付眉庇(つけまびさし) 兜鉢とは別に作って腰巻板に鋲(びょう)などで取り付けた眉庇のことを言います。
形状によって伏眉庇出眉庇直眉庇に分けられます。
附物(つけもの) 兜蓑引廻しなど、雨湿乾燥防止と相手への威嚇(いかく)効果・装飾(そうしょく)効果をかねて兜につけられた付属物(ふぞくぶつ)のことを言います。
筒籠手(つつごて) 籠手の古い形式で、座盤が三枚または五枚の縦長(たてなが)の板を連結(れんけつ)して筒(つつ)を縦(たて)に割ったような形になったものを言います。
それぞれを「三枚筒(さんまいづつ)」「五枚筒(ごまいづつ)」と言い、糸・・蝶番(ちょうつがい)などで連結されています。
筒臑当(つつすねあて) 臑当の古い形式で、筒(つつ)を縦(たて)に割ったような形で縦長(たてなが)の板を連結(れんけつ)した形状のものを言います。
稀(まれ)に一枚板のものもありますが、たいていは三枚板を蝶番(ちょうつがい)で連結(れんけつ)したもので、五枚板のものもあります。
南北朝の頃から立挙が付くようになったほか、甲懸を取り付けたと思われる穴が残っているものもあります。
板の連結(れんけつ)には糸・なども使われました。
包仏胴(つつみほとけどう) 桶側胴の表面に漆(うるし)を厚く塗って平らにし、さらに表面をや織物(おりもの)で包んで、あたかも一枚板の仏胴のように見せたものを言います。
また、包みの場合には蒔絵が施されることもありました。
さらに、見た目の単調さを無くすために菱綴畦目綴としたものもあります。
似たものに桶側仏胴と呼ばれる形式もあります。
葛藤(つづらふじ) ツヅラフジ科の蔓(つる)植物で、蔓(つる)は籠(かご)などを編(あ)む材料として使われるほか、根や茎(くき)はリュウマチなどの薬として使われます。
角本(つのもと) 兜の立物を付ける為の突起(とっき)です。
立物が大きい時は二本並べて「並び角本(ならびつのもと)」と称する物もあります。
鍔(つば) 刀剣(とうけん)のと刃(は)の間にある板状(いたじょう)の部分を言います。
を握(にぎ)る手を保護(ほご)するための部品で、鉄や銅などで作られています。
古くは「つみは」「つみば」とも言い、「鐔」と書く場合もあります。
壷鐙(つぼあぶみ) の形式の一つで、金属でつまさきのみを覆う物を言います。
平安時代以前の形式とされます。
壷板(つぼいた) 大鎧の右側面を防御(ぼうぎょ)する脇楯の上部を構成する鉄板のことで、金具廻りの一つです。
形が壷(つぼ)に似ているのが名前の由来と言われ、この板の下に蝙蝠付を挟(はさ)んで草摺が連結されます。
壷袖(つぼそで) の形式の一つで、下に行くほど幅が狭くなる形式を言います。
室町時代後期頃に発生し、主に腹巻に添(そ)えて使われました。
「窄袖(つぼみそで)」の当て字か、あるいは呼び方が変化したのが名前の由来(ゆらい)ではないかという説があるようです。
これと逆の形式を広袖と言います。
褄取威(つまどりおどし) 「褄(つま)」は「端(つま)」、すなわち「端(はじ)」の意味で、鎌倉時代後期以降に行われた、草摺の一方の端(はじ)を四〜六色の威糸を用(もち)いて威す形式を言います。
は下に行くほど幅が狭くなる下向きの直角三角形、草摺では下に行くほど幅が広くなる上向きの直角三角形となります。
一般的には前草摺引敷草摺馬手側の端(はじ)に、馬手草摺射向草摺は前方の端(はじ)に施(ほどこ)したようです。
「妻取威」とも書きます。
貫(つらぬき) 足首の下までを覆(おお)う、丈(たけ)の短い毛皮製の沓(くつ)のことです。
猪(いのしし)・鹿・熊の毛などで作られ、身分の高い人は虎や豹(ひょう)などを使う場合もあったようです。
この他に馬上沓と呼ばれる沓(くつ)もあります。
弦走韋(つるばしりがわ) 大鎧前方から左前方にかけて貼(は)られた絵韋のことです。
弓を引いた時に弦(つる)がの頭に引っかかるのを防ぎます。
このが貼られている場合に限っての前方を「弦走(つるばしり)」と言います。
弦巻(つるまき) 文字通り予備用の弓の弦(つる)を巻いておくための道具で、「◎」のように中心に穴の開いたドーナツ状の輪(わ)のことを言います。
麻(あさ)に天鼠を塗って作られている弦(つる)は折り目が付くとそこから切れやすくなるため、この輪にそって巻いた状態で持ち運びました。
牛の皮や葛藤などで作られ、の腰紐(こしひも)などにかけて左腰に下げたようです。
「弦袋(つるぶくろ)」「弓弦袋(ゆみづるぶくろ)」とも言います。
手甲(てこう) 「指番(ゆびつがい)」とも言います。
籠手の一部で、手の甲(こう)を覆う金物(かなもの)の名称です。
古くは先が丸い一枚板で「鯰手甲(なまずてこう)」と呼ばれましたが、室町時代末期頃から親指を覆う部分と残りの四本指を覆う部分とを分割し、それぞれを鎖(くさりで)つなぐ形式が現れました。
鉄錆地(てつさびじ) 地金の表面に薄く錆(さび)を浮かせ、一定以上錆が深くならないように漆(うるし)で錆止めを施(ほどこ)した手法です。
色味としては焦茶色(こげちゃいろ)のように見えます。
「かなさびじ」と読む場合もあるようです。
鉄漿(てっしょう) @:御歯黒のことです。
A:鉄を水・茶・酢・酒などの液体(えきたい)に長く浸(ひた)して作った褐色(かっしょく)の液体のことで、御歯黒や染物(そめもの)などに使われました。
「おはぐろ」「かね」とも読みます。
鉄媒染(てつばいせん) 鉄分(てつぶん)を含んだ泥水(どろみず)や鉄漿に木綿(もめん)や絹(きぬ)を浸(ひた)して、黒などに染(そ)める方法を言います。
鉄砲筒(てっぽうづつ) 鉄砲を入れる筒状のケースです。
表面は漆塗りや蒔絵螺鈿などで装飾(そうしょく)されることが多いようです。
また、形は似ていますが刀(かたな)を入れる物は刀筒と呼びます。
手拭付鐶(てぬぐいづけのかん) 両乳鐶の一つで、江戸時代になって当世具足、またはその時代に作られた胴丸腹巻の装飾として前立挙左側に付けられた鐶(かん=輪)のことを言います。
この鐶(かん=輪)に、戦場で息切(いきぎ)れを防ぐため濡(ぬ)れ手拭(てぬぐい)を付けて時々口にくわえる、あるいは背中の指物が抜け落ちるのを防ぐための紐(ひも)を結びつける、と言われています。
また軍配の紐(ひも)を結ぶための鐶(かん=輪)ともされ、「団扇納めの鐶(うちわおさめのかん)」とも言われているようです。
天辺(てへん) 兜鉢の頂上のことです。
古くは天辺の穴天辺の座を意味していました。
ちなみに、「てっぺん」と言うのはこの言葉が転化した物だとする説もあるようです。
天辺の穴(てへんのあな) 天辺に開いた穴のことで、古くは兜を着用する際にこの穴から烏帽子で包んだ髻(もとどり=たばねた髪)を出して兜を固定するために使われていましたが、時代が下がると次第に縮小され、換気(かんき)用の穴と解釈(かいしゃく)されるようになりました。
「天空の穴(てんくうのあな)」「手返(てへん)」「息出(いきだ)し」「息才(そくさい)」とも呼ばれます。
天辺の座(てへんのざ) 天辺の穴の周りを飾(かざ)る金物(かなもの)のことを言い、真鍮金銅赤銅四分一などが使われています。
もともとは天辺の穴を補強(ほきょう)するための金物(かなもの)でしたが、次第に装飾(そうしょく)の目的が強くなり、上から「玉縁(たまべり)」「小刻(こきざみ)」「宝瓶(ほうへい)」「抱花(だきはな)」「菊座(きくざ)」「うねり座」「縄目座(なわめざ)」「葵座(あおいざ)」などの部品を七重から九重に重ねる場合もあったようです。
江戸時代にはこの場所に神が宿(やど)るとされ、「八幡座(はちまんざ)」「神宿(かんやどり)」「須弥座(しゅみざ)」とも呼ばれました。
出眉庇(でまびさし) 付眉庇の中で、兜鉢からやや斜め前方に突き出すように取り付けられた眉庇のことを言います。
