FP's Eye
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10月3日

乱高下の中の思考(1)

  世界中の相場が実に荒っぽい動きをしています。金融危機が経済の後退を引き起こし、短期的には極めて悲観的な空気が支配しているように見えます。個人投資家の皆さんも、証券や金融商品の売却や、乗り換えを検討されたり、一旦、相場から撤退を考える方もいらっしゃるでしょう。
  周りのセンチメント(全体の相場観)だけに振り回されることなく、ご自身の資産運用を冷静に見てゆくことが必要だと思います。その上でアクションを選択してゆくことが大切でしょう。今回は、改めて、証券や商品の価格が決まる基本となる仕組みを書いてみました。
  まずは株式。株式の価値を生み出すのは企業です。株式の価格を決める源泉となるのは、今から将来にわたって企業が生み出す利益の金額の流列(キャッシュフロー)です。これは将来の価値の集まりですので、これを割引率(期待利益率)で割り戻して現在の価値に引きなおします。言い換えると、将来にわたり利益を安定的(増加的)に生み出す企業の株価は高くなり、期待される収益率が低いと株価は高くなります。では、今の状況はと言うと、企業の将来の収益は上がらない(又は、マイナス)と見られており、株価は下がって行きます。また、期待収益率にはリスク(不安定さ)の要素が含まれており、リスクを大きく見ている関係で期待収益率は大きくなり、現在の価値に引きなおすと株価はドスンと落ちてしまう、こんな状況だと思います。この将来の収益の見込みとリスクを含んだ期待収益率が、バッタンバッタンと暴れているのが株価に現れていると考えられます。
  次は債券。債券も株式と同じで、将来入ってくる金額の流列と、期待収益率が、債券の価格を決める2つのファクターです。ただし、実際は大きな違いがあるのですが、債券で将来入ってくるのは利息(クーポン)です。これな債券発行発行時点で決められているので、利息の金額は将来にわたって償還(満期)まで一定額で変わりません。また、今申し上げたように、債券は金利商品なのですが、金利の世界の期待収益率は株式の世界ほどは大きく変動しません。将来の一定額の利息入金と小さな変動の期待収益率。株式と比べて言えることは、債券の価格の変動は株式のそれと比べて、比較安定的と言えます。皆さんが新聞等で、「リスク資金が債券に流れ込む」といった記事に出会うと思いますが、まさに、価格の安定感が債券の特徴の一つといえます。
(つづく)
10月10日

乱高下の中の思考(2)

  前回は、株式と債券の価格決定の原則的、基本的な仕組みをお話しました。今回は、この1年間世間を騒がせた原油や金、小麦などの穀物といった、総称して相場商品と呼ばれる商品に眼を向けましょう。
  商品は相場で決まります。皆が買えば上がるし、売れば下がる、簡単な仕組みですね。ただし、これがとてもとても大変なんです。「皆が」と書きましたが、この皆とは、機関投資家(銀行、証券、、保険、基金等)、ファンドといったお金儲けのプロ達です。相場の始まりというのは、本来は現物を作ったり、販売したり、購入したりする人たちが作った相場(市場)だったのですが、今は、現物の需給を背景とした相場参加者はいるものの、圧倒的多数は機関投資家なのです。かれらが形成する価格の絶対値には根拠がありません。言い換えれば、株式や債券のような価格決定の仕組みはありません。商品でその現物の需給は大きな要素ではありますが、機関投資家などのプロはその商品だけを見ておらず、他の投資との比較で資金を右に左にと動かしています。皆さんが原油が儲かると思っていても、機関投資家が他のターゲットを見つけると、プロのお金は瞬く間に原油から他に流れてゆきます。ですから、今の商品は、プロのさじ加減だけで価格が決まり、動いて行きます。皆さんが、おたおたとプロの後を追っても、儲からないと考えるべきでしょう。
  商品の価格に意味は無いと申しましたが、敢えて言うと下限はあると思います。例えが、金の平均の生産コストはざっと$300、原油が$30。価格が生産コストを下回る期間が長くなると、赤字生産を維持できなくなり、生産量が減って供給が細り、実際に現物が無い状況が出てくるので、価格は支えられ、反発してゆきます。このように、生産者の生産に影響を及ぼす点が価格の下のラインになるでしょう。繰り返しになりますが、原油が、$100が適当か、$60が適当か、これを論じる価格決定の仕組みは無く、単にプロが相場で価格を付けているだけと言えます。
  確かに、株式や債券は、発行者がドボン(倒産)すれば、返ってこないことが大半です。これが証券投資のリスクの一つです。これに対して、商品は現物としての価値が残り、証券みたいに紙切れになることは無い。これは全くその通りで正しい理解です。ここで述べたように、別の切り口で見れば、株式や債券には価格決定の仕組みがあり、これが行き過ぎた価格形成が行われた時は、行き過ぎを戻す原動力になります。一方、商品には価格決定の仕組みがないので、プロの思惑で如何様にでも動くのが特徴です。
  為替もある意味で商品と同じです。当然ながら、通貨ならではの、複雑な挙動をします。もう一つの特徴は、ゼロサムのゲームであることです。短期の取引は、パイの取り合いにすぎません。
  相場が乱高下する中、いろいろお考えと思います。このような折に、いろいろな雑音が入ってくると思いますが、資産運用を考える上で、あまり取り上げられない面も含めた、投資対象の性格についてお話をしました。個人の方が運用を考える際に参考にして頂き、悲観論やセンチメントに流されず、冷静にゆっくりとご自身の資産運用をチェックされることをお薦めします。。
  ものを考えるお手伝いが必要でしたら、いつでも声をお掛け下さい。
10月17日

