| 長岡良子 | Nagaoka Ryouko |
| 永島慎二 38-05 | Nagashima Shinji |
| ななおかあつこ | Nanaoka Atuko |
| 成田美名子 | Narita Minako |
| 西風 | Nishikaze |
| 西川魯介 | Nishikawa Rosuke |
| 西谷祥子 | 70年頁へ |
| 西森博之 | Nishimori Hiroyuki |
| 新田たつお | Nitta Tatsuo |
| 日本橋ヨヲコ | Nihonbasi Yooko |
| 沼田清 42-96 | Numata Kiyosi |
| のがみけい | Nogami Kei |
| のぞゑのぶひさ | Nozoe Nobuhisa |
| 袴田めら | Hakamada Mera |
| 萩尾望都 | Hagio Moto |
| 萩田広式 | Hagita Hiroshi |
| 橋本みつる | Hasimoto Mituru |
| 長谷川一 | Hasegawa Hajime |
| 長谷川町子 | 70年頁へ |
| 花岡しろう | Hanaoka Sirou |
| 花沢健吾 | Hanazawa Kengo |
| 花村えい子 | Hanamura Eiko |
| 榛野なな恵 | Haruno Nanae |
| 浜慎二 | Hama Shinji |
| 林静一 | Hayashi Seiichi |
| 林田球 | Hayashida Tama |
| ハロルド作石 | Harorudo Sakuishi |
| ひかわきょうこ | Hikawa Kyouko |
| ひさうちみちお | Hisauchi Michio |
| 久松文雄 | 70年頁へ |
| 聖千秋 | Hijiri Chiaki |
| 日高万里 | Hidaka Mari |
| 日渡早紀 | Hiwatari Saki |
| ふくやまけいこ | Fukuyama Keiko |
| 藤子不二雄 F 34-96 | Fujiko Fujio |
| 番外 | ドラえもん最終話 |
| 藤崎竜 | Fujisaki Ryuu |
| 藤田和子 | Fujita Kazuko |
| 藤田和日郎 | Fujita Kazuhiro |
| 藤原栄子 | Fujiwara Eiko |
| 文月今日子 | Fumitsuki Kyouko |
| 冬野さほ | Fuyuno Saho |
| 古谷三敏 | Furuya Mitsutoshi |
| 古屋兎丸 | Furuya Usamaru |
| 北条司 | Houjou Tsukasa |
| 星里もちる | Hosisato Motiru |
| 細川智栄子 | 70年頁へ |
| 細野みち子 | Hosono Mitiko |
| 堀江卓 | 70年頁へ |
(na)
▼名香智子「緑の目の城主」1973年(昭和48)
この年の四月に別冊少女フレンドからデビューした名香さん、翌年は大ヒット作「花の美女姫」シリーズも始めてるというのに「緑の目」シリーズという耽美的な作品も手がけてるのは驚き
身よりない貧しい少女エデは祖母という老婦人に見つけ出されいとこに当たるので、エメリヨン・ミリュール侯爵との結婚がすすめられる
ミリュールは財産目当てではないかと疑っていたが、エデの容貌が自分とうり二つなので納得する
侯爵は人里離れた城館に住みパリなどにもいっさい出ない
城には侯爵を含めて執事のロジェと家庭教師のアルベールの3人しかいないのに
エデと距離を置くミリュールだがいくつかの事件を経てエデに惹かれていく
ミリュールは緑の目を持っているが、代々緑の目のエメリヨン族は狂気に陥り錯乱するという
それが恐ろしくエデをパリに行かせようとするが
その矢先、エメリヨン家が破産したしらせが入ってくる
将来の保証が全くなくなったエデだがミリュールと暮らす決意をする
まもなく事故のけががもとで侯爵は無くなるが、二人の間に緑の目を持った子供が生まれてくる
短編なので話は急ぎ気味、二人がうり二つという設定がもっと活かされたら面白かったかも(070114)
名香智子「ファンション・ファデ」全4巻 78年
名香さん、活動が長いわりに長編は少ない、これは比較的長い方ね
アフリカから舞台が始まる珍しい設定
スーダン部族民の間で民族学を研究しながら医師として働く父親に育てられたファデ(フランシーヌ)
幼なじみのルウルウ(女)と結婚の約束を交わしているが、世間を知るため、パリの叔父の所へ送られる
(ルウルウは後、パリに出てきて男を結婚するし、父親はファデを残してアフリカで事故死する)
財閥バルザック家に引き取られたファデはあまりの堅苦しさに飛び出し、デザイナーとして暮らしていくことを決意
洋服店ブランシュが店員を求めていたのでマダムに気に入られるが、実際に取り仕切っているアルチュールはとってもすね者で邪険
しかしファデのデザインの才能を認めた彼は自分の復讐の道具に使おうと考え、技術を教えていく
彼女のファッションはアフリカ色が強くパリモードからすれば野性的、自由
まんが紙面上で見てもなかなか奇抜で迫力があり、デザインだけでも他のファッションまんがより楽しめる
アルチュールの仇は洋装店同僚だったマダム・フルール(かつて彼を窃盗犯人と偽り刑務所送りにした、それでも彼女を心の底では愛しているというのが少女まんが)
フルールのデザイナー、ユーフォは美男の青年でファデと親しくなるが、アベイユという名前でパリ高級モードを牽引する怪物という裏面を持つ
マダムを愛するがゆえ、ファデも含めてアルチュールをつぶすのに手段を選ばない冷淡さ
2巻ではロシア系のデザイナー、ヴェーラが登場、才能もあり、野心家、彼女もどんな手段を使っても一番になろうとする
3巻で、ファデは映画監督に認められアメリカへ
映画のファッションデザインを担当、おまけに参加したショーでデザインが認められ随分な資金を得てパリ一等地に店をかまえる
しかし、パリコレクションに出品する作品がことごとく引き裂かれる妨害にあい、出品を断念、そのためアメリカでの作品もヴェーラのデザインをくすねたのではという疑問を投げかけられ絶体絶命のピンチに
これを乗り越えて認められるというラストは容易に想像できるのだが、それ以外のまとめ方がどうもギモン
アベイユ(ユーフォ)もプレタポルテに乗り込むというのでファデ、ヴェーラなど多くの有望なデザイナー会しての合同ショーが開かれることに
ファデ、ユーフォのトップモデルが事故で出れなくなった窮地に二人が替わってモデルをつとめる
ユーフォの女性と見まごう容姿から、彼が女優シモーヌとマダム・フルールが愛したデザイナーの間の子供だったと明らかになる場面が続く
ファデもシモーヌの娘という伏線があったが、なんとドイツ人の娘で迷子になりファデの父に預けられたとは
これでファデ、ユーフォが結ばれる障害がなくなったというのに、愛する人の息子を一番のデザイナーにするため愛するアルチュールを葬り去ったマダムの真実を知ったユーフォはマダムを守る決意を
ファデはパリ生活初め頃に友人となった日本人、日翔とまた親しくなり、日本も訪れ、なんとなく二人が結ばれるようなラストに
最後の展開は少し、無理筋じゃぁ?
この物語の主人公は、デザイナー地位を守るため背徳も辞さない二人、マダムとユーフォだったなんて
(ファデのショー用衣服を引き裂かせたのはマダム、合同ショーでヴェーラのをぶちこわすためやくざなデザイナーを送り込んだのがユーフォ)
確かに本作で一番美しく描かれた顔アップは2巻目128頁のマダムでしょう(080629)
▼名香智子「レディ・ギネヴィア」80年
またまた傑作。名香さんの絵ってまず引いてしまうタイプ
「パートナー」読み始めて、うわこれだめって進まなかった、目きらきらあまりにどぎつすぎる、こんな日本人顔まんがでも許して
まさかこの人の読めることないと思ってたが、古本屋でこれって文庫一巻完結だから、105円だから、少し絵すっきりしてるから買ってみるか
名香さん、ごめんなさい、すごい名作だったわ(041116)
名香智子「パートナー」80年
2年前なら名香智子さんの絵は目大きくてとても入っていかなかったろうが
「レディギネビア」でファンになり、華麗な絵柄はとっても好み
これって慣れの問題なんでしょう
ところで文庫版5巻目フランツとの一夜の話
ヒロイン茉莉花は高校時代ディスコで知り合ったオーストリアの美形フランツから社交ダンスを教わり
彼が帰国した後も、ダンス教室に通い2年でめきめき上達、プロとしてイギリスの大会に出場
パートナーは砌(みぎり)というこれも素敵な男性
ただ彼は年上の智香子先生(夫がいる)に憧れていて茉莉花とは単なるパートナー
そこにアマのチャンピオン、ビヨルソン姉弟の弟オットーが茉莉花に夢中に
茉莉花も好きになりつきあうようになるがあと一歩というところがオットー踏み切れない(茉莉花より年下)
そうこうしているうち結婚したフランツと再会、彼は妻を好きでなく久しぶりの茉莉花に引かれていく
ある嵐の日、落馬して川に流されたと聞いて単身戻ったフランツは茉莉花に乱暴気味に思いを遂げることになる
さて問題はここから
オットーに打ち明けると、何を言っても茉莉花への気持ちは変わらないと言っていた彼が茉莉花に触れたくもない気持ちになる
オットーは若かったんでしょう、何があっても茉莉花を離すべきじゃなかったし、もし彼の方が先に寝ていたらこんな展開にならなかったでしょう
愛は思い切りと押しにあるはず
(050708)
▼長岡良子「ヴィラ21」81年
「夢の奥城」「眉月の誓」など古代舞台で著名な長岡さんだが80年代初期にはボニータに現代ものも描いてたんだ
中期の絵よりさらに繊細で人物のもろい心が絵と連関していい仕上がり
この単行本には86頁のタイトル作を始め、大正期2編、江戸期1編の短編が収録されている
中でもタイトル作はミステリー要素も含み興味深い
絵に秀でた神崎燿は周囲の期待がプレッシャーとなり神経症を患う
療養に紹介されたのが元精神科医藤堂の別荘
藤堂の妻は失踪状態で、娘エリ(母の失踪から自分の世界に閉じこもっている)と母(マダム)妻の妹琉美、秘書の安西女史、それに休暇で来ている母の亡父の友人多田教授が暮らしている
琉美は激しい気性の持ち主でマダムの悪口を言ったりこの家になじめない様子、燿がそれなら出て行けばというと逆に燿がふれられたくない現実を指摘する
傷ついた燿は、エリを見守りながら妻の帰りを待つ藤堂が自分も守ってくれると感じて恋情を抱くようになる
マダムは過保護タイプで息子の嫁をよく思っていないし、その妹とは犬猿の仲、エリも施設に預けねばならないと口やかましく言う
そんな中、マダムが射殺される事件が起こり、展開は急変していく
燿はその直後、現場に居合わせたが気を失ってしまう、現場で猟銃を抱えていた琉美が犯行を自白する
事件後、琉美が別荘のことをさした呼び名「ヴィラ21」の意味が偶然わかる
当時はやりの精神医学者クーパーが提唱した実験病棟、そこでは患者も医療スタッフも平等の立場で暮らす場所の名前だったのだ
事件はここから核心に進み、実験病棟の真実が明らかになってゆく
(080331)
▼
永島慎二
「山の章太郎」
「冒険王」56年6月号では(連載2回目で9月に終了)、熊も倒す力持ちの章太郎、里の人々との物語
(090519)

永島慎二「涙のオルゴール」
「少女」56年2月号
クラスの優等生朝子は男の子と一緒に歩いているのを見られ、その子がくずやだというのでさらに学校で評判になる
先生が訪問してみると、その男の子が飛びだしてきて朝子ちゃんが気にして家出したという
朝子は母をなくし父は南米で行方不明
くずやの作じいさんが孫の正太と一緒に育て、この前作じいさんが亡くなって死に間際に正太も実の子ではないと打ち明ける
自分たちを育ててくれた作じいさんのためにもと正太は仕事を継いだ
毎月の墓参りに出かけた所をクラスの者に見られたらしい
先生はクラスで事実を訴えるとみんな朝子のことを心配する
正太も町を探して歩く
家出娘として交番に呼ばれた朝子が開いたオルゴールの音色を聞きつけて正太が再会を果たす
クラスにも戻り、朝子の父も無事外国から帰ってきて幸せにラストとなる
(090924)
永島慎二「虹の中の少女」
「少女クラブ」56年8月号
夢の中を父を探しに旅するほのぼのした絵柄
(090608)
永島慎二「花びら物語」
「少女」56年
5月
来ノ宮ひな子は愛犬ペロの親の飼い主フーちゃんと仲よくなる
この家でやっかいになることになり、深夜ここに泥棒が入る
落とした免許証をひな子が拾うとなんと自分の父親善吉の名前が載っている
みんなには秘密にしておくが
贅沢な義母が来てから父親の暮らしが変わってしまったのを振り返る
6月
給料袋を落としてしまい金に困った父は泥棒に入ったがそこに娘がいたとは知らず困り果てる
無免許でタクシー運転をして事故をしてつかまったら無免許がばれると焦ったあまり
人をはねてしまう、それがなんと妻
ひな子が病院にかけつけて見ると母は虫の息で今までのことを後悔し、ひな子に謝って死んでゆく
父は刑務所で服役することになるが、やがて出所し、学校の小使いになって終了
(090719)
永島慎二「幕末少年記」
「漫画王」57年4月号に単作
父親たちを動かすため子供たち(少年剣士)を人質に取ろうと勤王党がみんなを取り囲む
一番弱虫の少年が勇気をふるってかかっていったためみんなも応戦して大人達がかけつけるまで切り抜けるという小話
この頃の永島さんはごく普通の絵柄
(090402)
永島慎二「さと子はまちの子」
57年「なかよし」8月号に
すでにこの頃から不思議なデフォルメ、省略的な描き方をしていたんだ
ほんわかした村の子供達の前に突然現れた町のこどもサト子の風貌がなんとも不思議な雰囲気
小学校2年で両親離婚したという生い立ちも関連しているのかしれないが
星の夜サトコは村の小学校に転校してきた
祖父が剣術の先生で孫が心配で学校までやってきて「仲良くしてやってくれ」と恐ろしそうな様相で意気込んで帰って行く
父からの手紙は母との離婚話で悲しむサトコ
かなり前から夫婦仲が悪くなっていて映画に行く行かないがら決定的なけんかが始まり母は実家へ戻ってしまう
父は一人で育てられずに田舎のおじいちゃんの所へというわけ・・
(080916)
ぷろだくしょん「みどりのはてに」57年
「少年クラブ」10月号14P読み切り
永島さん関連でちょっと変わった作品を紹介
「ぷろだくしょん」は共作名だが、あきらかに絵柄は永島慎二中心
舞台はアフリカ奥地
マウマウ族のおつげで白い美しい人間を神に捧げないと一族が滅びると出る
折しも、ナイロビに向けて小型機で飛ぶ日本人一行
丸目くんの操縦が誤り不時着してしまう
動物たちに教えられターザンが駆けつけてみると
飛行機に乗っていた少女るり子とお父さん、丸目くんがマウマウ族につかまって連れ去られるところ、ターザンが助け出し、木の上の小屋で歓待する
マウマウ族は夜陰に乗じて襲撃し生け贄にるり子をさらって行く
ターザンは太鼓の音でニセ情報を送り部族の者を誘い出し、すきに家々に火をつけ混乱させる
吊り橋の上でターザンとマウマウ族がにらみあうことになるが、火が燃え移り橋が落ちてしまう
丸目さん、お父さんはマウマウ族とともに谷へ落ちてしまうがターザンはツルをつかんではい上がる
るり子はターザンと森で暮らすことにするという結末がなんだか非現実的・・
絵が端正で美しい
顔の輪郭を太く粗く描いてリアルさを増すのは、同年の「サトコは町の子」(なかよし)でも用いている手法
(100427)
永島慎二「少女マリ」61年
貸本少女漫画、144P
「Returns」でその絵柄の清楚さにはっとした永島慎二作品、単行本で出ていることを知り、キララ文庫に見つけて発注
炭坑はずれの小谷村、父は炭坑の臨時雇いで首切りにあう
出稼ぎに出た間、病気をおして日雇いに出た母が亡くなり
足を痛めて戻ってきた父は盗みでつかまってしまう
マリは小学校の先生が面倒見てくれ、兄は都会へ働きに
意地悪い連中が出てこない分、貧しい生活の苦しさが重く響く
毎日二人分の弁当ができないためマリと兄が交互に持って行く挿話
戦後の日本にはこんな話が普通だったと思い出す
併録の「にいちゃん」「すなやま」「春の雨」はどれも36P程度の小編
絵柄から見て同時期、貸本の短編として掲載されたものでしょう
「すなやま」は実の娘に名を告げず見守りながら死んで行く母という悲しい物語だけど
他は少年・少女たちの素直な真摯な生き様が描かれている
「フーテン」や「漫画家残酷物語」から永島作品に入ると、作者は世間からはずれようはずれようとしているみたいに見えるが
単純に素直な心が伸びていった結果、世間に入りきれなかったんだとわかる
(100426)
永島慎二「漫画家残酷物語(貧乏なマルタン)」64年
「貸本大全集」より62P
永島さんはこの頃が一番実験的な絵柄だったかな
モジリアニ風の人物を登場させるし、町の遠景はデザイン的に線を絞りこんで描く
話もかなりわかりにくい
貧乏なマンガ志望の青年戸川が主人公
美大の同級生、資産家の息子有馬が今は金銭の援助をしてくれている
二人が店で飲んでいる場面から
戸川は母が自分の暮らしぶりを見に来るので、こんな暮らしは見せられないから一日有馬と入れ替わってくれと頼む
翌日アパートに刑事が二人訪ねてきて有馬の屋敷が焼け父がなくなったのでアリバイを調べに来たという
有馬はシロとされ刑事達は別の事件を追う
有馬が戻ってきて、戸川の母を迎えに行くことに
事件を心配した戸川が聞くと、死んだものより生きているものを優先しようと明解な返答
一日過ごした母は「一万の仕送りはわずかだが自分のいきがいだからこれからも受け取ってくれ」と言い残して去って行く
戸川は昨夜、母から息子がこんなよい暮らしをしているはずがない、本当のことを知りたいと頼まれ打ち明けたことを白状する
事実を知りながら黙って以前通り息子を守ろうとする母親の姿を見て戸川は自分の求めていたものを見た気がすると有馬に告げ、イタリヤへ行くかも知れないと語る
通り過ぎる二人の横、偶然あの刑事達が別件を追って張っている
なにか思わせぶりな展開で何も起こらず何が主題かわかりづらい内容になっている
当時の貸本にはカラクリ入れた作品が多いから何か裏があるのかと読みすすむからいっそうなのだろう
戸川にうらやましがられる有馬は未来が見えない不安におびえている
父母の不在ゆえ金銭的な充実も何の意味にならない戸川はたんたんと暮らしていく
めいめいがその運命を背負って生きていくのだという気づきをそのまま仕上げた作品
(100720)
永島慎二「フーテン」67年
作家自身が自分のスランプを描いた自伝と、彼がのめりこむ「フーテン」(社会・権威を離れて自由に生きようとするヒッピーのようなもの)の風俗がミックスした不思議な作品
生きることはどういう意味を持つのか問う自省的な内容になっている
一巻目の春の章2が興味本位でフーテンの催しに加わる社長さんと共にパーティをのぞいてみるところ興味深い
幻覚剤を飲んで、各自好きなことをしゃべっているのを聞いて、社長は「身勝手なせりふだ、自分たち以上の世代が戦争・戦後と苦闘してきた成果の上に安住しているだけだ」と言う
ここに世代間のずれがぶつかり合いにならず、若者たちはそんな意見を聞いているし、社長はパーティから出た後、部下に「家には戻らずこれから残りの人生を彼らのように暮らす」と告げる
各話はフーテンを巡る関連性ない断片ばかりなので全体に高揚していくわけでないが、深い余韻を残す
また
擬音を白抜きで大量に放り込む画面
群像の無表情な顔つき
人物の足を真横に振る動き方、白や黒だけの目、あるいは星目
表現にも実験的な手法を試していて、岡田史子や青柳祐介に影響を与えている
(080331)
永島慎二「人生激情」79年
「カスタムコミック」No2より連載
第1回目は「堕落した猫」という絵と文交互のエッセイ風22P
作者自身がまんが家として登場し語り出す
アトリエに猫が自由に出入りできるようにして、太郎と名付けた猫を気ままに暮らさせどこまで堕落(ふしだら)した猫になるか?という実験を試みる
自分の分身を見る思いか?