天狗頬(てんぐぼお) @:鳶頬のことです。
A:鼻の長い天狗(てんぐ)の面を模(も)した目下頬のことで、江戸時代に作られました。
天衝(てんつき) 「U」字型をした長大な立物です。
籐(とう) ヤシ科の蔓(つる)植物の総称(そうしょう)です。
茎(くき)は弾力(だんりょく)があって強靭(きようじん)で、籐細工(とうざいく)などに使用されます。
これをに用(もち)いた例として網代胴籐伏胴があります。
「ラタン」とも言います。
唐人笠兜(とうじんがさかぶと) 唐人(とうじん)が被(かぶ)る笠(かさ)を真似(まね)て作られた兜で、兜鉢を高くとがらせ、そのまわりにつばを一周廻(めぐ)らせた形式がよく見られます。
唐人(とうじん)とはもともと中国人や韓国人のことを言いましたが、後には広く外国人一般を指すようになりました。
「唐笠兜(とうがさかぶと)」とも言います。
胴火(どうび) 「胴の火(どうのひ)」とも言います。
@:火縄の火を消さずに持ち運びが出来るようにした道具のことです。
A:銅の筒(つつ)に和紙(わし)や植物繊維(しょくぶつせんい)などを蒸(む)し焼きにして黒く炭化(たんか)させたものをつめたもので、火をつけると長い時間をかけてゆっくりと燃えるので、ライターやカイロの代わりとして使われていたようです。
籐伏胴(とうぶせどう) ネリ革で作られた仏胴の表面に、二つに割(わ)りにしたを隙間(すきま)無く並べて漆を塗ったのことを言います。
軽くて強靭(きょうじん)なのは網代胴と同じか、こちらの方がより頑丈(がんじょう)だとも言われます。
唐丸(とうまる) 長鳴鶏(ながなきどり)の一種で、現在は天然記念物(てんねんきねんぶつ)に指定されています。
胴丸(どうまる) 右側に引合せがあり、前立挙は二段、後立挙は三段、草摺は八間五段下りの形式を普通としたのことです。
当初は軽武装用でしたが、鎌倉時代以降には通常の軍装として流行しました。
胴丸具足(どうまるぐそく) 胴丸の形式を持った当世具足という意味でこう呼ばれますが、本来は丸胴具足の名称の方がより正確だと思われます。
胴乱(どうらん) 火縄銃の玉・早合火薬などを入れて腰(こし)につける入れ物の事です。
一般的には皮または布製の四角の袋で、後(のち)には印・薬・銭・煙草(たばこ)入れとして用(もち)いられました。
鍍金(ときん) 「めっき」のことです。
材料の表面を金属の皮膜(ひまく)で覆(おお)う金属表面処理の技法で、その歴史は古く、今から3500年前までさかのぼると言われます。
古代は水銀(すいぎん)に金や銀を混ぜ合わせた物質(アマルガム)を地に塗りつけ、それを火であぶって水銀(すいぎん)だけを蒸発(じょうはつ)させ、金属皮膜(ひまく)を形成する方法が行なわれていました。
なお、日本で最初の電気を用いた「電気めっき」は、1885年に薩摩藩主:島津斉彬(しまづなりあきら)公が鎧の金具に施(ほどこ)した物だそうです。
突パイ(とっぱい) 「パイ」は兜の意味で、文字通り天辺が尖(とが)って突き出た形の兜の総称です。
「突パイ形兜(とっぱいなりかぶと)」と言う場合もあります。
「錐形(きりなり)」「椎実形(しいのみなり)」「柿形(かきなり)」「筆形(ふでなり)」などの種類があります。
鳶色(とびいろ) 名の通り鳶(とび)の羽の色に似た、赤味がかった暗い茶色のことを言います。
江戸時代には大変流行し、様々な種類の色が作り出されたようです。
鳶頬(とびぼお) 鼻の部分を鳶(とび)の嘴(くちばし)状にした目下頬のことで、「とんびぼお」とも読みます。
見た目が烏天狗に似(に)ているところから、天狗頬とも言い、皺(しわ)を強く打出したものは迦楼羅頬と言います。
土俵空穂(どひょううつぼ) 矢羽を護る穂(ほ)の部分を特に大形に作った空穂のことで、普通の物より多くの矢が盛(も)れます。
穂(ほ)の形が土をつめた俵(たわら)に似ているところからこう呼ばれます。
矢を入れる容器には他に矢籠などがあります。
共鉄(ともがね) @:一つの同じ鉄を分割(ぶんかつ)して出来た鉄のことで、同じ材料(ざいりょう)の鉄という意味になります。
A:つながった部分を同じ鉄で一体整形(いったいせいけい)することを言います。
「共金」「友金」とも書きます。
な行 解説
中差(なかざし) に矢を盛(も)る時に、上差に対して戦闘用に使用される最も大切な征矢のことです。
薙刀(なぎなた) 長い柄(え)の先に、刀(かたな)のような刃(は)をつけた武器のことです。
通常、柄(え)の長さは90〜180cm、刃(は)は30〜60cm程度で、刀(かたな)と同じ形状をし、小さめのが付いているのが一般的です。
刀(かたな)の部分の幅が細く反りが少ないものを「静型(しずかがた)」、幅が広く反りが大きなものを「巴型(ともえがた)」と呼び、刃(は)の長さが60cmを超え、柄(え)の長さが210cmを超えるようなものは「大薙刀(おおなぎなた)」と呼ばれます。
平安時代から南北朝時代には盛(さか)んに使われましたが、室町時代以後は槍(やり)に取って代わられました。
江戸時代になると、武家(ぶけ)の女性がたしなむ武道として再び盛(さか)んになったようです。
「長刀」とも書きます。
投頭巾形兜(なげずきんなりかぶと) 長い頭巾(ずきん)が頭の後方へ垂(た)れ、なびいている様子(ようす)を模(も)した兜のことを言います。
置手拭形兜から変形したものとも考えられているそうで、素材も鉄・ネリ革張懸けなどがあります。
鯰尾形兜(なまずおなりかぶと) 兜の頂上が鯰(なまず)の尾鰭(おびれ)のように丸くひらたい形の物を言います。
長くひらたい形式が一般的ですが、江戸時代には眉庇あたりに鯰(なまず)の目や髭(ひげ)を表現した物も現れました。
鯰籠手(なまずごて) 鯰(なまず)の頭に形が似ている手甲を備えた古式(こしき)の籠手のことで、平安時代後期頃に発生したと考えられています。
鉛柄杓(なまりびしゃく) 火縄銃の玉を作るための道具で、材料となる鉛(なまり)を火にかけて溶かす時に使います。
溶けた鉛(なまり)は玉型に流し込みます。
波頭(なみがしら) 文字通り、波の先端(せんたん)のことです。
波はその荒々しさと、様々(さまざま)に形を変え、寄せては返す様子が戦(いくさ)の駆け引きに例えられ、武具や家紋(かもん)の意匠(いしょう=デザイン)として用いられました。
「浪頭」と書く場合もあります。
波頭兜(なみがしらかぶと) 波頭を象(かたど)った変わり兜のことを言います。
いろいろな形がありますが明確(めいかく)な分類(ぶんるい)は難しいようです。
鳴門形兜と呼ばれる物もあります。
「波頭形兜(なみがしらなりかぶと)」とも言い、「浪頭兜」と書く場合もあります。
韋(なめしがわ) 毛と脂肪を取り除いて柔らかくした革のことを言います。
鳴門兜(なるとかぶと) 波頭兜の中で、特に頭のところで大きな渦巻(うずま)きを作っている物のことを言いますが、明確(めいかく)な分類(ぶんるい)は難しいようです。
有名な鳴門海峡(なるとかいきょう)の「鳴門の渦潮(なるとのうずしお)」が名前の由来(ゆらい)と考えられます。
「鳴門形兜(なるとなりかぶと)」とも言い、「鳴渡」と書く場合もあります。
縄目縅(なわめがらみ) もともとは最上段に位置する小札札頭に施(ほどこ)した威しの手法を言います。
威毛を左側の小札の下穴から表に出し、右側に並んだ小札の上穴から裏に抜きいて下におろし、再(ふたた)び下穴から表に出して次の小札の上穴へ、と続けていく手法を言います。
こうすると表に見える威毛の並び方が「////////」のようになり、これが縄(なわ)を縒(よ)ったように見えることからこう呼ばれます。
この手法で最上段のみでなく全体をす手法を「縄目威(なわめおどし)」と言い、甲冑には最も多く見られる威しの手法です。
