ヘルペス(帯状疱疹)
発疹そのものよりも「痛い」のが問題
この項目は「やなぎばし快快通信第12号」の記事(図入りです)と一部重複します

【単純疱疹 とはちがいます】
 帯状疱疹(たいじょうほうしん)単純疱疹(たんじゅんほうしん)とともに「ヘルペス」と総称される皮膚病のひとつで、単純疱疹と同じくウィルス感染症であり、乳幼児から高齢者まで、いつでも、誰にでも起こりえるものです。

【原因は みずぼうそう と同じ】
 たいていの大人は、水痘(みずぼうそう)になったことがあるでしょう。実は、帯状疱疹の原因ウィルスは、この水痘と同じなのです。「水痘・帯状疱疹ウィルス」と言います。
 ご存知のように、水痘は一生に一度限りで、再発することは原則としてありませんが(まれですが例外的に再発例があります)、ウィルスは消滅することなく、脊髄または脳の近くにある「神経節」と呼ばれる神経の一部分に住みつき、「冬眠状態」に入ります。そして、何年何十年後に何かのきっかけで目覚めて騒ぎ出すと、こんどは水痘ではなく、帯状疱疹となって発症するのです(再活性化)。
 このきっかけは、単純疱疹とほぼ共通していて、免疫力の低下、すなわち風邪などによる発熱・紫外線・ストレス・重い病気のときなどです。ただし、やはり単純疱疹と同じように、ほかの健康上の問題が、なにもない人にも発症します
 帯状疱疹も原則として再発することはなく、一生に一度限りです(少数の例外はあります)。

【横並びに出る】
 帯状疱疹は必ずどこか1本の神経に沿って発症します。その結果発疹が横並びになるため「帯状」と呼ばれるのです。始めは大小さまざまの水疱(すいほう)ができ、のちにカサブタとなって2〜3週ほどで治っていきます。発症する神経は必ず1本だけなので、体の左右どちらか片方にしか出ません。また、同じ理由で上下に広がることも決してありません。

【顔に出た場合は眼・耳にもご用心】
 帯状疱疹は頭からつま先まで、全身どこにでも発症します(ただしある1本の神経に沿った部分だけですが)。これが額から頭にかけて(三叉神経第1枝)出ると、痛みが強く、まぶたが腫れて眼が開けられなくなることがあります。この場合、ときに角膜にも影響しますので、眼科でも診てもらいましょう(角膜ヘルペス)。
 また、顔面神経麻痺・味覚障害・聴覚障害・めまいなどを伴うことがあり、このような場合は耳鼻科の受診も必要です(ラムゼイ・ハント症候群)。

【問題は「神経痛」】
 帯状疱疹の最大の問題点は発疹そのものではありません。「痛い」ことです。痛みは個人差が大きく、若い人ほど軽く短期間でおさまりますが、逆に高齢者ほど痛みが強く、しかも治るまでに長くかかる傾向があります(帯状疱疹後神経痛)。
 通常の神経痛と同じように鎮痛剤を処方しますが、それでも不十分な場合は麻酔科で神経ブロックを行ないます。
 痛みを軽く、短期間で済ませるためには、次に述べる抗ウィルス薬をなるべく早く飲み始めると良いとされています。

【帯状疱疹の治療】
 使用する抗ウィルス薬(バルトレックス錠)は単純疱疹と同じです。こんにちでは1日3回の内服ですむようになっています。ただし、内服する量が単純疱疹の場合よりも3倍多く必要で、成人は1日6錠を7日間を限度として内服します(高齢者・肝腎障害があれば減量)。
 この薬は薬価が高く、1日分6錠で 3835円です(もちろん保険が効きます)。
 発症後、少しでも早く内服を始めなければならない点も単純疱疹と同じです。この薬はあくまで「進行をおさえる」ものであり、完成してしまった「キズ」を治すものではないからです。

【帯状疱疹になってしまったら】
 ごくありふれた病気ですので特別心配することはありませんが、乳幼児に感染させると水痘になってしまうので注意しましょう。ただし、感染力があるのは発症から数日間だけと考えられています。
 神経痛に対しては患部を極力冷やさないようにしましょう。発疹がひどく崩れたりしない限り、他者への感染に注意を払えば、お風呂も普通に入れます。


貝瀬皮膚科情報紙「やなぎばし快快通信」12号にも「ヘルペス[その2](帯状疱疹)」を図入りで特集しています(本文はほぼ同じです)。


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