最後は夢に銀色の猫が現れ、猫とつきあい堕落するのは人間の方だと言われるというラスト
作者の聞き役としてフーテンでも登場の作家夜来狂一が登場している
第2回「芸術荘主人」
やくざとのけんかに加勢してくれたことが縁で作家夜来狂一から知り合いの下宿を紹介されてきた詩人風吹わたる
妻と子に別れて家を出て数年、いまだ家から援助してもらい今度も50万円を預かり芸術荘に
井戸野茶子という恰幅良いマダムがパトロン様子
夫は無職?夜太、父は敗戦以来ぼけた軍人
息子が小学生の朝夫と昼吉(ひる)
家の一階を普通のサラリーマンに貸し
二階は劇画家おにぎりおむすびとそのアシスタント緑屋丸井
シンガーソングライターの門大外達に貸している
わたるが赴くと月4万円で二階に良い一部屋をあてがってくれる
わたるはおむすびのアシスタントを引き受けることに
そのまんがが雑誌に掲載されたので感想を求められ「載っている中で一番つまらない」と率直に述べたため、ちょっと波紋が起こりそうになる折、雑誌社から「おむすびの連載は人気が出ず10回で打ち切る」と連絡が入る
第3回「聖処女有日」
門大外を訪ねて北海道から18歳の井塚有日(いつかあるひ)が芸術荘に
ライブハウスで外を見て、人生で見た一番かわいそうな人と思い、かねてからの望みとしてそういう人に処女を捧げようとしたが、外が「処女と後家には関係を持つな」というおばあさんの遺言を守り逃げ出してしまうという過去があった
有日はそれ以来、外を探して大阪と東京では一回ずつ男と寝たがやはり外を求めているという
自分でも「13歳の知能しかない智恵遅れ」と称している不思議な娘さん
第4回「狂おしい春」
有日が芸術荘の住人になって4ヶ月
淋しい人がいたら寝てあげる有日に、小学校3年生の昼吉(頭のハゲをからかわれ一年から学校には行っていない)は誰とでも寝ると嫉妬を含んだいかりをぶつける
有日は「じゃあ今夜部屋においで」と誘う
茶子もわたると一夜を共にする(妻とはセックスできなかったわたるもなぜか元気になって)
おにぎりの新連載が決まり、外もLP出せることになり夜は宴会が盛大に
有日の部屋に昼吉が来たが、外がやってきたので「外だけは特別なの」と追い出され悔しい昼吉
有日はようやく外と結ばれるがかなり乗り気になっている外に今となっては結婚は無理だという有日
第5回「夕立ち」
夜来狂一が芸術荘に逃げ込んできていきさつを茶子に説明している
彼のアパートに同時に二人の娘が押しかけてきた
二人ともふとしたことで関係を持った女性だがその場限りのことと彼は思っていたのが
学生山崎月子は結婚してくれないなら自殺すると言い
グラフィックデザイナー日々野陽子は結婚してくれないならあなたを殺すと言う
そこへ娘二人もやってきて困った狂一に茶子はすべてを解決する方法があると言う
第6回「濁閑秘話」
みんなの混乱を解決する方法
狂一が作者の所にやってきて芸術荘で起こったこの半年のことを説明している
なんと、茶子は一階のサラリーマンを追い出し、全体を芸術荘として、有日の名前で新作のまんがを連載することに
わたる達がストーリーを考え、おにぎり達が作画、娘達がアシスタントになって作り出したまんがはヒット
儲けた金がみんなの生活資金となり、夜は茶子を入れて女が四人、男がわたる、おにぎり、緑屋、門大(あれ夫は入ってないの?)というメンバーでフリーにセックスしてもよいというルールでやっていると言う
驚く永島先生だが、それは「フーテン」などで彼自身が夢想したユートピアの一つなんだろう
その後の芸術荘がどうなったかは描かれることなくこれは「秘話」として6話で連載を閉じることとなる
(090204)
▼ななおかあつこ
「はばたけ明日に」69年
「マーガレット」16号
15号〜18号連載で17号しか読んでいないので内容は中途にしかわからないが
70年に注目のななおかさん、69年はまだ今ひとつの感じだが
ヒロインは中学生でしょうか、入試に失敗した秀才山口くんが睡眠薬自殺をしたことにショックを受ける
自分は今こそ、やりたいことをやろうとブラジルのおじさんの所へ行く計画を立てママに告げるが
とんでもないと怒ったママは書類を破いてしまうので飛び出す
48号での「親分(ボス)はあなた好み」のギャグ調子がかえっておもしろい
女ながら度胸も腕っぷしもあるしずかは番長からも親分と呼ばれている
しかし、俳優やっている貴位くんが好き
体育祭にはかけつけるという彼の言葉を信じて待つが、行事が終わってもやってこない
それでも暗くなって待つしずかの所にやっとかけつけてきた貴位くん、俳優やめて学校に出るとしずかに告げてハッピエンドになりそう
(111030)
ななおかあつこ「白い色は恋人の色」70年
「週刊マーガレット」70年10号の読み切り作も力作
ななおかさんは素直で美しい絵柄なので連載作がないのが不思議なくらい
前から気になっていたが今回読んでファンになりました
久しぶりに実家に戻ってきて父のこけし工房へ訪れるケイ子
弟子のみつるは幼い頃からのなじみ
今は少し知恵遅れの姪いずみちゃんが慕っている
いずみはわざと熱が出たふりをしたり、みつるの気を引こうとするのがありあり
ケイ子は自分といずみとどちらが大事なのかと問いただすと少し戸が開いていていずみが聞いていることを感じた は「いずみが好きだ」と言う
それを聞いて逃げ出すケイ子、事情を説明されても、誰にも嫌われたくないみつるなんて距離を置くと言い切るケイ子
みつるが作るこけしはどれもいずみに似ていることに気づいてさらにショックを受ける
ただいずみが頼るものがみつるしかいないし、彼もケイ子を嫁にしたいとずっと思っていたと打ち明けるので心がゆらぐ
その話をいずみが聞いてしまって悲しみで湖へ出る
みつるのためにこけしの白色、白鳥の色を取ろうと湖に入っておぼれてしまう
悲しい結末のため、みつるとのことを冷静に考えるためケイ子が故郷を去るところで終わっている
(090706)
ななおかあつこ「あすは明るく」70年「マーガレット」46号(43号より)
連載最終回
同年初頭、10号に「白い色は恋人の色」という美しい読み切りを発表したななおかさん
ネットで調べても「週刊マーガレット」への掲載しか確認できませんが気になる作家さん
69年15号・16号「はばたけ明日へ」
29号「ビー玉は夢をよぶ!」読み切り
39号「アミエルの山」読み切り
45号「親分はあなた好み」読み切り?
70年正月増刊「北風のなかにサーブ!!」読み切り
幼くして母に見捨てられたあずさは父をなくして一人ぼっちになる
あずさを姉と慕うイサムと耳が聞こえないちひろ少年との友情を生きるよりどころとしているが
ちひろの両親は彼に冷たくちひろは家出して、崖で足を踏み外して転落してなくなってしまう
あずさの所へ母が訪れるが、アメリカ人と結婚して日本を去ると告げるためだった
あずさが学校へ行けるよう計らうという申し出を、今まで母の言うことは何でも拒絶していたのにいやに素直に受け入れるのでかえって気になり出発を延ばして夫とあずさを見守るため日本に残ろうかと話している矢先に
あずさがちひろが落ちた崖から自分も飛び降りようとしていると連絡が入る
崖に駆けつけてあずさを説得するが決意は変わらない
あわやの所へ飛び込んだのがイサム
彼が訴える気持ちにほだされてあずさはもう一度やり直す気持ちになり施設までかけっこしようと飛びだして行く
心配で眺めていた大人達はあっけらかんとしたあずさの行動にあきれているが、母はあずさの気持ちがよくわかり、ようやく娘を受け入れることができそうだった
本号での人物絵は10号に比べるとたおやかさが減っているようです
(100124)

▼成田美名子「CIPHER」文庫版全7巻
高校生15歳アニスはずいぶん男まさりな性格、スカートはかず、男子と野球し、自分のことは「オレ」という
そんな彼女が俳優・モデルのシヴァに告白するというのも変だが、友人としてのつきあいが始まる
実は双子のそっくり弟サイファと交互に学校へ来ていることを知る
二人とも全く見分けが付かないように振る舞っているが
サイファ(ロイ)は奔放、シヴァ(ジェイ)は慎重な性格
アニスはサイファを好きになり、サイファも心が傾いていく
3巻目まではそんなアニスの恋愛物、シヴァにも俳優仲間のディーナという恋人ができる
迫った卒業後、サイファは自分の名前で俳優をやり(今はシヴァ名義でやってる)、シヴァは大学進学を考えている
そのためディーナに真相を告げ、二人一役のシヴァでなくシヴァ一人で向き合いたいと言い出したシヴァ
今の撮影が済むまで待ってくれと止めていた間にディーナの事故死があり、恋人を奪ったという悔いでサイファはアニスとも別れ西海岸へ去ってしまう
サイファ・シヴァの過去はかなり厳しいものがあった
元は双子の子役だったのが母の不倫でやけになり無理な登山を行った父を失い、二人は母から独立して暮らし
ストレスに弱いサイファがドラッグに溺れ学校も行かなくなったのを建て直すためシヴァと交替で登校するスタイルを取るようになったということ、二人で支え合っていた絆が切れ西東で不安をかかえての暮らしが始まる
後半おもしろいのは
補完しあってきた片割れを補う役割はアニスでなくまず男性に回ってくるという点だ
シヴァにはレヴァインという存在、サイファには日系のハル
余計とも思える迂回(同性の中での成長)を通ってようやく異性にたどりつけるというわけ
そうすると、ディーナの犠牲はあまりにも大きい
レヴァインを主人公にした「アレキサンドラン」はもう一つかな
(070910)
(ni)
▼西風「GTroman」
風邪抜けてようやく連休 読みさしのまんがなどでまったり
風邪の間は「GTroman」(ブックオフで冬8巻格安で見つけた分)少しずつ読んでた
沼津の車好きが集うカフェ「GTroman」を舞台にした短編集
車が走るシーンがともかく雰囲気いい
マスターがかっこいいから3巻目、女の子の乗るコブラに便乗させてもらう14話とかファンになるわ
西風の描くおやじさんも日本人離れしていて渋ーい
人物次々出てくるのでつながらないのが惜しいとこ
8巻目で顔にベタが強調されクールな絵柄が変わってきてるが大丈夫かな
やっぱり最後気になる 残りは喫茶で探そ
(050320)

▼西川魯介「屈折リーベ」96年
徳間書店からこの前後2年間くらい刊行されていた「少年キャプテン」連載
絵は粗い、眼鏡フェチ恋愛ものという点がユニーク
新入生の秋保宣利(あきうのぶとし)は先輩の大滝篠奈(すずな)に告白するが、理由をしゃあしゃあと「メガネっ娘だから」と宣言
相手にしない篠奈だが、つきまとう宣利の姿が気になり始める
そうすると宣利を慕う同級生、唐臼がじゃまに入ってくる、それもマシンガンで撃ってくるんだ
力でだめとわかった唐臼は自分もメガネをかけて迫るが「伊達めがねはその人の内面を写さない」という宣利のわかたっような理由に退けられる
宣利がメガネを取った篠奈はどんなだろうと海に誘うと、度つきゴーグルを着用してくる篠奈
わたしのことをメガネをかけた娘としてだけ意識しているとコンタクトにしてしまう篠奈
メガネを巡る問題が総覧できる問題作
ラストは純愛もの風にしめてある
(080
306)
▼西森博之「天使な小生意気」
西森さんの作品、最後は岳山一味の再挑戦
恵が簡単に許してしまうのでスキをつかれ一味に監禁されてしまう
それでも蘇我たちのピュアな想いが苦境を打開する
成長もので想いだけという展開がちょっと辛いが
恵を巡る悪魔の契約には意外な真相が用意されていた
恵は三木を助けるため男の中の男になるという契約を交わして長髪の美少女になったんだが元々女の子でショトヘアがより女性的な姿になって力が男勝りになったという事実、蘇我とのキスはそれ以上展開するのか思わせぶりで終結している
(070929)
▼新田たつお「怪人アッカーマン」78年
「漫画アクション」連載、作者の出世作
宇宙海賊アッカーマンが宇宙中の女を犯しまくろうと奮戦するストーリー、スポック船長風と丸っこい感じの二人の手下もいい感じ
スーパーマン風の出で立ちにサングラスをかけ、腰には貞操帯、その鍵を開けると巨根が飛び出す
5話「星祭助平大戦車競走」ではキューピー達の星で交わると永遠のオチンチンが得られるというライア姫をえさに宇宙の性豪を競わせるという設定
スーハーマン、ウルトラメンタ、バックマン、フレッシュ・キートンなどに混じってアッカーマンが映画「ベンハー」で再現されたローマ競技場で戦車を走らせる
パロディが溢れた本作はHネタと相乗した過激なギャグマンガ
この後、小柄な黒岩先生が暴力にあれる学校に赴任して鎮圧していくという「ビッグマグナム黒岩先生」が数巻
このアイデアを生かして89年よりショーロホフ小説もじりの「静かなるドン」がヒット
下着デザイナー、小柄で気弱そうなサラリーマン近藤静也が暴力団新撰組の跡を継ぐ
仕事を続けながらつとまるのかと思っていると、実はタフで凶暴な性格、それを緩和するため一般社会に身を置いているという
こちらはえんえんと続いているだけあってわかりやすく楽しめる
(080402)
▼日本橋ヨヲコ「少女ファイト」1〜3
緻密な描き込みが魅力のヨヲコさん、それが災いしてキャラがこぢんまり見え、展開が地味に感じられて読まなかったんだが今度のはおもしろそう
1巻買って設定に魅了され、続きを喫茶で
小学生時代、女子バレーで狂犬とまであだなされた大石練(ねり)
名門白雲山中学では万年球拾い
背の低さに限界を感じているからというのは表向き
彼女は目立たないことを心がけている
全国準優勝のチームということで白雲山中学から来た勧誘を仲間みんながけって自分だけ受けたことから
バレーばかりやっていて周囲から嫌われていたことを知りショックを受けもう仲間を作りたくない、試合で小学時代の仲間と戦いたくない
というわけで力を出さず、ベンチでずっと過ごした中学時代
中3で初めてメンバーに入って出た試合で無理しすぎ、チームの要、小雪にけがをさ
せた
式島接骨院の息子シゲル(現黒曜谷高校セッター兼トレーナー)に介抱してもらったのも男子といたと誤解を受け
白雲山高等部への足きり心配もあった練は思い切って退学することに
練がバレーを始めたことには大きな因縁がある
練が持つ写真に写る4人
姉、シゲル、シゲルの弟ミチル
姉はバレー部員で高校春大会、準決勝戦で黒曜谷と対戦、足を痛めていた姉に相手セッター陣内笛子が球を執拗に集める
試合に勝ったものの疲れた姉は帰り道、突っ込んできた車を避けられず帰らぬ人に
悲しさを紛らすためシゲル・ミチルと始めたバレー、小学校でもモウレツにがんばったバレー
決勝には黒曜谷が出て圧倒的な強さで優勝したらしい
姉の死のためそれ以上知らなかったその試合のビデオをシゲル達も今になって初めて見ると
膝の故障を顔に全く出さず、ひたすらバレーを続ける笛子が写る
優勝してもにこりともしない黒曜谷の面々からこれが姉の弔い合戦だと知る
笛子自身、この試合の膝酷使で選手生命をたたれたという
黒曜谷女子バレーの監督として戻った笛子は、姉の墓前で力無くうなだれる練に「這い上がってこい」と一言
練は黒曜谷高校へ転学することに
2巻目では、小学生時代、デブでいじめられていたのを助けてもらって以来、練にあこがれてきた小田切の行方が興味深い
彼女は練を主人公にしたまんがを描いているオタク的な少女、学力も中学No1なのに黒曜谷高校のスポーツ学科へ
さらにバレー部にマネージャーとして入るが、部員が少ないということで練習にも参加
一から練がバレーの基本を教えていく
小田切の成長が練の物語以上に楽しめる
3巻目に入って賭けバレーが出てきて脇道にそれるようで心配
(080108)
(nu)
▼沼田清
「影 別冊」61年/4月
日の丸文庫からのシリーズ誌で195P、150円
次の4作を掲載
K.元美津「遠い道」
K.元美津「月がニヤニヤ笑ってた」
沼田清志「手に石」
山森ススム「覗き魔」
元美津さんの作品が120Pと大半を占め、32Pずつ
なかでも沼田さんは新人、絵柄もまだ練れていないが先輩たちよりうまい
「手に石」は
スキーに来ていた大学生、芥川は岩陰に青い光を見る
間違いなく宝石だと見当をつけて、友人芥川と二人で夜、こっそり出かけてみる
それがエメラルドだとわかり崖の上からザイルで降りるしかないと判断
小野田にザイルを持たせ、芥川が降りるが滑ってしまい小野田も振り落とされる