南蛮兜(なんばんかぶと) 輸入された西洋甲冑の兜鉢(モリオン兜やキャバセット兜など)を利用して製作された兜のことを言います。
中央に立てたが矢弾槍刃を逸(そ)らせるのに良く、またそのデザインも好まれました。
これを真似(まね)たものに和製南蛮兜があります。
南蛮胴(なんばんどう) 輸入された西洋甲冑のを利用して製作された物で、前中央に立てたが矢弾槍刃を逸(そ)らせるのに良く、またそのデザインも好まれました。
前胴・後胴のそれぞれが別々になった両引合せで、前胴の下端が「V」字型になっているのが特徴です。
これを真似(まね)たものに和製南蛮胴があります。
また、このようにを立てた一般を鳩胸胴とも呼んでいます。
匂威(においおどし) 同じ色で濃(こ)いものから淡(あわ)いものへとぼかして威す形式を言います。
裾濃威の反対で上を濃(こ)く下を淡(あわ)く威す形式のことだとも言われますが、実際にはシコロ草摺でぼかしの方向を逆にしたり、上下方向ではなく左右方向に色をぼかしたり、裾濃威と同じように下に行くほど濃(こ)くぼかしたり(ただし萌黄色・黄櫨(こうろ=ハゼノキ)色にかぎる)する場合もあるようで、ぼかしの方向は必ずしも一定ではないようです。
「萌葱匂(もえぎのにおい)」「黄櫨匂(はじのにおい)」などがあります。
仁王胴(におうどう) 仏胴の中で、特に筋肉や骨の様子を隆々と打出し朱漆塗りや肉色塗などにした物を言います。
助骨(あばら)の様子を特に強く打出した物を「助骨胴(あばらどう)」とも言うようです。
膠(にかわ) 獣(けもの)や魚の骨・皮などを石灰水(せっかいすい)に浸(ひた)してから煮つめた液体(えきたい)を濃縮(のうしゅく)して冷やし、固めた物を言います。
接着剤(せっちゃくざい)や染色(せんしょく)などの用途(ようと)で使われました。
肉色塗(にくいろぬり) 肌色(はだいろ)の漆(うるし)を塗ることを言います。
二の腕(にのうで) 「上膊(じようはく)」「上腕(じようわん)」とも言い、腕(うで)の肩から肘(ひじ)までの間の部分を言います。
二枚胴(にまいどう) を前後に二分して、左側を蝶番(ちょうつがい)付とした形式です。
縫延胴(ぬいのべどう) 端(はじ)をわずかに重ねて革などで横縫(よこぬい)した伊予札札板が崩(くず)れるのを防ぐために、表に薄いを平(たい)らに貼って漆で固めたものを威して作られたのことです。
実際に伊予札を用(もち)いて作られたものを「本縫延(ほんぬいのべ)」切付札を用(もち)いて「本縫延(ほんぬいのべ)」のように見せたものを単に「縫延(ぬいのべ)」と言います。
表面を見ただけではどちらの手法であるかの判断は難しいですが、「本縫延(ほんぬいのべ)」引合せが楽なので丸胴形式が多く、「縫延(ぬいのべ)」は鉄板でかたいので二枚胴五枚胴形式が多いようです。
ネリ革(ねりかわ) 牛の生革(なまがわ)を火であぶり、またはを溶(と)いた水に浸して柔らかくした後、複数枚重ねて鉄の槌(つち)で叩き互いに密着させ、それを乾燥させて作った革のことを言います。
などに用(もち)いられ、「責革(せめかわ)」「撓革(いためがわ)」とも言います。
篦(の) 矢の柄(え)の部分を指し、通常は竹が使われます。
「矢篦(やがら)」とも言います。
喉輪(のどわ) 「咽輪」とも書き、月形蝙蝠付を用いてを取り付けた防具のことです。
首元から胸上部までを防御し、「首鎧(くびよろい)」「喉鎧(のどよろい)」「涎懸(よだれかけ)」「涎金(よだれがね)」とも言います。
曲輪と呼ばれる様式の物もあります。
は行 解説
白熊(はぐま) ヤクの毛の白い物のことを言います。
姜合当理(はじかみがったり) 中央の受筒を差し込む穴のところで二つ折り出来るようになった合当理のことです。
折り畳(たた)めるのでからの取り外しが可能です。
馬上沓(ばじょうぐつ) 臑(すね)の中ほどまでを覆(おお)う、丈(たけ)の長い毛皮製の沓(くつ)のことです。
猪(いのしし)・鹿・熊の毛などで作られ、身分の高い人は虎や豹(ひょう)などを使う場合もあったようです。
この他にと呼ばれる沓(くつ)もあります。
鉢付板(はちつけのいた) 兜にシコロを付ける時、兜の腰巻板と重なるシコロの最上段を言います。
半首(はつぷり) 額(ひたい)と両頬(りょうほほ)を防御する、「∩」字型をした面具です。
面具の中では最も古くから用いられていましたが、面頬の発達によって廃(すた)れていきました。
「はつむり」「はっぷり」とも言います。
鳩胸胴(はとむねどう) 鳩の胸を思わせる形状からこう呼ばれ、「面高胴(おもだかどう)」「沢瀉胴(おもだかどう)」などとも言います。
南蛮胴和製南蛮胴など、の中央にが立って盛り上がっている形式全般を指す場合と、特に仏胴の立てられた物を指す場合があるようです。
を立てる手法は稀(まれ)に小札を用いたでも行われました。
鼻紙袋(はながみぶくろ) の前下方に付けられた蓋(ふた)付の袋のことです。
袋の材質は毛織物やなど様々で、鼻紙を入れる袋とされますが、薬品・小物・金銭などを入れることもあり、当(つばあて)」「薬入れ」「弦(つる)入れ」などの名称もあるようです。
見栄(みば)えがしないので江戸時代の具足では付けていない物が多いようです。
馬面(ばめん) 馬の額(ひたい)から鼻にかけてを覆(おお)う面のことです。
唐鞍などの装飾(そうしょく)用に使われる「銀面(ぎんめん)」と、武装(ぶそう)用として使われた「龍面(りようめん)」があります。
通常は馬鎧と共に用(もち)いられました。
小型で額(ひたい)の部分だけを覆(おお)うようになっている物は「半馬面(はんばめん)」と言います。
早合(はやごう) 特に火縄銃で用いた、中に火薬を詰めた小さな筒(つつ)のことです。
発射準備の時間を短縮(たんしゅく)する目的で、一発分の黒色火薬をあらかじめ竹・紙・角(つの)などの筒(つつ)にいれ、さらに鉄砲玉も一個入れておく場合もあります。
また、10〜15発分を紐(ひも)でつなぎ、肩からかけられるようにした「襷早合(たすきはやごう)」と呼ばれる物もあります。
「早具(はやご)」とも言います。
腹当(はらあて) の正面と左右の脇のみを守る最小の鎧(よろい)で、鎌倉時代頃に軽武装(けいぶそう)用、下級者用の防具として用いられました。
草摺は三間の場合が多い様です。
祓立(はらいだて) 正しくは「祓立台(はらいだてだい)」と言います。
前立を差し込むための四角い筒状の台で、鎌倉時代末期頃は鍬形台の中央に付けられていましたが、室町時代には鍬形台に限らず眉庇中央に設けられるようになりました。
腹巻(はらまき) 背中で引合せる形式ののことを指しますが、古くは胴丸も含んでこう呼ぶ場合もあったようです。
南北朝時代頃の初期の形式には腹当から発展したことを示す共通点が多く見られます。
その後、室町時代になると臆病板を備え、兜やを伴(ともな)った完全武装用の装備として用いられました。
張懸け(はりかけ) 和紙(わし)などを張重ねた張子(はりこ)作りの形に漆(うるし)を塗った物を言います。
紙なので重量が少ない上に、様々な形を作ることが出来きます。
半籠手(はんごて) 腕(うで)の外側になる部分だけを鎖(くさり)で覆(おお)う、最も一般的な籠手の形式を言います。
このほかに打廻籠手と呼ばれる形式があります。
半舌鐙(はんじたあぶみ) の形式の一つで、壷鐙に足裏前方を載(の)せる「舌(した)」と呼ばれる部分が付いた物を言います。
平安時代の形式とされます。
柊(ひいらぎ) 木犀(もくせい)科の常緑樹(じょうりょくじゅ)で、葉の縁が鋭い棘(とげ)になっています。
「日本書記(にほんしょき)」には柊で矛(ほこ)を作ったことが記され、現在でも節分(せつぶん)に魔除(まよ)けとして用いられることからも分かるように、破魔(はま)の力があると信じられていたようです。
