虫 さ さ れ
たかが虫さされ・・・と甘くみてはいけません
この項目は「やなぎばし快快通信第10号」の記事(図入りです)と重複します

【甘く見てはいけない虫さされ】
 かゆーい虫さされは、ひっかくことによって「とびひ」(伝染性膿痂疹)や、きわめて治りにくく硬い発疹(結節性痒疹)の引き金となります。なるべく早いうちにしっかりと治しましょう。また、原因不明とされている病気のうち、こわい膠原病・ある種のリンパ腫など、虫さされが発端として疑われる症例報告があります。

【テレビCMでおなじみの薬】
 毎日、虫さされの薬のCMが見られますね。そこでは、どの薬もずいぶん効くように宣伝しています。
 ここで、薬店で簡単に買える、ある虫さされ薬の成分を見てみましょう。
      ■■■ 市販薬「新○○コ○○○○ール」■■■
            塩酸ジフェンヒドラミン
            リドカイン (*)
            l−メントール
            dl−カンフル
 炎症をしっかりとおさえる成分は含まれていません。さらに、(*) が問題です。この成分は局所麻酔薬なのです。皮膚に麻酔をかけるので、一時的にかゆみは軽くなるでしょう。
 局所麻酔薬は、反復使用によってアレルギー体質をつくりやすいもののひとつです。最悪の場合、局所麻酔薬が使えない(ショックを起こす)体質ができあがってしまいます。この事実は一般人にはあまり知られていません。私ども皮膚科専門医は、市販薬にかゆみ止めとして局所麻酔薬を配合することは、怖いことだと考えています。

【虫の種類による特徴】
ダニ
 衣服でおおわれる部分(非露出部)をやられるのが特徴です。刺されても、かゆくも何ともない人もあるため、家族のうちで自分一人しか刺されてない(ように見える)ことが少なくありません。年間を通じて繁殖を続けるので、冬でも発症します。引越しや押入れの片付けなどが引き金になります。ダニは畳・じゅうたん・ネズミ・小鳥などに付いて生息します。新品の家具に付いてくることもあるので注意しましょう。

ノミ
 現在はほとんどネコノミが原因です。ヒトノミよりも跳躍力が弱いため、すね・ふくらはぎをやられます。ネコのノミを駆除しない限り、夏のあいだじゅう刺され続けます。ノミは野良猫の集合場所にも大量にいます。

蚊(カ)
 ごくありふれたものですが、アレルギー性に強く腫れあがることがあります。以前はコガタアカイエカが媒介する日本脳炎が恐れられましたが、予防接種の普及で日本国内での発症が激減し(2002年度8名)、現在では日本脳炎と蚊(カ)の関係を知らない人も多くなりました。

ブユ(ブヨ)
 刺された跡が出血して紫色になりやすいのが特徴です。野山でのアウトドアでやられます。

蜂(ハチ)
 国内でマムシにかまれて亡くなる人は年間10名程度ですが、ハチに刺されて亡くなるのは年間40人以上にも及びます。ハチは、マムシよりも危険なのです。手を出さなくても向こうから襲ってくる、スズメバチによる被害が多くなっています。
 ハチ毒に対してアレルギーがあると、痛く腫れあがるばかりでなく、急激に具合が悪くなり、血圧が低下して危険な場合があります(アナフィラキシー・ショック)。こうなったら、救急救命処置が必要です。この反応は初めて刺されたときには起こらず、2回目以降、刺された回数が多いほど起こりやすくなります。ハチに刺されたことがある人は、これ以上刺されないように十分な注意が必要です。林業関係者はとくにご注意ください。
 ハチは「黒くて動くもの」をめがけて攻撃してきます。野山へ出かけるときは、白系の服装に白い帽子をかぶりましょう。ハチに襲われそうになったら、低い姿勢でじっとしているのがよいと言われています。

【虫さされの望ましい治療】
(1) ハチ以外の場合
 はじめに述べたように、のんびりしていると色々と困った合併症が出てきます。副腎皮質ホルモン(ステロイド)外用剤を使いましょう。虫さされの治療は長く続くことはないので、ステロイドの副作用を心配する必要はありません
(2) ハチの場合
 多くの場合痛みなどが激しいため医療機関の受診が必要です。アンモニアを含む外用剤が古くから使われていますが、現在では効果がないことがわかっています。
 ハチアレルギーがある人が万一さされてしまったら、意識があるうちに、とにかく人がいるところへ出てください。そしてただちに、救急車を呼んでください。

貝瀬皮膚科情報紙「やなぎばし快快通信」10号にも「虫さされ」を図入りで特集しています(本文は同じです)。


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