なんとか崖の上の木にザイルがひっかかり二人がザイルの両端を握って同じくらいの距離で崖からぶらさがる格好になってしまう
目の前に宝石が見えるが取ろうとするには距離があり無理をすればザイルがふれて切れてしまいそう
そんな時、二人が出て行って戻らないのを心配した友人の女子学生が連絡して救援隊が下までかけつける
あせった小野田は宝石を取ろうとしてザイルが切れ転落
小野田はなくなり芥川は軽いけがですむ
警察にはザイルで降りる練習をしていたのだとごまがすが
宝石が気になり、一人でザイルをかついで再度挑戦するが・・
結局芥川も転落する
通りかかった男が死んだ芥川が手に持っている石を見て「よく間違えるがただの水晶だ」と言い残して物語は終わる
(120111)
◆
沼田清「オッス29号」
表題は「カチン!ときたね」(山本まさはる)
沼田さんの作品は「マウンティントップ」44P、他に梅本さちお「おさげ髪」
「マウンテントップ」は登山話題
オッスくんたちが黒馬岳を登山している
隊から別れて松ちゃんとオッスくん二人が歩いているとガスが出てきて人の声がする
たどり着いた山小屋は目的としてきた貝の社と反対側の小屋で不思議な思い
小屋から出てきた石松という中年男はナイフを出して迫ってくる
元気な若者二人で応じてなぐりあいになるが、お嬢さんが出てきて石松を止める
お嬢さんの話では弟が友人と10日前に黒馬岳めざして登山して戻ってこない
会社の登山仲間であった石松さんに相談すると当たりを探してくれるというのでやって来たが
弟が登ったと思える山の頂をめざした石松さんは途中でトラブルにあい、降りてきた時はこのように気がおかしくなっていたという
思い当たることがあるオッスくんは松ちゃんと頂に登りきり弟さんを発見する
気圧の変化で弟たち二人は倒れたまま動けなくなっていた
石松さんが変になったのもガスにやられてしまったのだとわかって終了
ミステリー仕立ての作品だが謎はとくにきいているほどでなく、登山場面がリアルに描写されている
沼田さんは今で言うアウトドア志向の青年だったらしく素材に他の作家さんにない味わいがある
「オッス33号」
山本まさはる「目撃者アリ」は推理ものとみやはら啓一「太一とヒヨコと晴美ちゃん」
沼田清作は「太平洋ド真ん中」30P
小学生ほどの美和はハワイにいる父に会いに行くと密出国して船に乗り込んでいる
その客船が嵐に遭い遭難、船でボーイをやっていた主人公はボートで美和と太平洋を漂流することになる
兄がわりとして世話をしてやるがかんづめしかなくそれも缶切りがない
ある時、漂流しているどら息子と出会う
船ではさんざん文句を言ういやなやつだったが見殺しにできないとボートに乗せるが
かんづめを争ってけんかになり水に落としてしまう
絶望感に襲われている時、目の前に島影が見えるというラスト
激しいドラマが始まると見えてたいした事件もなく終了するので少し肩すかし
沼田さんの短編は絵柄もよく素材もおもしろいのに筋立てに盛り上がりがないのが不満
(120113)
◆
沼田清「オッス49号」64年
139P、220円春休み号
沼田清「オッス太平記 悪魔の洞窟の巻」64P
石坂けんじ「吹雪の山小屋」32P
貞安達明「大すきべんけい先生」36P
締切まであと5日でアイデア出ず困っているまんが家和泉太郎
突然訪れた幼い女の子ノンちゃんは太郎のファンだという
物語を提供してくれるというのでついて行くと町のマンホールへ入れと案内される
降りるとノンちゃんが見あたらず探すうちに地下道の先に明かりが見える
近づいてみると大きなホールで悪魔の祝宴が行われていた
巨大な像のまわりをたくさんの人々が踊り、真ん中では鬼のような顔をした男が叫んでいる
サタン同盟は今夜、地上に出て人類を亡ぼす計画らしい
サイコンという魔物は溶岩をまく
ダタンガは魔力で脳を狂わせる
キンドンはサタン光線銃で坊主を皆殺しにする
準備は整った、一つだけ注意があり、十字架や鏡を見るなと言っている
ここで戦わねば人類が終わると持っていた刀を武器に向かって行く太郎だが
相手は巨大な大きさ、とてもかなうはずもないがとっさに気づいて刀と腕で十字架を作ると敵たちは消えてしまう
マンホールを出ると夜も明けているという荒唐無稽というかファンタジックな物語
(120112)
沼田清「罪と罰」65年?(京都MM)
光伸書房220円、122P
年代は未詳、ごろねこさんの推定による
出だしはドストエフスキーばりに、借金に困った大学生二谷がナイフで金貸し老婆を殺害する場面から
ただその後は罪に悩む二谷と進まず、別の事件がからんだ物語になっている
熊川商事の息子に交際を申し込まれた東都大学生、和泉美加
熊川を殺すという手紙を受け取って不安に駆られ勘助探偵の所へ相談にくる
その熊川は勘助が見張る目の前で射殺され、ライフルでビルから狙ったと見当つけて乗り込んで警備員ともみあいに
警察での調べで、臨時警備員二谷は不審者と思い勘助を取り押さえようともみあいになったという
二谷は東都大学三回生というのがわかり射殺犯と断定する勘助
熊川暗殺は国際麻薬団SSS組織が日本では敵対する熊川商事をつぶそうと企てた一件で読者には気の小さそうな二谷の犯行ではないと思えるのだが・・
後半、急転
聴取の指紋から老婆殺しの犯人が二谷とわかり二谷はつかまる
さらに彼はライフルの名手で麻薬団にやとわれていたという設定
美加までが国際警察の一員で麻薬団をさぐっていた
そこまで結びつけるなら後半に美加を登場させてほしいもの
麻薬団の日本でのボスは若い女性を持ってきているがこれも単に登場しているだけで内容にかんでこないのが物足りず
麻薬団もつかまりあっけなく終結する
「影」102号にも沼田さんの作品が一つ
「影」は66年120号で休刊となったらしいのでこれは64〜65年頃か
指紋が誌面一杯を覆う目立つ表紙で、300円、256P
篠原とおる「アリバイなく男」120P
石坂けんじ「消えた設計図」48P
沼田清「おっお兄ちゃんだ」14P
K・元美津「人間消失」65P、推理劇画と銘打ってある
篠原さんの初期の絵柄はすっきりしたもの
ブラックマスクのギャングが強盗をして、前行く車の吉田啓次に罪を着せる
啓次は太陽食品の配達をしていが、なかなかのタフな男で自ら事件を追って罪をはらす
啓次の恋人麻理の兄さんがギャングの首領だったというのがみせどころ
沼田さんの作品は創作実験作4となっている
炭坑町で仕事がなくなり、父も死んで兄が都会へ働きに行っている
妹美加は戻ってきた次郎を見つけ、100円もらうが家に戻らない
変だと思っていると、トラックが事故に遭い、助手席に乗っていた兄が事故死したという知らせが届く
悲しいショートストーリー、短いものでは仕掛けもなくあっけない
(111101)
沼田清「地下ゲーム」68年
いかした活劇絵を描く沼田さん
週刊誌では活躍しなかったから大出版社から単行本は出ていず、簡単には本が手に入らない
これは日の丸コミックスものをオークションで入手
タイトル作が犬勘助探偵シリーズの一作
日本コンピューター中央局に機密書類を届けるよう依頼された探偵
秘密の地下に案内され、ウラン採掘現場を敵国スパイから守ってほしいと二人の諜報員とともに頼まれる
話に裏があると3人で推測した結果、地下自体が敵国のミサイル基地になっていることがわかってくる
脱出をはかるところで犬勘助はこの地下全体がミニチュアの作り物、彼を試す装置だということに気づく
芸術家が探偵を相手にどれだけ騙し通せるかたくらんだ大がかりなゲームだということがオチのしゃれた作品
他に恋人を殺された怨みで次々暴力団を襲う復讐鬼「猛獣」
地下鉄工事の騒音で不眠になり、爆破を企てる受験生「悪質不眠症」の2編
実験作と銘打っているように少し未消化(080628)
沼田清「みそそぎ川」80年
「カスタムコミック」No7には沼田さんの作品が読み切り29Pで掲載されている
貸本時代しか知らなかったのでこんな所に描いていたんだという感じ
絵柄は大人コミック向けのものになっているが、人物のきりっとした所など面影アリ
話は京都の小旅館つぐみが舞台の人情話
女将が一人で切り盛りするような小さな旅館へ旅人が宿泊を申し出るが「一見さんは」と断られ河原に出て、今は新聞記者をやっているかつての親友に出会い、つぐみみ取材で泊まっていると再び訪れ、加茂川の別名「みそそぎ川(清めの川)」の話を聞きながら雰囲気を出しておいて(こちらは単におまけの役)
旅館の娘恵がお香研究している友達にお香店の季乃堂を紹介する話に変わる
季乃堂の息子茂は恵の恋人、まだ母に紹介できないでいるが二人の間には赤ちゃんができたかもしれない
茂が見せてくれるた父が海棠を彫り込んだという伽羅の逸品は半分だけしかない
それからしばらくして、母が大事にしまってある伽羅を見つける
それは季乃堂で見たあの品の実に片割れで、昔芸子をしていた母の恋人、自分の父が季乃堂のおじさんだと知り深い混乱に陥る
兄弟同士で生まれる子供、その恐れで恵は加茂川に身をそそぎ、おなかの子を始末してしまおうとする
伽羅が出されているのに気づいた母は茂の父が「茂は先妻の連れ子で血のつながりがないんだ」と話していたのを思い出す
皮肉にもそこへみそいだ娘が水に濡れた姿のまま現れる
(090205)
(ne)
(no)
▼のがみけい「風よ雲」73年6月号「りぼん」新連載
カラーの表紙はなかなか見応えあり
1573年甲斐の国は武田信玄が治める所
鹿を追う武士たちの中、若い仁科源三郎は信玄第5子
ひとりはぐれた瀧の所で少女に出会う
誘われるように瀧の裏についていくと毒蛇にかまれてしまう
3日も寝続け気づくと、少女が看病してくれていたらしい
そこは隠れ里で見つかるとまずいとそうそうに帰されるが強烈な印象を残していく
少女の名はもえぎ
ゲンという隠れ里の若者がもえぎを嫁に望むのがいやで里を逃げ出し
忍びと間違われ玉姫に殺されそうになったところを源三郎に救われる
玉姫も信玄の血筋で源三郎とは義兄妹となる
武術を心得ているだけでなく顔を覆面でかくす不気味な存在
時々の発作を蛇の毒でおさえている
もえぎが玉姫の体中があざでただれているのを見てしまった所で第一回は終了
(081024)090121
のがみけい「雲よ風」続き
「りぼん」71年6月号〜72年2月号連載、全8回360Pほどの内容
前に初回をレビューしたので2回目以後の続き
7月号
奥平貞能が武田を裏切ったことで人質に来ていた千丸は処刑されることになった
千丸を慕う松姫は救いたいともえぎの助けも得て牢に入ることができたが千丸は逃げることは不可能だし出来てもかえって本家の恥となると死を覚悟する
千丸は処刑され松姫は以後失意の中で生きることになる
玉姫は自分の薬を猫が飲んで死んだことでお付きのききょうを疑うようになる
醜い自分と同じように蔑まれて生きてきたききょうに深い同情と信頼を寄せていたので気づかなかったがききょうの薦める薬を飲んで以来自分の性格が変わってきたと思い返したのは既に遅く、ききょうは勝頼に取り入って玉姫を離れに閉じこめてしまう
8月号
織田勢との合戦に勝利してゆとりが出来た頃を見て、信盛は武者修行と称して織田を偵察する旅にもえぎを連れて出る
織田の国での馬くらべで荒馬を乗りこなし御前に呼ばれ信長と対面
しっかりした受け答えに信長は感心するが、信盛も正体を見透かされていると感じ人物の大きさを知る
もえぎはゲンに見つけられ連れ去られる
その小屋をききょうが放った忍者達が取り囲み火が放たれる
9月号
一人国に戻った信盛は勝頼命令で本願寺教主の養女綾姫を妻に迎える
もえぎのことが忘れられないがよくにた少女と出会う
もえぎは火事で命は取り留めたものの記憶をなくしてさまよい元の国へ戻ってきた
これを知ったききょうを玉姫と同じ岩牢に閉じこめてしまう
ゲンも顔を焼かれながら生きていて武田家の諸事情をのみこみききょうに脅しをかける
10月号
もえぎの所に連れて行き油断した所を背後からさされ息絶えるゲン
ききょうは邪魔者の玉姫・もえぎを水攻めで殺してしまおうとする
水が溢れ溺れそうになる時、前に脱出するため岩のすきまをけずっていたのが幸いし水圧で押され穴があき洞穴を伝って外に出ることが出来る、またこの衝撃でもえぎは記憶を取り戻す
11月
有名な長篠の戦いが描かれた号
馬の侵入を防ぐ木柵に阻まれ鉄砲の三段攻めにあい織田軍に大敗した武田軍
12月
勝頼をいさめる家臣弾正を操ろうとして正体がばれるききょう
本物の綾姫を殺して、自分に似た村娘を綾姫に仕立てていたこともその口から知れる
ききょうは綾姫を殺し、自分の身代わりに谷から身投げさせ正体をくらませる
1月号
しばらくして弾正がなくなった時に首にかみ跡があり、蛇を操るききょうの影が忍び寄る
拾ってきた子供達のうち幾馬は信盛の腹心にもなりそうな戦士に成長する
実は彼もききょうの指令を受けていた、そんな中、織田勢の軍勢が近づく
2月号
武田勢が織田軍に次々と城を空け渡してゆく中、高遠城に立て籠もって最後の一戦を交えようとする信盛たち
指令で隙を見て信盛に斬りかかる幾馬だが、ききょうの吹き矢を防いで信盛を助ける
ききょうは引き連れてきた忍者たちを指図しているが大将の命令でその忍者達に討たれいよいよクライマックスへ
敵軍は城内に攻め込んでくる
落城の中、もえぎは二人の今までを思いながら笛を吹く
信盛はもえぎの首をはねてから自刃する
すべてが終わった後、僧になった松姫が戦の最後を回想して物語りが終わる
大河ドラマにあるような内容なんだが「もえぎ・信盛」の数々のシーンはコマ絵だけによけい印象深く心に留まり余韻を残す
▼ のぞゑのぶひさ「神聖喜劇」(4巻まで)
完結したと新聞広告にあり、読みたくなりました
陸軍に入隊して対馬で訓練を受ける東堂の周辺が描かれた軍隊もの
戦中もので戦闘場面が出てこないから変な感じ
1巻では東堂が入隊前、共産主義の嫌疑を受けたことが大きな話題
2巻では軍隊でも兵隊の出身についての差別的発言が問題となる
3巻は入隊前の芸者との逢瀬を描く
4巻は刀剣の傷についての詮議が細々と続く
民間では色事の場面でも言葉がまず動き、軍隊でも規律や発言について論理的に考え抜く東堂の姿は異様なまで
戦局がもたらす異常な運命に思考でかろうじて立ち向かおうという言葉の洪水が返って論理で割り切れない生の本性を表しているよう
4巻表紙絵は局部できた傷に軟膏を塗るため剃毛していた東堂が芸者とともに再び剃毛するという奇妙な場面
ここでも芸者と多大に交わされる文芸的言辞が戯れでしかないような余情がある(070220)
のぞゑのぶひさ「神聖喜劇」(その後)
5、6巻では短剣損傷事件が長い話題となる
東堂は助言や上官への意見具申をして、窮地を救った被疑者冬木との間に信頼が生じる
末永が班長から民家からほしイカを盗んだ罪で死刑だとニセの判決を申し渡された場面では東堂に続き冬木も異議申し立てする
末永に代わって罪を着ても良いという二人の意気に感じた村崎古兵は他に末永をかばう者を募る
続々と名乗り出る兵たちを見て、進取の気質を持つ村上少尉が上官敵対行為見なしと村崎たちを断じることになる
ここでは東堂たちの方が情緒的に行動している点がおもしろい
それぞれの理想を体現していくこの場面は軍隊とはわけのわからない奇怪な組織だという感をいっそう強めさせる
東堂を理論的にあげあしとり厳しく罰した大前田班長は皮肉にも愛人関連で軍を脱走、憲兵に逮捕されることになる
その後はこれといった逸話もなくいきなり戦争が終わり、安芸の女が広島で被爆死したため東堂は彼女と再びまみえることはなかったと結ばれている
彼の理論武装もからまわりで「歴史的事実」は決して言葉で捉えきれるものではないという当たり前のことが再度はっきりした様子(070221)

(ha)
▼袴田めら「最後の制服」1
百合魂全開とか評判高いので買ってみてどうも違うなぁ
百合にしては各員幼くて、正面顔もそんなに麗しくない(横顔はけっこういい)
女子寮中心だから男が皆無、そこが百合らしいのでしょうか
気が強くて、弓道やってる武人タイプの紡さんが登場する回は中でもレベル高いのでは
如月が紅子争奪で紡に挑戦する「どちらかの息の根が止まるまで」が1巻のハイライトか
ただ如月さんの目、黒塗りの方が魅力的だったような
3巻目になるとカップルが強まりより印象的らしい