緋色(ひいろ) 濃く明るい赤色、または赤く鮮(あざ)やかな鳶色のことを言います。
「深紅色(しんこうしょく)」「スカーレット」とも呼ばれ、古くは「あけ」とも言ったようです。
引上綰(ひきあげわな) 小猿革に付けられた輪のことで、この輪をくぐらせて紐(ひも)を肩からかけ、佩楯が下がるのを防ぐために使われていたようです。
「小猿締(こさるしめ)」「壺の緒(つぼのお)」とも言います。
緒留革と呼ばれる形式もあるようです。
引合せ(ひきあわせ) の合せ目のこと、またはを合(あわ)せ留(と)めることを言います。
別名を「打合せ(うちあわせ)」とも言い、当世具足では「相引(あいびき)」「合引(あいびき)」とも言います。
引廻し(ひきまわし) 兜の附物の一つでシコロに沿って取り付けられた装飾のことを言います。
白熊黒熊赤熊などの他に、馬の毛や鳥の羽などを使って作られ、「シコロ蓑(しころみの)」とも呼ばれます。
これと似た物に兜蓑があります。
菱綴(ひしとじ) を連結するときに威毛が「×」字状になるように綴(と)じていく手法のことを言います。
表側は「×」字状ですが、外から見えない裏側は畦目綴とし、それによって紐(ひも)の長さを節約(せつやく)するなど実用を主とした手法です。
菱綴胴(ひしとじどう) 桶側胴で板を矧ぎ留めするときに菱綴としたものを言います。
また、で綴じた場合には漆(うるし)をかけて塗り固めました。
この他に鋲綴胴胸目綴胴があり、鋲綴胴の中には菱綴の形をまねた金属製の鋲(びょう)を使って菱綴胴のように見せたものもあります。
菱縫(ひしぬい) 特に装飾効果を目的として裾板に施(ほどこ)される菱綴のことを言います。
しかしながら実用性よりも美的効果に重点を置いている点、裏側でも威毛が「×」字状になって綴(と)じられている点が本来の菱綴と異なります。
また、通常は赤色系の糸を用いるのが原則とされます。
菱縫板(ひしぬいのいた) 札板の最下段のことで、威毛畦目綴菱縫の両手法として装飾されている板なのでこの名称で呼ばれます。
室町時代後期以降、板札が主流となるにしたがって衰退(すいたい)し、当世具足では菱縫のない方が一般的となったために裾板の名称が使われるようになりました。
直垂(ひたたれ) 前襟(まええり)がなく、襟(えり)を左右で引き合わせる衣装(いしょう)で、組紐(くみひも)の菊綴・胸紐(むねひも)があり、くくり袖の付いたものを言います。
通常は袴(はかま=ズボン)と合わせて着用し、もともとは庶民(しょみん)の平服(へいふく)でしたが、鎌倉時代以後は武家(ぶけ)の礼服(れいふく)となり、公家(くげ)でも常服(じょうふく)として用(もち)いられました。
なお菊綴の下など全体に5ヵ所、大きく家紋(かもん)を染め抜き、袴(はかま=ズボン)にも5ヵ所に家紋(かもん)を付けたものを特に「大紋(だいもん)」と言います。
引敷草摺(ひっしきのくさずり) 後方にある草摺のことを言います。
なお、反対側は前草摺と言います。
火縄(ひなわ) 檜(ひのき)の皮、竹の繊維または木綿糸(もめんいと)などを縄状(なわじょう)にした物の事で、よく燃えるように硝石をしみ込ませた物もあります。
火縄銃やタバコに火をつけるのに用(もち)いられました。
火縄銃(ひなわじゅう) 旧式(きゅうしき)の銃で、銃口(じゅうこう)から黒色火薬と玉を入れ、火皿(ひざら)にのせた口薬(くちぐすり=点火用の火薬)に火縄で火をつけて撃つ銃のことを言い、「火縄筒(ひなわづつ)」「種子島(たねがしま)」とも呼ばれます。
使用する玉の重さが30匁(さんじゅうもんめ=112.5g)以上の物を「大筒(おおづつ)」、10匁(じゅうもんめ=37.5g)程度の物を「中筒(ちゅうづつ)」、3匁(さんもんめ=11.3g)以下の物を「小筒(こづつ)」または「細筒(ほそづつ)」と呼ぶほか、生産地や用途(ようと)にちなんだ名称で呼ばれる場合もあります。
余談ですが、火皿(ひざら)には火蓋(ひぶた)という安全装置がついており、使用時には先ず火蓋(ひぶた)を開けて発射準備(はっしゃじゅんび)をする必要があります。
この動作を「火蓋を切る(ひぶたをきる)」と言い、現在では物事を始める時の文句(もんく)として使われています。
日根野ジコロ(ひねのじころ) 両肩に触れる部分が刳(えぐ)り上げられ、後背部は垂れ下がったようになっているため、シコロが独特の曲線を描いているのが特徴です。
普通、日根野頭形兜と組で用いられるようです。
日根野頭形兜(ひねのずなりかぶと) 「日根野形兜(ひねのなりかぶと)」「日根野兜(ひねのかぶと)」とも言います。
五枚張の頭形兜で、頭上の板が眉庇の下に潜り込んでいるのが特徴です。
またシコロは通常、日根野ジコロと呼ばれる物が用いられます。
「日根野」の名称は、日根野織部正(ひねのおりべのしょう)が考案したと言われていることに由来しますが、実際はそれ以前の室町時代末期から既に存在していたようです。
白檀塗(びゃくだんぬり) 一般に下地に金・銀を用いた上に透漆を塗る方法を言い、金白檀塗銀白檀塗があります。
下地と透漆の種類によって色味はさまざまあるようです。
鋲綴胴(びょうとじどう) 桶側胴で板を矧ぎ留めするときに鋲(びょう)を使ったものを言います。
鋲(びょう)は鉄・真鍮金銅などの金属製で、形は笠鋲(かさびょう)・家紋入り丸鋲(かもんいりまるびょう)などがありますが、中には菱綴の形をまねた鋲(びょう)を使って菱綴胴のように見せたものもあります。
「鋲カガリ胴(びょうかがりどう)」「鋲固胴(びょうかためどう)」「釘綴胴(くぎとじどう)」ともいい、「鋲纈」「鋲閉」とも書きます。
この他に菱綴胴胸目綴胴があります。
平札(ひらざね) 鎌倉時代末期頃から行われた盛上札と区別するため、それ以前の表面が平らなのことを指して言います。
「平小札(ひらこざね)」とも言います。
天鵞絨(びろーど) 13世紀イタリアが発祥地(はっしょうち)と言われ、日本へは16世紀にポルトガル人によってもたらされたようです。
素材は綿・絹(きぬ)・毛などで、細かな毛を立て、滑(なめ)らかでつやのある織り方をした織物のことです。
「ベルベット」とも言います。
広袖(ひろそで) の形式の一つで、下に行くほど幅が広くなる形式を言います。
南北朝時代から室町時代前期に発生し、主に胴丸に添(そ)えて使われました。
室町時代後期頃になると腹巻にも用(もち)いられるようになったと考えられています。
これと逆の形式を壷袖と言います。
瓢籠手(ふくべごて) 瓢(ふくべ=ひょうたん)型の座盤を使った籠手のことで、瓢(ふくべ=ひょうたん)には「皺瓢(しわふくべ)」「平瓢(ひらふくべ)」があります。
「皺瓢(しわふくべ)」は文字通り表面に皺(しわ)があり、当初は瓦(かわら)状の細い板を重ね上下四ヵ所を鋲(びょう)止めした手の込んだものでしたが、後には一枚の板に皺(しわ)を打出したものに変わりました。
「平瓢(ひらふくべ)」は表面が平らで、江戸時代後期には稀(まれ)に皺(ふくべ=ひょうたん)の部分を蝶番(ちょうつがい)で開閉できる蓋(ふた)とし、中に薬や小物を入れられるようにした物もあります。
二の腕にある瓢(ふくべ=ひょうたん)を「一の瓢」「肩の瓢」と言い、小手にある瓢(ふくべ=ひょうたん)を「二の瓢」「手先の瓢」と言うようです。
別名を小田籠手と言います。
覆輪(ふくりん) 多くは刀のなどで行われた、器具の「へり」を縁取(ふちど)り装飾することを言います。
五倍子(ふし) ウルシ科の植物である白膠木(ぬるで)の若芽や若葉などに寄生したアブラムシの一種(ヌルデノミミフシ)が作る虫瘤(むしこぶ)を乾燥したもので、染物(そめもの)やインクの製造に用(もち)いるほか、昔は御歯黒に用(もち)いられました。
