

| 9月5日 パートと税金の「壁」 よくパートでお仕事をされている方々が、税金の関係で年間の収入を103万円、あるいは130万円に抑えるという、「壁」の話をされることがあります。具体的には、税金が発生したり、社会保険料が発生したり、また、夫の側での所得控除が減ったりと、このように手取りの給料が下がってしまうことを嫌って、年収をコントロールしようと言う訳です。 ただし、気をつけて頂きたいのは、年収が「壁」を超えるときのインパクトや影響は、家庭によって大きく異なるのです。 例えば、夫が会社員で厚生年金の加入者、妻が専業主婦でパートをしているケースです。この場合、妻のパート収入が100万円を超えると住民税が掛かり始めます。住民税は、均等割(定額=4千円)と所得割(定率=10%)の二つの合計で求められます。一部の地域では、96万5千円、93万円から、先に均等割が掛かり始めて、100万円を超えて所得割が掛かるケースもあります。いずれ、住民税は上記のレベルなので、例え住民税が取られても、パートからの手取りは増えて行きます。 103万円は所得税の壁です。パート収入がこの額を超えると所得税が掛かり始めます。ただし、妻が生保や個人年金の保険料を負担、あるいは、基礎控除以外の控除がある人は、その分「壁」は高くなります。(額が大きくなって行く。)また。ここでのポイントは夫の税金計算で配偶者控除がなくなることです。ただし、ストンと控除が無くなるのではなく、配偶者特別控除が徐々に控除を下げて行く働きをするので、103万円から130万円の間も、手取りは鈍化するものの増えて行きます。 最後に130万円の壁です。ここを超えると、新たに社会保険が発生します。それまでは、夫が厚生年金・健康保険に加入しているために、妻の年金保険料、健康保険料を支払う必要が無かったのです。この点の影響は大きく、妻の手取りは大きく下がり、140万円、150万円とパートを頑張って稼ぎを増やしても、130万円の時の手取りの達しないでしょう。夫が会社員や公務員のケースは、確かに130万円の壁は大変なものであり、検討を要します。 替わって、夫が自営業や年金受給者の場合です。この場合は、妻は、上の場合と異なり、国民年金の保険料を支払っているはずです。(60歳を過ぎていれば保険料の納付は終了。)健康保険も、妻のパート収入に応じて支払ってきています。ですから、130万円で丸々社会保険料が発生するわけではありません。このケースでは、夫・会社員ケースのような大幅な手取り減は起きないのです。 また、近い将来、パートでも厚生年金や健康保険に加入できるようになりそうですが、この場合もまた違った計算になり、130万円の壁の影響が変わってきます。今回お話したかったのは、一律に「壁」を唱えるのでなく、各家庭の事情を勘案すべきといった点です。今後公的年金の存続は間違いないと考えますが、やはり金額は低下するでしょう。このような観点からも、壁の前で立ち止まらず、全体での所得の増加を目指すように、状況を正確に把握する必要があると思います。 |
| 9月12日 年金と給料の調整(1) 今回もよくお尋ねのある案件を取り上げてみました。 年金を受給する人が、仕事に就いて給料を受取るようになると、年金が減らされる。よくこんな心配をされる方がいらっしゃいます。 まず、ポイントはお仕事の形態です。その職場で仕事をしていて、厚生年金に加入している方のみが、年金との調整が有り得るのです。厚生年金に加入しないパート・アルバイトや、自営や請負の方、共済組合の組合員として働く方々は、いくら稼ごうが、年金との調整の心配には及びません。 次に受給している年金の側です。 年金と言っても、厚生年金、国民年金、共済年金などがありませね。また、老齢による年金や障害、遺族の年金もあります。このなかの老齢による老齢厚生年金だけが、上に述べた給与額による調整を考える際の対象となります。逆に、国民年金だけの人や、共済年金の人、障害・遺族年金を受給している人は、年金との調整は起こりえません。 次に調整の有無や調整額の計算方法です。65歳以上と未満で計算法が異なります。最初に比較的分かりやすい65歳以上のケースから説明します。 まず、給料は幾つかの手当も含みますが、計算には会社が社会保険事務所に連絡している金額がベースになります。