ところで「最後の」というのでかなり壮絶な物語を予想していたが、わりとほんわかした話が多く
「最後」というのはどういう意味なんでしょうね
(080110)
▼萩尾望都「文藝別冊 萩尾望都」10年
副題も「少女マンガ界の偉大なる母」とあるのは
現在の少女マンガで現役、第一人者という意味なんでしょうね
生み出した者にしては、内容・絵柄とも影響は少ないし
「少女マンガ」なら「偉大な母」はわたなべさんや牧さん、もう少し下りて水谷・西谷さんになるので萩尾さんは「偉大なる姉」くらい
作品がアニメにも映画にもなっていないのが意外、他には表現しがたいものだからか
好きな作品が「スターレッド」前後のSF作だから萩尾さんのイメージは緻密で理性的
今回の特集で対談や描かれた肖像見て、仏のように大きく広いイメージだと知る
人物がわかったからといって作品に影響ないので、本特集はあまり利点がないが・・
後期では「バルバラ異界」の評価が高いことと「残酷な神・・」が後半不要と思われるほど長いにしても発想が高く評価されていること
収穫は未完成草稿「妖精」
5P目の上から少女ファニを見下ろす樹木の絵、8P目ファニと母がしゃべっているのを姉が階段から見ている構図のコマ
丁寧に丁寧に仕上げられようとしていて、絵がまさに生まれてくる様子がわかって感動的
できあがってしまうと、どのコマを次を急いですらすら飛ばして行くが
描きたいのはストーリーのうねりではなくて、マンガの場合やはり一区切りの絵なんだなぁ
(100725)
萩尾望都作品集2「塔のある家」71年
ムックを読んで読み返したくなったのが初期「少女コミック」に掲載された諸作
サスペンス仕立ての「モードリン」
2集のタイトルともなった「塔のある家」
珍しく日本舞台の「小夜の縫うゆかた」
「塔のある家」は
母、続いて父をなくしたマチルダ、恋愛にも破れ故郷を捨てて都会で暮らす
しかし友達もできず、昔の本を開いたら妖精たちに出会ったことを思い出し、塔のある我が家に舞い戻る
そこには幼く故郷を去ったトーマス(庭師の息子)が戻ってきておばの遺産で塔のある家を買い戻していた
こんなうまい巡り合わせはありえないけれど童話仕立てで幸せな気分に浸らせてくれる
「小夜の縫うゆかた」は
12歳で母をなくした小夜
母が手でゆかたを縫っていたのを自分でもまねて
その動作に母のかつての姿を忍び、自分も女性の階梯を一つ進んで行く
兄たちのささやかな恋愛感情にもそまりながら細やか妙なる感情を紡いだ逸品
(100726)
萩尾望都「百億の昼と千億の夜」78年作
アトランティスを神ポセイドンが海に沈めた日から執政官オリオナエは神が人間をかくも容赦なく葬ることに疑問を持ち何千年も神の真理をつきとめる戦士を待っていた シッダールたが海より現れた時、戦士阿修羅王
が合流する
神はさまざま形で人間の元に現れ未来を指し示したがそこには破滅しか待ち受けていないことが判明する
では神にはむかう分子を導いたのは誰
転輪王 戦士達に力を貸し滅亡を食い止めようとしたが失敗したことを阿修羅王に告げる
最後は阿修羅王が宇宙の外側の意識を声としてうけとめる
宇宙のそとには「シ」とこの宇宙で呼んでいる存在があり宇宙の生成から消滅を扱っている
宇宙から飛び出しそうな過激な分子は抑えて予測内の成長と消滅を遂げるように見守っているらしい
この物語は華々しい戦闘とか次々の謎解き以上に最後の場面の次を読者がどう推測するかが重要みたい
宇宙がいくつも集まってまた宇宙を作っていて総体は火の鳥に結集していくというのが手塚治虫が描いたビジョン なにかわからないが大きな存在に含まれているというもの
他には大きくなっていくと最後は最小のものとつながっているという空間をねじまげてどうどうめぐりするビジョン(離れていくが結局は一つの無に還元され、また拡散していくというのも同型パターン)
ビジョンもなにも異次元は人間には想像もできないものだと理解不能と片づけるもの
萩尾さんの転輪王は宇宙の意志として現れていると思う
とすると意志が宇宙を越えて行くことはないのか?
精神が肉体を越えるという観点は一切考慮されていないようね
(050629)
萩尾望都の降臨
むかしから少女マンガの御大は竹宮・萩尾セットで語られるので読んでみようと思ったことはあったが、萩尾さんは機会なかったよう
竹宮さんは「テラへ」というかっこいい題に引かれ何度か試みて挫折
女性まんがが読めるようになって去年、初めて「テラ」読了
でもあんましって感じできて
6月頃か、「風と木の詩」5、6巻目(文庫版)読んで初めてこれは凄いと感じ入った次第
まだ萩尾さんにはちゃんと出逢ってない
やはり去年、まんが読み出した頃、評判の「半神」読んでなるほどと思ったもんの、「トーマ」や「ポー」の少年愛は紙面がごちゃごちゃして入っていけなかった
今年、近くの図書館で大島弓子も手塚治虫も借りてしまい、あと在るものというと萩尾作品集、
「11人いる」「イグアナの娘」(これは単行本かな)「ウは宇宙船のウ」「百億の昼と千億の夜」「銀の三角」と読んでSFなかなかおもしろいかなという気になるが「イグアナ」の方がよかったりして本気にならない
たまたま50円均一で「残酷な神が支配する」出ていたので10冊ほど仕入れてみるとなかなかハードな話、しかし父親早くなくなりすぎて後半だれてくる
「メッシュ」「あそび玉」とか勢いで読んだけど
先週末、出物の「スターレッド」「マージナル(文庫版1、2)」
「スターレッド」木曜に読んで一気に引き込まれた
「マージナル」は1巻目読んだとこだがこれも傑作
(050717)
萩尾望都「11人いる」
SF物御大の「銀の三角」読んで複雑すぎ、何度も時間を行き来するプレイバック画面がおもしろいが最後まで暗めの話で華がなくつらい、「11人いる」の方はテスト生として10人一組で50日耐えられるかと宇宙船につめこまれた少年たち、なんと11人ひとり多いのはなぜというのっけからはらはらする定番設定みたいなのがかえって楽しく読めます
(050616)
萩尾望都「A−A’」
アデラド・リーはプロキシマ惑星でコンピューター技師として働く19歳
危険地域労働の見返りとして出発前の16歳にクローンを許可されている
そして彼女は氷のクレパスに落ちて死亡、クローンアデラドが送られてくる
一角獣種(髪の真ん中が違う色になる突然変異人種)の例にもれず感情を持たない
アデラドがなくなる前、彼女と恋仲であったレグ・ホーンの想いも理解できないでいる
でも彼と仕事をするうち拒食症になったりするところに彼女なりに想いが育っているのがわかる
レグは死んだアデラドを氷の割れ目で見つけクローンとの混乱を避けるため僻地に赴任して
という話し
クローンに前の想いが重なり、幾度も恋が繰り返すというキャッチフレーズが文庫版帯にあったが
どうかなぁ クローンはクローンなりの新しい生き方があるはずだし
同じ文庫版の一角獣種話し「X+Y」の方が複雑な絡み(ホルモンで男が女になり子供を持ちまた男に戻る)、ハッピーエンドだし好き
他最近読んだ萩尾作では「ゴールデンライラック」
銀行家の娘ヴィクトーリア、そこへ引き取られてきた親戚の子供ビリーとの恋物語
父が飛行機事故で動けなくなり銀行が破産、底辺の生活を余儀なくされる一家
生活するためヴィーは踊り子になり、年上の金持ちハーバードと結婚することになる
最後までヴィーはビリーを愛してるし最後もハピーエンドでいいわぁ
萩尾さんの人物は目元が悲しげで悲しいラストはつらすぎるか
(051018)
萩尾望都「バルバラ異界」1〜4完結
05年完結ものだが、萩尾さん関連で読み再開
人の夢に潜ることができる渡会時夫は7年間眠り続ける少女、十条青葉の夢に入り
バルバラという世界を知るが、それは時夫自身の息子、キリヤが以前創作した世界だった
キリヤは別れた妻、北方明美に育てられていて久しぶりに会う時夫は親としてどう接したらよいか分からない
しっかりしたキリヤに比べ、ロマンチストの時夫の方が子供っぽく見える
青葉の祖母、奈々実は若返りを試していて、うまく若返った時、マリエンバートと名乗って時夫と情事を持ったり
この物語の人物には変な人が多い
最近の萩尾作の一般だが太め男が魅力的、ここでは学者の大黒先生
物語の鍵は北方の恋人、世羅ヨハネ、不老不死の研究者
彼は早老早死の家系で、親族の心臓を食べることで火星からつながる過去の記憶を代々受け継いでいることが最後に明らかになる
早死にを防ぐため不老の研究を続ける一方、女性の卵を使って早死にしない子供を残そうとしていた
青葉はキリヤ(実は病死したキリヤと入れ替わったヨハネの子供の一人タカ)と一つになり、未来に起こる火星系人類ジェノサイドからバルバラを救おうとする
このあたりまで謎とその解決が巧妙で斬新だが、終結に向けて足並みが早すぎたか
キリヤは自分が偽物であることに苦しみ、事故がらみでやぐらから転落
キリヤの意識を追うため、青葉の夢に再度はいる時夫(時夫にとってのキリヤは子供というよりほとんど同性の愛の対象みたい)
キリヤの死を知らされる時夫だが、キリヤが他人の夢(自分が死ぬ以前の時間に見られた夢)を経由して過去から未来へ夢の中で生存しつづける可能性を知る
夢から覚めると、キリヤの代わりにタカが現実に存在していて、バルバラのジェノサイドも無くなるというふうに未来が変形している
青葉・キリヤの夢が未来に干渉した結果だとわかる
折しも、ニュースは火星で心臓が食われる事件発生を告げていた(不老人種が地球にも影響を及ぼす発端となる事件)
地球と火星、現在と未来の干渉についてはほのめかしで終わってしまったのが残念
また、バルバラ世界の意味も十分展開されずに終了した感じ
(71227)
萩尾望都「山へ行く」
「ここではないどこか」というシリーズ10話
タイトルは作家生方(うぶかた)さんが山へ行こうと自転車で出るが途中さまざまな用事が飛び込み暗くなりかけ結局は行かずに戻ってくるという変哲ないがユーモア満ちたもの
萩尾さんはシリアスな作、それもSF風味がよくて、それでいくと9話「ビブラート」が秀逸
月山タクミは中2になった春、夏服を着た自分が女の子連れで歩いて、自分の家に入っていくのを見る
このドッペルゲンガーは彼の少し未来を見せているらしい
女の子も君和田といって実在する、まだそんな仲になってはいないが
予知の君和田のうろたえようから先のタクミは死んでしまったということを知る
現実のタクミはどうなるのか?恋愛と幻想を重ねて興味深い内容
これだけで一冊分くらいにして結末に至るまでひとひねりしてほしかったところ
最終話「柳の木」、川岸の柳の側で土手を眺める若い女、なぜ傘をさしているんだろう
土手の風景は時と共に変わり続け、年月の経過を暗示する
誰も彼女に気づかないのに、ある時、男が歩み寄る
「ずっと見てててくれたね、ぼくはもうだいじょうぶだよ」
こんなことって本当にあるんだろうか、でもまんがの中では納得できました
「バルバラ異界」に続いて萩尾さん健在を示す作品(071226)
▼萩田広式「かけはぎのひと」88年
寡作で単行本はこれ以外知らない
衣類修復のかけはぎを仕事にしている20代後半(?)の姉さん風ヒロインの関わる「かけはぎのひと」が7つに書き下ろし「本日は晴天なり」
「かけはぎ」も平成元年から8年で7編
表紙・扉絵の墨絵を見ても丁寧な画風がうかがえる
ちょっと地味めの登場人物だが、飲み屋に出る連中はビッグコミック系下世話な大人たちで達者な作風に感心する
第一作は単身赴任の営業マン、妻が電話に出ないので不倫を疑いだしている
飲み屋でやけのみしてヒロインにからむ
洋服の破れを見つけた彼女はアパートで繕うと持ち帰る
営業マンは酔いつぶれているので後で取りに来るように店の者に頼んで
繕われた服を差し出してかけはぎのひとが言うせりふ「時間はかかりますけど、もとどおりになりますでしょう」に男は自分と妻のことをかぶせて去っていく
アパートに深夜男が訪ねるのが心配で見守っている飲み屋の兄ちゃんも味あっていい
どの話にもこんな人情がさらっと描かれている
「本日は晴天なり」も切ない純愛もの
(071004)
▼
長谷川一「横町スズメ」65年
「少女フレンド」39号16P読み切り
横町のおしゃべり娘スズメ、同じ組のいつもけんか相手が大見江イタチ
ところがスズメの兄がイタチの姉カヨが好きでややこしい関係、いつもそのあたりで騒動が起こる
今日も、友達がみんな大見江くんのところへ遊びに行ってしまったのでかんかんのスズメは
親の名前をかたってみんなを帰らしてしまう
道ばたでみんなを待ち受けているところに仕組みがわかったイタチくんが飛んできてスズメとけんかを始める
兄が出てきて「イタチくんに謝らないとみんなもきらわれるぞ」と諭すがへそ曲げたままのスズメ
みんなもあきれて一人去り二人去り
兄が謝りなさいと再度うながすと、今度は後ろからイタチの姉カヨが出てきてさっきの連続電話の最中、間違えたとはいえ電話口で「うるさい」と言ったのを根に持ったカヨが兄に謝れと詰め寄ってくる
いつも騒動絶えない横町の物語
(110201)

▼花岡しろう
「うなれ白球」62年
「たのしい六年生」連載
六年一組青山健太は母が病気のため九州の実家付近の病院に入院している
父が海難事故に巻き込まれ亡くなったためおじの家にやっかいになっている
父の甲子園メダルを形見に野球に打ち込む少年だった
クラスのライバル、悪井良一は意地も悪く、投手の地位を奪おうとねらっている
競い合って結局良一を負かした健太だが、そのせいで悪井工場からのおじさんの仕事が切られてしまう
なんとかかわりの仕事を見つけようと自転車で駆け回るうち、交通事故にあい腕を痛める
前のような球が投げられるように練習すうのにソフトボール部のめぐみが受けてくれるのを見た良一達はからかう
西小との試合は良一が投手で出て始めは好調だったが、途中から連打を浴び、健太に替わる
腕の痛みが出るがこらえ最後まで投げ、バッティングもよく逆転することができた
試合終わり頃、母が手術するという急な連絡が入り、健太はみんなに見送られ熊本へ発つ
良一も見送りに来て二人の仲がはじめてよくなる
母の手術は無事成功し、また東京に戻ってきた健太
強敵村山投手のいる南小との対戦が待っていた
そんな頃、沈んだ父の船の乗組員が無人島に漂着しているという知らせがTVで流れる
南小との試合は激しい試合になるが健太の投球で勝ち、父も無事戻り3月で終了する
花岡さんというと、関谷さんをあっさりしたような絵柄
山は適度に作ってあるが、試合の迫力が今ひとつ欠ける
それも次第に良くなってきて比較的まとまった作としてこの年の「六年生」で光ったものになっている
(110121)
▼橋本みつる作品集「GET DOWN」
「幼い恋」をすすめられたが品切れ、まだ新刊ある短編集を注文
表題作と続編「世界を止めて」も幼い恋といった部類
小さい頃からすぐ家を出てしまう恵理、幼なじみの慶太郎
高校生になった二人は親密になるが
恵理の父親はふらっといなくなってしまった妻の血を引いていると恵理の行動を警戒するし慶太郎との仲もよく思っていない
二人の恋は燃えるようではなく、静かに内向する
二人とも顔つきが細面、目も切れ長、狐目だ
時々ぐるぐると線を巡らしたような目つきになるがそれですら世界を疑っている風
二人の存在が周囲への違和として描かれているがそこを越えて出て行けないのが歯がゆい
恵理の父親もデッサンが適当でそこにあるはずの大人の世界が拒否されている
恵理の父の内面がえぐられ、恵理への本心、去った妻との思い出が明かされればよかったのだが
(071105)
▼花沢健吾「ルサンチマン」04年
わあ、こんなさえない男が主人公のまんがってのもそうないよ
2015年東京、しがない印刷所に勤めるたくろーは30歳で女性とまともにしゃべったこともない
友人越後にバーチャル世界(アンリアル)では自分の思い通り女性が振る舞うことを教えられ、現実を捨てる覚悟、60万円はたいて自分もパソコン装置を購入
ソフトは店の隅にあった「TUKIKO」
たくろーは中学時代のイメージ(これはわりとまともだから、それ以来もてなかったというのも変なんだけど)でアンリアル界へ
月子は不良品なのか好きな人がいて探しているんだとたくろーの恋人にはならない
月子の相手を探すため街までついて行くたくろーもそうとういいやつ?