「付子」「附子」とも書き、「ごばいし」とも言います。
熏韋(ふすべがわ) 藁(わら)や松葉(まつば)で燻(いぶ)して茶色くしたのことで、燻(いぶす)すことによって水に強くなるそうです。
特に鹿(しか)革について言うことが多いようです。
模様によって鶉巻と呼ばれる物もあります。
伏縫(ふせぬい) 通常、「伏組(ふせぐみ)」と呼ばれるのが一般的なようです。
絵韋小縁韋を突合(つきあわ)せて、紐(ひも)状に縫付(ぬいつ)ける装飾を言います。
伏眉庇(ふせまびさし) 付眉庇の中で、中央部分にはふくらみを持たせながらも兜鉢からほぼ垂直(すいちょく)に下がるように取り付けられた眉庇のことを言います。
復古調(ふっこちょう) 江戸時代中期以降の平和な時代に、大鎧の様式を再現して作られた(=復古:ふっこ)甲冑のことをいいます。
この時代、甲冑は専(もっぱ)ら飾ることを目的としている場合が多く、実用面よりも古式甲冑の華美(かび)な装飾と外観的な見栄(みば)えの良さが好(この)まれました。
大鎧に似てはいますが完全な模造(もぞう)ではなく、胴丸腹巻の形式にした場合や細部で当世具足の様式を残した物などが見られます。
「復古調の甲冑(ふっこちょうのかっちゅう)」「復古鎧(ふっこよろい)」とも呼ばれます。
船手具足(ふなてぐそく) ネリ革製で比較的大き目の魚鱗札にきざんだ麻糸(あさいと)を混ぜた漆(うるし)を荒く塗り、気泡(きほう)を作らせた物を家地にとじた具足でています。
水に入るとこの鱗(うろこ)が逆立って水の抵抗(ていこう)を増し、浮き袋の役目をすると言われています。
これと似た物に鱗具足があります。
踏込佩楯(ふんごみはいだて) 佩楯で、左右の大腿部(だいたいぶ)正面を護(まも)る部分の裏側下方に阿伊佐を設(もう)けた形式のものを言います。
これにより佩楯が大腿部(だいたいぶ)に当るのを防ぐことができ、歩いて動くのに適しています。
足を踏込むようにして着用する事からこの名称(めいしょう)が付いたようです。
「踏込(ふんごみ)」「踏込形(ふんごみがた)」とも呼ばれ、千切り踏込鎖踏込などの形式もあります。
弁柄(べんがら) 漆(うるし)に弁柄(べんがら=赤色酸化鉄:せきしょくさんかてつ)を混ぜた赤色漆(あかいろうるし)のことを言います。
赤色漆(あかいろうるし)には「朱漆」と呼ばれる物もありますが、弁柄(べんがら)は朱に較(くら)べて色が鈍(にぶ)く茶味(ちゃみ)を帯びているため、通常は区別して呼ばれます。
別名を「赤塗(あかぬり)」とも言います。
鳳凰(ほうおう) 孔雀(くじゃく)に似た伝説上のめでたい鳥で、中国では偉大(いだい)な皇帝(こうてい)が現(あらわ)れる験(しるし)とされていたようです。
ちなみに「鳳」は雄(オス)、「凰」は雌(メス)のことを指すのだそうです。
宝珠(ほうじゅ) 正しくは「如意宝珠(にょいほうじゅ)」と呼ばれ、これを持つと何でも願いが叶(かな)うと言う宝の玉のことです。
球体の一部分がとがった、「雫(しずく)」の様な形をしています。
宝幢(ほうどう) 「法幢」とも書きます。
@:仏教で用いられる幢幡(どうばん=旗)のことです。
通常、旗(はた)の下部に数本に分かれた布が垂(た)れ、竿(さお)の先などにつけてお堂に飾ります。
A:大小の輪を数個、小さい輪から順につなげて下に行くほど輪を大きくした荘厳具(しょうごんぐ=飾り)のことです。
こちらもお堂などに飾ります。
従来、「宝幢佩楯」の語源(ごげん)としては@の説が一般的ですが、Aの形状の方がより実物の宝幢佩楯に近いことを考えますと、語源(ごげん)としてはAの方が受け入れやすいと思われます。
宝幢佩楯(ほうどうはいだて) @:室町時代に行われた形式の佩楯を言います。
膝(ひざ)までの小袴(こばかま=半ズボン)状の家地に、大腿部(だいたいぶ)を包(つつ)むように湾曲(わんきょく)した札板を3段ほど素懸威とし、先端の膝(ひざ)にかかる部分には分割した草摺状の札板威し付けています。
通常、大腿部の札板は表裏逆にされ、足の動きに合わせて曲がりやすいように小札の重ねは通常と逆にし、足の形に合わせて下に行くほど細くしてあります。
A:江戸時代に行われた佩楯の形式で、札板は@のような筒(つつ)状ではなく、ごく一般的な佩楯の形式と同じ平面状ですが、下部が分割された形式のものを言います。
いずれの場合も宝幢に似(に)ていることからこう呼ばれます。
星兜(ほしかぶと) 兜鉢天辺から腰巻板までを分割する縦板同士を留めるのに、星鋲を用いた兜を言い、星鋲が大きい物を「厳星(いかぼし)兜」、小さい物を「小星(こぼし)兜」と言う場合もあります。
星鋲(ほしびょう) 兜鉢を分割する縦板同士をつなぎ留めるのに用いた円錐(えんすい)状の鋲(びょう)のことです。
発手(ほって) の最下端のことです。
「放手」「法手」「堀手」「保天」「発天」とも表記し、「胴尻(どうじり)」「草摺附の板(くさずりづけのいた)」「矢腰(やごし)」「箙腰(えびらごし)」「鞍突(くらつき)」とも言います。
解胴(ほどきどう) 雪の下胴の別名で、蝶番(ちょうつがい)に通された栓(せん)を抜くとを分解することができるので付いた名称とされています。
特に伊達家(だてけ)でこの名称が使われたようです。
仏胴(ほとけどう) 表面に継ぎ目の無いのことを言い、すっぺりした状態を仏像の胸に例えたのが名前の由来(ゆらい)と言われます。
南蛮胴の影響を受けた形式と言われ、通常は二枚胴となっています。
本来は一枚板で形成された物を言いますが、一枚板は製作が難しいため、実際はほとんどが桶側仏胴包仏胴だそうです。
見た目が単調ななので、仁王胴鳩胸胴段替胴にしたり、文字などを打出しして変化をつけることもあったようです。
母衣(ほろ) 鎧(よろい)の背につけて後ろからの流れ矢を防ぎ、また存在を示す標(しる)しとして使われた幅の広い布のことを言います。
平安時代末期頃は長い布状(ぬのじょう)で「懸母衣(かけぼろ)」と呼ばれ、そのまま背に垂(た)らすか下の端(はし)を腰(こし)に結んで用(もち)いました。
この状態で馬を走らせると布が風でなびいたり膨(ふく)らんだりして背面からの流れ矢を防ぐ役目をしたようです。
室町時代頃からは風が無くても常に布が膨(ふく)らんだ状態になるように中に母衣籠を入れ母衣串によって受筒に差し込むようになったため、指物として用(もち)いられるようになりました。
布の色によって「赤母衣(あかほろ)」「黒母衣(くろほろ)」「黄母衣(きほろ)」などと呼ばれます。
これらは特に主君から許可(きょか)を得た者や使番だけが使用を許される名誉(めいよ)の指物とされ、もし討ち取った相手がつけていた場合は分捕(ぶんど)って証拠(しょうこ)とする慣(なら)わしもあったようです。
「幌」「保侶」「母羅」とも書きます。
母衣籠(ほろかご) 風が無くても常に母衣が膨(ふく)らんだ状態に出来るよう中に入れた籠(かご)状のものを言います。
素材(そざい)は竹のほか鯨(くじら)の髭(ひげ)や藤(とう)、金属などが使われたようです。
母衣串によって受筒に差し込んで使われます。
「母衣骨(ほろぼね)」とも言うようです。
母衣串(ほろぐし) 母衣籠の端(はし)に取り付けられた、母衣受筒に差し込むための棒(ぼう)のことです。
梵字(ぼんじ) 一般的にはサンスクリット語(=古代インドで使われた言葉)を表すための書体とされています。
日本では「悉曇(しったん)」とも呼ばれ、一文字で色々な神仏を表す場合もあります。
本地仏(ほんじぶつ) 「本地(ほんじ)」は本当の姿という意味で、本来の姿の仏(ほとけ)という意味です。
ま行 解説
前懸具足(まえかけぐそく) 腹当のようにの正面と左右の脇のみを守る具足で、室町時代末期頃からの御貸具足に見られます。