相場商品(先週)の補足

  原油、金などの相場商品について、価格形成の危うい面を先週お話しました。実物資産としての特徴はあるものの、その価格の決まり方は、マネー・ゲームの中に組み込まれているのが、現代の相場事情です。
  ですから、資金力や情報格差のハンディを背負う個人が、プロの後をのこのこ追っていても良いことはありません。つまり、個人がマネー・ゲームの中に身を置くことは私はお薦めしません。
  ただ、資産運用の戦略上、株式、債券と異なる動きをすることは確かなので、長期投資のポートフォリオ(組合せ)の一部に入れるとは否定は致しません。
  繰り返しになりますが、卵や牛乳が物価の優等生で価格が上がらない、原油、穀物、非鉄がインフレに連動しているかと言えば、そうでもない。やはり、株式・債券がインフレと関連した資産クラスとして、価格形成の仕組みを考えても、優先して考える投資先と私は考えています。
  以上、補足でした。
10月24日

ちょっと一休み

 11月1日に新浦安で行うFPフォーラムでの出し物に関連して、子供用のクイズを考えていたんですが、仲間が持ち込んだ問題の中に、こんなのが有りました。
 (問)1万円札が燃えて、面積にして60%が燃え残った。これは幾らとして現金に替えてもらえるか?  (答) 5千円
  彼の解説のよると、燃え残りの面積が2/5までは価値はゼロ、2/5から2/3までは額面の50%の価値、2/3以上は100%の価値となります。
  私は始めて知りました。1万円札に替えてもらえる、と答えたら、「ブ〜!」でした。
  もし真冬の北極で遭難して、お札を燃やして寒さを耐え忍ぶ場合でも、2/3までは燃やしましょう。だって損失は無しです。それでも寒さが我慢できなければ、2/5まで燃やしましょう。損失は半分です。もし、命が危なければ、全部燃やしましょう。

  FPフォーラムのご案内は下記を。入場無料で、個別相談会(要予約)やセミナー(鍵山も住宅ローンのお話をします)や子供のゲームがあります。お気軽にお立ち寄り下さい。
  日本FP協会千葉支部 
  https://www.jafp.or.jp/tbb/?hojin_cd=912
10月31日

実体経済の悪化

  実体経済の悪化とは。言い換えれば、景気の悪化です。
  世の中の経済活動が沈滞し、会社が儲からず、採用が減り、失業が増える。給料は下がるので、消費マインドは落ち込み、物が売れない。会社の在庫はどんどん増え、生産を調整する。予定していた設備投資や新規のプロジェクトは先延ばし。会社の倒産が増える。こんな、悪循環が続くことを言います。
  この数ヶ月は、知らないことや思いもよらない出来事、状況が続出しました。証券化の雷雲が世界中に蔓延、金融機関の巨額損失、世界的金融機関の身売りや倒産、マネー市場でのお金の貸し借りが出来ない状況。これらが次々と重層的に起きたので、市場の気持ちは極端に萎縮して株価や商品は暴落しました。
  ただ、世界各国は多くの手段を駆使して、対策を打ち出してきたので、世界の金融システムの崩壊は防がれたように思います。まあ公的な資金の使い方の善悪の議論はありますが、これは時間と歴史が答えを出すのでしょう。
  これからは、ひどい不景気に襲われることが予想されます。日本のバブル崩壊後の後処理も10年以上掛かりました。今回の不景気からの回復にも時間が掛かると思われます。ただし、私は重層的な複雑な事態から、景気の問題に絞られつつあることは、問題の単純化を意味するので、楽観的に見て大きな改善と見ています。これまで、船が転覆するほどの、前や横や上からの大波をかぶっていましたが、今は、眼に前の嵐をどのように切り抜けるかだけを考えれば良い。このように前向きに考えている次第です。個人的には、必ず正常な経済活動に戻ると信じています。「朝の来ない夜は無い。」
  皆さんも、いろいろな見方があると思いますが、冷静な状況分析を心がけ、短期から長期にかけての資産保全と運用を考えて頂きたいと思います。