相手の正体はアンリアルの開発者神崎らしく、原ソフトである月子は現実界のあらゆる電脳へアクセスできる鍵を握っていることになる
アンリアル界で月子を狙う一味のため神崎は死に、窮地を救ったたくろーに月子は次第に心を開いていく
一方現実界では、たくろーは印刷所の営業長尾姉さんとひょんなことから急接近
現実界をとるか、アンリアルで生きるか選択を迫られるたくろー
アンリアルでは月子の存在を知った江原総統が月子をさらって現実界を操りミサイルでも自由に発射できる力を手に入れるまでになる
現実界滅亡の危機、月子奪還に、越後たちの力を借り挑むたくろー
さえない恋愛談が現実を巻き込むハルマゲドンにまで行き着くすさまじさ
現実を消滅しつくそうとする江原総統の正体が知れると逆に現実が悲しくなってしまうほど
この物語のラストの主人公はこの江原と、長尾姉さんだ
姉さん、月子にくらんだたくろーを刺そうとしながら、月子が消滅しそうになるとその生きたいという願いを叶えるため母体を提供して出産するなんて
彼女にそんな菩薩行を歩ませたものはなんなんだろう?
勝手な思いで女性の心をもてあそぶ男達へのルサンチマン(怨み)か
昨年読んだ最高作で、2000年に入ってからもこんな存在感のある作品は見ない

花沢健吾「ボーイズオンザラン」05年
本年終了間近、今年完結した作品をいくつか喫茶で拾う
はちゃめちゃ主人公の田西、長野までハナちゃんを追いかけていったのはよいが、元彼女・同僚のちはるに再会、誘惑されてハナちゃんの疑惑をまねく
ハナちゃんの夫、元日本ランカーの源にかなうはずがないのに立ち向かうという構図はちはるを巡って対青山で暴れた時とかわらず懲りない根性ぶりが重苦しいなりにも本作のかなめになっている
いじめられても一人耐え抜く小学生のシューマイを巡っての思いがけない展開はそれなりに納得、前作があまりの傑作なので比べるのもなんだけど、花沢さん作だから水準以上(081227)
花沢健吾「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(08年完結)
既に一度紹介した作品だが、三山本探求のついで8巻あるだけ注文して、残りも読みたく購入
カプセルおもちゃ(ガチャコン)小社斎田産業に働く田西は30歳も近くなり女の子ゲットに焦っていて、同社のちはるちゃんがアイドル
ライバル大手マンモスの営業青山くんの勧めでアタックかける
ちはるが風邪で休んだ日、住まいを見つけて見舞い、ちはると仲良しで病気の世話してくれる隣のキャバ嬢しほとも知り合う
負担にならないよう引き上げたのだがひょんなことからしほの部屋で・・というのがちはるに知れて大決裂
この痛手につけこんで青山にちはるを取られてしまう
妊娠までして青山とは結婚する話も出ず、子どもをおろすと聞いてマンモスになぐりこむ田西
青山はカポエラの使い手で、会社の元ボクサーから素人でもできる攻撃法を教わるが所詮つけやきば
先手攻撃法をちはるから聞いていた青山にのされてしまう
ちはるとも別れて田西は会社も辞め、傷心旅行で訪れた韓国で微力ボクサー吉良に出会い帰国後ボクシングを習うことに
これはジムの雑用係ハナちゃんにあこがれる気持ちからでもあった
ハナちゃんとはいろいろあったが、無銭飲食をとがめた相手がやくざ風の仲間を呼んで二人が拉致される
ハナちゃんのボクシングでかわせる相手のはずがかつてはチャンピオンをねらった安藤君が敵側の用心棒になっていたから大変
田西は一発でのされ、ハナちゃんは車でレイプされそうになる・・
田西、回生の攻撃を屋上から加え、これでハナちゃんと意気投合することに
絵のモデルとして稼ぐハナちゃんを追って長野まで行った出迎えがなんと、地元に戻ってデッサンからやり直していたちはる
ちはるの誘惑に乗りそうになったためハナちゃんに疑われて
最後はハナちゃんの甲斐性なしの夫、今度戻ってきたら離婚届けに判を押させるという源とやり合うことに・・
ところで図版の9巻目表紙を見ると本作は「宮本から君へ」を念頭において描かれたことがわかる
(101008)
花沢健吾「アイムアヒーロー」09年
祭日だけど、一日仕事に出る
昼休みがけっこう空いて、久しぶりに漫画喫茶に1時間半
新刊はどうも食指が動かない
前と同じ顔ぶれの話題本コーナー、「3月のライオン」も「海街diary」もどうも面倒になり
7巻目の出ている「アイムアヒーロー」、前は4巻目まで読んだはずなの
1巻目中まで読んでいたのでは変な出だしくらいで漫画アシの日常にはまりこんでいくのかと思っていたら
2巻目、大展開
彼女が怪物になってしまうというパニック
どうまとめるんだと思っていると、なるほどウィルスものだった
新種のウィルスが蔓延し人間を化け物のようにして凶暴化させた
さえない鈴木はたまたま散弾銃を持っていたのでこの世界で活躍する位置を与えられる
女子高生ひろみと知り合い、逃げ延びるところまでは
圧倒的な描写力に驚きながらも、話の展開が難しいのではとパス気味だったが
今回続きを読んでみると、
新聞記者の車に拾ってもらってウィルスに冒されていない人間が立てこもる要塞に
そこも生き延びるに精一杯の人間が醜さを露呈する場所であったし
なんといってもひろみが感染しつつ、凶暴性を発揮せず鈴木君を守ると決意しているのがすごみのある設定
花沢さんのまんがは絵柄が超リアルで、主人公たちの性格も行動もあけすけなほどなのに、主人公がいつも一人の女性に心を捧げ尽くすという設定が面食らうが
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を超えて傑作となりそうな勢い
(111013)
▼
花村えい子「もう一度生きたい」65年
「少女フレンド」27号〜30号に連載
実話元に西谷康二さんが原作
娘の命が心臓病であと一年と聞いた両親
久美は病院から帰り道、目の見えない少女に会い、手助けしようとしてかえって同情はいらないと杖でたたかれる
家で両親が病気のことを話しているのを聞いて事実を知ってしまう
その後、あの少女とまた会い、向こうもひどいことをしたとわびたことから友達になる
名前はさゆり、彼女には自分の命のことを知らせていない
次に心臓が苦しくなって入院した時、久美はさゆりに今度いいことがあると告げる
久美は結局亡くなるが遺言で自分の目をさゆりに譲る書いていた
さゆりはそんなことを知らず、目の提供者が出て手術になり、目が見えるようになったとき、まっさきに探したのは久美の姿だった
真実を告げられ哀しむさゆりだが久美の目を持って生きる決意をする
久美の母は怒りに近い感情でさゆりを嫌うが、夫になだめられさゆりに会う
その目に久美が生きていると感じてさゆりを抱くのだった
(110131)
◆
花村えい子「にあんちゃん」65年
「なかよし」11月号付録
九州炭坑町入野村が舞台
父が亡くなった子供たち4人、長男20歳の喜一に暮らしがかかってくる
末っ子末子は小学生の兄高一(二番目の兄でにあんちゃん)が末子のため自分は弁当を持ってきていないのを悲しむ
姉、良子は子守として住み込み、朝鮮人だと真っ先に首を切られた喜一は長崎に職を見つけに出る
家賃も払えない兄弟は知り合い宮崎さんの家に身を寄せるが
そこも5人も子供がいて生活は苦しい
母親があと二人も養えないと実家に戻ると宮崎さんの当
たりもつらい
にあんちゃんは家出してしまうが途中で保護され戻ってくる
そんな二人への朗報は喜一の職が安定したという知らせ、希望が持てるだろうというところで話は終わっている
(110206)
◆
花村えい子「彼とわたし」67年
「週刊マーガレット」36号より連載で45号終了
浅倉章子は海辺の町から東京へ越してくる
母がガンで入院したためバイトして生計の足しにしている
章子はクラスの美少年田沢圭と仲良くなる、圭を好きな女の子は多いが中でも幼なじみ野方佳代が圭が章子と親しくしているのを嫉妬する
そんな佳代をやっかいに思うのか、圭は章子を家に誘う
圭の父は3年前になくなり、母マリが新しい夫と再婚してから家庭は変わった
母が以前のように自分にかまってくれず取られたように思った圭は新しい父を嫌い、今では挨拶もしない
一方、圭が章子を呼んだことを知った佳代は親友のモウくんに相談に行く
しかしモウくんが佳代が圭を独り占めしようとしすぎているため嫌気がさすのではないかとかえって諭すのでやり場がなくなってくる
(101119)
花村えい子「霧のなかの少女」67年
リカのパパ江の木明は由布子夫人との初恋に破れ、幼いリカをさらって北海道へ逃げひそかにそだててきた
夫人は奈津子を養子にして東京で暮らしていたが、北海道へ旅行で来てリカに会う
リカは事実を父から聞き出し、単身東京へ戻った冬樹一家を追いかけてゆく
夫妻は江の木の過去を許し、リカを親戚から預かった子供として一緒に暮らす決意をする
奈津子と同じ学校へ行くが、自分よりも母に似ているリカに疑惑を抱くようになる
事実を教えられ、仲直りすることができたが、奈津子とゆかりあるおばさんが訪ねて来て、死んだと聞かされた母が生きているということを知りショックを受ける
奈津子の母は現在は有名な女優、当時は子どもを育てられずクラスメイトであった由布子に預けて去っていった
奈津子は有名になった母に自分のことを知らせないようにしたんだと両親に対する恨み言をリカに語るが・・
奈津子が母に迎えられる結末になりそうだが25号から33号に飛ぶと連載が終わっていて詳細は不明
▼榛野なな恵「グリーンロマンス」月刊セブンティーン1984年
榛野さんの主人公はいつも大人世界を冷静に見つめ距離を置いているこどもたち、今回は中二の香野啓明
成績、運動ともよくでき、ジャズ・シンガーの母親と二人暮らし
母は当時有名なクラシック指揮者とつきあっていたがこどもができたことを知らせず去って一人で今まで育ててきた
妻がなくったということもあり日本公演の折、昔の彼女を訪れ、自分との間に啓明が生まれたということを初めて知る
息子は母の思いどおりと、母は息子のためにと暮らしてきた母子に始めてのストレスがふりかかり、啓明は悩み、母はダウン
ラストはウィーンに戻り父に母が同行し、啓明は日本留まるというもの
啓明を慕う同級生がいてそのことの展開があるかなと思えそうだが、物語は急な感じで終わっている
その同級生の妹が「Papa Told Me」知世のキャラクターに引き継がれている
榛野なな恵「今年はじめての雪の日」
タイトル作だけ92年、他3作が86年ですから「PapaToldMe」の絵柄ですね
鼻筋2本線で網目の黒目
タイトル作が佳作
両親離婚で東京の遠縁に預けられた考志、唯一味方になってくれた娘のいずみへのあこがれを抱いたまま、地方の寮制高校に入学する
日曜夜の点呼まで新幹線なら間に合うと彼女に誕生日祝いを届けようと出かける
雪で列車遅れ、なんと翌明け方早くに家に到着
少し仮眠して起きるといずみは前からの約束で英語をレッスンしてもらっている大越君に会いに行く
化粧して出かけるいずみに対して「きれいにならなくなんていい」とぽつりと言う考志にとまどういずみ
大越くんと話しているうち、プレゼントを出されて初めて今日が自分の誕生日だったことを思い出す
そして、考志がやってきた理由がわかり、家に戻ると玄関に小さな贈り物が残っている
東京駅に駆けつけて考志を列車の中に見つける、話すうちに出発のドアが閉まり、いずみは高校まで付いていくことに
「トパーズの月」は囲われ者(実は違うんだと後で判明)の女性を好きになるバイトの男の子の物語
「水鳥の昼の夢」は不本意な政略結婚から逃げ出して、彼女を見守る企業家と夢のように暮らす女性の物語
「水晶時計」はたまに帰った兄を引き留めようとするロリコンのような妹、彼女も両親の不仲に一人やっきになっていた寂しい女性だったという話
榛野さんの人物は冷めていて、それでも辛い恋愛を貫き通すような芯の強さがある(080613)
▼浜慎二
「のろいのKO」64年
「少年キング」23〜5号、毎回13Pで3回連続もの
ライバル島木を倒したボクサー桜田健は帰りの車で老人を轢いてしまう
探しても血だけしか見あたらないのでジムまで戻るが、肩に血が付いている
はねた老人が部屋の向こうに見えるなど異常が次々と起こる
練習中、仲間の原口が老人に見え、目茶撃ちして傷つけてしまう
次回では、胸から腹にかけて老人の顔が浮き上がり、自分の顔も老人のように見えたりして坂崎コーチも心配し出す
ラストは次の試合でノックアウトされた桜田は老人のようにやせこけた姿になっている
コーチに事実を打ち明け、説得され警察に自首することに
途中の道路では人だかりがして、いつ轢かれたのかわからない老人の死体が出てきたと噂になっていた
(110112)
▼林静一「赤色エレジー」70年→あがた森魚「乙女の浪漫」72年
アニメ下請けの仕事でかつかつの生活を送る、幸子と一郎
同棲して幸せな暮らしもつかの間、家族のことや将来のこと、悩みがささいなことで持ち上がり気持ちの行き違いも生じてくる
幸子が一郎に疎外感を持ちアパートを出て行くと
いつ彼女が帰ってくるか気が気でなく仕事も手に付かない一郎
「ロッシェで待ってます」の書き置きに狂喜する
ところがいざ会ってみるとお互いの隙間を実感、一郎は会って話す意味を感じられなくて別れてしまう
現在なら「その時の気持ちに素直になってともかくまた暮らしたらいいじゃない」となるんでしょうが
男女がつきあうことには意味がいると考えた70年代にはこんな風に別れて悔いを残した人も多いはず
そんな時代性に共鳴せざるを得ない
でも林さんの白黒基調にしたイラスト風の絵柄は今でも新鮮だし
一郎の子どもっぽいながらも幸子を思う痛さが伝わってくる
その深さはあがた森魚「清怨夜曲」の絶叫「何もかにも壊れてしまえ」につながる
(080811)
▼林田球「ドロヘドロ」巻1
2巻目買ってまあまあ、その後は雑誌「IKKI」で時々見ては乗り切れずにいたけど
週末、喫茶で1巻を手に取ると
やはりすぱっと切れてますわ
このまんがの特徴は切れた断面がリアルに描いてあること
林田球さんは切り裂く、血を流すとか好きなんだろうな
魔法の呪いでワニの顔に変えられたカイマンは敵魔法使いをくわえて口の中で探す相手か見極める
口の中にある一人男の顔(カイマンの人間だった時の顔なんでしょう)が判断して「違う」とか言うんだけど、これこそ首実検
違うとあっさり殺してしまう かなり残酷な描写多い
(060329)
▼バロン吉元「柔侠伝」69年
時は明治38年、講道館柔道を倒すよう子供の頃から、父に柔術をたたき込まれた柳勘