また、上級武士の軽武装(けいぶそう)用に作られた高級品もあるようです。
前草摺(まえのくさずり) 前方にある草摺のことを言います。
なお、反対側は引敷草摺と言います。
前引合具足(まえひきあわせぐそく) 当世具足では特に、江戸時代に行われた引合せの正面に備えた形式の具足を言います。
正面が開くので脱着(だっちゃく)には便利ですが、防御(ぼうぎょ)の面で不安が有るためか、あまり流行しなかったようです。
前輪(まえわ) 鞍橋の前部で、山形に高くなっている板状の部分を言います。
居木によって後輪とつながれています。
蒔絵(まきえ) 漆で絵や文様を描き、その漆が乾かないうちに上から金や銀の粉を蒔(ま)いて付着させる技法を言います。
金の粉を蒔(ま)いたものを「金蒔絵(きんまきえ)」、銀の粉を蒔(ま)いたものを「銀蒔絵(ぎんまきえ)」と言いい、単純に金銀粉を蒔(ま)いただけの「平蒔絵(ひらまきえ)」、金銀粉を蒔(ま)いた後でさらに漆をかけて研(と)ぎ出す「研出蒔絵(とぎだしまきえ)」、絵の部分を高く盛り上げた「高蒔絵(たかまきえ)」など沢山の種類があります。
眉庇(まびさし) 兜の腰巻板前面部分に取り付けられた金具廻りで、文字通り庇(ひさし)のことです。
額(ひたい)の防御や、日光や雨を防いだり前立を取り付ける場所としても使われます。
形状によって付眉庇卸眉庇内眉庇などに分けられます。
摩利支天(まりしてん) 陽炎(かげろう)を神格化した仏様で、信仰する者は陽炎(かげろう)のごとく姿が見えず、縛られず、捉えられず、能(よ)く敵を破るとされたために、武士や忍者の守護神としてもてはやされました。
その姿は天女(てんにょ)であったり、猪(いのしし)の背に乗った二臂(にび=腕が二本)、あるいは三面六臂(さんめんろっぴ=顔が三つに腕が六本)の男神像であったりします。
丸胴(まるどう) の左側に蝶番(ちょうつがい)を設(もう)けず、胴丸のようにした形式のもので、高級品に多いようです。
「丸胴具足(まるどうぐそく)」、あるいはかつての胴丸に等(ひと)しいと言う意味で、「昔具足(むかしぐそく)」とも言います。
饅頭ジコロ(まんじゅうじころ) 少し膨(ふく)らみのある一の板をほぼ水平に張り出し、二の板以下にも膨(ふく)らみを付け、全体に丸いカーブを描くように作られた当世ジコロのことを言います。
中世の笠ジコロの影響を受けていると思われ、「満仲ジコロ」とも書きます。
満智羅(まんちら) 肩の周囲(しゅうい)を護(まも)るため、西洋甲冑の肩甲(かたよろい=パウルドロン、ゴージュなど)を取り入れた小具足の一つで、鉄製・布・鎖(くさり)製などがあります。
鉄製は西洋甲冑のものをそのまま利用した場合と真似て作った場合があり、の上に着用(ちゃくよう)するのが原則なので「上満智羅(うわまんちら)」と呼ばれます。
布製は家地の中に亀甲金や鎖(くさり)を包(つつ)み込んだもので、の下に着用(ちゃくよう)するため「下満智羅(したまんちら)」と呼ばれます。
一般的な形式は襟廻肩当脇曳などを兼用(けんよう)した形となっています。
鎖(くさり)製は稀(まれ)で、鎖(くさり)を家地に綴(と)じ付けて作られています。
形式は布製と同じです。
「満散」「満知羅」「満乳羅」「摩牟知羅」「饅頭輪」とも書きます。
見上(みあげ) 出眉庇の内側のことを言います。
「眉上」「観上」とも書きます。
見上皺(みあげしわ) 眉庇を額(ひたい)に見立て、皺(しわ)を打出した物のことです。
室町時代末期頃から行われ、見上の表側に有ることからこう呼ばれます。
このほかに打眉と呼ばれる物もあります。
三立羽(みたてば) 矢羽の付け方で、羽を上・左斜め下・右斜め下の三ヶ所に付ける形式を言います。
三ヶ所に付けた羽の裾(すそ)が僅(わず)かによじれているため、矢が回転しながら飛び、対象物により深く突き刺さります。
征矢に多く用いられました。
この他、四立羽と呼ばれる形式もあります。
三鍬形(みつくわがた) 鍬形台の中央に祓立を一つ追加し、そこに剣形(けんがた)の立物を差し込んで、全体が「山」の字型に見える立物のことをこう言います。
特に室町時代頃、好(この)んで行われたようです。
水浅葱(みずあさぎ) 薄(うす)い浅葱色のことで、水色(みずいろ)のことです。
水呑緒(みずのみのお) の後方中段に設(もう)けられた水呑鐶総角を結ぶ紐(ひも)のことで、体を前方に傾(かたむ)けた時にが前へ垂れ下がってくるのを防ぎます。
水を飲む時に体を前に傾けることからこの名がついたとされます。
総角中央の結び目付近、あるいは総角の台座(だいざ)の輪(わ)に四方手結びにします。
水呑鐶(みずのみのかん) の3段目か4段目の後方に設(もう)けられ、水呑緒を結ぶための輪(リング)のことを言います。
古くはの裏側(うらがわ)に付けられていましたが、鎌倉時代後期以降はの表側(おもてがわ)に笄金物を伴(ともな)って付けられることが一般的となったようです。
耳糸(みみいと) 「耳絲」とも書き、各札板の両端(りょうはじ)を縦(たて)に威している威糸のことです。
古くは普通の威糸よりも厚い「二重打(ふたえうち)」を用いましたが、後世では単なる「平打(ひらうち)」となりました。
また畦目綴と同じ柄(がら)にするのが原則(げんそく)のようです。
ちなみに威した場合でも「耳糸」と呼びます。
骸持(むくろもち) 「腰枕(こしまくら)」とも言い、3cm角くらいの小さな座布団(ざぶとん)状の物を言います。
待受を紐(ひも)でに結び留める際、待受の下に敷いて一緒に取り付けます。
また待受を使わずに、座布団(ざぶとん)の中央から紐(ひも)を出して受筒を直接に結び留める物もあります。
鞭差穴(むちさしのあな) 佩楯家地正面部分左右に一ヶ所づつ開けられた、縦切り込みのことです。
乗馬用の鞭(むち)を使わない時に差すための穴と言われています。
胸板(むないた) 前立挙上部に接続する金具廻りのことです。
覆輪した鉄板などで作られ、左右の端(はし)に肩上と連結する為の高紐が付きます。
当世具足では鬼会と呼ばれます。
胸繋(むながい) 三懸の一つで、鞍橋を固定するために馬の胸から前輪四方手にかけて取り回す紐(ひも)のことです。
胸目綴胴(むなめとじどう) 「畦目綴胴(うなめとじどう)」ともいい、桶側胴で板を矧ぎ留めするときに畦目綴としたものを言います。
越中流具足には良く見られ、で綴じた場合には漆(うるし)をかけて塗り固めました。
この他に鋲綴胴菱綴胴があります。
胸当(むねあて) 火縄銃の訓練などをする際に、着物の合わせ目から火の粉が入らないように着用した前掛(まえか)けです。
通常、正面に家紋(かもん)が付けられていますが、これは着ている人物が誰であるか遠くから見ても分かるようにするための工夫(くふう)だと言われています。
このほか火事装束としても用(もち)いられたようです。
廻鉢(めぐりばち) 「まわりばち」とも言います。
兜鉢を二重構造とし、表(上)側の兜鉢天辺を中心に360°回転する仕掛けとなった物を言います。
矢弾刀槍が当たった場合、兜鉢が回転することで衝撃を和(やわ)らげる効果があるとされています。
召替用具足(めしかえようぐそく) 文字通り着替(きが)え用の具足で、一説には予備(よび)の具足だとも言われます。
「召替具足(めしかえぐそく)」「替具足(かえぐそく)」とも言います。
馬手(めて) @:右側のことを言います。
手綱を握(にぎ)るのが右手であることから付いた名称です。
また、矢を引くところから「引手(ひきで)」とも言われます。
反対側は射向と言います。
A:馬手差しのことです。
馬手草摺(めてのくさずり) 馬手側の草摺のことを言います。
大鎧では右側の脇楯に取り付けられた一枚、腹当などで草摺が三枚の場合には右端の一枚、その他の場合では引合せの前後二間の草摺を言います。