また、過去一年間に受けたボーナスは、12等分して先の給与に加算したものが計算基礎になります。 年金は老齢厚生年金が計算の対象ですが、加給年金等は除外します。年金は年額ですから、12等分したものが計算基礎になります。 先に述べた給料と年金の計算基礎になる額を加算して、48万円以下であれば年金の調整は起きず、年金全額が支給されます。48万円を超える場合は、超えた額の2分の1が年金(月額)より差し引かれます。 例えば、給料40万円円、老齢厚生年金12万円のとき、合計して4万円超ですから、年金は2万円(マイナス)の調整となります。 65歳未満の場合の調整については、次回お話します。 |
| 9月19日 年金と給料の調整(2) 前回より引き続き、年金を受給される方が同時に働いて給料をもらう場合、年金が調整されて減額されることがある、と言うお話です。初めてこのコラムを読まれる方は、まず先週のコラムをご覧下さい。 今回は65歳未満の方が年金と給与を受取るケースです。この場合も、65歳以上と同様に、年金は老齢に係わる厚生年金であることが条件です。共済年金などは対象外なので、ご心配なく。また、仕事先で厚生年金に加入が条件なので、公務員、自営やパートは、年金の調整の心配は無用です。 さて、この60歳未満の方の心配は、男性は昭和36年4月以降の生れ、女性は昭和51年4月以降の生れの方は、心配には及びません。というのは、これらの方々は、年金の至急開始が65歳になるので、65歳未満は年金は無い訳で、調整は起こり得ません。喜ぶべきことか、そうでないか、複雑ですね。 細かい点ですが、年金に一定の条件を満たす配偶者がいることで加給年金が付加されている方は、加給年金を除い年金額で調整計算を行います。この加給年金も、年金が調整後全額停止という方は、加給年金も停止となります。 また、厚生年金基金も年金と同じように受給されている方は、基金からの年金に代行部分という老齢厚生年金に相当するものを含んでいるので、年金本体が全額停止した上で、基金の代行部分が調整の影響を受けることも有り得ます。 最後に、調整額の計算方法ですが、上に述べたように加給年金を除いた年金額の1/12と、給与と過去1年間の賞与の1/12を足して、28万円を超えると調整が発生します。28万円を超える要因が年金か給与かを分析して調整額が決まります。また、毎月判定することになり、過去1年間の賞与の影響が変わってくるなど、かなり複雑ですので、私か正確な金額は社会保険事務所にお尋ね下さい。 どういう働き方が有利か、よく検討してみて下さい。私の基本的な考え方は、たとえ年金に調整が掛かろうが、手取りは確実に増えますので、仕事をすることを選ばれて、充実した老後を目指すことをお薦めしたいと考えています。また、調整はあるものの、厚生年金加入期間は退職後のご自身の厚生年金の増額につながることを再度認識しておきましょう。 |
| 9月26日 医療費控除 確定申告の時期には未だ少し早いですが、医療費控除の質問もよく出てくるので、今回はこれを取り上げます。 家族の医療費の合計が10万円を超えると、超えた分が所得控除として差し引くことが出来る。これが一般的に言われている医療費控除ですが、これでは不十分な理解です。確定申告で、収入から経費を引いて所得を求めますが、この段階(生命保険料控除や配偶者控除などの所得控除を引く前の段階)で所得が200万円を超えていれば、「医療費の10万円以上」が正しいのですが、200万円未満の場合は5%が限度額になります。具体的には、所得が180万円であれば、この5%である9万円が限度額になります。この例で、医療費合計が12万円の場合、医療費控除は2万円でなく、3万円を控除することができます。 医療費控除にカウントできる費用は医療費の他にいろいろあります。皆さん、介護保険などを使って介護を受けている(家族が受けている)場合、介護保険の自己負担分も医療費の合計に加えることができるのをご存知でしたか。介護施設に入っている場合、デイケア、ショートステイも含みます。介護状態になると長期にわたり費用負担が続くものです。これらの費用もきちんと医療費控除に加えることで、しっかりと税金の還付を受けましょう。 詳しい規定等についてご質問があればお尋ね下さい。 |