九郎
練習で父を死なせて、一人東京に出る
頼った行った先も講道館に加入していて、勘九郎は一人挑むことにする
知り合ったスリ、万竜ねえさんにやっかいになりながら
下町のユニークな連中との交情をはさみながら物語は展開する
講道館に通う書生、矢崎正介はライバルとして、その妹千鶴は恋の相手として
界隈の連中の味方になるうち、やくざとの抗争に巻き込まれ殺人の罪で服役
刑務所暮らしのエピソードをはさみ、天皇御覧試合で優勝するまでが描かれる
この過程で勘九郎の正義感はいっそう強くなり、満州へ渡り義賊の首領となる
千鶴に苦労を共にさせることができなくて一方的に別れ、彼を慕うタフな女の子を同行する
その息子が帰国して戦中活躍するのが「昭和柔侠伝」
さらに「現代柔侠伝」では彼の戦後、その息子の時代まで書き継がれる
バロンさん絵の特徴は劇画的なリアル絵にギャグマンガ調の人物が出てきて違和感なく解け合うこと
(080402)
▼ハロルド作石「BECK」
BSマンガ夜話、6月末からの3回目「BECK」、音楽ねたの技競いマンガという位置づけだ
喫茶で読んだところ、ユキがグループに入ってしだいにその世界になじんでゆくという成長もの、まだふんだんに音が出てくる所まで読み進んでいず、どこで音が聞こえるか楽しみ
絵で音楽を取り上げるのはかなり難問にかわりはない
同じ作者の「ゴリラーマン」はいつも気になるのに買う気にさせるほどには盛り上がらない展開だっただけに期待
そう、音が紙面から出るマンガというと「火の鳥:宇宙編」で無重力ディスコでリズムのシャワーを浴びるシーンありました
これって次世代に来るべき音楽形態だって納得しましたが(040714)
(hi)
▼ひかわきょうこ「時間をとめてまっていて」1985
17才になったミリアム・パッド、9才上のダグラスと仲がいいが愛とは気づいていないとっても元気な女性
9年前にはダグラス達3人と悪人達を退治している
今回、出かけた途中、記憶喪失になって旅周りの劇団に拾われてウィンキービルへ行くことに
そこでは牧場主が興行を次々じゃまして劇場をつぶそうともくろんで部下達をけしかける
そこへパッドを見つけたダグラス達が乗り込んでくるが
記憶を取り戻すために劇団にいたほうがいいと判断、牧場側と対決する形に
さらに昔つかまえた悪党達がその町に集まってきて牧場側について
ラストに向けてさまざま問題が持ち上がる
絵柄もきれいで読み応えあり
「彼方へ」の方が現代から異世界へワープするおもしろさがあるものの、話長くで間延びするのと比べると3巻でおさめる手腕もたいしたもの
1980年代になってから西部劇描く人は珍しくなった、「時間を」の前編にあたる「荒野の天使ども」といがらしさん「メイミーエンジェル」くらいしか思い浮かばない
(070911)
▼ひさうちみちお「パースペクティブキッド」76年
ガロ掲載キッドもの3作に「JUNE」に引き継がれた8作を足した単行本、青林堂から93年に刊行
人を宙に浮かすと街で評判のキッド、水兵帽をかぶり女ともみまごう妖しげな魅惑者
男爵が気に入り、彼を追うが部屋を自在に浮き回り額にビール瓶を見舞われるが、なお想い尽きない
配下のパルメランは奥方の味方につき、男爵を迷わせるキッドを殺す役目を請け負う一方、奥方とよろしくやっている
抱き合う二人を宙に浮かすキッド、二人を見て男爵はキッドの存在をさとる
舞踏家コジマ(独特の発想をする人物で彼がもっと登場するとよかったなぁ)の弟子ラパンナジールがキッドの愛人として登場
男爵の雇った片目の探偵がキッドを追い
ジブウという吸血鬼がキッドに迫り
いつの間にかキッドは死体となって戻ってくるが、舞踏会の夜、宙に浮いた復活が見られる
なんとも不思議な作品、キッドのせりふがほとんどなく謎めいた人物になっている
キッド自身がする行動は少なく、まわりがどたばと騒ぐ様子で物語りが進行する
最後までその正体がわからないキッド、宙に浮く姿が美しい
宙を舞う姿が見せる第一作、コジマ登場の第三作が特に印象的(080505)
▼聖千秋「いつも上天気」全3巻92年
諸口宝、いつも陽気に振る舞う女の子、特技は声をたてず泣けること、人知れず泣いている
離婚する父母、幼い頃、3人で行った富士山のような景色、虹が出ている光景が忘れられない
どこだったろう、そこをオレゴンですと言い放った塩崎くんのことが気にかかって仕方ない
音楽系高校に入って塩崎と同級になるが彼はドイツへバイオリンで留学してしまう
大学で再会した二人、塩崎が愛しているといった矢先、自動車事故で腕にけがを負う
ドイツの父から便りの来た宝は塩崎の前から姿を消す
いつも自信なく人を笑わせることで自分の不安を隠していた宝が心底待っていた言葉は母の父に対する真意
「あなたを愛している」
母との確執から解き放たれた宝は塩崎の所へ向かう
(071121)
▼日高万里「ひつじの涙」7巻
雑誌読んでいた時、「V・B・ローズ」の美しい絵にはっとした日高さん
前作まとめて売ってたのでお試し
高校生神崎京介はアパートに1人暮らし、その部屋を同級生の蓮見圭がどおしても見たいと言い出した
その事情はいろんな事件を通じてしだいにわかってくる
圭が小学生の時、当時高校生だった諏訪さんにあこがれた
諏訪さんには婚約者羽野鳥花がいて、その指輪を圭がなくしたため婚約をだめにしたと思いこむ
その時の事故で諏訪さんは記憶をなくした、指輪が戻ればすべての思い出がよみがえると考えている圭
7卷のうち学園祭などの学校通例行事がけっこう多く占め、話を中断するのが気になる
人物絵がともかく美しい日高さん、あと一歩ストーリーも緻密になればなあ(070207)
▼日渡早紀「ぼくの地球を守って」87年
もうそこへは帰れないとして転生して戻るという手もあるわけだ だけど同じグループの人間がかなり近い場所に転生するなんてなぜ というのはやぼですか
とってもの作品なのできっちり語ることがむつかしい
進行が遅いし最初は人物関係複雑で2巻目で止まること2回、輪くんの過去が明らかになるあたりからよくのみこめ
木蓮さんの過去には予想外で驚き
結末はハピーエンド なんか輪−木蓮のカップルができたという気がする
前半での輪くんの残酷さがあっさり許されているのが納得ゆかないけど
(050615)
「ぼくの地球を守って」再読
日渡さん、絵は硬い
前作「悪魔くんビター」ではみんな大柄で、次次作「GlovalGarden」ではふやけ気味
が、物語が良く、月から地球に転生する本作では細部まできっちり組まれて、人物が少しずつ思い出していく経過など驚くばかりにコントロールできている
内容も文明発達した宇宙人たちが観測する辺境基地にすぎなかった月が、母星人類が戦争で全滅、彼らがどう生きるかという何ともスケール大きな前提を与えながら、ヒロインが運命に翻弄されねじけ切ったたった一人の男を救うためその存在をかけるという何とも熱い情熱で全編を収束させようとする
90年代まんがの代表作にして、少女まんがベスト10にも入ろう傑作がBSマンガ夜話で取り上げられていないのにもびっくり
一番好きなのはキチェを額に付けた木蓮(亜梨子じゃあなくて)
次は男に転生した今も玉蘭を慕う槐(エンジュ、この場合一成も好き)
それから勝ち気な繻子蘭(シュスラン)
なんだ、みんな月での女性陣じゃあない
紫苑は同調できるが輪くんは小生意気でだめ、玉蘭=迅八は少ししつこい
秋海棠は頼りなさ過ぎ、柊は落ち着きすぎ
男性陣は我が身を投げうってでも力になろうという田村さんと未久路
それに輪くんを拾ったおっさん
紫苑は幸福を生まれながらに手にしている人間を嫌悪するのだが
キチェ抜きに接してくれる初めての男として紫苑を愛するようになる木蓮
木蓮は死の間際、紫苑が自分を愛すると言ったのは玉蘭の注意を自分に向けるためだったと知る
亜梨子がなかなか覚醒しなかったわけが紫苑が彼女を陵辱したというありがちな理由よりもっと本質的なものだったとわかり筋書きの確かさに感心しましたね
月に最後に残った紫苑は木蓮を失ってから彼女の大事さを痛感
狂いながらも作った装置が木蓮が歌う映像を定期的に流す装置
輪は月基地装置を爆破して地球人として未来を生きる道と、装置を使って地球を戦争がない星に導こうとする紫苑の影響を強く引きずった過去志向の道で迷っている
そんな迷いもどちらにしても、発狂した紫苑の作った装置ではびこる植物のため月装置が作動しなくなっていた事態で意味をなさなくなっていたという皮肉に快哉
やはり紫苑の愛は輪で叶えられなければならない筋書きになっているよう
月での悲劇を転生後の残酷な復讐劇に転化しながら幸福な結末を持ってくるのも、悲劇の原因ゆえ納得させられる
作者の力業には舌を巻く思いね(080608)
(hu)
▼ふくやまけいこ「東京物語」87年
絵柄は高橋留美子風でやはりドタバタ加味
場所は浅草、凌雲閣が見えるので大震災前の大正末期か、雰囲気はもう少し進んで昭和初期
出版社の編集員桧前平介は事件に巻き込まれるが、たまたま知り合った飄々とした青年、牧野草二郎の不思議な力を借りて解決する探偵物連作体裁で始まる
それだけでも怪人二十面相のいる何とも妖しい雰囲気、舞台背景が映える
中でも機械男爵とその手先、津山美也子(二重人格で悪党になるときは男人格が出てくる)が絡む編もおもしろい
それ以上に草二郎の経歴がとんでもないもの、大陸で人体研究に使われていた子ども達の一人だった
体が変形したりする陽証という不思議な身体変化を持つ彼らは大半が病で早くなくなるが、草二郎は体から電流を発する以外健康に育ち、育て親の方士の計らいで日本へ逃げ延びてきた
その方士が西王寺家姫君瞳子(とうこ)の何百年も生きるという特異体質の解明のため働いていたと知った草二郎は裏切られたような深い悲しみで西王寺家へ乗り込んでいく
平介もその父が、瞳子の愛した男、今の平介がかつての彼にそっくりなので勘違いして自分の伴侶にふさわしいとさらって来て婚儀を挙げようと迫る
さらに美也子たちも乗り込んでのクライマックス
方士の研究が実は・・という秘密もじーんと来る
草二郎が世話になったふみちゃんをおいて大陸へ戻ってしまうのは少し残念だけど
(080808)
▼福山庸治「ドン・ジョバンニ」
福山庸治の名前は全解さんのブログ紹介で初めて知ったばかりで覚えていた
昨日古本市場を歩いていたら、くだんの「マダム・モーツァルト」はないものの「17」「ドン・ジョバンニ」が目に入る
81年の「私鉄前線」というのも彼の作で置いてあったが、絵柄がぜんぜん違いふつうの青年コミック書く人という感じなのが、その後今のように屈折した内容を持ち、絵柄にいろいろ趣向をこらすようになったみたい
その「ドン・ジョバンニ」、表紙はクレヨン塗り風、開きが浮世絵版画風、アンナ宅に忍び込む冒頭3ページが青基調の水彩塗り、次に登場するドンの従僕レポレッロが鉄人28号顔のロボットとくれば買いか
モーツアルトオペラのせりふをそのまま、日本の設定で見せるという力技を駆使して全く違和感なし
オペラとの大きな違いはドンの妻エルヴィーラが男手で同性愛の相手になってるところか
これだけ奇想を用意したから、もっとオペラ内容からはずれてほしかった
ドンが太りだすところ、伏線にして地獄めぐりとか、キリスト教が枠となる西欧では一度死んだドンはよみがえれないわね
でも坊主の世界じゃよみがえるんだからあと一騒動、きぼう
その七、八には回想とか特殊な部分(ページにして2ページくらい)を除いて全くベタがない不思議な書き方になってるんだが、なにか意味あるの?
作者さんのHPを見るとこの作は現在、フランスのCasterman社で仏語訳版が出ているとか
「臥夢螺館」の方はきっと新刊注文することになりそう(040815)
福山庸治「マドモアゼルモーツァルト」
1990年作品3巻
娘に音楽の天分があることを知った父は男として育てて社会に出す
女では音楽家として受け入れられないから
ウォルフガング・モーツァルトとして名声を博して慕う女性と結婚までする
妻には当然女と知られるがウォルフガングはあまり気にしていない様子
妻は実家でも事実を打ち明けられず そうこうするうち
音楽助手フランツとの間に子をなしモーツァルト夫妻に子供ができたことになる
かなり奇想の物語
妻がノーマルな心の持ち主だからいつまでもフランツを慕うことになるが
いっそモーツァルトと気持ちを通わせた方がおもしろかったかぁ
ウォルフガングの父が死んで、初めてモーツァルトは自由になる
女の格好をし、ライバルでもあり、女であることに気づいて惚れてもいる宮廷楽師サリエリの元へ出かけていく場面が秀逸
サリエリとは恋人どおしのようになる寸前で、モーツァルトの才能を知らされた瞬間、恋人として受け入れがたくなる
ラスト付近、毒物で衰弱していくモーツァルトはこの物語に合わなくて、恋物語と盛り上がってほしかったところ
奇想というのでは「ドン・ジョバンニ」がおすすめだが、人物が生き生きしているのはこの作がすばらしい
「臥夢螺館」はこのユーモアがあれば大傑作になったんだ
(051118)
福山庸治「B♭のソナタ」83年「夜は散歩者」85年
80年からの福山さんは大友さんの絵柄と近い、内容はかなり不条理・哲学的
ギョロ目、大眼鏡かけた馬面のF氏が毎回登場する短編コント集みたいな作品
オフィスの女性が皆同じような顔をしていてまごつくと思うと男も自分とそっくりなのばかりが働いているという「Monotorogy」
斜めに傾いた家に長年住み続けたため普通の所では首が傾いてしまう男のモノローグ「斜塔」
どれも複雑怪奇な話をさらっと読めてしまうのであと一歩の衝撃がほしいとこ
「夜は散歩者」の方は
別荘のガス栓消し忘れたかと夜中、車で別荘に戻る娘は妻殺しの現場を目撃して追われるはめにというタイトル作
エレベーターの中に現れる女ゆうれいに迫られていつの間にか子どもまでできているといった「エレべーション」など不可解、不条理な短編が7つ
基本的にはこの絵柄はその後も変わっていないが、「モーツァルト」「ジョバンニ」とユーモアを含んで名作が生まれる
(080607)
藤子不二雄
★ドラえもん最終話 『のび太くん、宿題は終わったのかい!?』
こんなのがネットで評判になってるとオークション友から貸してもらったダウンロード版
なるほど、絵もうまいし話もいいしうなってしまう出来
ただ、ラストがよくわからないんで気になってしまいました
記憶を保ったままのドラえもん再生に成功したとたん成人したしずかとのび太が子どもの姿に戻っているというのは?時間逆行?過去が変わって始まり直すの?