当世具足では「馬手先(めてさき)」とも言います。
なお、反対側は射向草摺と言います。
馬手袖(めてのそで) 馬手側ののことを言います。
反対側は射向袖と言います。
面頬(めんぽお) 面具である「半頬(はんぼお)」「目下頬(めのしたぼお)」「総面(そうめん)」の総称です。
「半頬(はんぼお)」半首を逆さまにしたような「U」字型で、両頬(りょうほほ)と顎(あご)を防御します。
古くは「頬当(ほおあて)」とも呼ばれ、の付いていない物もありました。
「目下頬(めのしたぼお)」「半頬(はんぼお)」に鼻を守る部分を付け足したもので、鼻の部分を脱着式(だっちゃくしき)として「半頬(はんぼお)」としても使えるようになった物もあります。
「総面(そうめん)」は顔全体を覆(おお)う物です。
蒙古鉢(もうこばち) 兜鉢の形状が、蒙古(もうこ=モンゴル)や中央アジア辺りで使われていた兜に似ている物を言います。
帽子(もうす) 「帽子」と書いて「もうす」と読みます。
文字通り、仏教(ぶっきょう)の僧侶(そうりょ)がかぶる帽子(ぼうし)や頭巾(ずきん)のことを言います。
宗派(しゅうは)によっていろいろな形があるようです。
帽子形兜(もうすなりかぶと) 鉄・ネリ革張懸けなどで帽子を模(も)した兜のことを言います。
萌黄色(もえぎいろ) 「萌葱」または「萌木」とも書き、春になって萌え出た若葉のように冴(さ)えた黄緑色です。
最上胴(もがみどう) 札板の代(か)わりに板札素懸威毛引威にした五枚胴形式ののことを言います。
腰韋附にした物などもあり、一説に出羽(でわ=秋田県・山形県)の最上地方(もがみちほう)で作られたのが名前の由来(ゆらい)と言われています。
古くは「金銅(かなどう)」「鉄胴(かなどう)」とも呼ばれていたようです。
桃形兜(ももなりかぶと) 文字通り、桃の実に似た形の兜のことです。
西洋甲冑の手法から生じた日本製の兜で、古い形式では前から後ろへ、兜の中心線に張り合わせた筋が状となっていますが、時代が下ると前方だけがとなりました。
盛上札(もりあげざね) 札頭の右半分に木屎などを混(ま)ぜた漆(うるし)を盛上げて、あたかも厚みがあるように見せたのことを言います。
見た目が良いのと丈夫(じょうぶ)になるので鎌倉時代末期以降から流行しました。
「盛上小札(もりあげこざね)」とも言い、切付札でも盛上げが行われるようになってからは「盛上本小札(もりあげほんこざね)」「本小札(ほんこざね)」とも呼ばれます。
諸籠手(もろごて) 文字通り、籠手を両手に着用する事を言います。
鎌倉時代末期以降、戦(いくさ)の方法が徒歩(とほ)による集団接近戦(しゅうだんせっきんせん)に変わると、防御力(ぼうぎょりょく)をより高める必要が生(しょう)じ、両手に籠手を着用したのでこう呼ばれます。
「双籠手」「両籠手」とも書きます。
なお、片方(かたほう)の手にだけ着用する場合は片籠手と言います。
紋柄威(もんがらおどし) 威糸を使って家紋(かもん)や文様(もんよう)などを描く威しの手法を言います。
文様(もんよう)には「日の丸」・「卍(まんじ)」・「三日月」・「巴(ともえ)」・「菊」・「文字」など色々あります。
や行 解説
八重鎖(やえぐさり) 重鎖の中で、一つの輪に四つの輪を組んで編(あ)まれた鎖(くさり)のことを言います。
西洋からもたらされた技法で、これの非常に細かいものは「縮緬南蛮(ちりめんなんばん)」と呼ばれます。
別名を青海波とも言います。
ヤク(やく) チベット原産の牛の仲間で、体は高地に適応して長い体毛で覆(おお)われています。
毛が武具などに使われ、毛の色によって白熊黒熊赤熊の呼び名があります。
鏃(やじり) 矢の先端に付け、あたった時に突き刺さる部分を言います。
普通は鉄製ですが、古くは石・骨・銅・木などが用(もち)いられることもありました。
いろいろな形と種類がありますが、大きくは「尖り矢(とがりや)」「平根(ひらね)」雁股に分けられます。
「尖り矢(とがりや)」は貫通(かんつう)用、「平根(ひらね)」腸繰と呼ばれる形式に代表される、より殺傷(さっしょう)力のある物、雁股は実用よりも儀礼的(ぎれいてき)な意味が強いとされているようです。
「矢尻」「矢の根(やのね)」とも言います。
矢留冠(やどまりのかんむり) @:仕付袖冠板置袖の一番上の板を折冠のように小さく「L」字型に外へ折り返した形式の物を言います。
A:障子板の別名です。
いずれの場合も、側面から飛んでくる矢を止める防具という意味でこう呼ばれます。
「矢止冠」とも書きます。
矢羽(やばね) 矢に用いる羽のことで、鳥の羽が使われます。
色々な鳥の羽が使われたようですが、特に鷲(わし)と鷹(たか)の羽が珍重(ちんちょう)されました。
羽の模様(もよう)によって百以上もの名称があり、尾羽(おばね=しっぽのはね)の場所によってもそれぞれ名称があります。
また、白い羽に模様を染め出した「染羽(そめは)」と呼ばれるものもあります。
大和鞍(やまとぐら) 飾り鞍の中でも唐鞍に対して和風(わふう=日本風)の馬具(ばぐ)のことを言います。
前輪後輪居木先をはめて構成された鞍橋、二枚重ねの下鞍泥障などが特徴(とくちょう)です。
「倭鞍(やまとぐら)」とも書き、「わぐら」とも言います。
野郎頭(やろうとう) 毛を植えた兜の一つで、後ろで髻(もとどり=たばねた髪)を結った髪型の物です。
八幡黒(やわたぐろ) 当世具足に用(もち)いられた黒い威糸のことです。
山城国 (やましろのくに=京都府)八幡(やわた)に住む神人によって染(そ)められたのでこう呼ばれます。
五倍子による鉄媒染のため、時間が経(た)つと鉄分(てつぶん)が変化して威糸が痛みやすいという弱点があります。
ユガケ(ゆがけ) 弓を射るときに手の指を保護(ほご)するために用(もち)いる製の手袋のことです。
左右一対(さゆういっつい)のものを「諸ユガケ(もろゆがけ)」「一具ユガケ(いちぐゆがけ)」、弦(つる)を引く方の手用のものを「的ユガケ(まとゆがけ)」、弦(つる)を引く方の手用で小指を除く4本の指だけを覆(お)おうものを「四つ掛け(よつがけ)」などと言います。
「弓懸」とも書き、「弦弾(つるはじき)」「弓懸(ゆみかけ)」「手覆(ておおい)」と呼ぶ場合もあるようです。
弓台(ゆみだい) 二張(ふたはり=二本)の弓を矢籠とともに持ち運びが出来るようにするための器具のことです。
八日月(ようかづき) 月が新月(しんげつ=1日目の真っ暗な月)から満月(まんげつ=15日目)にいたる途中、八日目頃の上方が欠けた月のことを言います。
「上弦月(じょうげんのつき)」「弓張月(ゆみはりづき)」「半月(はんげつ)」とも言います。
横矧(よこはぎ) 板札を横に矧(は)ぎ合わせることを言います。
四立羽(よたてば) 矢羽の付け方で、羽を上下左右の四ヶ所に付ける形式を言います。
羽を四ヶ所に付けると、矢が水平に飛ぶようになります。
鏑矢などに用いられます。
この他、三立羽と呼ばれる形式もあります。
鎧着初め(よろいきぞめ) 武家(ぶけ)の男子が13、14歳になったとき、初めて具足を身につける儀式(ぎしき)のことを言います。
「具足始め(ぐそくはじめ)」とも言います。
鎧通(よろいどおし) @:戦場で組討の際、鎧(よろい)の隙間(すきま)や鎧(よろい)の上から相手を刺すために用いられた分厚(ぶあつ)く反(そ)りのほとんど無い鋭利(えいり)な短刀(たんとう)のことです。
長さは大体30cm程度で、右手を左腰にまわす手間(てま)を省くため右の腰に差したところから馬手差し(めてざし)」「めて」とも呼ばれ、栗形帯留め拵えも通常の反対側に付けられています。
A:の一種で、太く鋭(するど)いものを言います。
四枚胴(よんまいどう) 蝶番(ちょうつがい)を三ヶ所に設(もう)けて四片で構成(こうせい)された形式のをこう呼んでいます。
蝶番(ちょうつがい)を「・」で表すと、右脇前板・前板・背板・右脇後板、の三ヶ所蝶番(ちょうつがい)四枚分割となります。
ら行 解説
雷文(らいもん) 雷の稲妻(いなずま)を図案化(ずあんか)した、角張(かくば)った渦巻(うずま)き文様(もんよう)のことです。
中国では古代から用(もち)いられていたようですが、日本ではラーメンの器(うつわ)などでよく目にします。
また「稲妻紋(いなづまもん)」として家紋(かもん)にも使われ、いろいろな種類があります。
羅紗(らしゃ) ポルトガルからもたらされた、羊毛(ようもう)を密(みつ)に織(お)って毛を(た)起たせた厚地(あつじ)の毛織物(けおりもの)です。
陣羽織などに使われ、緋色のものは特に猩猩緋と呼ばれることがあるようです。
螺鈿(らでん) 青貝薄板貝を様々な形に切った物を、漆塗りや木の素材に嵌(は)め込んで模様を描く方法のことを言います。
奈良時代にはすでに行われていたそうです。
両乳鐶(りょうちちのかん) 采幣付鐶手拭付鐶のことを言います。
それぞれの鐶(かん=輪)が両胸に付いていることからこう呼ばれます。
「りょうちのかん」とも言います。
両引合せ(りょうびきあわせ) が前胴・後胴の二枚に分割されている場合、を着用した時に左右両側で引合せをする形式を言います。
瑠璃斎胴(るりさいどう) 鬼会中央から立挙にかけて一部が取り外せるか、開閉出来るようになったのことで、具足を着用したまま懐中(かいちゅう)の物を取り出す為の工夫(くふう)と言われますが、明確な理由や用途は不明なようです。
江戸寛永(かんえい)の頃、源右衛門瑠璃斎という軍学者(ぐんがくしゃ)が考案したのが名前の由来(ゆらい)とされていますが、こちらも確かでは無いようです。
連尺(れんじゃく) 荷(に)を背負(せお)う時に用いる、布やで作られた紐(ひも)の事を言います。
連尺胴(れんじゃくどう) 仙台胴など、非常に重量のあるを着用するために考案(こうあん)されたの事です。
押付板と前胴の発手にそれぞれ二ヵ所穴を開け、その穴からの内側に連尺を通し、肩でを背負(せお)って重量を軽減(けいげん)させる仕組みになっています。
「連雀胴」とも書き、別名を「笈掛胴(おいかけどう)」とも言います。
老頭(ろうとう) 老人が髪を曲げて束(たば)ねた形を模した兜のことです。
毛を植える場合は老人らしく白、または半白の毛を用います。
六枚胴(ろくまいどう) 四ヶ所蝶番(ちょうつがい)の五枚胴を、前胴と後胴の二つに分割し、両脇で引合せる形式とした物を言います。
前胴と後胴のそれぞれが二ヶ所蝶番(ちょうつがい)三枚分割で構成されるのでこう呼ばれます。
前胴だけを着用すれば腹当前懸具足のように軽武装(けいぶそう)として使用出来る利点がある反面、両引合せの手間がかかったり、前胴と後胴がうまく伴わないなど着用時の苦労が多く、遺物は少ないようです。
また、五枚胴の左脇板に蝶番(ちょうつがい)を一つ追加して二枚構成とし、全体を連(つら)なった六片に分割する形式もあるようです。
蝶番(ちょうつがい)を「・」で表すと、右脇前板・前板・左脇前板・左脇後板・背板・右脇後板、の五ヶ所蝶番(ちょうつがい)六枚分割となります。
わ行 解説
脇楯(わいだて) 大鎧の右側面を防御(ぼうぎょ)する独立した板のことです。
壷板蝙蝠付馬手草摺の三部によって構成されます。
脇板(わきいた) 文字通り、の両脇(りょうわき)にある金具廻りのことで、脇の下に出来る隙間(すきま)を防御(ぼうぎょ)します。
胸板と同様に覆輪した鉄板などで作られることが多いようですが、当世具足では「威しつけ」とされます。
脇差(わきざし) @:大刀(だいとう)の脇(わき)に差す刀(かたな)の意味で、腰(こし)に大小2本の刀(かたな)を差す場合に小さい方の刀(かたな)のことを言います。
A:腰刀のことです。
B:近世、町民(ちょうみん)などが旅をする際に護身用(ごしんよう)として腰(こし)に差した刀(かたな)のことで、「道中差し(どうちゅうざし)」とも言います。
脇曳(わきびき) @:脇の下に出来る隙間(すきま)を防御(ぼうぎょ)するために用いられた、とは独立した「凹(おう)」字型の防具を言います。
を着る前に肩から掛けるものを「掛脇曳(かけわきびき)」と言い、それを紐(ひも)で左右つなげたものを「連脇曳(つれわきびき)」と言います。
A:同じく脇の下の隙間(すきま)を防御(ぼうぎょ)するために脇板に仕付(しつ)けて、先端から出した紐(ひも)を肩上に結ぶ形式のもので、
「付脇曳(つけわきびき)」「釣脇曳(つりわきびき)」などと言います。
いづれも「脇引」とも書き、「脇当(わきあて)」「脇(わき)」「脇摺(わきずり)」とも呼ばれます。
和製南蛮兜(わせいなんばんかぶと) 文字通り西洋甲冑の兜を模(も)して日本で作られた南蛮兜のことです。
和製南蛮胴(わせいなんばんどう) 文字通り日本で作られた南蛮胴のことです。
南蛮胴に使われる西洋甲冑の輸入量が非常に少なかった事もあって、日本の甲冑師がその形式を真似(まね)て作った物の事を言います。
二枚胴で、前胴の下端は草摺が付けやすいように一直線になっているのが普通です。
また、このようにを立てた一般を鳩胸胴とも呼んでいます。
肩上(わだかみ) 「わたかみ」とも言い、「綿噛」「肩噛」「綿紙」「綿咬」の字を用います。
の肩に当たる部分で、押付板の上部から頚(くび)の左右に沿(そ)って前に出され、前方で高紐を使って胸板もしくは前立挙と掛(か)け留めします。
当世具足ではここに肩当襟廻小鰭などが付きます。
腸繰(わたくり) の一種で、傷口(きずぐち)を大きくしより深手(ふかで)を与える目的で使われました。
先端の尖(とが)った部分の反対側に大きなそり返しを付け、腹部などに刺さった矢を抜くときにはその部分が引っかかって腸を繰(く)り出すことから付いた名称のようです。
輪貫(わぬき) 「◎」のように中心をくり貫いた、ドーナツ状の円盤(えんばん)のことを言います。
立物指物を始め、家紋(かもん)のデザインとしても用いられます。
輪の太さによって異なる名称で呼ばれる場合もあるようです。
草鞋(わらじ) 藁(わら)を編んで作られたサンダル状の履物(はきもの)のことを言います。
使いやすい上に材料入手も簡単で、大量生産が可能なことから南北朝時代頃にはかなりの身分の者でも足袋(たび=くつした)とともに着用するようになりました。
当初は藁(わら)だけでできていましたが、後に木綿(もめん)の切れ、麻(あさ)、陰干(かげぼ)しした茗荷(みょうが)の繊維(せんい)、髪の毛、和紙(わし)などを混ぜ込んで耐久性(たいきゅうせい)を上げたものも登場したようです。
童具足(わらべぐそく) その名の通り、子供が着用(ちゃくよう)するための具足で、生まれたばかりの子供用の産衣鎧(うぶぎよろい)として、または鎧着初め元服の儀式(ぎしき)に際(さい)して用(もち)いられました。
子供用なので小型ですが、大人用の具足と同じようにしっかりと実用的(じつようてき)な作りのものが多く見られます。
「元服鎧(げんぷくよろい・げんぶくよろい)」と呼ぶ場合もあるようです。
割ジコロ(わりじころ) 名の通りにシコロ草摺のように分割した物を言い、通常は三分割とすることが多いようです。
首を守るのにより適していると言われるほか、下ジコロとしても用いられました。
鉢付板から分割する場合と、二の板(二段目の板)から分割する場合があり、「下散ジコロ(げさんじころ)」「分ジコロ(わけじころ)」「分離ジコロ(ぶんりじころ)」とも呼ばれます。


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