ドラえもん最終回には「のび太植物人間」(さざえさんの飛行機墜落と同時期のヨタ話)という趣味悪いのがあるのは知っていたがこちらは作品への敬意が十ニ分あるものね
98年評判になった話を元に同人誌田嶋安恵さんが絵にしたものらしい
売れすぎ(販売仕方に問題があったとか)から著作権問題に触れたようだがそれは置いて、内容の方をコメント
ある日突然動かなくなったドラえもんは電池切れ
電池を換えると動くだろうが、ドラえもんは耳を失っていてそこにあるはずの記憶バックアップがない
入れ換えで記憶ないさらのロボットになるというのでのび太は解決すべく科学者となる
「歴史が変わるほどの大発明」というのはドラえもんのことなんですね
のび太は子どもの頃の想い出を再生したいという私的な動機から大発明をなしとげる
(実際は未来から送られてきたロボットを元に技術を再現したわけで作品ではこれを「タイムパラドクス」としている)
ごく小さい世界の夢が世界に未来につながっていくというメッセージをこめてやはりこの最終話はあり得べき姿として人々に受け入れられているのもうなづけました
ラストの子ども姿は大人の彼らに子ども時代の記憶が再生したという印だったのね
のび太がタイムマシンやどこでもドアまで作ったわけでなく、それ以降様々な技術が加えられさらなる未来から少年時代ののび太に「ドラえもん」が送られることになるんでしょう
ただ原作側はこの最終話理想的すぎて取れないでしょう
のび太はダメな所多いが一途で純粋なところが魅力でしずかちゃんと結ばれるという基本線が崩れてしまうから
のび太の成長をある程度見届けてドラえもんは未来に帰っていくという作者想定の最終話が現実的かな
(070312)
▼藤崎竜「World」
のち「封神演義」を描く藤崎さんのデビュー期短編集
どれも細かい丁寧な描き込みで美しい
幾分狂気じみた表情を見せる主人公たちも魅惑的
特に表題作は線が鋭い
スクリーントーンも少なめ、白黒基調
われわれが住んでいる世界が実は夢の世界で
醒めた世界は弱肉強食の驚愕環境
美人の医師が彼のカウンセラーを兼ねつつ環境に戻そうとするが
夢に逃げ込もうとする彼を見てのラスト
彼女の対処法がすさまじい
ブックオフで見つけた一冊
(051108)
▼藤田和子「ライジング!」
藤田和子さん本作、ブックオフで安売りあるたびに文庫版買い集め最終巻まで揃ったから読み出した分
期待薄で始まってひきこまれました
「ガラスの仮面」とまた違って舞台で相手役とやり合いながら成長していくヒロイン(仁科祐紀)像がよく描かれている
仁科を成長させるため、いつも突き放そうとする演出家の高師謙司と最後は心を通わせるだろうと予想されつつも
はらはらどきどき読み進める物語に仕上がっている
祐紀が入団したのが宝塚風の宮苑音楽学校
男役のスターを目指しながら、高師のねらいで娘役に転向させられる
早すぎた成功の後、宮苑を出て、オーディションで準主役を勝ち取る
が
主役の人気TV女優、樋口鞠子は高師の元恋人
鞠子は舞台を本気でやりたい気持ちがあり、TVの清廉なイメージがつぶれるのを許さないスポンサーの援助をけってまでの強い決意
さらに高師への恨みなども加わり脚本の とともに祐紀をつぶしにかかる
舞台をめぐる壮絶なバトル 後半が特に迫力に満ちた名作
(051121)
藤田和子「ジュリエットの娘」1986年
ロミオとジュリエットの物語のように対立する家系(この場合はプランタンとオークという化粧品会社)の息子・娘が愛し合った結果、心中に至る、二人が残した娘が本物語ヒロイン、柏倉あずみ(オーク会社いとこ方で育てられている)
いとこの修一と一緒になれば問題なかったが、祖父の死を機会にモデルとして自分の意志で生きることを決意
プランタン側のモデルに応募すると、修一とは敵同士となりオーク側から会場を使用できなくするという妨害が入る
あずみは球技場を借りるというアイデアを出し、結果は大成功
プランタン部長の有賀はあずみを利用してプランタンを乗っ取ろうとたくらんでいる
あずみは鷹羽雅之という恋人がいたが、実は大手電機会社の跡取りで新たに化粧品会社を立ち上げることになっていた
やり手の経営者鷹羽を敵に回して、あずみは雅之が追い出した兄秋彦と手を組む
オークとプランタンを合併して、有賀を起用
有賀が次期キャンペーンのコンテを敵側に流すという妨害も乗り越え
個人向けに化粧品を販売するAZクラブを設立
若年ながら会社経営も板に付くようになったあずみは危険な賭けになるAZクラブを断念
一人の人間として鷹羽に立ち会うと彼に対する恋心は強く、鷹羽の方もあれだけ経営では打算的でありながらあずみへの思いは消えない
裏切り・敵対とこれほどハードな経営対決は少女まんがには珍しい
それを恋愛が結びつけてしまうというのは少女まんがとはいえ無理筋では?
この結末部分で「ライジング!」に譲る
(070926)
▼藤田和日郎「うしおととら」90年
始め手に取った時は絵柄に入り込めず数巻で放棄
「からくりサーカス」に魅せられて二度三度読むうち、「うしおととら」も読めるのではと文学館で半分ほど借りて今度はすんなり入ってゆく
うしおは普通の小学生
蔵で「獣の槍」に封じられていた「とら」を解き放ってしまってとらに食われそうになりながら、その槍を持つと異様な力を発揮する
うしおは2000年以上も前の中国で作られた槍の正当な後継者らしい
父も実は妖怪退治の闇の法師団の仲間で槍の後継者を捜していた
槍の本当の意味を知るため、母を求めて北へ旅立つ
うしおは正当な後継者と見なされないため法師団から繰り出される怪僧と戦う羽目に
法師団をやり過ごしながら妖怪を対決
とらは食う食うと言いながらうしおとよいコンビで助けてくれる
そんな旅も、母が妖怪達の敵となっている理由を知って
妖怪達の恐ろしい敵「白面の者」(九尾の狐みたいな姿)をうしおの母が結界を張って閉じこめている
妖怪にしては活動が止まっている白面を今にも襲いかかりたいところ
白面は地面に根を下ろすかのような状態で白面が動くと日本が地盤沈下して消え失せるという
うしおの同級生、麻子と真由子は単にうしおの引き立てかと見えていたが
真由子がうしおの母に次いで結界を守る者で呪力を備えていた
アメリカの軍部が科学力で白面に挑もうとするエピソードを挟みながら
人間の犠牲で生まれた獣の槍の由来、白面に挑み続けて妖怪となったとらの話を盛り込みながら
うしおが怒りで槍に取り込まれないようになったとき
とらと組んで白面に互角で挑むラストまで34巻もあるが一気読めましたに
符咒師の?がなかなかいい役割、「サーカス」の紫に当たるか
(090530)

藤田和日郎「からくりサーカス」
この長い長い物語には2つの忘れることができない場面がある
マサルが狙われ助けに現れたしろがね(エレオノール)
これが仕組まれた筋書き通りだったとはなんというからくり
ところがそこに予定外の男が介在する、カンフー野郎の加藤鳴海
子供が苦しむことを命がけで阻止しようとするナルミは二人に強烈な印象を残して消えていく
マサルを救おうと水の圧力に抵抗してマサルを支えていた片腕だけを残して
そのマサルを支えている片腕の場面
これがマサルを変え、白(パイ)兄弟に始まる因縁の連鎖を断ち切らせる原動力となる
もう一つがエレオノール誕生の場面
生命の水のもととなる石を宿したフランシーヌ(姪)は日本で正二郎と出会い、波瀾の末結ばれ出産する
しろがねの間に子が生まれるのも珍しいが、その出産に立ち会うのがフランシーヌ人形
生の意味を知った人形は、自分を認めず攻撃してくるオートマータ達からエレオノールを守り、生命の水を吸い込んだ泉に溶けてしまうが
人(正二郎)としろがね(フランシーヌ)とオートマータ(フランシーヌ人形)に祝福されたエレオノールの誕生は終局への大きな鍵となる
兄に恋人を取られて以来、邪心に囚われた白金は幾度も姿を変えフランシーヌなるものに近づくが果たせない
奪うことの悲しみは、オートマータを不死ながら感情の抱けぬものに留め、しろがねを超人的な知力、体力を持ちながら復讐の記憶につなぎ止められたままにしてしまった
それらの怨念を打ち砕くものはしろがねとなり機械を埋め込まれても人間の戦い方を捨てず、無様なもろい人情を残した人間、ナルミ
身を捨ててまで他人の命を活かそうとするナルミに感銘を受けエレオノールを譲って宇宙の戦いに飛び去ったマサル
ナルミとエレオノールの和解は鋼鉄の呪縛を解放し、弱さを認め合うことで互いに笑いを取り戻すようになる
彼らの意思を継ぐ人間マサルを次代に送り出しながら
(080531)
▼藤原栄子「ただいまの記録2分50秒5」68年
「週刊マーガレット」68年30号より
藤原栄子「すばらしい奇跡」28号は読み切り、10歳の天才少女ベッシイ・ウィルソン、実験フラスコが破裂して浴びた液体のため急に天才となったという話
この頃にしては真に迫るタイトルだが、内容は金メダルへのターンと同様スポーツ邁進もの
8/20夏の増刊号では大島弓子「真夜中の奇跡」、春の増刊でデビューした大島さんの二作目
なんのことはない単行本「ポールとペール」で読める「ペール」の初出タイトルでした
さて「ただいまの記録2分50秒5」ですが
中学一年生関根夏美は父がいなく水泳一筋
父も水泳選手だったのでその思い出が辛いのか母は水泳が嫌いで水泳部に入っていることは内緒で練習している
同じ中学(川崎中)3年の奥永さんは才能あり大会でも優勝した
練習で出かけた海には奥永さんも駆けつけ泳ぎは盛り上がる
がけから飛び込む人がいて身投げと間違える騒動があったが、その少女は奈良たまきといって気の強い水泳選手
奥永さんと競争してまかしてしまう
夏の選手権では高校生には負けたものの中学ながら2位にくいこんで大躍進の夏美
氷の張る湖で泳ぐ練習をさせるような厳しいロバートコーチの元で奈良さんと練習に励んでさらに記録をのばしアジア大会をめざす
母の店が倒産して家を売り狭いアパート暮らしで飼っていた犬もおけない(犬はロバートがスイミングスクールで面倒みてくれる)
アパートの隣室の女の子は足が悪くひどくいじわるに見えたが、元水泳選手で夏美に親身にアドバイスしてくれるようになる
コーチ戸部先生の妹みづほがライバルとして現れ、日本代表を競って泳ぐことになる
香港では天才スイマー、リンレイがダントツの成績を出し
夏美としては2分50秒5を切らなければ勝負にならない
最後は、アジア大会でリンレイをやぶり優勝して終わる
少し恋愛のアヤか泳ぎの独特な技みがきがほしかったなぁ
(090704)
藤原栄子「青春に誓う」70年
「週刊マーガレット」70年1号より新連載の意欲作
香山ミチは中学生のスキー選手
試合に出るため山道をスキーで飛ばしてゆく途中誤ってストックを離してしまう
ストックが飛び落ち、下にいる誰かに当たったらしく人が倒れている
助け起こそうと思ったが怖くなって置いて逃げ、試合に参加した
優勝候補の三浦礼子を振り切って勝つが、礼子が最後速度を落としたのは献血したためと知らされる
会場には選手の姫宮千秋が姉にけがをさせた犯人を捜していると触れ回っている
負い目を持ったミチはいつもびくびくして
間違った犯人三浦さんが連行され、嘆き悲しむ妹の姿を見て真実を言おうと思い始める
自分が犯人だという手紙を書いたところをスキー役員の夫人に見つけられ、試合が終わるまで待ってはどうかと諭される
10号ではついに警察にミチが連行され、真犯人だとみんなにしれてしまう
姫宮さんはもう済んでしまったことだと顔の傷が残るにもかかわらず許してくれる
みんなに許しを乞い、ミチは保釈になる
はじめからこんなに悪い設定のヒロインを描いた漫画というのもそうないようで救いのないヒロインの行く末をはらはら見守るばかり
香山ミチはかおるさんに怪我させた負い目を感じて、手術費だけでもと10万円の賞金が出るスキー試合に出場する
結果は、千秋にさらわれる
スキー合宿で片足スキーを練習したことが後に試合で役に立つ
千秋は試合前にミチに顔の傷が痛々しい姉の写真を見せ動揺させる
予選一位の沢辺さんとは5秒も差が付いてしまう
沢辺、千秋と決勝になるが悪天候のため待機が長引いている
その間に、沢辺はかおるの所へミチを引っ張って行く
なんとかおるは手術が成功して顔も元通りになっている
精一杯力を尽くし、片方のボードがはずれても片足で全速力を出してミチが優勝
心の負担も軽減され本格的にスキーに打ち込むことができるようになり物語も終了する
(100120)
藤原栄子「チビでも選手」70年
40年代コメントしてきた終わり頃に藤原さんの作品を入手
けっこう動き回るヒロインが得意かな
水泳もの「ただいまの記録」の代わりに入手した本作がバスケ
2巻目併録の2作がスキーと卓球なんだから
白浪中学に入ったばかりのさつきは背は低いがバスケのシュートがおもしろいように入る
クラブに入部して猛練習にたえ試合で活躍するというスポーツもの
砂賀中に南郷という大柄いかにもエネルギッシュな選手がいて苦戦するがそれを打ち破り、最大の
ライバル大東中との戦いに
ここのキャプテンは姉さん気質でなかなか好感持てる
1巻目後半から、白浪中の相談役で赤星さんが登場するや、とんでもない話になっていく
赤星さん、全国レベルの選手でもあり、試合に助っ人で出るわ、人里離れた所にさつきを連れだし猛特訓するわ、人間離れしたジャンプ技を教えるわ
赤星さんのとんでもない秘密にまで及んで最後はまとまり切れない感じになっちゃってる(070121)
藤原栄子「うわさの姫子」74年
小学館フラワーコミックデラックス版で求めました、最近出ているのはこれくらいか
明星学園5年生(小学5年生連載だから)に転入した梅宮姫子はとても美人、本性はがさつなくらいの元気もの
クラスの乱暴者真樹(まさき)に対抗してついに地がばれてしまうがそれでも性格よくて慕われる
委員長の芝浦くんはあこがれの美形ながら病弱で、いつのまにか姫子は真樹と親しくなっていく
クラスに美人山口さんが登場し、真樹と親しくなると姫子が嫉妬に悩まされたり
両親のいない姫子はおじいさんに育てられたが、偶然実の母が見つかり、一緒にアメリカに行かないかと誘ったり
おじいさんと日本に残りクラスの仲間と過ごすことで決着がつく所で一部の連載は終わるが
また次の「5年生」で再開したり、何度も連載が続いて彼女の周りにはいつも事件がまき起こるようです
(080809)
藤原栄子「フラッシュバニー」89年
幼児向け少女誌「ぴょんぴょん」連載(のち「ちゃお」に吸収されたらしい)
それで絵柄・内容はかなり子ども向け
ドジで運動苦手の野山ふさみ、今度ある50m走に気が重くなる帰り道
落雷で落ちてきたうさぎのぬいぐるみを拾って家に戻ると、お風呂の温かさで蘇える
ピョンキーと名乗り、実はバニー星の宇宙パトロール員だと言う
地球に無断で来たのがばれて大王さまにうさぎぬいぐるみにされたらしい
宇宙人らしくふさみの願い事も叶えてくれる(もちろんふさみは速く走れるようにお願いする)
ズラーという怪獣たちがピョンキーについて地球に来たため大王から退治するまで戻る許しをもらえなくなり
毎回なにかと悪事をたくらむズラーに立ち向かうため変身リングを使うとなんと変わるのはふさみでフラッシュバニーに大変身
ピョンキーに代わってズラー一味と対決を繰り返すことに
最後はズラー達のボス女王と戦いになり、ピョンキーが刺されて死んでしまうという哀しい結末
ピョンキーの正体は美形の男の子
悲しみに暮れるふさみだが、新
学期には彼にそっくりの先生が赴任してきてなんとなく幸せが近づいた感じ(080809)
▼文月今日子「フリージアの恋」1973年(昭和48)
文月さんの絵柄は初期から肩幅広い男性と少し細めにした大柄な女性
女の子はおでこの広いおませさん
別冊少女フレンド掲載の32頁のデビュー作は新人と思えない達者な絵柄と構成
両親が亡くなってお隣のおばちゃんの世話になる勉とみちる
勉はみちるが大きくなってお嫁に行くまで自分で見守ると決めてがんばっている
みちるも兄を恋人のように慕って今は中学生になる
勉には心に思い、向こうも慕ってくれる木村さんという同僚がいる
木村さんは勉がみちるで手一杯なのを知って今まで打ち明けもしなかたし、
転勤が持ち上がった勉との別れが辛く身を引いていこうとする
今度は自分が兄を木村さんに譲る番だと悟って公園で寂しくブランコに乗る木村さんの所へ兄の背を押す(070113)

▼古屋兎丸「彼女を守る51の方法」全5巻
こんなの描いてたとは全く知らず、5巻いきなり貸してもらってびっくり
コミックバンチに連載してたという
古屋さんの審美的作品とは違って実録風だが気に入りました
東京をマグニチュード8の地震が襲い、
その時、お台場にいた三島ジン(21歳、TVマン志望で就職活動に来ている)は偶然出会った中学の同級生、岡野なな子(ゴスロリ女子)を守りながら都心をめざす物語
途中、軽いのりの19歳澤田リカと母を失った幼女マリン拾っていく
レインボーブリッジをかろうじて渡り精根尽き果てた三島は新興宗教のわなに落ちるが
渋谷の暴動から岡野を救おうと立ち直ってからの5巻目が山場
混乱の中での狂気、争乱、レイプ
弱い立場の女性が身を守るために立て籠もった09デパートを暴徒が襲撃してくる
さまざまな防衛策の果て、暴徒に迫られた彼らを救ったのが困難の中、シングルマザーの久美子が出産した赤ん坊の泣き声
「セックスは欲望を満たして終わりじゃない」という母の言葉に暴徒の狂気がゆるんでいく
新宿では暴力団も街を守るために立ち上がって明るさが戻っていたという肩すかしも快く終結に
大地震で想定される状況を絵画化しただけという感じもあるが
内容が内容だけに引きつけられるし、劇的な5巻目が物語を成立させている
2007年の問題作
災害ものということで「ドラゴンヘッド」が頭に浮かんで読んでみたがこちらは悲惨さが辛いほど
富士山から火柱が上がる場面は壮絶に美しい
(071001)

▼冬野さほ「うそつきサマー」90年
閲覧室では最初10冊余り借り出したのだがだいたい雑誌でまず手に取りやすい新書版から読書開始
タイトル作が50Pもの
大島フユコは毎日をつまんなく思っている中学3年生
幼なじみの藤本アツローを校門近くで見かけるが彼は学校を素通り
自分はまたもや遅刻して先生ににらまれる
帰り寄った文具店でフユコは消しゴム30個セットの大口万引きを企み
手を伸ばしたところ、先に掠め盗ったのがあのアツロー
そんなちょっと周囲からはずれた二人を描いた小品
後のデザイン風じゃなく、少し頼りなげでラフな線、こどもっぽい絵柄
コマの取り方とかトーンの貼り方とかは装飾的でおしゃれな感覚
他
「クチュクチュ チューインガム」40P
「Merry Merry」46P
「Happy」38P
「Pure Christmas」15P デビュー頃か、これだけ絵柄が幼い、どこか惣領さん似
午後には、次作「HelloHello」も出してもらったが同じように中学生くらいの日常を描いた短編集で今回はパス
どちらも希少本になるほどの絵柄やストーリーでもなさそうだけど
(081008)
▼古谷三敏「寄席芸人伝」82年
ギャグまんがというのは作るのが随分苦労、そんなのを長年続けていくというのは並のことじゃない
古谷さんは蘊蓄ものに味を見いだしたが、合間にこんな作品がある
赤塚不二夫のアシスタントを経て強烈なギャグまんが「ダメおやじ」がヒット、「おにババ」とセットでキャラクター抜群
ビッグコミック連載の「寄席芸人伝」は少し趣向が違う
明治から昭和初期までの寄席芸人の逸話を一話に一人ずつまとめながらさまざまな人情を描いていく
一巻目タイトルにもなった「写実の左楽」がとっても印象的
人情噺の左楽が弥助が長年世話になった主人を殺す場面を演じていると客席の文士が「まずい」と一言
次に演じたときも同じことを言われ、尋ねると「あの槍では人は突けん」と一蹴される
剣術もならってみたが、文士から今度は「弥助は剣の心得はないだろう」と言われる
左楽が自分の芸を殺さないためしなければならなかった辛い決意
それを乗り越えて芸にリアリズムを与える
ユーモア・ギャグ系のまんががリアリズムを見せるとは普通考えられないが
「ダメおやじ」で見せた極端なまでの顔の表情が人情と交わって豊かな実在感を与えることができた
赤塚不二夫も「おそ松くん」後期ではキャラクターを使って映画ネタで悲劇を演出していたなぁ
(080216)
(he)
(ho)
▼星里もちる「りびんぐゲーム」90年
ダイレクトメールの小社に勤める不破雷蔵は新しいアパートに引っ越す
会社も向かいのビルに越すはずが、ビルが傾いたためしばらく雷蔵の部屋を事務所とすることに
女社長、経理の年配千里、情報系の女性難波、営業の一石が狭い部屋に集う
さらに社長の姪、中学出たてで上京してきた氷山一角(いずみ)が事務見習いとして住み込む
さらに雷蔵の元同棲相手、時子が夫とけんかして泊めてもらいやってきて、その人口密度、濃い人間関係たるや
もうドタバタのラブコメディが始まる
ダイレクトメールを下請けに出している田之倉じいさんは一人だけ引っ越さず古い家に残るがんこ者
この家にいずみが一緒に住むことになるのが物語のはじめの頃と終わりの頃、要所で重要な役割を果たしている
はじめは時子といずみ、雷蔵の三角関係と思っていると時子は潮時に家に戻っていき
いずみと先輩、後輩の間柄を保ちながら次第に距離が近くなる
いずみの実家は医者で、義母に男の子が生まれると父の期待が移り、疎外感が強くなる
無理に女子高校に入れられた反発で白紙答案を出し成績を下げて、中学時代つきあっていた福永くんと同じ高校に入ることをもくろむが
父からひどく叱責され、飛び出して頼っていった先、福永くんと結ばれる
駆け落ちを見つかり、会えなくなったいずみは彼の裏切りを感じ、父に従って故郷を離れることにする
雷蔵はいずみの故郷まで行き父から事実を知り、いずみを守る決意を固める
それで万事うまく行くはずが、
アパート下のチェロ兄妹がそれぞれ、いずみ、雷蔵を慕うようになるトラブルがあり
会社の倒産、時子の夫の会社に拾ってもらうところ、知り合った建築士杉田の影響で雷蔵が建築を目指すようになる
アルバイトをしながら一から勉強で大変、いずみも失業のためバイトをしながら大験を目指す
故郷の友人友井から新居設計を依頼されたことがきっかけで雷蔵はその妹日出子から告白を受けややこしいことに
意見の食い違いからいずみが田之倉じいさんと住むようになると、彼と親しくなった受験生名取がいずみを慕うようになる
こんな風に次々と二人の愛を阻む出来事が舞い起こるが
どこにいても心の中に相手の存在が実感できればそこがほんとうの安らぎの場であると自覚するラストはしみじみ

▼星野宣之「ブルーシティー」75年
ちょっと古めの絵柄だなぁ、というのが文庫版買った第一印象
そのはず、作者のデビュー直後の連載作なんだから
アメリカンコミック風の絵柄
令少年とか主役級人物のさらっとした顔つきは後期の桑田さん似
潜水艦プテララスピス号船長は望月三起也似
初めからストーリー作りは上手く壮大
隕石について宇宙よりやってきたウィルスのため地上の人類は全滅しつつある
人類は水爆を空中で炸裂させ地上を紫外線にさらしウィルスを除去する緊急策をとる
紫外線のため地上の生物は全滅するのだが、海中の生き物、そして海底都市ブルーシティーに住む人間に未来を託した
令たち少年10名は潜水艦に同乗し、食料補給の重要な資源オキアミ調査に南極へ
途中、アメリカ原子力空母に遭遇するが、乗り込んでみるとゾンビのように生き返った死体がいくつも襲ってくる
振り切って南極へ向かう間、ブルーシティーではゾンビがゾンビを生み動力源を襲いだしていた
南極に到着した令たちを待っていたのは、紫外線が到達せず生き残った人間
一連の事件の張本人はそのドクター・ジェノサイドだった
ジェノサイドは人類を水棲人に置き換える計画を練っていて隕石飛来を利用して宇宙ウィルスを仕組んだのだった
こんな大がかりな構想も「少年ジャンプ」では受け入れられなかったのだろうか、水棲人と人類と地球の未来を賭けた闘いを予想させて物語が終了する
ジェノサイドも生きていてミカとトムもつかまったままだなんて・・
(100604)
「ブルーワールド」
「ヤマタイカ」は全部揃って読了したけど、下巻しか見てないこの作が痛いほど響く
80年代の「ブルーホール」や「ブルーシティー」は絵がまだゆるめ
「2001年夜物語」で素晴らしい絵になるがあれは映画の方がいいかなと思っちゃう、宇宙での動きは制約あるし
連載中の「宗像教授伝奇」は長編でなし
「ブルーワールド」で星野さんの凄さを実感
ジュラ紀世界ということで地形、海、空の広大以上の光景を描ききっている
恐竜も抜群のスタイルで動き回るし
彼の弱みの人間も登場人物が少なくて気にならない
逆にハート中尉とグロックの対抗が際だつ
教授もマージーの父、石油王もいい雰囲気が出ている
恐竜に追われながらのブルーホールを目指す移動ははらはらの連続で
単なる怪獣物になった「ジュラシックパーク2,3」より遙かに優れている
火山噴火やえんえんと広がる森林風景をスクリーントーンだけでどうして表現できてるんだろ?
あまりに目的地まで残る距離を縮める方法というのも読んで初めて納得
最後の愛情もからめたどんでんがえしも素敵で
ううーん、こんな豪華なすばらしさはほんとまれまれあるものなんだ
(050611)
ブルーワールドrevisited
2週前星野さんの本作下巻を読んで驚嘆、先週上を見つけてようやく読み
話は
マダガスカルで打ち上げられた恐竜の死骸、古代とホールによってつながっていることがわかり世界的研究が密かに始まる
その秘密を追ったジャーナリストとその恋人はネス湖で潜水艦を追ってブルーホールからジュラ紀へ移動してしまう
海より湖が扱いやすいとネス湖で英米合同のホール研究が始まり、なんとジュラ紀海上に研究基地が建設されていた
地磁気の弱まりでブルーホールが閉じようとし現時代に戻る潜水艦と衝突、大爆発のため基地は流され、対岸にいた米兵を含め20名ほどがジュラ紀にとりのこされることになる
こうして揃った役者は
調査の長、キャメロン教授とその孫娘、パット
迷い込んだジャーナリスト、ハリーと恋人マージー
教授付きの英国海軍のジーン・ハート中尉
米兵隊の冷酷無情なグロック大尉
話前半ではパットが特におもしろい位置にいる
キャメロンにブルーホールの説明を依頼にジーンが来る場面では
「おじいちゃん目がオトコになってるよ」
ジュラ紀の海上基地にまで付いていって兵隊たちに「パット胸が大きくなったらデートしよう」と言われて
腕まくりする 恐竜に関しては大人顔負けに詳しい
ジュラ紀に取り残されてからはジーンが目覚める
別のホールまで移動することになるが、米兵たちは自分たちが生き残るだけを考えている
一般人は自分が守るしかないという決意から特殊部隊にいたころの自分にもどる
流された基地に生き残っていた兵士一人は動けなかったので射殺するという行為に覚悟のほどが現れていた

上巻も素晴らしくこれを作者はたった一人で仕上げたと思うと、「ジュラシックパーク」にも劣らないように思えてきた
(050625)
星野之宣「ムーンロスト」02年
地球に小惑星が衝突、人類の危機が訪れる
宇宙船の船長、クローヌ・ディアーヌはナノ砲でブラックホールを作り惑星を飲み込む計画を担う
ブラックホールは惑星どころか、月までも飲み込み、ディアーヌも巻き込まれる
月を無くした地球は大気が大変動し、合衆国は雪の中、北部がなんとかすめる状態
月のかけらが地球に墜ち、大災害を招くこともしばしば
15年後、宇宙船3船で木星の衛星、エウロパを月の代わりに引いてくる計画が立てられる
ディアーヌの娘もその計画に参画
とんでもなく重い衛星を木星から引き離すという困難な計画
エウロパの地底には水があり、生命が存在する
彼らを絶やさず地球まで牽引するとしたらさらに困難な道のりだ
加えて、今の大気が固定することを嫌う合衆国が計画を挫折させようと陰謀をたくらんでいるらしい
とんでもないスケールの物語
エウロパを引っ張るための重力の網の表現が素晴らしい
▼細野みち子「細野みち子「ひとりぼっちのしあわせさん」65年
「少女フレンド」連載
光学園でのエピソードが続く
ゴードン夫妻にもらわれた源次、自分が養子になると言う意味がわからず友達と離れてさみしい
隣の同じくらいの麻里ちゃんは足が悪くすねているのかと思っていると、自分がゴードンさんの養女になりたかったのを源次がなって腹を立てているとわかる
学園に戻ろうと家を出たりして心配をかけた源次、みんなも養子にするのはよくないとわかって、ゴードンさんも隣に麻里という良い子がいることに気づいて養女にすることに
源次が戻って学園に平穏な生活が訪れると見えたが、帰った源次にスズメの卵を見せようとちずが屋根に上り誤って落ちてしまう
それが元でちずちゃんは一時は回復かに見えたが死んでしまう
ちずの死という哀しみを乗り越えてスミ子が姉かわりにみんなと仲良く暮らす決心をするラスト、31号で終了する
(110131)
細野みち子「おはようエルザ」65年全3巻
コリー犬を主役にした感動のTVドラマ「名犬ラッシー」が日本で放映されたのが57年から65年
その影響でコリー人気はまんがにもおよびこの作品が描かれたわけだが、お涙ちょうだいのストーリーを3巻に詰め込みすぎのきらいはあるもののよく描かれた名作ですよ
今回、国際児童文学館で閲覧した25冊ほどのうちこれと井出さん「ボダからの脱出」は傑作の部類に入るでしょう、ベスト400作品に追加
したいもの
ヒロイン高見さぎりは母と二人くらし
友達の大平洋子さんの所に招かれた時、母(大平さんの母は無類の犬好きだが高慢で嫌みな女性)が自慢するコリー犬ローザに目をひっかかれ、単なる傷と思っていたのが悪化して失明してしまう
大平母はローザのせいじゃないと意に介しないが、洋子は気に病んで以後何かにつけてさぎりの味方になる
普通の少女まんがなら洋子さんも悪役になるんだがその辺、現実味ある設定になってますね
ローザの子供の中で雑種みたいに見える一匹(エルザ)を大平母は毛嫌いしてる、そのエルザをさぎりが引き取ってから彼女の無二の友となる
ローザは母としてエルザのことが気になるのだろう、それが元で事故に遭ってしまう、エルザが愛されていたということがわかる一方、あんなにかわいがっていたローザを忘れて新しい犬に夢中になる大平母のむごさも良く出ている
さて、完全に失明したさぎりは盲学校に入ることになるが、そこでもそれぞれの事情に応じていじめはある
5年生の学芸会は「アルプスの少女」、さぎりはおじいさんの役しか回ってこない
ハイジ役がクラスのボス格の大橋友子、クララ役が引っ込み思案のみどり
エルザもクララを導く役として出演することになるが、エルザはけがをしてかろうじて歩ける痛々しさ
それでもおびえるみどりをうまく支え、さぎりも親身で友子を支えたことで気持ちが通い合うようになる
エルザはここでの無理がたたり入院することになるが、病院の先生が親切で、エルザを知り合いに頼んで盲導犬に仕立ててくれる
しかし哀しい出来事、心臓病が悪化したママが自分は本当の母ではないんだと衝撃的な告白をして亡くなる
さぎりは小豆島、父の実家に預けられることになるが実家雨宮家、長男を奪ったとママには厳しい目で、さぎりも冷たく迎えられる
父は亡くなっているし、実の母もママとのいさかいが原因で顔にやけどを負い隠れて暮らしていたらしい
修道院の尼僧マリアンネが母かと想定していたが彼女は母の親友で既に亡くなっていることを知らされる
おじいさんはいこじ、おばさんは意地悪、その夫と息子の敬太は人がよいんだが、娘の千代がまた意地悪な子ども
さぎりは離れの座しき牢に住まわされ、エルザも邪険にされる
千代はエルザを引っ張り出し雨の中縛ったままでおいてくるというひどさ
絶望的になっていたさぎりは海へ入って死のうするがエルザが弱った体ながら海へ入りさぎりを救い出す
エルザは死んでしまうが幸い、地元の黒コリーとの間に3匹の子を設け、エルザのような賢い犬に育つのが救い
おじいさんも次第にさぎりを理解するようになり明るい展望が見え始めたところで終了
エルザの顔は正面からは描きにくいようでちょっとすっとぼけた感じになり、「ラッシー」並みのりりしさに欠けるが、うーんけなげな名犬です(081003)